Re.ドキドキ&サイエンス   作:yu-ki.S

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前回までのあらすじ!

晴夜「仮面ライダービルドであり、てぇんさい科学者の卵 桐ヶ谷晴夜の前に、全世界を火の海にして暴力で支配しようとするダウンフォールが現れた。奴らはファントムリキッドと呼ばれる成分を駆使した兵器を用いて、ホワイトパンドラパネルの強奪を企んでいた」

龍牙「そして遂にホワイトパネルを手にしたダウンフォールのリーダー・浦賀圭介は、それを使って仮面ライダーファントムビルドへと強化変身!かずやんも対抗して仮面ライダーグリスパーフェクトキングダムへと変身し、ダウンフォールへ立ち向かっていったのだった」

和也「よっしゃラッキー!遂に俺も新しい強化フォームを手に入れたぜ!」

幻冬「あの晴夜さん。此処までのストーリーって、ほぼVシネ原作本編を文字にしてるだけじゃないですか? 東映から盗作疑惑で訴えられますよ?」

晴夜「安心しろ! 二次創作に盗作もクソもねぇからな!! それに周りの二次創作を見てみろ、みんな人様の原作キャラにSEKKYOUをしたり、ぼくのかんがえたさいきょうのおりきゃらでチーレムしたりしてるだろ?中には原作主人公を改悪させて上から目線なオリ主の踏み台にする作品だってあるんだぞ? そういったのと比べたら、俺らのはマシだと思いますけど!?」

幻冬「………あの、その発言の一部。この作品のヘイトスピーチと化していますけど、ユート氏に怒られません?」

晴夜「………………」

和也「おい、なんか言えよ」

龍牙「それではグリス&ロゼッタ編、始まります。最後までどうぞよろしくお願いします!」


仮面ライダーグリス&キュアロゼッタ!不滅の心火! その4

仮面ライダー&プリキュアとダウンフォールの全面対決が繰り広げられてる頃、一台のリムジンがエンジンを噴かせながらグリス達の元へと向かっていた。

 

「急がねば!早くこれを!」

 

運転主であるセバスチャンはアクセルを踏み込み、グリス達に助けられるであろう、或いは既に助けられて彼らと一緒に居るかもしれないありすの姿を思い浮かべながら、隣の座席に置かれているガラスケースに目を向ける。

そのガラスケースには、中央に歯車や雪結晶を模したディテールが刻まれ、中央部分に水色の宝石が付いているラビーズが入っていた。

 

「皆さん、お嬢様……どうか、間に合ってください……!」

 

そう呟く彼の脳裏に浮かぶのは、このラビーズを完成させた晴夜と交わした話の内容についてだった。

 

 

 

『晴夜様。これも、完成させられますか?』

 

ガイ達三人の想いを汲み取り、パーフェクトキングダムの完成を約束した晴夜が作業に取り掛かろうとしていた。

そこへありすの執事であるセバスチャンが現れ、晴夜にジュラルミンケースに入っていたある物を見せた。

 

『セバスチャンさん。コレは、ラビーズ……ですか?』

 

それはラビーズだったが、マナ達が持っているラビーズと違う事と、それが人の手で作られた物である事は、一目で分かった。

 

『以前、私がラビーズを研究した際に作り出した、人工生成型ラビーズです』

 

セバスチャンは以前、ビルドドライバーとフルボトルの開発研究をする際に、同時進行でコミューンを人工的に生み出そうとしており。その際にラビーズの研究もしていた事を語る。

 

『これを、お嬢様のお力になればと思い、晴夜様に』

 

最終的に自身の手では完成に至らなかったが、晴夜ならこれを完成させる事が出来ると信じて、未完成状態のラビーズを託した。

 

『……わかりました』

 

晴夜は受け取ったラビーズの調整を行う為、パーフェクトキングダムの完成を一旦叔父とセバスチャンさんに任せ、ラビーズの性能を確認した。

ラビーズは8割方完成しており、後はこのラビーズへどのような力を注ぎ込むか検討した。そこで、今まで自分達がボトルの成分から相性の良いものを探した様に、フルボトルからエネルギーを作りだすことを思いつく。

 

『アイちゃん、お願い』

 

『アイ〜!きゅぴらっぱ〜!』

 

更に晴夜はアイちゃんの力を注ぎ込むことを閃き、人工ラビーズをより本物のラビーズへ近づける事に成功した。

 

『ありがとうございます。晴夜様』

 

『えぇ……ですがこのラビーズには、問題点があります」

 

完成した人工ラビーズをセバスチャンに託しながら、人工ラビーズの問題点を説明する。

 

『そのラビーズはボトルの成分から生まれたもので、ネビュラガスの成分が含まれています。それを使えば、急激なパワーアップに自分の感情が抑えれなくなるかもしれません』

 

晴夜はこのラビーズを使うには、使用者であるありすの精神面がかなり重要だと話す。

感情を抑えられなければ力に飲み込まれ、エボルト遺伝子が暴走した龍牙やギャラクシードラゴンモードへ変身した真琴のようになる事があり得る…と。

 

『だから、その判断はセバスチャンさんに託します』

 

そう言ってマナ達と共に、ダウンフォールを止める為に出ていった。

セバスチャンはガラスケースにあるラビーズを見つめながら、届けるべくか届けないべきかと沈黙を続けたが、しばらくしてありすが居るであろう場所へ向かう準備を始めたのだった。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「これが、最後の……ッ! 祭りだァァァァァーーーッッッ!!」

 

グリスパーフェクトキングダムへ変身した和也の叫びを皮切りに、各地でダウンフォールへ立ち向かったライダーとプリキュア達。

 

「ありすは任せろ!」

 

「頼む!」

 

クローズとソードがこの場にいるガーディアン達を払い除け、ありすを救出するべく政府官邸内へと入ってゆく。

 

「チッ!」

 

「オラァ!」

 

二人を追おうとするファントムビルドに対し、グリスは背後から攻撃を繰り出して追わせない様に進行を阻止する。

 

「仮面ライダーとプリキュアを、舐めんなよ!」

 

「ふんっ!ハァッ!」

 

「行くぞコラァァァーーーッッ!」

 

グリスは両腕に装備されたブレードを、ホワイトパネルを取り込んだファントムビルドへ振り下ろす。

対するファントムビルドは左腕で受け止め、火花を散らせながら押し返そうとする。だがグリスも両足を強く踏み込み、右腕に力を入れて応戦する。

 

「何をしようと無駄だ!」

 

「うるせぇ……! 俺達は絶対に負けねぇーーッ! LOVE&PEACEの為になァァァーーーーッッッ!!!」

 

 

 

両者一歩も引かない攻防が続いているその隙に、捕まったありすや各国代表を助ける為に政府官邸へ突入したクローズとソード。

だがしかし、敵の拠点が無防備な訳がないだろと言わんばかりに、無数に設置されたガーディアン達と残った兵士達が、侵入者を殲滅せんと応戦を開始していた。

 

「オリャャ!」

 

クローズは迫り来る兵士達を払い除け、襲い掛かるガーディアンを次々と殴り飛ばして機能停止させてゆく。

 

「フゥ!」

 

ソードはガーディアンが放った銃撃をバックステップで躱し、高スピードで一気に接近しながら、エネルギーを纏った手刀でガーディアンを斬り伏せていく。

そして二人は、ありすとランスが囚われている部屋の前へと辿り着く。

 

「ありす!」

「大丈夫?」

 

「龍牙さん。ソード」

 

部屋の中へ入ると、そこには縄で拘束され身動きが取れずにいるありすと、同じく縄でぐるぐる巻きにされたランスの姿があった。

ソードはすぐに彼女を拘束している縄を解いて、自由の身にする。クローズもランスの拘束を解こうと縄を引きちぎった。

 

「和也さんは!」

 

「和也なら今、外で偽ビルドとひとりで戦ってるわ」

 

「わかりました。お二人は捕まった方々の救出を!ランスちゃん!」

 

「わかったでランス〜!」

 

和也の行方を聞いたありすは立ち上がり、ランスと共に部屋を出て、ダウンフォールのリーダーと戦っているであろう幼馴染の元へ向かった。

クローズとソードもありす達を追いかけようと部屋を出るも、今度は左右の廊下から二体のファントムクラッシャーと数体のガーディアンが現れた。

 

「龍牙!そっちをお願い!」

 

ソードは収納状態のラブハートアローから光刃を生み出し、右側からやって来た敵に向かっていく。

 

「お、おい!……ったく!」

 

クローズは仕方なく左側から来た敵に向かってパンチを繰り出し、圧倒的な力の差を見せつけると、ファントムクラッシャーが攻撃を仕掛ける。

だが咄嗟の反射神経と第六感で攻撃を躱し、カウンターを繰り出して膝をつかせた。

 

「力がみなぎる!魂が燃える!俺のマグマが、ほとばしる!

もう、誰にも止めらねぇ!」

 

そう叫びながら全身のマグマを燃やし、ファントムクラッシャーの援護に来たガーディアンへ連撃を繰り出し次々と破壊。トドメとしてレバーを勢い良く回し、体にマグマの炎を纏わせる。

 

『Ready go!ボルケニックフィニッシュ!アチャー!』

「オリャャャャーーーー!」

 

「はぁぁぁ!」

 

クローズのラッシュがファントムクラッシャーを吹き飛ばした一方。右側からやって来たファントムクラッシャー達の応戦をしていたソードは、ラブハートアローから出した光の刃で無数のガーディアンに立ち向かっている。

 

「プリキュア!ドラグニッククリスタルスラッシュ!」

 

ラブハートアローから繰り出された光の刃により、ファントムクラッシャーとガーディアン達を払い除けたソード。最後にラブハートアローにラビーズをセットしてクリスタルの斬激を放ち、ガーディアン諸共ファントムクラッシャーを撃破した。

 

 

政府機関国立研究所の外に出て戦っているエースとローグとジョーカーも、三体のファントムクラッシャーと数体のガーディアン相手に戦闘を繰り広げていた。

 

「エースミラーフラッシュ!」

 

エースがマジカルラブリーパッドの力で作り出した三つの長方形鏡がガーディアンの周りを囲み、パッドの画面上で三角を描く事で鏡面から放たれる光エネルギーが互いに連結。エースミラーフラッシュが放たれた。

 

「プリキュア!ドラゴンズウインド!」

 

怯んだ隙にジョーカーがミラクルドラゴングレイブに力を溜め、解放された矛先から竜の姿をした竜巻“ドラゴンズウインド”を放ち、ガーディアンを全て撃破した。

残るファントムクラッシャー三体が繰り出された攻撃に、ローグは冷静に対応していた。

その内二体が同時に突撃を仕掛けるが、膝を折って下へ潜り込むと腹部にパンチを繰り出して宙へと吹き飛ばし、次に後方から放たれたビームを背中のマントで防いだ。

 

「大義のための犠牲となれ!」

『Ready go!』

 

それを見て突進攻撃を仕掛けるファントムクラッシャーに、ローグはそう言いながらレバーを回して高く飛躍し、両脚部から『グランダイルファング』を展開する。

 

『プライムスクラップブレイク!』

 

噛み付くような挟み蹴りを繰り出し、落ちてきた二体も一緒に拘束。三体を同時に噛み付いた足で掘り投げ、纏めて撃破した。

 

 

ビルド、ハート、ダイヤモンド、マッドローグの四人は、街の中で襲われている人を庇いながら戦っていた。

 

「愛を無くした悲しい皆さん!このキュアハートがあなた達のドキドキ!取り戻して見せる!」

 

ハートは空気を蹴って宙を高速に、そして自由に飛びながらファントムクラッシャーのミサイルを躱すと、今度は高い位置から地面へと強烈なるキックをくり出してガーディアンを吹き飛ばす。

 

『フルフルマッチデース!フルフルマッチブレイク!』

「ハァァァァ!」

 

そこへ待ち構えていたビルドは、バスターブレードモードのフルボトルバスターにフルフルラビットタンクボトルを差し込みエネルギーを充填させ、武器を持って襲いに来たガーディアンを回転斬りで迎撃する。

 

「ダイヤモンドスワークル!」

 

ダイヤモンドはマジカルラブリーパットを手元に出現させ、ラビーズをセットしたマジカルラブリーパットから放たれた水流でガーディアン達の動きを封じる。

 

「全ては……キングジコt──いや、僕自身の為に……」

『Ready go!エボルテックアタック!チャオ!』

 

そこへレバーを回したマッドローグが、背中から蝙蝠の羽型飛行ユニット『マッドナイトフライヤー』を出現させ、羽をドリルの様に丸めて繰り出したライダーキックで一気にスクラップにしていく。

 

「勝利の法則は、決まった!」

『ワンサイド!逆サイド!オールサイド!』

 

後に続く様にレバーを回したビルドは、装甲にある60本のボトルを光らせながら周囲を数式と方式で囲みこむ。

 

『Ready go! ジーニアスフィニッシュ!』

 

ドライバーから虹色に輝くグラフの放物線が現れ、敵を一気に拘束。

ビルドが高く飛躍して放物線に乗り、ファントムクラッシャーとガーディアンらに向かって勢いよく放たれたライダーキックが全ての敵を倒したのだった。

 

 

 

そしてグリスとファントムビルドは低空飛行を行いながら、互いの攻撃を高速でぶつけ合っていた。

しかしグリスはこれまで蓄積したダメージによって体をよろめかせて隙を生み出し、ファントムビルドはそれを見逃さず、胸元へ拳を打つける。

 

「クソ…ッ!」

 

グリスは飛ばされながらも態勢を整え着地したが、これまでのダメージと新たなフォーム変身による負荷は、肩で息をし始めた彼の肉体を限界まで酷使し、無駄な体力を使い消耗させてしまっていた。

 

「やはり、俺は最強なんだ……だが、先生は俺を認めなかったッ!」

 

グリスを追い詰めていきながら、自分が最強だと自称するファントムビルド。

そんな彼は、突如として先生──恐らく桐ヶ谷拓人の事を言ってるだろう──の名を言いながら怒りの叫びを上げる。

何故突然、拓人博士の名前を叫んでいるのか。グリスの尽きない疑問が浮かび上がる中、ファントムビルドは研究者として拓人の下にいた時の事を思い出していた。

 

 

 

『先生!見てください!』

 

笑みを浮かべながら浦賀が見せた論文は、先日拓人の義兄弟が発見したパンドラボックスに秘められた謎の力を使い、人間の遺伝子に手を加えれば人間の細胞をより活性させられ、常人を越えるものだと言う内容が書かれていた。

 

『……その研究は、本当に人の役に立つのかい?』

 

だがそれ以上に、パンドラボックスが持つ未知の力の危険性を考慮し、最大限の警戒を払っていたていた拓人は、無責任に彼の論文を褒め讃えるつもりはなかった。

なにより、パンドラボックスに秘められた力は、今の人類では確実に争いの火種になる事が予想されてた。

 

『………何ですかそれは?』

 

『君の研究は、確かに素晴らしい結果を導くかもしれない。けれど、それではダメだ』

 

そう言って論文を突き返した拓人は、彼の元から去った。

対する浦賀は「人間を超えられる力を与えてやる事の、何が悪いんだよ」と傲慢に思いながら、拓人に冷たい視線で睨み付け、突き返された論文を強く握り潰した。

──もしもこの光景を晴夜が見ていたら、きっとこう語っていただろう。

 

「強大な力を得た人間の大半は、過ぎた力に振り回されるか、その力を利用しようと暴走を始める。そう考えれば、あの時の父さんの判断は正しかったと思う。

……だけど、『言い方が良くなかった』。敢えて何が間違っていたかと言えば、この辺だと俺は思う」

 

 

 

「──だが、先生の言葉でわかった事もあった。俺以外の奴らは、みんなクズなんだとな!」

 

膝をついて疲労しているグリスに、ドリルクラッシャーを手元へ出現させて叩き込もうとする。

 

「和也さんーーーー!」

 

その瞬間ロゼッタの声と共に、四葉の盾がファントムビルドの攻撃を防ぐ。

なんで此処にロゼッタが!?と驚くグリスは、ドリルクラッシャーの突きを喰らった衝撃で後ろへ飛ばされたロゼッタをキャッチし支える。

 

「ロゼッタ……!大丈夫か!?」

 

「いえ、私は大丈夫です。ですが……」

 

「フンっ。愛……仲間……英雄(ヒーロー)……そんなものは幻想だ。所詮、人間は一人ッ!」

 

龍牙とまこぴーに助けられたのだと内心で二人へお礼を言いながら、グリスは近づいてくるファントムビルドの前で、ロゼッタに手を掴まれながら立ち上がる。

 

「全てを支配するのも勝者ッ!何もして許されるッ!!

それこそが、最強の証なんだッッ!」

 

ファントムビルドは雑兵が一人増えた程度で勝てる訳がないと確信しているのか、余裕の表情で既に勝ちを確信しており、グリスとロゼッタを見下す様に叫ぶ。

 

「それは違いますッッッ!」

 

「………何?」

 

そして彼の陶酔感をぶち壊す様な声量で、ロゼッタは強い眼差しでファントムビルドの考えを否定する。

 

「強さというのは、人を支配する為にあるものでは無く、誰かを守る為にあるものです。それに強さは免罪符ではありませんッ!

そのような思想では、誰もあなたを認めませんッ! 決してッッ!!」

 

「黙れェェーーッッ!」

 

自身の思想を否定されて怒り狂うファントムビルドは、ドリルクラッシャーをガンモードにしてトリガーを引きながら連射するが、ロゼッタはロゼッタウォールを生成させ攻撃を防ぐ。

 

「だから、私達は決して負けません! 真の『強さ』を理解出来ないあなたにはッ!」

 

啖呵を切るロゼッタを見て、グリスは小さく笑みを浮かべた。

そこへブレーキ音が鳴り響き、ロゼッタの方に視線を向けていたファントムビルドを轢き飛ばしながら出現したピンクの高級車から、ガラスケースを手に持ったセバスチャンが現れた。

 

「セバスチャン!」

 

「お嬢様!これを!」

 

セバスチャンはそう言ってガラスケースのロックを解除し、中に入っていた水色カラーのキュアラビーズをロゼッタへ投げ渡した。

ラビーズを受け取ったロゼッタが「これは……」と呟き、ランスも彼女の手の中にある物を見て「ラビーズでランス!」と驚いた。

 

「それはお嬢様用に用意された、新しいラビーズ……『オーロラブリザードラビーズ』ですッ!」

 

「貴様ァ……余計な事をォッ!」

 

ファントムビルドはドリルクラッシャーを持って起き上がり、自身を車で轢いた上に敵の手助け行為を行ったセバスチャンへ怒りの叫びを上げながら、メタルボトルを装填したドリルクラッシャーから黒い光弾を放つ。

それを見たロゼッタがセバスチャンの名を叫びながら走り出すも、彼の元へ到着する前に光弾は命中し爆発を起こす。

 

「あ……あぁ……ッ、あなた……!」

 

目から涙を溢れさせるロゼッタの前に、ピンクのバックミラーが音を立てて転げ落ちる。悪びれた様子も無く、「自業自得だ」と言わんばかりに鼻で笑うファントムビルドへ、怒りの感情を湧き上がらせる。

 

「許しません……あなたは、絶対に許しませんッ!!」

 

セバスチャンから託されたラビーズを怒り心頭のままセットしようとするロゼッタに、ランスは彼女の名前を呼んで制止するが、ロゼッタはそれを聞かずにラビーズを嵌めようとする。

 

「いけません!」

 

その時、ロゼッタの耳にセバスチャンの声が聞こえ、思わずコミューンにラビーズをセットしようとしていた手を止めた。彼は生きていたのだ。

銃撃が放たれた事で巻き上がった煙幕が晴れると、セバスチャンの前には肩のシールドを前に出したグリスが立っていた。

 

「大丈夫っすか?……すみません、車は護り切れませんでした」

 

「はい、和也様。車に関しては気にしないで下さい」

 

バックミラーが取れた高級車を見ながら軽口を叩くグリスに、笑顔で答えるセバスチャン。そしてセバスチャンは安堵の表情を浮かべるロゼッタに、真剣な表情を向けて語り始める。

 

「お嬢様。その力を、怒りに囚われたまま使っていけません!」

 

「セバスチャン……」

 

「そのラビーズは……怒りや憎しみ等の為に、あなたへ渡したのでありません。

人々の明日を掴む者の為に……お嬢様の為に、晴夜様が生み出してくれたものです」

 

そう言って、あの日──マナが上級生の子にいじめられ、怒りに身を任せて力を振るった時と同じ過ちを繰り返さない様に、優しく諭す。

 

「ありす、一人で背負い込むな。お前には俺達が……みんなが……仲間がいるだろ!」

 

グリスが彼女の隣に並ぶ。

 

「……セバスチャン、和也さん。ありがとうございます」

 

ファントムビルドによって憎しみに囚われそうになったロゼッタは、二人のおかげで落ち着きを取り戻し、涙を拭きながら受け取ったラビーズを優しく手で包み込む。

 

「行きますわ!ランスちゃん!」

 

「わかったでランス!」

 

「オーロラブリザードラビーズ!セット!」

 

水色に輝くラビーズをコミューンにセットし構えると、ロゼッタの体を白い桜吹雪が包み込み、新たな姿へと導く。

 

「キュアロゼッタ!オーロラブリザードモードです!」

 

足元に氷で作られた四つ葉彫刻が出来上がると、彼女の持つオレンジ色の髪には水色のメッシュが入り、コスチュームのメインカラーの一つである緑が青く変色。両頬にはメタリックブルーの三つ並んだハニカム構造が刻まれていた。

 

「ありす」

 

ロゼッタの新たなる姿“オーロラブリザードモード”を見て動揺するファントムビルドに対し、グリスが腕を隣に挙げる。

 

「和也さん!行きましょう!」

 

ロゼッタも同じく腕を上げてグータッチし、共にファントムビルドに向かって走り出していく。

 

「はぁぁ!」

 

先陣を切って駆けるロゼッタの冷気を纏った掌底打ちを、ファントムビルドは腕を前へ出して防ぐ。だが彼女の手が触れた箇所から徐々に凍っていき、すぐさま蹴りを放って突き放す。すると今度はグリスのブレードが振り下ろされるが、ファントムビルドはドリルクラッシャーで受け止め、鍔迫り合いになる。

 

「お前のように、俺達は最初は一人だったさ!弱くて、何も出来なかった!」

 

「でも、弱くて何もできない私達の前に、手を差しべてくれた人達がいました」

 

二人も幼馴染達と知り合う前では、いつも一人で居ることが当たり前だった、狭い世界に閉じ籠っていた。

だからマナ達や晴夜達と知り合えて、退屈とは無縁の毎日を過ごす事が出来た。

だから『一緒に行こうよ!』と告げられた時は、とても嬉しかった。

 

「私はその手に、勇気を貰いました」

 

「俺達は、一人じゃねェ」

 

二人がかりでファントムビルドをキックで押し返し、蹴りを貰ったファントムビルドは後ろによろめきながらも体勢を立て直し、背中からミサイルを放ってきた。

ロゼッタは両手を左右に広げ、強化されたロゼッタリフレクションを展開し防ぐと、リフレクションを二つに分けて扇状に展開させ、そのまま回転させてファントムビルドへ放つ。

 

「皆さんと一緒だから!ここまで強くなれたんですっ!」

 

「みんなと一緒だから!しんどくたって、頑張れるッ!」

 

「そんな物は所詮、馴れ合いだッ!」

 

グリスは腕のブレードを向けながら叫び、ロゼッタもリフレクションで作った扇を持った手をクロスさせながら叫ぶ。

だがファントムビルドは否定の言葉をぶつけながら、キックと共に紫色の履帯を模したエネルギーの波状攻撃を放って、ロゼッタのリフレククションを破壊した。

 

「俺は、最強だぁぁぁーーーッッ!」

 

「だから!お前はダメなんだよッッ!」

『ブルー!スタッグスラッシュ!』

 

雪の結晶の様に降り注ぐリフレクションの欠片の中を抜けながら、怒号を放つグリスはレバーを一回転。両腕のブレードに青いオーラを纏わせ、ドリルクラッシャーを振り払うと薙ぎ払う様に連続で斬り掛かる。

 

「プリキュア!オーロラダスト!」

 

ロゼッタが弓状に展開させたラブハートアローにラビーズをセットし、連続斬りを受けて怯むファントムビルドに向けると、オーロラの様に光り輝く氷の礫が無数に放たれ命中する。

 

『ブルー!イエロー!オウルアタック!』

 

その隙にグリスがレバーを二度回し、全身を黄色いオーラで纏って上空に飛翔する。

ファントムビルドは避けようとするも、先程ロゼッタが放った氷の礫により足元を固められていて動けない。身動きが出来ぬまま何度も体当たりを貰い、最後にグリスがドリルの様に回転させて突撃。遂に膝を着いた。

 

『ブルー!イエロー!レッド!キャッスルブレイク!』

 

そして今度は三回レバーを回し、両肩の盾を稼動。肥大化した盾は砲口の役目を果たそうとファントムビルドへ標準を向け、二連の赤いビームを発射する。

 

「ぐぅ……ッ!バカな……ハザードレベルは……俺の方が、上だったはずだッッ!」

 

「てめぇの匙加減で、俺達のレベルを図るんじゃねェよ!」

 

ビームが被弾し、あれだけのダメージを受けても尚起き上がるファントムビルドに、グリスは残る力の全てをぶつけようとする。

そんな彼の背後から、怪しい黒い甲虫が羽音を立てながら飛んで来て、身体を肥大化させたかと思うと、沢田ファームでグリスとスマッシュ三人衆に襲い掛かったアイスハザードスマッシュへ変身したのだ。

 

「ウッシャァァァ!!」

 

アイスハザードスマッシュが氷柱を手に構えて、グリスの背に向けて投げようとしたその時、突然スマッシュに向けて壁の様に立ち塞がった白い巨大な何かに激突して吹き飛ばされる。

 

「どちら様かはご存知ありませんが……和也さんの邪魔はさせませんわ!」

 

白く巨大な何か……両手に展開したロゼッタリフレクションで、アイスハザードスマッシュを吹き飛ばしたロゼッタが叫ぶ。

 

「お覚悟を……ロゼッタリフレクション・ダブルクラッシュ!」

 

そう言うと彼女は二つのリフレクションで、アイスハザードスマッシュを挟み込む様に叩き付け、大ダメージを与えた。

アイスハザードスマッシュは身体中に罅を作りながらも、負けじと無数のアイシクルチルアローを放つが、ロゼッタはロゼッタウォールで全て打ち落とし。その間にマジカルラブリーパッドにストレートフラッシュラビーズを装填させ、パッドにクラブのマークを描いた。

 

「受けてみなさい!プリキュア・スプリングオーロラストレートフラッシュ!」

 

ラビーズをセットされたラブハートアローから七色の光線が発射され、被弾したアイスハザードスマッシュを中心に、氷彫刻が施された桜の木とクローバー畑が現れ、最後は氷の花吹雪を舞い散らせて爆発した。

 

「ありす!助かったぜ!」

 

グリスはロゼッタが守ってくれたことに感謝すると、彼女はニッコリ笑って親指を立てる。

だがすぐに真剣な表情に戻し、再び目の前にいる敵へ意識を集中させる。

 

「心火を燃やして………てめェをぶっ潰すッ!」

『ブルー!イエロー!レッド!ゴールド!』

 

レバーを4回転させ、三色のドッグタグを掲げて高々と吼えるグリス。

 

「俺達の前に……ひれ伏せェェェェェーーーッッ!!」

『パーフェクトキングダムフィニッシュ!』

 

刹那。三体のハードスマッシュの幻影が重なり合い、赤・青・黄の三色オーラを纏って、ドリルのように回転しながらファントムビルドへキックを叩き込む。

 

「ぬわぁぁぁぁッ!」

 

「まだまだだぁぁぁぁーーーッッ!」

 

腕を前に出して耐え続けるファントムビルドだが、グリスと舎弟達の四位一体による強力なライダーキックは、彼を押し込み続ける。

 

「な!?──そんな、俺は……最強なんだぁぁぁぁぁーーーッッ!?」

 

遂に必殺技を受け止めきれず、後ろへぶっ飛ばされたファントムビルドは強制変身解除され、体内に埋め込んだホワイトパネルが排出された。

 

「はぁ、ハァ……やったぜ……お前ら……」

 

「和也さん!」

 

対する和也も力の全てを出し尽くし、変身解除された。ロゼッタは立つのも辛そうな彼へ近づき、肩を貸して支える。

 

「何故、何故……俺の方が、遥かに高い能力を備えていた筈なのに………何が、俺に足りなかった……!」

 

グリスの前に完全敗北し、往生際悪くホワイトパンドラパネルに手を伸ばす浦賀だが、その前に和也が拾う。

 

「──力ってのは、誰かを支配する為や、苦しませる為に使うんじゃねぇ。

誰かの為に助けられる事を、本当の力って言うんだよ」

 

闇に囚われたトランプ王国の王様を救った晴夜とマナ、亜久里。

自身が犯した罪の償いと本当の愛のために戦うと決めたレジーナ。

相棒を救う為に力を振り絞り、エボルトに立ち向かった龍牙。

多くの人達に自分の歌を届け続ける真琴。

自らの力で大切なものを守るという信念を貫く幻冬。

そして、一緒に戦ってくれたありす。

和也の知る仲間達は、皆一人一人が自分の持つ力を誰かの為に使っていた。

 

「俺にも、守るべきものがあった……が、お前にはそれが無かった……それだけの事だ」

 

そんな和也の言葉に、浦賀は最後まで肯定は愚か否定をする事も出来ず、地面を殴りつけながら意識を失った。

 

 

 

赤く光る夕日に照らされ、自身に力を貸してくれた三人が生み出したパーフェクトキングダムを見つめながら、和也は全てが終わった事を実感していた。

あの後浦賀は、後から来た警備兵らに拘束され、他のダウンフォールメンバーも無事に全員逮捕された。

 

「和也さん。ありがとうございました」

 

助けに来てくれた和也へありすはお礼を言うが、本人は首を横に振る。

 

「礼なら、あいつらに言ってくれ……」

 

何故なら今回ありすを救う事ができたのは、パーフェクトキングダムを完成させる為に自らの命かけて生み出し、大切な幼馴染ともう一度向き合う覚悟に気付かせてくれた、あの三人のおかげだからだ。だが……

 

「あいつらは……」

 

もうこの世に居ない彼らの顔が思い浮かび、パーフェクトキングダムを強く握り締める和也の瞳からは、涙が一粒溢れていた。

 

(チクショウ……あいつらはもういねェってのに、『カシラ』って呼ぶガイとライの声が……『兄貴』って呼ぶ真直郎の声が──)

 

「「「カシラァ(兄貴ィ)〜〜ッ!」」」

 

「──ッッッ!!??」

 

黄昏ていた和也の前へ、怪我の影響が無くなった様子の三人が走って現れた。

 

「やりましたねー!」

「流石ですよカシラ!」

「やっぱり兄貴は最高ですゥーー!」

 

「お、おっ、お前ら……なんで…?」

 

なんで三人がここにいるのか自身の目を疑い始める和也に、ガイが思い出した様に「あぁ、桐ヶ谷晴夜が言ってたんですよ」と口を開いた。

 

「私達が死んだことにしておけば、気持ちの高ぶりでハザードレベルが上がると」

 

その話を聞いた時、龍牙と真琴が今手にあるガジェットを渡した時、一言たりとも三人が死んだとは言ってなかった事を思い出した。

 

「何、だと………あンのッ、悪魔の科学バカがァァァァァァッッッ!!?」

 

 

 

「わかってないな〜……それだけに、あれを使いこなすのは難しいって事だよ」

 

赤く光る夕日に向かって放たれた、和也の叫びが辺りに響いたその頃。

桐ヶ谷家の地下研究室では、何故ガイ達が成分の強制抽出で死んだように見せかけたのか龍牙達が問い出していた。

晴夜曰く、感情が高ぶることで力を増す和也なら、いつも以上の力でパーフェクトキングダムを使えると信じていたから敢えて言わなかったようだ。

 

「晴夜さん。ジョーさんと拓人さんが各国家との話し合いで、ライダーシステムの導入は中止にして、設計データも全て削除するそうです」

 

今回の一件でライダーシステムの導入を中止したと聞き。晴夜は驚く事なく、ただ寂しそうに「そうか……」と呟いた。

 

「でも、これでよかったかもしれない」

 

だが今回の事で晴夜は思っていた。これからの未来において、ライダーシステムは必要ない物かもしれない、という事を。

 

「今回のダウンフォールのように、ライダーシステムを悪用する存在はいる。

だからこそ俺らは、ライダーシステムが必要ない世界にしなきゃいけないかもしれない」

 

ライダーシステムを扱うには、今の人類では力不足だと感じ取った。

ダウンフォールの様に、力で誰かを屈服するのではなく。他者の言葉を聞き、お互いの気持ちを語り、尊重し、相手を理解する。

そんな簡単な事を、もっと大切しなければならない…のかもしれない。

 

「でも、晴夜や龍牙君、かずやん、幻冬君にはきっと必要だよ!

だってみんな、愛と平和を守るために戦ってるんだから!」

 

「ふっ。そうだな」

 

LOVE&PEACE。世界中の人達がそれを胸に生きていける世界を作る為。そんな世界へ導けるような存在になりたいと、晴夜は心に誓うのだった。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

そして今回、大活躍をした和也はというと……

 

「どうぞ」

 

「ど、どうも……」

 

セバスチャンに案内され、四葉邸へと招待されていた。

庭園に入ると使用人の多くが囲んでおり、これから何が起こるのかと思いながら、恐る恐る前へと進む。

屋敷の前に着くとそこにはありすが立っており、その後ろには何故かありすの親もいた。

 

「ありす……なぁ、これから何が?」

 

和也は一体何が始まるのかと尋ねる。

 

「はい。和也さん……いえ、和也!私と、結婚を前てバギャッ!

 

──ザ、ザザザ……

 

 

 

 

「………いやはや、なかなか素晴らしいエピローグだったねェ」

 

とある無人島の砂浜沿い。そこには上着と水着を着たひとりの青年が、サマーベッドの上に寝転がりながら、画面部分が破壊されたブラウン管テレビにトランスチームガンの銃口を向けていた。

 

「しかし、この俺の遺伝子から作ったスマッシュを、ロゼッタちゃんに木っ端微塵にされるとはねェ……凍らせた事で細胞が壊死して、再生不可能になるなんて想定外だよォ~……まァ、おかげで面白いものが見れたけどさァ?」

 

そう言って彼は、くくく、と口元に笑みを浮かべる。

 

「それにしても……ファントムリキッド。あれはホントに、予想以上に使える代物みたいだねェ。改良すれば……もっと面白くなりそうだ」

 

手の平を下にして、そこから黒い液体を滴らせながら、まるで玩具を与えられた子供の様に目を輝かせる。

 

「さーて、俺も温泉をたっぷり堪能したし、次のフェーズに進みますかァ」

 

青年がトランスチームガンを懐にしまって立ち上がり、軽く準備運動を行ってから海に向かって歩き出す。

 

「もし会う時は、ちゃんと楽しませてよねェ?」

 

そして、そのまま海中へと入水していった。

無人島には、サマーベッドと破損したブラウン管テレビを残し、誰も居なくなった。

 


Re.ドキドキ&サイエンス!After story

 

仮面ライダーマッドローグ&キュアダイヤモンド!守りたい夢と笑顔 その1

 

 




おまけ

〜もしもかずやんがキングオージャーだったら〜

グリスオージャ「ウオォォォォォ!!ヒメノォォォォ!ウオォォォォォ!!」

リタ様「ストーカーの現行犯で逮捕する」

ストーカーは、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。

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