サイコをスキャニングされちゃう被験者です♪   作:ゼノアplus+

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LBX世界大会アルテミス

9話

 

 

〜アルテミス会場〜

 

 

 

今日行われるLBX世界大会アルテミス。それを目に収めようと凄い数の人が会場に集まっていた。

 

 

「ここは……アルテミスの会場」

 

「すげー人だな〜」

 

 

そんな中、アングラビシダスを優勝したことによってアルテミス出場権を与えられた山野バン、川村アミ、青島カズヤが会場に到着していた。

 

一度はテレビで見たことあるような世界クラスのLBXプレイヤーに驚きながらも会場に向かって歩く3人の前に、見るからに高性能そうな車が2台現れた。1台の扉が開き中から伸ばしっぱなしの黒髪の少年が現れた。バン達と同じくらいだろう。さらに車の中から髪で目元まで隠れた男が2、PCを持って出てきた。

 

 

「…………」

 

 

バン達の方を見る少年……灰原ユウヤは、彼らの顔を眺めて……空を見上げた。

 

 

「「「ッ!!」」」

 

 

空から聞こえるキィィィィンという聞き覚えがある音に、バン達も空を見上げた。すると、空から戦闘機が降下してきて1人の人間が飛び降りて着地した。

 

 

「海道ジン……」

 

 

そう、バン達が通う中学校に戦闘機に乗って転校してきた海道ジンである。バンとジンはお互いに目を合わせて睨み合う。その目からは絶対に負けないという強い気持ちが現れている。

 

 

「アッハハ!!皆さんおそろいだねぇ」

 

「ッ……レイ!!」

 

 

そんな彼らの後ろから聞こえてきた声。どこか人を馬鹿にしているような無邪気な笑い方をしているのはたった1人、レイだ。バン達とジン、ユウヤは奥から歩いてきたレイと後ろの2人の白衣の男達に目を向けた。

 

 

「やっほ〜1ヶ月ぶり?……アッハハ!!やっと敵として出会えたね、バン君?」

 

「俺はこんなふうに会いたくなかったよ」

 

「おやおや、意外にも好印象をもたれてた感じ?光栄だね!!」

 

「無駄な会話をするな。行くぞ」

 

「むぅ……分かったよ。じゃ、せいぜいボクと戦うまで負けないでね。バン君、ジン君、それと……ユウヤ君」

 

 

白衣の男に指摘され、レイは眉を潜めながらも男の言葉に従う。そして全員を見回しながら別れを告げた。

 

 

「アッハハ!!じゃ〜あね〜」

 

 

レイは彼らの方を見ずにヒラヒラと手を振りながら会場への階段を登って行った。それに続くかのように、ユウヤとジンもそれぞれ会場へ向かう。

 

 

「バン……レイには勝てそう?」

 

「わからない……あれから毎日特訓したけど、レイは本当に強いから……」

 

「………」

 

 

アミの問いに、迷いながら答えるバン。カズヤもバトルのことを思い出したのか少し青い顔をしている。

 

 

「でも……俺達は勝たなくちゃいけないんだ。イノベーターにメタナスGXを渡すわけにはいかない!!」

 

「バン……そうだな!!」

 

「ええ、絶対優勝しましょう!!」

 

 

少年達は気持ちを新たに、ライバル達が登って行った階段を登り始めたのだった。

 

 

 

 

ところ変わってアルテミス会場内。エントリーを済ませたレイと白衣の男は、常に行動を共にしながら物品販売をしているLBXの各企業ブースを訪れていた。

 

 

「ねぇ……前から思ってたんだけど、このブルドやブルド改みたいにデクーの下半身を特殊フレームにしないの?」

 

「デクーは量産機としての完成形に近い。ここからコアスケルトンごとの改造は効率が悪い。性能面も十分のはずだからな」

 

「なるほどねぇ……安易に生産ラインを増やすような事はしたくないか。じゃあサイバーランスみたいに細身の高機動LBXは?」

 

「デクーエースがいるだろう?」

 

「あれの設計思想はあくまで隊長機、性能こそ他のデクーよりも遥かに上だけど高機動用に設計してないよ」

 

「ぬぅ……しかしデクーにそのような機構を搭載するとさらに重量や耐久面の問題が……」

 

「……デクーでは諦めたほうがいいかもね。この案はダメだ。結局新型の頼りになっちゃう」

 

「そうだな……もとより、重装甲LBXを主に置く我が神谷重工には不得意な分野というのも響いている」

 

 

販売されているパッケージを見ながらデクーの改造案を出し合っている3人。どう見ても技術者の顔だ。

 

 

『アルテミス出場選手の受付が修了しました。20分後より開会式を行いますので出場選手の皆様はステージへ、ご観覧の皆様は観客席へお集まりください。繰り返します……』

 

 

アナウンスが流れ、周りの人々が一斉に移動し始めた。

 

 

「さて……僕らも行こっか。トロイの初陣だからね」

 

 

 

〜20分後〜

 

 

「おお〜結構出場する人多いね〜」

 

 

開会式が始まりMCが登場し開会宣言を行った。レイはポケットに手を突っ込んで立っている。そして、MCに一番近い出口から女性が出てきた。

 

 

「……ん?受付のお姉さんじゃん……ッ!?」

 

 

レイは目を見開いて驚いた。女性の胸元が開き中から機械のボディが現れたからだ。

 

 

「なるほど……あれがメタナスGX」

 

 

そして、各選手のブロック分けが発表され始めた。

 

 

『レイチーム、Dブロック!!』

 

「え、ボクの名前レイで登録したの?」

 

「何か問題か?」

 

「ああいや、まさか貴方達が許可してると思ってなくて……」

 

「名前がないのも不便だった。ちょうど良い名前を黒の部隊の奴らが呼んでいたから借りたまでだ」

 

 

当たり前のようにいう白衣の男に対して、レイは少し驚愕の表情を露わにしながらもなるほどと頷いた。

 

 

「ジン君がAブロック、バン君がCブロック、ボクがDブロック、ユウヤ君がEブロックか……見事に別れたね。ボクのブロックで知ってる人は……あ、箱の中の魔術師(笑)君だ。余裕で勝ち上がれそうだね」

 

 

この組み合わせによって、ほぼ確実に決勝戦は1対3の構図が出来上がったと言って良いだろう。そして、開会式が終わって3人は控室にいった。

 

 

「お〜小部屋だ」

 

「バイタルチェックを行う。椅子に座って待機しろ」

 

「あいあいさ〜」

 

 

男の指示でレイは椅子に座って腕にケーブル付きのリストバンドを装着した。

 

 

「……異常なし。では、今日1日はこのリストバンドをつけていろ。我々の端末にお前のバイタル情報が送られてくる」

 

「わっかりました〜。あ、CCMのヘルメットとグローブ貸してよ。当分出番ないから感覚を馴染ませとく」

 

「良いだろう」

 

 

もう1人の男が手元のスーツケースに収められたヘルメットとグローブを取り出した。レイは両手にグローブを装着した後ヘルメットを被った。

 

 

「トロイを動かして良い?」

 

「許可する。ついでに調整も行おう。使い方は今朝説明した通りだ」

 

 

レイが立ち上がって両手を開き前に向け腕を大きく広げた。すると目の前に黄緑に光るモニターが現れレイのバイタルデータとトロイの機体データが表示された。

 

 

「ッ……ちょっと頭が痛い」

 

「修正する……どうだ?」

 

「治ったかな。うん、大丈夫そう」

 

「ではLBXを動かせ」

 

 

レイは頭の中でトロイの動き方をイメージした。するとトロイもそのイメージに応じて動き出した。しかしその動きはどこかぎこちない。

 

 

「ボクのイメージを受信するスピードが遅い」

 

「修正する。頭痛はないか?」

 

「うん」

 

「…………どうだ?」

 

 

男がPCを操作した後、トロイの動きがスムーズになった。

 

 

「オーケー、特に問題なし。激しめに行くよ」

 

 

トロイが走り出す。部屋の中を縦横無尽に駆け抜けるその動きは、CCMを用いて操作するよりも素早く、正確で何より人間味を帯びている。

 

 

「動作に異常なし。2号、変化はあるか?」

 

「……少し乗り物酔いをした気分かな。別にバトルに支障は無いから問題ない」

 

「分かった。調整終了……後は好きに動かせ」

 

「はーい」

 

 

そしてレイは5分ほどイメージを続けてからLBXを停止させ、ヘルメットとグローブを外した。丁寧に2つをケースの中に収めたレイは少し不思議そうに男達の方を向き疑問を口にした。

 

 

「これ……ヘルメットいるの?グローブが肌にくっついてるからこれだけでも直接操作出来そうだけど」

 

「一応可能だが、脳から脊髄へ、そして運動神経を通り手の末梢神経への伝達にはごく僅かな時間がかかる。その分LBXの反応が遅れる、ということだ」

 

「なるほどね。ヘルメットとグローブを繋ぐこのケーブルはその工程を無視できると……グローブだけの場合との差は?」

 

「0.00015秒だ」

 

「………誤差じゃないの?」

 

「短時間の戦闘となれば問題はない。しかし、バトルが長くなるにつれて、その誤差は誤差の範囲を超える。気づけば、LBXを走らせたイメージを持った瞬間はまだ動き出していない……という可能性がある」

 

「あぁ……致命的じゃん。確かにヘルメットは必要だね」

 

 

2人の会話が終わり無言になった。男達はPCの操作を続けているがレイはなにもしていない。落ち着かないのか、徐に机のリモコンに手を伸ばしモニターの電源をつけた。そこには現在行われている試合の映像が流れている。今はBブロック決勝戦のようだ。

 

 

「ジン君は?」

 

「無事、決勝戦に駒を進めている」

 

「ふぅーん」

 

 

Aブロックの覇者は海道ジンのようだ。男からそれを聞いたレイは画面に視線を戻した。現在はマスクドJという選手と神崎という男がバトルをしている。

 

 

「えぇ……なにやってんのあの人。バレバレ……じゃないし(なんでこの研究者ども気づかないの?どう見たって師匠じゃんか!!)」

 

 

レイがソワソワしている。画面の先にはマジックショーでも行おうというような黒い服を着ている男の姿。仮面もしているが、どこからどう見たって山野博士その人だ。

 

 

(マスクドJ……Jって淳一郎のJか……あの人、童心を忘れないなぁ〜。だからLBXを作れたんだろうけど……ちょっと流石にあれは……)

 

 

レイが目を細めて呆れている。男達はPCに集中しているためそんなレイの様子に気付いていない。

 

 

「マスカレードJ……細身だけどそのスピードは一級品。トロイの弾幕から逃げられるわけがないけど……(面白そうだし、少し泳がせておこう。わざわざ変装してまでアルテミスにきたんだから何かあるんだろうし)」

 

 

レイの中では、決勝戦の組み合わせは山野バン、マスクドJ、海道ジン、灰原ユウヤ、レイの5人で確定しているらしい。すでにマスクドJをバン側の人間と捉えて、3対2の構図を想像している。

 

 

(ファイナルステージ前に挨拶しとこっかな)

 

『マスクドJ選手!!Bブロック代表として決勝戦に駒を進めましたぁ!!』

 

(まぁそうだろうね。LBXの生みの親が弱いわけがない。さてと……次はCブロック。バン君達だね)

 

 

すでにCブロック一回戦は始まっている。4箇所で行われているバトルだが、レイの視線はバン達に釘付けだ。

 

 

「アッハハ!!なにあの蹴り。以前のキミなら絶対あんな芸当は出来なかったよねぇバン君。これは……ボクも余裕こいてられないかな」

 

 

バン達の成長はレイの予想を遥かに超えていた。しかしレイは動じない。いや、逆にテンションが上がっている。自分と戦ったらどんなバトルを魅せてくれるのだろう、と。

 

そしてバン達がそのまま一回戦を勝ち、2回戦、3回戦と順調に勝利していく。世界クラスのプレイヤーに全く劣っていないその技術に、初出場ながらも会場を湧かせている。

 

残すはCブロック決勝戦。バン達の相手はアジアエリアチャンピオンだ。

 

 

「使用機体はウォーリアー、ブルド、アマゾネス……個人の戦闘スタイルはバン君達と全く一緒。違うとすれば、長年培われてきたチームプレイが相手さんの方が勝っていること。それに対するバン君達は機体性能と奇想天外の発想から生まれる作戦で勝負するしかないね……で・も♪ ボク、ちょっとお手洗いに行ってくるよ。監視は?」

 

「要らないだろう。お前は早くバトルがしたくてうずうずしているようだからな、態々監視がなくとも戻ってくるだろう」

 

「アッハハ!!よく分かってるじゃん」

 

 

ケラケラと笑いながらレイは部屋を出てトイレに向かう。

 

 

「勝負は公平に行かなきゃね♪実力差っていうハンデがあるから、せめて彼らの本気は見ないでおこっと。アッハハ!!ボクやっさし〜」

 

 

独り言を言いながらスキップでトイレに向かったレイは、偶然か計ったのか、バン達のバトルが終わる直前に部屋に帰ってきたのだった。

 

 

「さぁ……遊ぼうかトロイ。ボク達は全てをなぎ倒して世界一をとるよ」

 

 

レイには目の前のトロイの単眼が光ったように思えた。

一回の戦闘シーンは長い?

  • 長い
  • 短い
  • ちょうど良い
  • もっと細かく描写して欲しい
  • トロイ弱体はよ
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