サイコをスキャニングされちゃう被験者です♪   作:ゼノアplus+

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魔術師VS……

11話

 

 

Dブロックは2回戦に突入。レイは弾薬の補充もメンテナンスもすることなく再びステージに立った。相手は【インペリアルソルジャー】というチームだが、2回戦は1対1なので特に関係ない。

 

 

『それでは、Dブロック2回戦を始めます!!各プレイヤー、レディ!!』

 

「トロイ!!」

 

「ブルド改」

 

 

今回は【平原】ステージ。見晴らしのいい丘があるためトロイがそのポジションを取れれば圧倒的に有利だ。

 

 

『バトルスタート!!』

 

 

「突撃だブルド改ッ!!」

 

 

相手はブルド改を使うようだ。武装は、右腕に『スパイクランス』、左手に大型の盾『モノリスシールド』を装備している。開始からトロイに突っ込んでくることから、相手のバトルスタイルはどうやら大型の盾でLBXを守り、ブルド改の4輪の機動力で突撃しその勢いを利用して貫通力の高い槍での一撃を叩き込む、というもののようだ。

 

レイの1回戦を知らないわけでは無いはずだが、おそらくモノリスシールドの守りを破れるわけがないと思っているのだろう……しかしその考えは甘かった。

 

 

「トロイ、斉射♪」

 

「はっ!!そんな攻撃でこのブルド改の防御を破れるわけがないだろう」

 

 

ポチッとレイがボタンを押すだけでトロイの両腕がブルド改を捉え、デスバレルの1マガジン合計120発の弾丸の嵐が吹き荒れた。

 

 

「なななな……なにぃ!?」

 

「アッハハ!!穴だらけだね」

 

 

デスバレルから放たれた弾丸は漏れなくモノリスシールドに突き刺さり……貫通してブルド改の全身を穴だらけにした。運が良かったのか、爆発することなくただのブレイクオーバーに止まっている。おそらくモノリスシールドを貫通する過程で威力が下がったのだろう。

 

 

『ば、バトル終了!!レイ選手、武器腕による冷静な射撃でブルド改の強固な盾を撃ち破り勝利しました!!3回戦進出です!!』

 

 

MCがレイ達のステージのバトル終了を宣言し、会場が歓声に包まれた。

 

 

「……つまんなーい」

 

 

相手選手に聞こえないようにボソッと呟いたレイは、無表情でステージを降りていった。

 

 

 

 

控え室に戻ったレイは、一回戦の後には行わなかった弾薬の補充を行った。そして控え室のモニターを画面に移すと、ちょうど箱の中の魔術師こと仙道ダイキが対戦相手に勝利を収めていた。

 

 

「お〜、じゃあ次のボクの相手は魔術師君か。アッハハ!!てこずりそうだね、これは」

 

 

てこずりそう、で負ける、とは言っていないレイだが、もう興味はないとばかりに他のバトルを映した。ビビンバードXという羽とクチバシがついた鳥のような赤い機体ポーズを決めているようだ。

 

 

「ユジン……オタクロスの弟子?なまじ実力があるから長引きそうだねぇ。まぁ……ヒーローの口上中は攻撃しちゃいけないなんていうルールもないし?アッハハ!!……悪の本気を見せてあげよう」

 

 

文字だと伝わり辛いがとんでもなく悪い顔をしている。それはもう……いつの時代かの『お主も悪よのう』とか言っている偉い人のような顔だ。とてもアニメで放送できない。

 

 

『Dブロック3回戦を始めます。出場選手はステージへお集まりください』

 

「トロイのデータは?」

 

「十分だ。トロイのデータは、な」

 

「了解」

 

 

少し会話した後、レイは席を立った。

 

 

 

 

ステージに到着した時にはすでに対戦相手の仙道ダイキチームがジオラマの前に立っていた。

 

 

「やぁやぁ、キミが箱の中の魔術師君だね。アングラビシダスは見てたよ」

 

「あぁ?……お前が俺のジョーカーの3体同時攻撃を目視で見抜いたっていう女か。LBXの性能差で押し切っただけで先輩風を吹かされてもなぁ?」

 

 

やけに仙道がレイを煽る。ダイキのチームメイトもヘッヘと笑っているようだ。

 

 

「アッハハ!!キミ相手じゃ性能だけで戦えそうにないから今回は真面目に行くさ。だからボクの期待に応えてよね」

 

「ちっ……舐めやがって。ジョーカーMk -2!!」

 

「「オルテガ!!」

 

 

いつに間にかMCが宣言していたようだ。少し慌ててレイもアタッシュケースからトロイを取り出した。

 

 

「いっくよ、トロイ!!」

 

「「アヌビス投下」」

 

 

6機のLBXが揃った。赤くペイントされ新たに改造されたであろうジョーカーは鎌型の『ジョーカーズソウル』を、

他の2機のオルテガは共に基本装備の『ギガントアックス』を装備している。全員がハンマー系武器だ。

 

アヌビス2機はどちらも『コマンドハンドガン』の二丁拳銃スタイルだ。

 

 

『バトルスタート!!』

 

 

開始の宣言と同時にアヌビス達が後ろへ下がった。戦う気はないという意思表示のつもりだ。

 

 

「俺がトロイを相手する。お前らは黒いのをやれ」

 

「「おう!!」

 

 

仙道の言葉にチームメイトの2人が元気よく返しCCMを操作し始めた。

 

 

「む?……どうするの?」

 

「知らん」

 

「巻き込んでいい?」

 

「ああ。トロイのデータはすでにPCに移している。もうアヌビスは用済みだ」

 

「冷たいねぇ……了解」

 

 

オルテガ2機がそんなアヌビスを見て突っ込んでいく。トロイはそちらに行こうとしたが、駆けて来たジョーカーが3体に分身してトロイの道を塞いだ。

 

 

「おお!!本当に分身出来るようになったの?アングラビシダスの時もそうすれば良かったのに」

 

「無駄口を叩いていていいのか?……タワーの正位置。その傲慢さでお仲間が倒されるなぁ?」

 

 

CCMを操作していない左手でタロットカードを取り出したダイキはさらにレイを煽る。

 

 

「アッハハ!!ボクは別に元々随伴機なんて必要ないのさ」

 

「なに?」

 

 

仙道が疑問の声を上げた時トロイの両腕が、アヌビスへ駆けているオルテガ達の方へ向いた。

 

 

「俺を無視するなっ!!」

 

 

それにキレたのか仙道が分身を含めた3体で同時にトロイに詰め寄りジョーカーズソウルを下段から振り上げた。どれが本物か分からない攻撃が3方向から迫るが……

 

 

「甘いねぇ」

 

「なにッ!?」

 

 

レイは本物のジョーカーを見極めその攻撃を躱した。ジョーカーズソウルを振り上げて隙が生まれたジョーカーを放っておいてトロイはデスバレルを回転させ銃撃を行った。

 

 

「「ッ!!必殺ファンクション!!」」

 

『『アタックファンクション ジェットハンマー』』

 

 

しかし、オルテガを操る2人もアルテミスに出場するだけあってその実力は高い。トロイの銃撃がオルテガを貫通する直前に、ギガントアックスを装備している時に使用できる固有技のジェットハンマーを発動。ギガントアックスに取り付けられたブースターが点火し、オルテガを上空へと連れて行った。それによりトロイの銃弾を躱しながら、アヌビスに向かって回転攻撃をした。

 

 

『アヌビス2機、ブレイクオーバー!!トロイの恐るべきガトリングを必殺ファンクションで上手く回避しながらレイチームのLBX2体を倒しました!!』

 

 

それだけではない。オルテガ2機は真っ直ぐアヌビス達へ向かっていた。つまりトロイから見ればオルテガとアヌビスは直線上……しかも両腕それぞれに、だ。躱された銃弾はそのままアヌビスを貫き、その上オルテガの必殺ファンクションを食らい爆発したのだ。これで戦況は3対1、数ではレイが不利になった。

 

 

「お前……最初から分かっていて……」

 

「うん。そうだけど、それがどうかした?」

 

 

仙道は、アヌビスがトロイの射線上を見抜いたようだ。それに少し呆気に取られながらレイを見た。しかしレイはそのことを当たり前かのように返した。本当になんとも思っていないようだった。

 

オルテガ2機がジョーカーの左右に戻りギガントアックスを構え直した。

 

 

「このままアイツも倒してやる!!」

 

「覚悟しろ!!」

 

 

ジョーカーズソウルを肩に担いだままのジョーカーを無視して、オルテガは次にトロイに向かって走りだした。

 

 

「待てッ!!……もう遅いか。まあいい」

 

 

仙道が一瞬2人に静止をかけるが、時すでに遅し。

 

 

「アッハハ!!良い気合だね。でもキミ達、ボクが近接戦出来ないって思ってたでしょ。トロイ!!」

 

 

レイの掛け声に合わせてトロイの単眼が光った。そしてトロイは向かってくるオルテガに向けて走り出した。

 

 

「「なにっ!?」」

 

 

デスバレルしか武装がないトロイに接近戦の方が有利だと思っていた2人は、トロイが敢えて近づいてきたことに驚いた。

 

その隙を見逃すレイではない。

 

 

「アッハハ!!……必殺ファンクション」

 

『アタックファンクション 地獄乱舞』

 

「ゴートゥーヘル……ってね♪」

 

 

トロイは素早い動きでオルテガ2機に近づき、両腕の銃身でボディに向けてアッパー。上空に吹っ飛ばされたオルテガ達は、それに続くようにジャンプしたトロイの硬い銃身による乱撃を抵抗出来ず受け続け、トドメの一撃とばかりに片腕ずつで頭から頭を砕かれ墜落し爆発した。

 

 

『………はっ!?オルテガ2機、ブレイクオーバー!!レイ選手、銃身でナックル系必殺ファンクションをオルテガに叩き込み完膚無きまでに叩き潰しました!!しかもトロイの腕に損傷はなさそうです!!これによりジョーカーとトロイの一騎打ちとなりました!!これは最後まで予想できない展開となって参りましたぁぁぁああああ!!』

 

 

目を疑うような光景に、観客もMCも唖然とし会場は無言だった。しかしすぐに回復したMCが状況を説明したところで、同じように戻ってきた観客が今までで最高の盛り上がりの歓声を上げた。

 

 

「アッハハ!!油断大敵、見た目で判断するからだよ♪」

 

「しくじりやがって……お前らは見てな。皇帝の逆位置だ、相手の僚機を倒して自信を持ちすぎたな」

 

「「くっ……」」

 

 

仙道が、ジ・エンペラーのようなイラストが描かれたタロットカードを引き悔しそうな表情の2人に追撃をかけた。仙道はすぐにCCMに視線を戻すとジョーカーのカメラでトロイをしっかりと見据えた。

 

 

「(近接用クローも無いのに殴打だと……ふざけているのかあのLBXは!!)……タワーの正位置……ふっ……俺が動揺しているだと?そんなことはあり得ないね!!」

 

「お、来るね〜。迎撃迎撃ぃ!!」

 

 

ジョーカーが武器を片手で構えながら突っ込んできた。レイはそれを確認し再び銃口をジョーカーに向け射撃を開始した。

 

 

「それはもう見たんだよぉ!!」

 

 

ジョーカーはまた3体に分身し、それぞれで銃弾を躱しながらさらにトロイに肉薄している。偶に銃弾がジョーカーの体を貫通しているがそれは分身。一瞬体がブレただけだ。

 

 

「うげっ……だからキミの相手は面倒なんだよ……」

 

 

一発も攻撃が当たらない仙道にレイが悪態をついたが、それでもトロイは銃撃を辞めない。そのまま銃撃を躱し続けたジョーカーはついにトロイの元にたどり着き、3体同時に上段から振り下ろした。しかしそれもまたトロイには避けられる。そして3体の姿が急に消えた。

 

 

「おや?どこに行ったのかな〜」

 

「くっ……(なぜ当たらないんだ。確実に奴の死角を捉えていたはず……)」

 

 

トロイは辺りを見渡しジョーカーを探すが見当たらない。【岩山】ステージなので岩陰に隠れやすく、素早い動きで敵を翻弄するジョーカーには格好のジオラマだと言えるだろう。

 

 

「………………そこっ!!」

 

「なぁっ!?」

 

 

レイが叫ぶにと同時にトロイがとある岩山に向かって突撃。その右腕を思いっきり岩に殴りつけ、その影に隠れていたジョーカーごと吹っ飛ばした。

 

 

「馬鹿なっ!!確実に隠れていたはず!!」

 

 

仙道が慌てふためいている。そして地面に一枚のタロットカードが落ちた。仙道は戦闘に集中して見えていないが、彼がカードを見たらそれはワンドのAの逆位置。その意味は『物事が完全に終了すること』だ。

 

 

「アッハハ!!キミは相手の死角ばかり狙う癖があるねぇ?3体同時攻撃の本命はいつもトロイのカメラ外からだったよ」

 

 

そう、ジョーカーが隠れていた場所はトロイの死角になっていた岩の裏手。仙道の癖を見切ったレイはいとも簡単にそれを見抜き岩ごとジョーカーに攻撃を加えたのだ。

 

 

「さぁて……次はボクの番だよ」

 

「ッ!!ジョーカー、うごk「遅いよ!!」なにっ!?」

 

 

レイの指が今までよりも早く動き始めた。それに対応したトロイは急激に加速してジョーカーの視界から消える。その様子は先程のジョーカーの素早さに近い。

 

刹那、トロイがジョーカーの後ろに現れた。

 

 

「くっ……ジョーカー!!…ッ!?」

 

 

ジョーカーはすぐに回避行動を取り距離を取る……が、避難した先にはすでにトロイが居た。

 

 

「さっきまでそこに居たはず……一体なにが……」

 

 

それから動き続けているジョーカーは、それでも移動先にトロイがいる、動く、トロイがいる、を繰り返し少しづつジョーカーの動きが悪くなっていった。レイがチラッと見上げれば、焦りまくって操作もうまくいっていない仙道の姿があった。

 

 

「そろそろ決めよう……必殺ファンクション」

 

『アタックファンクション 光速拳・一閃』

 

 

いつのまにかジョーカーの目の前に居たトロイは輝き出した右腕を少し後ろに引いて構えると、一瞬でジョーカーの後ろに移動……その腕は前に突き出していた。トロイが右腕を振り払うと、ボディパーツに大きな穴が空いたジョーカーが爆発した。光の速さでジョーカーを貫いたのだ。

 

 

『ジョーカーMk -2、ブレイクオーバーァァアア!!強い、強いぞレイ選手!!今まで見せてこなかった銃身での乱舞!!相手の動きを読んでの位置どり!!無慈悲なまでの必殺ファンクション!!圧倒的だぁぁぁあああああ!!Dブロック決勝戦、進出です!!』

 

 

MCの声に続くようにCCMを持つ右手を天に突き上げたレイ。まさに勝者の佇まいだ。

 

 

「「「「「「わぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」」」」」」

 

 

それに呼応するように会場から歓声が上がった。レイのバトルはそれほどまでに観客の心を躍らせたらしい。

 

 

「ば……かな……この俺が……負けた……?」

 

 

仙道は目を見開き、CCMを強く握りしめながら爆発したジョーカーの破片を見つめている。未だに自分の敗北を認め切れていないようだ。

 

 

「アッハハ!!良いバトルだったよ。えっと……仙道君だっけ?ありがとうね〜」

 

 

レイは仙道に声をかけるが聞こえていない様子だ。仕方ないな〜と呟きながらトロイを回収している。

 

 

「クソッ……覚えていろ!!」

 

 

再起動した仙道は小物のようなセリフを吐きながら、チーム全員でステージを去って行った。

 

 

『タイタン、ブレイクオーバー!!ユジン選手、相手を寄せ付けない正確な射撃でDブロック決勝戦進出を決めました!!』

 

「やりました……師匠ッ!!」

 

 

謎の赤い仮面を被り、赤いジャージを着たユジンことオタレッド、又の名をオタクロスの弟子、は勝利のポーズを決めながら師匠という人物に向かって叫んでいる。会場にいるのかどうかは分からないが。

 

 

「アッハハ!!あの人が決勝戦の相手か〜。バトルをちゃんと見てないから何してくるのか分からないな〜……まいっか。仙道君よりは弱いでしょ」

 

 

レイはユジンを見ながら呟くと、男達を連れてステージを降りて行った。15分後の決勝戦に備えてメンテナンスを行うのだ。

 

 

「2号、落ち着いてバトルをしろ。気分の高揚のしすぎで脳波が乱れている。続けばサイコスキャニングモード発動に支障が出る可能性がある」

 

「およ?そんなに昂ってたか〜。うん、次の試合までにはなんとかするよボクって鎮静剤も効果がないんだっけ?(ちゃんと見てたかいバン君?使用するファンクションはこの2つだよ)」

 

「ああ、ない。原因は不明だがな」

 

 

会話しながら、レイはバン達が座っている観客席を見つめ……バンと目があった。レイが悪い笑い方をすると、バンが眉間にシワを寄せながらレイを見た。

 

 

(その闘志に満ちた目……あぁ、やっぱりキミとジン君、そしてユウヤ君が、ボクとトロイを引き立たせてくれるんだね……アッハハ!!)

 

 

少し見つめあった後、レイが先に視線を逸らし通路へと消えて行った。




「……マジか〜」


ボソッと呟いたレイの視線の先には、布や工具が散乱した机に上に鎮座するトロイがある。レイはトロイを手に取り脚部のアーマーフレームを外している。


「ちょっと傷がついてる……いつ?って言っても、魔術師君の分身攻撃だよねぇ」


外したパーツを布の上に置いてライトを当てた。仙道チームの攻撃は全て完璧に躱したと思っていたレイは、少し呆けている。余程ダメージを負ったのが予想外だったらしい。


「ええと……仙道ダイキ君だっけ?うん、覚えた。バン君達以外にも面白い人いるんだね。アッハハ!!どうせだしこの傷は残しとこっと。別にあっても問題ないし」


クスクスと笑いながら、レイはパーツを布で磨いてからトロイに付け直したのだった。


(あ、あのカード予備があったら貰えないかな?)

一回の戦闘シーンは長い?

  • 長い
  • 短い
  • ちょうど良い
  • もっと細かく描写して欲しい
  • トロイ弱体はよ
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