サイコをスキャニングされちゃう被験者です♪   作:ゼノアplus+

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 火種、業火トナリ黒炎へ至ル

16話

 

 

『楽しいぃ……楽しい……ああ……最高だッ!!』

 

 

1体のLBXに向かって攻撃を仕掛ける4体のLBX達。黄色いカラーリングが施されているLBXはいとも簡単にそれら全てをいなし、躱し、時に反撃する。LBXを操るプレイヤーの声音はまるで感極まっているようであり心のそこからバトルを楽しんでいるような印象を覚える。無論、無骨なヘルメットや、それから両手に伸びるコードが無ければ……だが。

 

そう、これはアルテミス決勝戦の録画映像。それを見ているのは、初出場ながらもファイナルステージまで勝ち上がり見事優勝を果たした山野バン、川村アミ、青島カズヤ。彼らはアルテミス終了後、イノベーターに奪われてしまったプラチナカプセルをどうにか取り戻せないかとキタジマでイノベーター関連の事を調べているのだ。

 

 

「……相変わらず、レイって嬉しそうにバトルをするわよね」

 

「ああ……それがレイの強さなのかもしれない」

 

「だからって、強すぎるだろ。灰原ユウヤと戦ってるときなんか、俺ビビっちまったよ」

 

「すごい迫力だったわね。まるでレイ自身が戦ってたみたい」

 

 

イノベーター関連の事を調べている……はず、なのだが……どういうわけか反省会のようになっている。

 

アミファンとカズヤファンには申し訳ないが、ファイナルステージ中に2人にセリフがなかったのは単にバトル描写に精一杯だったという作者の力量不足である。(誠に申し訳ない)

 

 

「そういえば……ジャッジがアキレスみたいに光ってたのって、Vモードのようなものよね?」

 

「うーん……分からないけど多分そうだと思う。レイのトロイも同じ色になって性能が上がってたから、同じなのかなぁ……」

 

 

サイコスキャニングモードの事を言っているが、彼らはユウヤとレイでのサイコスキャニングモード使用時の差を思い出して測り損ねているようだ。

 

 

「ねぇバン……もし、もしよ?アルテミスの時みたいに海道ジンと組んだら……レイに勝てる?」

 

「ッ……それは……」

 

 

アミの不安そうな質問に、バンは顔を俯かせた。アミとカズヤにはそれだけで十分な答えとなった。

 

 

「イノベーター関係なく、レイはバトルを楽しんでた。だったら……なんでレイがイノベーターなんかにいるんだろう?」

 

「里奈さんみたいに弱みを握られてるかもしれないわね」

 

「だったら!!」

 

 

カズヤが感情のままに立ち上がる。バンとアミがカズヤを見上げるがカズヤは落ち着いた様子で言った。

 

 

「だったら……助けないと……ダメだよな」

 

 

頭を掻き、目を逸らしながらカズヤは2人の視線に答える。

 

 

「うん」

 

「そうね」

 

 

3人は意志のこもった目でお互いの顔を見合わせた。中学生にもかかわらずイノベーターと戦ってきた闘志は伊達ではないようだ。

 

 

「そのためにも、アキレスを早く直さなきゃね!!」

 

「拓也さんが任せてくれって言ってたけど、どうするんだろうな?」

 

「拓也さんが自信満々に言ってたからきっと大丈夫だよ!!」

 

 

そして、特になんの情報も得られないままその日は解散となった。ただ何も起こらなかったわけではなく、檜山からバンへと連絡がありプラチナカプセルを受け取った、という出来事があった。

 

 

 

 

〜翌日〜

 

 

 

「拓也さん、いったいどこに向かってるんですか?」

 

「タイニー・オービット社だ。アキレスの修理を頼んである。腕は俺が保証する。安心しろ」

 

 

バン達は新たな決意をした翌日、拓也の連絡を受け彼の運転する車に乗り込みTO社までの道のりを走っていた。ちなみに現在は高速道路である。そんな中……

 

 

「ッ!!……囲まれたぞ」

 

「まさか、これって」

 

「イノベーター……!!」

 

 

4台の大型トラックが拓也の運転する車を四方から囲んだ。

 

 

「「「「なッ!?」」」」

 

 

そしてトラックの天井に現れる大量の赤い一つ目……デクーエースだ。その全てが武器を所持していてとても穏やかな雰囲気ではない。さらにその内の一機が車両のボンネットへと飛び出し細長い棒を突き刺した。

 

 

「カズ、戦うわよ!!」

 

「ああ……ッ、窓が開かない!?」

 

「なに?……なっ、運転ができない!!」

 

 

それもそのはず、デクーエースが突き刺した棒はその機能によって車の操作系統を奪ったのだ。こうなれば拓也は何もできない。前方のトラックの荷台部分が開き、車が一台分収納されるスペースに自動で操られるだけとなった。窓からLBXを出して戦闘しようとしていたカズとアミもこれでは無力だ。そして、制御された自動車が荷台に入っていこうとして……閃光が駆けた。

 

 

「な、なにが……?」

 

「バン、カズ、あれ見て!!」

 

「ッ……あの時の白いLBX!!」

 

 

トラックの上ででガトリングガンを構えていたデクーエース達を猛スピードで切り裂いていく白いLBX。エンジェルスターに潜入した時にもいたアイツ、である。白いLBXは拓也の車に飛び移ると、制御端末の棒を刺していたデクーエースを瞬殺。コントロールを奪い返した。

 

 

「行くわよカズ!!」

 

「おう!!」

 

 

それを確認した2人は迷わず窓を開けてクノイチとハンターをトラックの上に立たせた。

 

 

「はぁっ!!」

 

「おらぁ!!」

 

 

クノイチと白いLBXが猛スピードで近づき敵を乱舞のように切り裂く。ハンターは近距離ながらもスナイパーライフルを巧みに使い一体ずつ敵を処理している。数の上では不利ながらも、大きなダメージを負うことなく戦えている。

 

 

「アミ、コイツら無人機じゃないのか!?」

 

「知らないわよ……でも、無人機にしては強過ぎるわね……」

 

 

何故か分からないが時間が経てば経つほどデクーエースの動きに磨きがかかっている。それを感じ取った2人だがやることは変わらない。車に被害を及ぼさないようにがむしゃらに戦っている。白いLBXの挙動にアミが不信感を抱きながらもクノイチを操作しているが、白いLBX見た一瞬を突き一体のデクーエースがヒートブレイズを構えて突撃してきた。

 

 

「あっ、クノイチ!!」

 

「クソッ、間に合わねぇ!!」

 

 

すでにクノイチの反応速度が間に合わない位置までデクーエースが近づきヒートブレイズを叩きつけようとしている。カズヤもなんとかクノイチを助けようとスナイパーライフルをそちらへ向けるが、連携が取れているかのような動きを見せる他のデクーエースがその射線を塞いだ。白いLBXもそれに気付いてはいるが自分を囲むデクーエース達によって助けに行けない。まさに八方塞がり。

 

 

「クノイチ!!」

 

 

やられる……そうアミが思った瞬間、デクーエースの頭を何かが貫いた。

 

 

「え……ッ!!」

 

 

目を見開いて驚いたアミだが、状況が状況なのですぐに頭を切り替えて脱出。周りのデクーエースを一掃した。

 

そのまま戦い続け全てのデクーエースを殲滅した頃、白いLBXが、拓也の運転する車の前方のトラックに飛び移り武器を突き刺した。するとトラックが自動で道を開けた。

 

 

「LBXを回収しろ、抜けるぞ!!」

 

「「はいッ!!」」

 

 

拓也は一気にスピードを上げトラックを置いて逃げる。アミは白いLBXのことが気がかりで、白いLBXが乗ったままのトラックを眺めていた。

 

 

(さっきの銃弾は……なに?)

 

 

 

 

 

〜真崎〜

 

 

 

 

「たくっ……手間かけさせやがって」

 

 

高速道路を見下ろせる高いビルの一室、1人の男が椅子に座ってCCMを操作していた。

 

 

「レイの奴迎えに行かないとな……はぁ、俺にも休みが欲しい。八神さんに頼んだら1日くらいくれんかねぇ……」

 

 

欠伸をしながら独り言を呟く男……真崎は、4台のトラックから逃げる一台の車を眺めている。

 

 

「病み上がりのレイを使いやがって……アイツは機械じゃねんだよ加納。さて、帰るか」

 

 

CCMを操作して掌にLBXを着地させた。その機体はアサシンの標準武装であるエグゼキューショナーを装備していた。

 

 

「……楽しそうだなお前」

 

 

通常のLBXよりも一回り大きく、何よりその大きなテイルパーツが目立つ怪物の様な黒いLBXを見つめて呟いた真崎だがその口元は笑っている。

 

 

「これからもっと楽しいぜ相棒」

 

 

そう言ってLBXを専用のケースに戻すと、真崎は部屋を後にした。

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