サイコをスキャニングされちゃう被験者です♪   作:ゼノアplus+

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「ああそういえばダイキ君、キヨカちゃん良い子だね」

「あぁ!?なんでお前が妹の名前を知っている!!ことと次第によっては……」

「アキハバラキングダムの観戦で迷子になってたんだよ、キヨカちゃん」

「なにっ!?キヨカの奴……来なくて良いと言ったのにな……」

「最後はお母さんが迎えに来てくれたんだけどね〜。良いお兄ちゃんしてるんだねダイキ君」

「黙ってろ。それよりもだ、俺とバトルしろ。アルテミスの借りを返してやる」

「アッハハ!!その息や良し!!バトルしてあげるよ。ビャッコッ!!」

「ナイトメアッ!!」


結果だけ言えば、レイが30秒でボコボコにした。初手からサイコスキャニングモードも使ったらしい。


新たなる戦友

24話

 

 

「ふぁ〜……ねむ」

 

「ちょっとレイ、緊張感が無さすぎるわよ」

 

「……誰かさん達がボコボコに負けたせいで、LBXのメンテナンスの手伝いがボクにまで回ってきたんだけど……誰が知らないかなぁ〜」

 

「「うっ…………」」

 

「パンドラ、フェンリル、ハカイオー絶斗、ナイトメア。どれも一点物で弄りがいがあったけど……知ってる?キミ達の機体って結構繊細な作りがしてあってメンテナンスにも一苦労するんだ。

 

パンドラは細身で高機動ばっかりだから各関節部の疲労が凄いし、

 

フェンリルは膝裏がイカれてたねぇ……狙撃銃を撃つ時に無理な体勢を取ったんだね。

 

ハカイオー絶斗は超我王砲?の掃除が大変だった。1発ごとの燃費が悪いし、あれ欠陥じゃないの?

 

ナイトメアは本体は問題無かったけど武器だね。あのハンマー、デザイン重視のせいか耐久性に難ありだったんだけど……まあカッコいいからいいや。

 

……あれ、なんでアミちゃんとカズヤ君は目を逸らすのかな?教えて欲しいな?」

 

「「すいませんでした、以後気を付けます!!」」

 

 

現在、人が全く来ない様な山道を車で移動している。イノベーター研究所へと向かっているのだ。レイと檜山がバトルをした翌日に発射されることになったミサイルの発射阻止のため、レイは半徹した眠気を抱えたまま作戦に加わった。

 

車に乗っているのは拓也、里奈、バン、アミ、カズヤ、ジン、レイの7人。大きめのワゴン車だ。レイにしては珍しくLBXの事を喋っているのに声音に怒気が感じられる。

 

 

「ジン君はバッチリ、流石だね」

 

「自分のLBXは自分で修理する。当たり前だ」

 

「「ううっ!!」」

 

「片腕切られたって聞いてたけど?」

 

「予備パーツはサイバーランスからもらっている」

 

 

皮肉の聞いたジンの言葉に笑顔でうなずくレイ。アミとカズヤは唸っている。

 

 

「あ、オーディーンは最悪だったよ」

 

「え!?」

 

「キミさぁ……昨日神谷に殴り込みに行ったらしいけど、引きこもってた1週間機体に触ってなかったでしょ?ホコリついてたし、なんか無理に掴んだ様な跡があったし」

 

「ギクッ!!」

 

「オーディーンが飛行形態にもなれる可変機って自覚ある?変形ができるってことはそのコアスケルトンは他に類を見ない超特殊な形状、構造をしているんだ。少しの整備不良で機体が爆発する危険性だってある。普段からもっと機体のことを「もう着くぞ」……まあ帰ってからにしてあげるよ」

 

 

思いの外ボロクソに言われたバンだが、拓也の一言で救われた。しかし、バンは引きこもっている途中ジンの訪問でオーディーンを投げようとした事があり、それがレイにバレたらしい。

 

 

「全く……まあゼノン以外の機体データは粗方貰ったからこれくらいで許してあげる。流石にゼノンを作る様なサイバーランスは敵にしたく無いから貰わなかったけど」

 

「お前もやることやってんじゃねえか!?」

 

 

なかなかエグい事をしていたレイにカズヤがキレた。悪の組織に殴り込みを仕掛けに行く雰囲気では無い。

 

そのまま車が止まり、目的地に着いた7人は下車し湖の元までやってきた。

 

 

「ああ、ボクは途中から別行動するからね」

 

「何?そんな話は聞いていないぞ」

 

「アッハハ!!言ってないもん♪」

 

 

笑顔でそう言うレイに拓也の眉間が寄る。

 

 

「ここってさぁ、ボクが10年?くらい住んでた場所なんだよね」

 

「「「「「ッ!!」」」」」

 

「最後くらいボクの部屋に帰ってあげようかなって。()()()を取りに行きたいし」

 

「……分かった。道は分かるか?」

 

「10年も住んでたんだ。分かるよ」

 

 

レイはひらひらと手を振り、一人で湖へと歩いていった。

 

 

「おいレイ、そこは水が……ってえぇ!?」

 

「ただのホログラムだから大丈夫だよ〜」

 

 

湖は全てがホログラム、故に使ったとしても何の問題も無い。驚くカズヤを背にレイはさらに進む。

 

 

研究所内部へと入りエレベーターで地下へ、そして変哲もない廊下を慣れたように歩き続けた。

 

 

「ここは実験室、あんな電撃を喰らってボクってよく生きてたよね」

 

「ここは治療室、薬が効かないって分かるまでずっと投薬されてたっけ」

 

「ここはバトルルーム。デクー達のデータ取りに、よくユウヤ君とバトルしたなぁ……」

 

 

歩いていくうちに通り過ぎる見慣れた扉。全てがレイの記憶にある。そうして次に見つけたのが、黒焦げになった扉と廊下の一部だ。

 

 

「アッハハッ!!ここ、開発室。真崎さんとここから出るときに爆破したんだっけ。あの時の加納、どんな表情してたのかなぁ……」

 

 

腰に下げた1つのケースを触りながら、レイは感慨深く呟いた。ケースの中身は、バンの新装備『ビームガーダー』と共に結城より受領した一体の新しいLBXだ。

 

 

「……ただいま」

 

 

強固な檻がついた、トイレとベッド、簡易的な鏡と机しかない無骨な部屋……レイの部屋だ。

 

 

「ああ、相変わらずこのベッドは硬いなぁ……あはは、なんか懐かしいや。あの頃は時間の感覚だって無かったのに」

 

 

誰もいないせいかロックのかかっていない扉を開け、ベッドに腰かけたレイ。ベッドを触りながら思い出に浸る。

 

 

「10年間……お世話になりました。もう、戻る事はないから……本当にありがとう……ありがとう!!」

 

 

立ち上がり部屋を出たレイは、扉に向き直り元気よくお礼を言った。

 

 

「感動の再会は終わったか不良品」

 

「ッ!!」

 

 

背後から聞こえてくる馴染みのある声。

 

 

「加納ッ!!」

 

 

ニヤリと笑うのは白の部隊隊長にして、この10年間レイとユウヤを弄り回してきた張本人、加納だ。

 

 

「ネズミが研究所内をうろついていると思ったら、ククク、貴様だったとはな。大方シーカーと共にサターンを止めに来たのだろう?」

 

 

余裕ぶった笑みを崩さず、レイを見下している。

 

 

「アッハハ!!そんなわけないじゃないか」

 

「なに?」

 

「この10年間お世話になったのは、この部屋だけじゃ無いからねぇ……お礼に来ただけさ」

 

「ふっ……ははははははッ!!貴様が?…………笑わせるなゴミクズが!!貴様のせいで何体の新型が開発中止になったと思っている!?」

 

「知った事じゃ無いね。それよりも、お前はここで終わりだよ」

 

「はっ!!そうだ、貴様がここを去ってからの私の研究成果を見せてやろう」

 

「研究成果……?」

 

 

喜怒哀楽の変化が激しい加納が最後に自信ありげにレイに言った。そして加納が右腕を上げると、後ろから一人の少女が現れた。

 

 

「…………」

 

「女の子?……ッ!!そのスーツは!?」

 

 

見た目的には仙道キヨカと同じくらいだろうか、小学生程の身長の女の子が以前デザイン変更を求めたCCMスーツを着て虚空を見ている。

 

 

「お前……お前は!!ボクやユウヤ君じゃ飽き足らず……また人を薬漬けにしたのか!?」

 

「そうだ。私は貴様と言う完成品のデータを使い、完成されたサイコスキャニングモードを搭載した量産品を仕上げた。どうだ?10年も手間をかけた貴様などもういらん。ここには1ヶ月程度で量産化に成功した()()の完成品だ!!」

 

「この、外道がッ!!」

 

「なんとでも言うがいい!!海道先生の計画が完了した暁には、エターナルサイクラーを使っての世界征服など容易い。しかしその後は?貴様らシーカーのように歯向かう愚か者共を始末するための最強の兵士ッ!!()()こそがその第一号ッ!!」

 

 

両腕を開き、勝ち誇ったように叫ぶ加納だが、少女は何も言わない。

 

 

「……さない……」

 

「なんだ?」

 

「……お前だけは、許さないッ!!」

 

 

今までに類を見ない程顔を歪めたレイ。怒りに満ちたその目は加納を凝視している。そんな強烈な視線に少したじろいだのか、少しのけぞった加納は少女に指示を出す。

 

 

「やれ、あの不良品を倒し貴様の価値を海道先生に証明しろ」

 

「…………出撃」

 

「行くよ()()()()()、あの子を……救うッ!!」

 

 

加納により投げ込まれたDキューブ、火山ステージに投下された5()()()L()B()X()

 

 

「え……セイリュウ、ビャッコ、スザク、ゲンブ……どうして?」

 

 

レイの新しいLBXイプシロン。2度に渡って山野淳一郎より託された2枚の設計図をTO社の高度な施設で作成した、レイのための専用機。とある世界線で、バンの3機目の機体として製作されたことからその性能は折り紙付きだろう。

 

特徴としては、オレンジのフレームに青い塗装が施され、頭部に三叉鉾の様な3方向に伸びる角、そして何よりイニシャルである『E』が胸部で輝いている。

右手にはビームの刃の薙刀が両端に付いている槍系武器『イプシロングレイブ』、左手にはビームガーターと同じ原理で強化ダンボールを使用した強固なシールド『イプシロンガーダー』を装備している。いや、ビームガーダーはイプシロンよりもたらされた技術で作られたと言っていいだろう。

 

 

対するは少女のLBX()。カラーチェンジされた四聖獣の4機全てが一人の少女によって操られている。

 

 

「これが、これこそが……四聖獣を超える新たなLBX、『四霊神』の姿だッ!!」

 

「四霊神ッ……」

 

 

カラー以外は形状、武器など何も変わっていない。しかし、レイは四霊神からの圧を感じているらしい。額から一粒汗が流れ落ちる。

 

レイと少女は互いに両腕を伸ばし空中ディスプレイを展開、直接的な操作を始めた。

 

 

「早く決めないと……あの子の命に関わる!!」

 

 

イプシロンが駆ける。マグマをジャンプで躱しながら四霊神へと近づく。

 

 

「なんて反応速度、スピード……操作感度だ……流石は師匠の作った機体……」

 

「やれ」

 

「…………」

 

 

四霊神がそれぞれ散らばった。セイリュウはイプシロンを正面から迎え撃ち、ビャッコが裏を取る。そしてスザクが中距離から銃を構え、ゲンブはセイリュウのすぐ後ろで両手銃を持って待機している。

 

 

「ッ……良い配置だけど、ボク相手には通じないよ」

 

 

セイリュウの横薙ぎをイプシロンガーダーで弾き、イプシロングレイブで腹部を切る。槍系武器だが薙刀でもあるこの武器は、両端に逆向きで刃があることでトリッキーな戦い方を可能とする。

 

 

「意外と硬いッ!?」

 

「当たり前だ、四霊神は貴様が持ち去った四聖獣より遥かに強化している」

 

「そんなLBXを4機も使わせたら、この子の脳が持たないはずじゃ!?」

 

「それがどうした?」

 

「今なんて…イプシロンッ!!」

 

 

加納の言葉に気が逸れた一瞬の隙に、裏を取っていたビャッコの鉤爪がイプシロンの背中を襲う。レイはすぐイプシロンを復帰させ回し蹴りでビャッコを吹き飛ばした。しかし待っていたと言わんばかりにスザクからビームのマシンガンがイプシロンを襲うが盾でイプシロンは防ぎ切った。そして必殺の一撃がイプシロンを襲う。

 

 

「ヤバっ……避けて!!」

 

 

間一髪でイプシロンが地面を蹴り、横に飛ぶ。イプシロンがいた場所には5、6発の弾痕があり地面が破壊されていた。ゲンブのショットガン型両手銃『四霊神ゲンブ』だ。

 

 

「威力が高すぎる……なりふり構ってられないって事か」

 

 

精神状態がLBXの操作へと直結するこのバトル。加納の言葉と少女の事が気になっているレイと、薬漬けにされ加納の命令を聞くマシーンとなっている少女……どちらが優勢か言うまでもない。

 

 

「これは……マズいかも……」

 

 

 

 

少女を救う勇者は、まだ覚醒しない。




(強化)ダンボール(使う)戦機だからバン達よりマシなんだー(白目)
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