サイコをスキャニングされちゃう被験者です♪ 作:ゼノアplus+
25話
「必殺ファンクション!!」
『アタックファンクション クリムゾンスラッシュ』
炎を纏ったイプシロングレイブが四霊神を纏めて吹き飛ばす。いいところに入ったのか、少しよろけながら立ち上がる4機。
「くっ……」
実を言うと、バトルが始まってから2度目の『クリムゾンスラッシュ』なのだ。そのはずだがまだ立ち上がる四霊神に、焦りを加速させるレイ。脳波がブレてイプシロンにダイレクトに伝わっている。
「ごめんねイプシロン、ボクがしっかりしなくちゃいけないのに……キミを不安にさせちゃって……」
「チッ……何をしている!!たかがLBX一機、早く仕留めんか!!」
「…………ぅ」
加納の指示で少女が操作を加速させた。
「ッ!!……絶対助けるから!!」
小さく漏れた少女の呻き、それを耳にしたレイは焦りを振り切り意思を確固たるものにした。
「……右、上、正面……後ろ!!」
4体の攻撃を躱し、盾で防ぎ、槍で受け流す。安定した精神から行われる操作はイプシロンの本来の性能を引き出し、強化された四霊神を相手にしても一歩も譲らない。
「埒が明かない!!サイコスキャニングモードを使え!!」
「了解…………サイコスキャニングモード……あぅ!?」
『『『『サイコスキャニングモード』』』』
「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「なんて事を……!!」
薄い紫に輝く四霊神。少女は4機分の負荷を一身に背負いその苦痛で悶えている。
「こんな幼い子に4機分のサイコスキャニングモードを使わせるなんて……死んでしまう!!」
「それがどうした。1ヶ月でこの完成度……代わりなど幾らでも用意できるからなぁ!!」
「神にでもなったつもり?」
「神……神だと?ふははははは!!いいや、この世界の神には海道先生こそふさわしい!!私はその隣に立つ事ができればそれでいいのだ」
話が通じない、レイは歯軋りして淡く輝く四霊神を見据える。
刹那、ビャッコが消えた。
「ッ、はや!?」
気がつけば後ろに回り込んでいたビャッコにギリギリ対応したイプシロン、そこへ潜り込むゲンブの両手銃の殴打によって吹き飛んだ。
「くそっ……」
空中で体勢を立て直したイプシロンだが、スザクがマシンガンで追撃してきた。盾で防ぎ切るが威力が高く、空中であるため踏ん張る事が出来ずまたも体勢を崩してしまう。落下地点ではセイリュウが待機しており、そのまま落ちれば斬られるだろうことが目に見えている。
「いたい……いたぃよぅ……」
「…………イプシロン、サイコスキャニングモードッ!!」
『サイコスキャニングモード』
イプシロンがライトグリーンに輝く。
(ユウヤ君の時みたいに……また共鳴があるかと思ったけど、これならなんとかなりそうだ)
「ほう?そのLBXでも使えたか。しかしそれも今や旧式、改良した私のサイコスキャニングモードには劣る代物だぁ!!」
「うるさい!!」
(マグマに落とせば……ダメージはなくとも動きは鈍くなるはず)
セイリュウが落下してくるイプシロンに合わせ剣を突き出す。イプシロンは空中で体を捻りセイリュウの横に着地すると、盾でセイリュウを突き飛ばしマグマ溜まりへと突き落とした。
「まず一機ッ!!」
イプシロンはオーラが尾を引くほどのスピードでゲンブへと近づくとイプシロングレイブで左腕を切断、蹴り飛ばし火山より流れるマグマに放り込む。
「次はスザク」
先ほどから何度もマシンガンでこちらを牽制しようとするスザクは後退しながらイプシロンに射撃を続けるが、性能差には勝てず接近を許し足を切断され動きを止められた。
「最後」
不用意に近づいてきたビャッコの攻撃を避けたイプシロンが素早く首、腹、腰に槍を打ち込み動きを制限した。
「バカなッ!?四霊神が……」
「こんなにこの子が苦しんでるのに……サイコスキャニングモードでさらに苦痛を与えたりして……まともにLBXを操れるわけがないじゃないか!!1ヶ月で仕上げた?それがどうした、こっちは10年仕込みなんだよ加納。お前はここで終わらせる!!」
「終わらせるだと?ふざけるな、早く奴を仕留めろ」
「ぁ………ぅ……アァ!!」
少女が頭を押さえながらも、片腕を大きく振る。すると、マグマに落ちたはずのセイリュウとゲンブが復帰し、動けないスザクとビャッコの側に降り立つ。どちらも装甲は無事だが、コアスケルトンにマグマのダメージが入ったのか動きが鈍い。
「ボクが価値を示したデータのせいで、キミがこんな事になった……ボクの責任……キミを救うッ!!」
『ブレイバーモード 重複発動』
レイの宣言と共に、イプシロンのカメラアイが輝く。機体から白銀のオーラが溢れイプシロンを染め上げた。サイコスキャニングモードのオーラにブレイバーモードの輝きが混ざったその姿は神々しさすら感じさせる。
「こんなバトル、終わらせよう」
「くっ……やれ」
「アァァァァァ!!!!」
無理矢理四霊神を動かした少女は、足の無いスザク以外の3機をイプシロンに向かわせた。
「遅い」
気づけばイプシロングレイブがゲンブとビャッコの横腹に同時に刺さっている。そのまま二機は爆発した。
「なにが起こって!?」
「覚えておけ加納……ボクの名前は『レイ』、お前を潰すLBXは『イプシロン』だ!!必殺ファンクション!!」
『アタックファンクション グロリアスレイ』
突き出したイプシロングレイブにエネルギーが収束され白銀の槍となる。そのままジャンプしたイプシロンが槍を高く掲げるとさらにエネルギーを纏った。そしてイプシロンは槍を振るう。すると白銀のエネルギーが射出されセイリュウとスザクを襲った。
「回避しろ!!」
「アァ……あ……」
「なにをしている!?」
「チェックメイトだよ」
爆発。必殺ファンクションをもろに喰らった2機はなす術なくブレイクオーバーとなった。戦闘の終了した火山に立っているイプシロンは特殊モードを解除し、レイの手に戻った。Dキューブも元の形状に戻り、地面には四霊神の残骸のみが残っている。
「ば……かな……私の……技術の結晶が……」
顔を押さえうろたえる加納は、まだ敗北を信じられない様子だ。少女は敗北によって気絶し、地面に倒れている。その顔は何処か安心したようだ。
そしてレイはイプシロンをポーチに戻すと、加納へと近づいた。
「クソッ……クソ……!!ありえない!!この私の作品が負けるなど!!あってはならない……あってはならないんだ!!」
「いい加減認めろよ……お前の負けだ加納」
「不良品如きが……お前をそこまで強くしたのは誰だと思っているんだ!!」
レイが近づくたびに加納が下がる。
トンッ……
「ッ!?」
「逃げられない……逃がさない。お前だけは……ここで……殺す」
やがて、壁にぶつかった加納はレイの圧を恐れたのか座り込んだ。
「殺す……だと?ふん、たかが子供、それも10年も筋力を鍛えたことがない貴様に出来るわけが……なっ!?」
「出来るよ……文明の利器って便利だよね。こんなか弱い子供でも……人を殺せるんだから」
言葉の途中で驚く加納、それもそのはず。レイが取り出したのは『拳銃』だったからだ。
「どこで……それを……」
「親切などこかの伝説のLBXプレイヤーさんがくれたんだ。後で感想を聞かせろって言うお願いと一緒にね」
「ッ……」
チャキッ……と、銃口が加納へと持っていかれ加納は息を飲む。彼の一挙手一投足が命へと関わるからだ。
「10年……ああ10年だよ……ボクの事はこの際いいんだ。お前の言う通り、ボクはここまで成長出来た。
全力で加納に怒鳴るレイは、何を言っても止まらないように見える。
「私を殺すのか!?私の技術が失われる事は、世界の損失につながるのだぞ!!」
「人を改造して兵士に仕立て上げるような技術なんていらないね!!お前なんかが居るから、ユウヤ君はまだ目を覚さないんだ……こんなんじゃ……ボクはいつもみたいに笑っていられないんだよ。新しい世界とやらに、お前はいらない!!」
「人殺しだぞ!?私を殺せば、貴様は犯罪者として名を馳せる事になる。貴様のお熱なLBXも出来なくなるだろうなぁ!!」
「負け惜しみはよしなよ。お前が死んだ後の事なんて、その時考えるさ。今は、このどうしようもない気持ちを……お前にぶつけたくて仕方ないんだ。檜山さん……人は獣にあらず、人は神にあらず。でも、人を辞めたコイツは……獣以下だよね」
「くっ……」
何を言っても無駄と分かったのか、加納は唸るばかりで何も言わない、いや言えない。
「あぁ……冥土の土産?って言うんだっけ。ついでだから見せてあげるよ。これ、海道ジン君が海道せんせーと会話した時にスキャンしたんだって」
「海道先生を……これは!?」
レイは加納に拳銃を突き付けたまま、CCMに保存した画像をみせた。そこには、海道義光の写真が写っておりその骨格が金属の……アンドロイドである事実が映っていた
「嘘だッ!!では本物の海道先生はどこに居ると言うのだ!?」
「死んだよ。この拳銃で」
「なにぃ!?」
「本当かは知らないけど、そうじゃないと檜山さんが拳銃なんか持ってるわけないし……嬉しいでしょ。憧れの神様が死んだ武器で死ねるんだから。まぁ、ボクもこんなんじゃ獣以下さ。一緒に地獄に落ちようぜ」
レイの顔に慈悲はない。加納の命は風前の灯のようだ。
「遺言?を聞いてあげるよ」
「…………海道先生、万歳ッ!!」
「……可哀想な人。さよなら、死ね」
そして、銃声が響き少女の服を血で染め上げた。
「アッハハ♪……アッハハハハハハハハハッ!!!!」
ダンボール戦機って子ども向けアニメだけど闇深いですよね。今作は深夜アニメだと思ってお楽しみください。