サイコをスキャニングされちゃう被験者です♪   作:ゼノアplus+

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卒業式終わったァァァァアアアア!!!!私は自由ダァァァァァ!!!!


真実

26話

 

 

時は、レイが少女とバトルをしている頃まで遡る。

 

 

「さっきのフェアリー、防衛に回せるほど量産されているなんてね」

 

「ああ、しかもあの強さ……早く対処しないとまずいな……」

 

 

司令室を目指しているバン達一行では、少し前に現れたAXシリーズのフェアリーについて話していた。

 

 

「そういえば、レイってこんなところで10年も過ごしてたのよね。一体何をしてたのかしら?」

 

「「「!!」」」

 

 

アミのふとした疑問を聞いたジン、拓也、里奈に動揺が走る。ここまでイノベーターと戦ってきたことで普通の子供よりは成熟しているとはいえ、中学一年生に聞かせるような話ではない。

 

 

「ジンはイノベーターに居たんだろ?なんか知ってるんじゃねえか」

 

「…………僕からは話せない。彼女から聞いたほうがいい」

 

「なんでだよー」

 

 

カズヤがジンに聞くが、ジンは少し冷や汗を掻きながら目を逸らした。

 

 

「拓也さん、レイってジンでも話せないような生活だったんですか?」

 

「……あぁ、ありえない……いやあってはならないような生活だ」

 

 

バン達は少し不満そうにしながらも、虎の尾を踏むのは気がひけるのかそれ以上聞く事はなかった。

 

 

「ひとつだけ、言えることがある」

 

「ジン、それは……?」

 

 

少し気まずくなった雰囲気の中でジンが口を開いた。

 

 

「彼女はあの生活を一部、楽しんでいた。LBXがあったからだ。それを後悔したりしないだろう」

 

「「「………」」」

 

 

ジンがそう言うと同時に、彼らは司令室へと到着した。

 

 

「誰もいないようだな」

 

「すぐサターンのコントロールに介入しましょう」

 

 

拓也と里奈が司令室からプログラムを流し込みサターンを止めようとする。しかし……

 

 

『SYSTEM LOCK』

 

「どう言うことだ……?」

 

 

モニター全てが接続できず、謎の状況に陥った。司令室の出入口となる扉も完全にロックされてしまい閉じ込められてしまう。

 

どうにかしようと色々な手段を試すがどれも無駄。そうこうしているうちに、正面の最も大きなスクリーンに檜山の姿が映る。

 

 

『気に入ってもらえたかな?』

 

「レックス!?」

 

『俺からの細やかなプレゼントだ……レイはいないようだが、全てが終わるまで特等席で世界が変わる瞬間を見ていろ』

 

「レックス……何言ってるの?」

 

『ふっ……まだ気づかないのか?お前達は、俺のシナリオどおりに動いていただけだ』

 

「「「「「「ッ!!」」」」」」

 

 

檜山の言葉に驚いた6人、檜山が何を言っているのかまだ分からない。

 

 

『俺はプラチナカプセルとメタナスGXを使って、シーカーとイノベーターを戦わせた。世界の命運とやらを巡って奔走するお前らの姿は、なかなか面白かったぜ?』

 

「まさか……お爺さまを殺してアンドロイドを操っていたのは!」

 

『ああ、俺だ』

 

「ッ……お爺さま……」

 

 

悪びれもなく宣言した檜山の言葉に、ジンは冷や汗を掻く。

 

この会話の間にも、サターン発射シークエンスは続いており残りは30秒もない。

 

 

「檜山、何故こんなことを!!」

 

『見てみたかったのさ、未来を担う子どもを実験台に使うような奴らがいるこの世界に、命をかける価値があるかどうかを……しかし、やはり無かった。だから全てを壊してやり直す。そのきっかけを、俺が作る』

 

 

檜山が話し終えるのと同時に、カウントが0となりサターンが発射されてしまった。

 

 

「檜山……一体何をするつもりなんだ!!」

 

『知ってどうする……今のお前らには何も出来ないだろう?』

 

「違う!!そんな事はない!!」

 

 

震えるほど強く拳を握りしめているバンが感情のままに叫ぶ。

 

しかし檜山はそんなバンを冷ややかな目で見ながら言った。

 

 

『バン、何が出来ると言うんだ』

 

「俺は……最後まで諦めない!!」

 

『全て手遅れだ、最後までそこで大人しくしてろ』

 

 

そこまでバンが言い切ると、突然ロックされているはずの司令室の扉が開いた。

 

 

「父さん!!」

 

 

入ってきたのはバンの父親にしてLBXの生みの親である山野淳一郎博士。そして……

 

 

「あ、レイ……ッ!?」

 

「はぁ……はぁ……キッツい…………」

 

 

いつものCCMグローブをつけたまま、少女をおぶっているレイ。しかしレイの白かったパーカーは赤く染まりただ事ではないように見える。息が切れているのは、少女を背負ったままここまできたからだろう。

 

 

『やはり現れましたか、山野博士……そしてレイ、お前の復讐は終わったのか?』

 

「復讐ですって!?」

 

 

檜山の言葉に、里奈がレイを凝視した。どうやら信じられないようだ。

 

 

「ちょっと、息くらい…整えさせてよ……ふぅ。うん、ちゃんと終わった。終わらせてきた」

 

『どんな気分だ?』

 

「……安心したね。これ以上、ボクみたいな人が作られる事は無いから。この子で最後だよ」

 

『ふっ……そうか』

 

 

檜山は面白かったのか少し笑いながら納得の言葉を口にした。

 

周りの全員が呆気にとられる中、一区切り付いたと判断したい山野博士が話を始める。

 

 

「檜山君、こんなバカな事は辞めるんだ」

 

『ほう……その様子だと気づいたようですね。俺の計画に』

 

「ハッキングした情報を解析し、サターンの到着地点を計算した。サターンの到着目標はNシティだ」

 

「Nシティ……?」

 

 

続いて入ってきたのは八神。どうやら迎えにきたらしい。

 

 

「そうだ、Nシティでは現在、サミットが開催されている。そこにサターンを落とす事で、世界中のリーダー達を抹殺するつもりなのだ、彼は……」

 

「「「「「「ッ!!」」」」」」

 

『ご名答、さすがは山野博士』

 

「なるほどね……檜山さん、世紀の大犯罪者ってそう言う事だったんだ」

 

 

山野博士からもたらされた衝撃の事実に全員が息を呑む中、レイは納得したように肯いた。ブルーキャッツでの会話を思い出したのだ。

 

 

「まさか君がエターナルサイクラーの技術を世界の破壊に使おうとするとはな……教えたはずだ。新たなテクノロジーに携わる者ほど……」

 

『人間の良心を忘れてはいけない、ですか……懐かしいですね』

 

 

空を見上げた檜山。おそらく、今の言葉を教わった時のことを思い出したのだろう。

 

 

『ですが俺には良心はおろか、人間の心なんて残ってはいないんですよ』

 

「ッ……嘘つき」

 

『俺は人間の心を捨てて、モンスターになったんです。18年前のあの出来事から』

 

「一体何があったんだよ、レックス!!」

 

『おっと、ここからは俺も参加させてもらおうか』

 

「お前は……ッ!!」

 

 

画面の向こうで別の男の声が聞こえた。檜山が画面を傾けると、どこで何をしていたのか今まで分からなかった真崎がいた。部下だったはずの真崎が檜山の隣にいる事実に八神は目を見開く。

 

 

『すみません八神さん、辞表はエクリプスに置いてきました。今日限りで、アンタの部下を辞めます』

 

「なん……だと……?」

 

「あーそうだ、聞きたいことあったんだった檜山さん。いつから真崎さんと檜山さんって知り合いだったの?」

 

『……コイツに聞いたのか?』

 

「うん」

 

「何を言っているんだレイ、真崎はずっと私の……」

 

 

話についていけない八神は途中で口を閉ざした。話を聞けばわかるからだ。

 

 

 

 

檜山は語り始めた。

 

 

18年前、次世代エネルギー研究所で大規模な爆発があった。多数の被害者が出たこの事故について、政府は管理会社の管理不足だと発表し全ての責任を、当時の責任者だった檜山と真崎の父親に押しつけた。

 

親同士の付き合いもあり度々会うことがあった檜山と真崎はすぐに仲良くなりよく一緒に遊ぶことが多かった。『幼馴染』これが2人の関係だ。

 

しかし、世間から非難され続けた檜山の家族はそのことから逃げるためバラバラになるほかなかったらしい。しかし真崎の父親は事故の時にそのまま亡くなり、母親とともに何処かへ行ったそうだ。

 

 

 

 

『今家族がどこにいるのか知らないし、生きているのかも分からん。だが、コイツは違った』

 

 

檜山は親指で真崎を指した。真崎は一歩前に出て自ら語る。

 

 

『俺の母親は、俺の目の前で殺された』

 

「「「「「「ッ!!!!」」」」」」

 

『正確には、政府とつるんでいた海道義光一派の刺客が俺たちの住む家にやってきたことに気づいた母さんが、俺をクローゼットに隠した。そして、俺が見ていることに気づいていなかった男は拳銃で母さんを撃ち殺した後、隠蔽工作で家を燃やして出て行った。幸い俺は裏口からこっそり抜け出したから無事だったけどな。恐らく、事故の真実を知っていると思われたんだろうよ』

 

「真崎さん……」

 

『俺は決意した。復讐を、この手で海道義光を殺してやると……まぁ、結局やったのは蓮だったけどな。

 

そして、何年か過ぎた後……世間から事故の記憶が薄れた頃、俺たちは合流した。計画を始めるために』

 

 

語り終えた真崎は、もう用はないと下がった。残りは檜山に任せるようだ。

 

 

『全ての元凶は海道……しかし、計画を進める中で俺たちはさらなる真実に気づいた……奴は、世界の支配者達のほんの一部に過ぎなかった、ということに』

 

「なんの話だ……?」

 

『つまり、この世界は一部の権力者の掌に動かされているんだ。政治、経済、技術開発、そして……戦争すらも奴らが作り出し管理している。強大な力によって戦争を管理し私腹を肥やす者たち……そして、ソイツ等よりもさらに強大な力を手に入れようとした海道が取った新たな手段、それが……』

 

「レイ君のサイコスキャニングモード、か」

 

「えっ…………ボク?」

 

 

檜山の言葉を、山野博士が受け継いだ。予想外の言葉に、愛用しているレイが驚き疑問を浮かべた。

 

 

『流石博士。ひっそりと進めていたサイコスキャニングモードを用いたプロジェクト……普通に使うよりもさらに質の高い兵器を手に入れるために考え出されたのが、人と機械の境界を壊す事だった。灰原ユウヤ、レイ、その少女は……その計画の被害者であり被験者……兵器の試作品という事だ。幼い子供を使ったのは、ある程度は従わせやすかったからだろう』

 

「…………ボク達が、兵器?」

 

『ああ、そういう事になる。まあ海道の計画が潰えた事で、お前等は解放されたも同然だがな』

 

「えっと……ありがとう、でいいのかな?」

 

『知らん』

 

 

そんな無責任な……、心の中でレイがそう叫ぶがもちろん届かない。

 

 

(ってことは、加納も海道せんせーにうまく乗せられて研究してたってこと?あーあー……報われないねぇ……地獄でザマァ見ろカス)

 

 

どうやら兵器として扱われていたことはあまり気にしていないらしいレイ。拓也などの大人達は同情的な視線をレイに向けているが彼女本人は気づいていない。子供達はジンを除いてスケールの大きさに圧倒されている。

 

 

『このミッションが終わり次第、俺は世界に向けてメッセージを送る。じゃあな』

 

「檜山!!」

 

 

そして映像が消え、モニターには砂嵐しか残らない。完全に切断されたようだ。

 

 

「行こう拓也さん。レックスを止めないと」

 

「その通りだ」

 

「……行くぞ!!」

 

 

拓也の指示で全員が走る。しかしレイだけは動かない。

 

 

「レイ、お前も早く来い!!」

 

「…………うん」

 

「レックスを止めなきゃいけないんだ、レイも早く!!」

 

 

仕方ない、と言わんばかりの表情のレイは皆に続くように走り出した。




エクリプスに到着したメンバーは、すぐに発進させサターンを追いかけ始めた。シーカーのメンツが集合している中、レイだけは自室に帰っている。保護した少女をの面倒を見るためだ。隣には里奈もおり、一緒に看病をしている。


「この子は私が見ておくから、レイちゃんは着替えて司令室に行ってちょうだい。今から最後のブリーフィングが始まるわ」

「行かないよ」

「ッ、どうして?」

「ボクには檜山さんを止める理由がない……ボクは参加しない」


レイは椅子に座り寝ている少女の頭を撫でながら言った。


「世界のリーダー達が危ないのよ?」

「……その世界のリーダーとやらの行動の結果、ボク達が今ここにこうしているのだとしても?」

「ッ……それは……」

「加納の死っていう目的は果たした。もうボクに戦う理由はない!!」

「その話、詳しく聞かせてもらうぞ」

「「ッ」」


気づけば、部屋に八神が入ってきていた。どうやら作戦の説明は終わったらしい。


「何があったんだ?」

「……加納が新しく用意したこの子とのバトルに勝った後、ボクは加納を拳銃で殺すつもりだった」

「その銃は今どこに?」

「真崎さんが持ってっちゃったよ。お前にゃ銃は似合わない、って。ひどい話だよ全く……結局、ボクが撃とうとした瞬間に横から別の銃弾が飛んできたと思ったら、加納が死んでたんだから。まぁ……加納が死んだ事について嬉しくなっちゃってつい笑っちゃったけど」

「なるほどな……服に付いている血は?」

「ああこれ?撃たれた加納が口から血を吐いて、それが思いっきりボクについちゃってねぇ……あんな至近距離にいるんじゃなかった」


苦々しい表情でレイは言う。里奈はレイが人を殺してなかった事に安堵し、八神は真崎が加納を殺した事に不服そうだ。


「その時に、元々真崎さんと檜山さんが知り合いだったのを聞いたんだ」

「なるほど、まあ何よりもレイが無事で良かった」

「サイコスキャニングモードも使ったから少し休みたいけどね。あ、師匠に預けたイプシロンも返して欲しいんだけど」

「もう少し待ってくれ、山野博士は今作業中だ。
レイ、君の……いや君達の気持ちはわかる。だが今は世界のために、我々と戦ってはくれないだろうか」


そう言って、八神は深々と頭を下げた。


「ちょっと!?やめてよ八神さん、こんな子供に頭を下げるなんて……それでも、ボクは……」

「……幸いまだ30分ほど時間はある。もう少し考えてみてくれ」


そう言って八神は出て行った。扉が開いた一瞬、廊下にアミやミカ、リコの姿が見えたが今のレイには気にもならない。


「どうするのが正しいんだろうね、ユウヤ君……」
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