サイコをスキャニングされちゃう被験者です♪   作:ゼノアplus+

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お久しぶりです、緊急事態宣言で大学に行けずオンライン授業のモチベが一向に上がらない作者です。最近やっと超カスタムのソフトが買えまして息抜きに遊んでおります。




予定外の空中戦

28話

 

 

「各機散開、オーディーン達には絶対に近づけさないで!!……ギンジ君は頑張れ」

 

「そんな無責任な!?」

 

 

両腕がクローということもあり、遠距離攻撃が出来ないマッドドッグには難しい戦場だ。

 

 

『おいおい、あんなの勝てんのかよ……』

 

『リーダー達を先に行かせさえすれば良いんだよ!!気張りな』

 

 

『砲戦型はミサイルを装備している。一撃でも当たれば終わりだぞ!!』

 

「まあ、そうだよねぇ」

 

 

八神からの通信でレイ達に緊張が走る。

 

 

「トロイ、射撃開始」

 

 

レイがボタンを押すと同時にデスバレルが稼働、砲戦型へ向けて射撃を始めた。大量の弾丸が砲戦型を襲い次々に爆破させていく。どうやらトロイの火力の前では砲戦型の装甲や分厚いシールドも意味をなさないようだ。

 

 

「この程度で諦めるとでも思ったのかな……真崎さん」

 

『『『『『『ッ!!!!』』』』』』

 

 

圧倒的な暴力を前に、バン達を守らんと前線を維持するメンバーは震えた。レイがいれば大丈夫。そう思わされたメンバーは果敢に砲戦型へと突撃を開始した。

 

 

『うわぁぁぁぁぁ!!!!』

 

 

トロイの右前方でリュウのブルド改が爆発した。

 

 

「気をつけてって言われたのに!?」

 

 

速攻で撃破されたリュウに驚きながらも、レイはトロイのブースターをさらに吹かせ敵へと肉薄していく。

 

 

「はいじゃあ仇一丁!!」

 

 

ブルド改を撃破した砲戦型を殴り飛ばし撃破したトロイ。そして迫り来るミサイル2発を回避した後離脱した。

 

 

『ごめんレイ、やられた!!』

 

『こっちも……』

 

 

通信が入りリコとミカも撃破されたことが伝わる。

 

 

「結構やるじゃん……!!」

 

『レイ、あまり無茶な機動はやめるんだ。燃料はあまり多くないぞ!』

 

「無茶しなきゃこっちがやられるんだよね!!」

 

 

八神からの注意を聞かず、レイはさらに加速しながら射撃をしている。しかし、

 

 

「おわっ!?」

 

 

急にトロイ全体が回転した。普段しっかり脚部を固定して射撃をしているため反動というものが大きい事を忘れていたのだ。

 

 

『レイ!?』

 

「そういえばここ空だった……えっと、こうだね……ッ!!」

 

 

すぐに体制を立て直したレイだったがその隙を逃さんとばかりに数機の砲戦型に囲まれてしまっていた。

 

 

「……これは流石に、ヤバそう?」

 

『やらせねぇよ!!』

 

『舐めるなでごわす!!』

 

「ナズーとマッドドッグ!!」

 

 

通信と共にトロイの目の前に飛び込んできたマッドドッグとナズー、2体は推進力そのままに砲戦型へと体当たりをしてそのまま落下していった。

 

 

「何やってるのさ!!」

 

『お前が残った方が良いに決まってんだろ』

 

『悔いなしでごわす』

 

「ッ……君達……次ッ!!」

 

 

レイはすぐに意識を切り替え、次の砲戦型へと照準を向ける。

 

 

「一機でも多く、一機でも早くッ!!」

 

 

レイに目をつけられたのが運の尽き。本気になったトロイを止められるはずもなく、新たに5機の砲戦型が爆発四散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、アイツマジかよ……」

 

 

サターンのコントロールルームにて、1人の男がモニターを見ながら苦笑いしている。真崎だ。

 

 

「次のプログラムつくらねぇとな…」

 

 

そう言うと真崎はキーボードを高速で打ち始めた。今この瞬間に、砲戦型への命令を書き換えているらしい。

 

 

「レイの奴、動き変わりやがった。ありゃ本気で潰しにきてるな……たくっ、流石に空で抑えるのは無理か」

 

「仕方ないだろう。その程度で止まるような奴らじゃないさ」

 

「蓮……お前若干楽しんでるだろ」

 

「まあな」

 

 

隣から話しかけてきたのは今回の事件の首謀者、檜山蓮。通称レックス。幼馴染であるこの2人は同じ場所からシーカーを迎え撃っている。

 

 

「どうせバン達は降りてくるだろう。トロイもおそらく燃料切れで墜落するだろうから放っておけばいいさ」

 

「いいや、ダメだな」

 

「ほう?」

 

「鬼神の力……アイツには全く見せたことがないからな」

 

「お前も楽しんでるな」

 

 

2人は笑いながらモニターを見据えている。とても犯罪者とは思えない。

 

 

「鬼神VS戦姫か」

 

「ああ?戦姫……?」

 

「知らないのか?アルテミスでレイにつけられた二つ名だ」

 

「アイツが姫って柄かよ。いいじゃねえか。俄然、楽しくなってきた」

 

 

真崎が言い終わると同時にエンターキーを押し、新たな命令を残った砲戦型に送った。

 

 

「花火の時間だ」

 

 

 

 

 

 

『レイ、バン達がサターンの着艦に成功した!!後はバン達に任せて帰還してくれ!!』

 

「いや……ちょっと無理そうかなぁ……」

 

『何があった?』

 

「アハハ……真崎さん、覚えてろよぉ!!」

 

 

レイが何やら叫びながら機体を操作している。何があったかのかと思い八神がバン達からモニターを移せばトロイの周囲で立て続けに起こる爆発の数々。砲戦型がトロイに接近し自爆をしているのだ。

 

 

「意地でもボクに着艦させたくないみたいだね!?」

 

 

今のところギリギリで躱すか撃ち落とすかで防いでいるがあからさまに時間稼ぎをされている。このままでは燃料切れで海に真っ逆さまだ。

 

 

『おいコラ!!レイはいるか!?』

 

「ハンゾウ君?なにさ、今ちょっと忙しいんだけど……」

 

 

急に郷田から通信が入った。何やら怒っているようで冷や汗をかいているように見える。

 

 

『なんで敵の防衛にトロイがいやがるんだよ!!さっきから弾幕のせいで動けねぇし近寄れねぇ!!』

 

「え、トロイ量産されたの?やるじゃん神谷重工。流石だね」

 

『敵褒めてんじゃねぇよ!!』

 

 

どうやら侵入経路の防衛に量産されたトロイが使われているらしい。程なくしてバン達からも同じような報告があった。

 

 

「アッハハ!!教えてあげようハンゾウ君。トロイはね、もともとインビットと同じように警備用の自立型LBXとして扱われる予定だったのさ」

 

『なんだと?ってこたぁ、まだまだたくさんいるってことか』

 

「多分ね~。まっ、頑張りたまえよ諸君。ボクより弱いんだから余裕余裕♪」

 

『他人事みたいに言いやがって…』

 

 

実際にはあまり受け答えする余裕がないだけなのだが、殿を務めている以上無意味に心配させないと虚勢を張っているだけだ。

 

 

そして、ついにその時はやってきた。

 

 

 

「え、ちょまっ、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

『レイ?どうした!!』

 

 

レイが急に叫びだした。あまりのことに八神が確認を取ろうとするがレイの叫び声によって届いていない。

 

 

『八神さんこれ!!』

 

『くっ!!やはりもたなかったか!!』

 

 

真野が八神にモニターを回した。そこには、燃料切れを起こし海に真っ逆さまに落ちているレイのトロイの姿があった。レイが叫んでいるのも、トロイ目線の視界を体験したからだろうと八神は予測を立てた。

 

『トロイとコントロールポッドを切り離すんだ。止むを得ん!!』

 

「ちょっと、トロイを見捨てろっていうの!?」

 

『どのみち何もできないだろう。レイは改めてほかのLBXで出撃するか、コントロールポッド内で待機だ』

 

「っ!!そんな…トロイ…」

 

 

トロイ自体は動く。しかし空中ではただ落下するのみで何もできないトロイをどうにかすることは今のレイにはできなかった。

 

 

『ったく、お前はいつも世話が焼けるな』

 

「その声は…」

 

 

トロイを見捨てるしかないという選択を迫られていたレイに男の声が届く。何とかトロイの体を反転させ上空を見ると、トロイめがけて飛んでくる3体の砲戦型がいた。

 

 

「真崎さん!!」

 

『ふぅ、間一髪。おっと抵抗はするなよ?せっかく助けてやったんだからな?』

 

「なんで…?」

 

『お前を助けたことか?それともそっちの通信に割り込んだことか?ちなみに答えは両方とも気分だ』

 

「そっか……ありがとう真崎さん」

 

『おう、じゃあお礼代わりにこのトロイはもらっていくわ』

 

「へっ?」

 

 

真崎はそういうと、三体の砲戦型でトロイを持ち上げ三機分のバーニアをフル活用しサターンへとトロイを拉致して行った。

 

 

「何してんのさ!?返してよ!!」

 

『はっ!!やなこった。どうしてもっていうんだったら……()()()()()()()

 

「それは……」

 

『真崎か、どうしてこの通信にいる!!』

 

『やっべ、バレたバレた。そんじゃレイ、後でな』

 

「うん!!また後で!!」

 

 

レイは笑みを浮かべながら『SOUND ONLY』のモニターに返事をした。

 

 

『待て真崎、私はまだお前からの辞表など受け取るつもりはないぞ!!』

 

 

八神が叫んだ。真崎は少しの沈黙の後、無言で通信を切った。











「もう遅いんですよ、八神さん」

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