サイコをスキャニングされちゃう被験者です♪   作:ゼノアplus+

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バトル中の推奨BGMは「バトル、やろうぜ!」

こっから何話か区切るんで長くなります。会話多めです。じっくり読ませて長くね今話?みたいな錯覚させようとか思ってないです。
アルセウス全クリして歪みオヤブンバクフーン耐久中に書いてるとかそんなわけないじゃないですか。全然関係ないですけどチェリムにハイパー50個使っても捕獲出来なかったんですよね。ええ、全然関係ないですけど。


戦姫VS鬼神 勇者VS黒炎の魔神

30話

 

 

「イプシロン……あの時の二つのデータが、そんなチートが生まれるとか予想外にも程があるわ」

 

「ビジュアルが良すぎる癖に滑らかで無駄のない作り込みをしてあるイフリートに言われたくないね」

 

 

遮蔽物が一切ないフィールドで向かい合う2体のLBX。お互いに一歩も動かず、相手の動きを待っている。

 

 

「来ないのか?」

 

「そっちこそ」

 

 

それも仕方がない。2人とも自ら率先して動き始めるタイプではない。相手に打ち込ませて、圧倒的な力で敵を粉砕してきたのだ。

 

 

「……ったく、様式美的には勇者様がラスボスに挑んで来いよ」

 

「そういうのは知らないからね」

 

「はっ、じゃあサービスだ。俺から行くぜ」

 

 

漆黒のイフリートがついに走り出した。大きすぎるテイルパーツが動きを阻害することのない、しかし流動的で生きているかのようなダッシュでイプシロンまで距離を詰める。

 

 

「俺と相棒を舐めんなや」

 

「なッ!?」

 

 

右腕を構えて殴打の体勢をとったイフリートに対して全身を守るように盾を構えたイプシロンだが、振り下ろしたその巨大な手は開いていた。

 

 

「イプシロン!!」

 

 

盾を鷲掴みにされたイプシロンはすぐに盾から手を離し右方向へと回避した。

 

 

「今ので左腕は持っていけるはずだったんだが」

 

「真崎さんこそ、イプシロンを舐めすぎさ」

 

「ははっ、言うじゃねえかレイ」

 

 

真崎はあくどい笑みを浮かべながら盾をイプシロンへと投げ返した。

 

 

「ッ、なんのつもり……?」

 

「お前の全力で来いよ。そんでもって、楽しもうぜッ!!」

 

「何言ってるんだよまったく……ッ!!」

 

 

真崎の声に反応するようにカメラアイを発光させたイフリートがさらに突撃してくる。イプシロンも対抗するようにイフリートへ走り出し、フィールドの中央で槍と拳が交差する。

 

 

「オラオラァ!!もっと打ってこい!!」

 

「性格変わってるじゃんか!?」

 

 

幾度となくお互いに己の武器をぶつけ合う2体。イプシロンは槍で突き、切り払い、投擲など様々な方法で攻撃をしイフリートの連打を盾と機動で受け流す。対するイフリートは何も気にすることなどないと言わんばかりに全ての攻撃をそのボディで受け止め、両腕による絶え間のないラッシュがイプシロンを襲う。

 

 

「イフリートはこんなことも出来るんだぜ?ほらよっ!!」

 

「尻尾で殴ってきた!?サラマンダーでも難しいことを平然とやってくるねぇ!!」

 

 

イフリートによるテイルでの横なぎは、イプシロンには受け止めることができずそのまま横方向へと機体が持っていかれる。空中に浮いたイプシロンへすかさずイフリートの追撃が襲い掛かる。イプシロンの背中へと右腕によるアッパー、さらに上空へと吹き飛んだイプシロンへ、その上から叩きつけるようなテイルでのメテオが襲った。

 

 

「一撃一撃が重い……!!でも、イプシロン相手じゃ決定打にならないみたいだね」

 

「山野博士製のLBXは流石に出来がちげえって事だな」

 

 

地面に叩きつけられながらも、盾で地面との接触によるダメージを軽減したイプシロンはそのまま前転でイフリートの懐に潜り込むと仕返しと言わんばかりの回し蹴りをイフリートの横っ腹に叩き込む。

 

 

「トンファーキックっぽいことすんな」

 

「なにそれ?」

 

「……いや、なんでもねえよ。これが世代差か」

 

「ふーん」

 

 

正確に言えば真崎が生まれるよりも前の時代に流行ったのだが、ツッコむ人間は誰もいない。

 

 

「サイコスキャニングモードって、結局機体の発光ぐらいしか意味無いんじゃないのか?」

 

「まさか。CCMグローブとボクとのリンクに負荷をかけることでさらに精密な動きを可能にしてるんだよ。機体性能の純粋な向上はどちらかと言えばVモードやブレイバーモードのほうじゃないのかい?」

 

「まあな。でも、お前の操作技術がサイコスキャニングモードの本来の性能を圧殺する形で上回っているようにも見える」

 

「ボクのサイコスキャニングモードはユウヤ君のと同じ試作型だからね。どちらかと言えばあの子……セカンドチルドレンの試験体に搭載されてる方が優秀なのさ」

 

「アイツらのデータはぶっ壊しといた。もう2度とあんな技術が生まれることはない」

 

「……そっか。それは良かった」

 

 

会話をしながらもお互い操作には余念がない。お互い全力での殴り合いが続いている。

 

 

「はぁ……お前、最近笑ったか?」

 

「なにその質問……まあいつも通りだよ。一体どれが()()()のボクなのか、ボク自身も知らないけどね」

 

「いいや嘘だな。最近、作り笑顔ばっかだろ。痩せ我慢なんかしやがって。お前が他人に気を遣えるようになったのはいいけどな」

 

「どういうこと?」

 

「LBXバトルを楽しめてないってことだバカ。世界を知って、LBX以外の気になることでも出来たおかげだろ」

 

「そんなことは……ッ!!」

 

 

即座に否定しようとしたレイだが、思い当たることがあったのか途中で言葉が出なくなった。

 

 

「悪いことじゃねぇよ。むしろ良い傾向だ。お前がもうLBXに固執する必要はないんだ」

 

「やめてよ!!まるでボクがLBXに囚われてるみたいなさぁ!!」

 

「間違ってはねぇだろうが。シーカーのガキンチョどもと出かけた時、アキハバラに行った時、ミソラタウンに行った時は楽しかっただろ!?」

 

「ああそうさ、楽しかったさ!!ファッションとかはよく分からないし、初めて見る街並み、植物、デパート……知らないものだらけで興味が湧いたし、すっごく楽しかった。でも、真崎さんの今の言葉だけは許せない。例え昔からイノベーターの命令でLBXをやってたとしても、あの日々が楽しくなかったなんてそれこそ嘘だ!!」

 

「違う、否定するわけじゃねぇ。もっと色んなことに目を向けろって言ってんだよ。お前はもう、ただの女の子だ。こんな世界に関わるような生活は辞めてくれ……!!」

 

 

真崎の懇願するような声音に、レイの手が止まった。サイコスキャニングモードを使用しているため、連動するようにイプシロンの動きも止まった。

 

 

「それこそ無理だよ。どうせボクはこの後イノベーター関係者として政府に拘束されるんだからさ。分かってるでしょ?八神さんたちも同じさ」

 

「……途中からはシーカーに加わった。お前は未成年だし、何より被害者だ。情状酌量の余地は十分ある。その後の話だ」

 

「その後なんか気にしてる余裕ないじゃないか」

 

「ッ!?お前、まさか……」

 

「いいや、詳しくは知らない。でもなんとなく分かるじゃん?このメガネが何よりの証拠じゃないか!!」

 

 

レイは見えないことすら無関係に目元のメガネを取って真崎に掲げる。皮肉にもそのメガネは真崎が買ってきてくれたものだ。

 

 

「幼い頃からサイコスキャニングモードの手術を受けた状態で、第二次性徴を迎えて今に至る。極め付けはメタナスGXの移植手術だ。アルテミスで限界以上にサイコスキャニングモードを使ったおかげでボクの体はボロボロ……ねぇ、教えてよ真崎さん。

 

 

ボクは後、何年生きていられるのかな」

 

「ッ、…………」

 

 

レイの悲痛な表情と声が、真崎に突き刺さった。

 

 

「ボクの人生はこないだ始まったって、最近思うんだ。でも、視力は限りなく0に近くなって、頭痛がひどくて……次はどうなるんだろうって思い始めた。耳が聞こえなくなるのか、匂いが分からなくなるのか、味がしなくなるのか、完全に目が見えなくなるかもしれない。体が動かなくなって、寝たきりみたいな生活が来る?でも、あり得るじゃないか真崎さん!!ねぇ!!ボクは、どれだけ先の未来まで見れば良いのさ!?」

 

「…………本当かは知らねぇ。加納と研究員共が話をしてたのを盗み聞きしただけだ。それでもいいのか?」

 

「構わないよ。ボクがボクらしくあるための制限時間……どうせ病院ってとこで検査でもすれば分かるんでしょ」

 

「まぁ、そうだな。そういうことになるよな結局……」

 

 

真崎は覚悟を決めたかのように、悟ったような声を上げた。

 

 

「20歳迎えられたらいい方だそうだ。そもそも、メタナスGXの移植の時点で無理があったらしい。脳みそに機械を仕込むなんざ代償なしに出来るわけが無かったんだよ……」

 

「2……0……ははっ、そっか。大人には、なれないか。うん、まあ……そっか。ねぇ、ユウヤ君は?」

 

「さぁな、アイツらは特に灰原ユウヤの話はしなかったが……今は確か海道ジンの庇護下で病院に入院してると聞いてる。おそらく大丈夫だろうよ」

 

「あの子……あの女の子は?」

 

「分かるわけねえだろ。あんまり不明確なこと言いたくねぇけど、すぐ病院に搬送すれば……」

 

「なるほどねぇ」

 

 

腑に落ちた表情のレイ、悲しげな顔で心の内を曝け出した先ほどとは打って変わってどこかスッキリした表情だ。

 

 

「今ボク何歳だっけ?」

 

「詳細な戸籍情報がねぇと分からない。けど流石に高校生はねぇな」

 

「ふーん……」

 

「レイ……君……?」

 

 

2人の会話の途中、新たに声が聞こえてきた。聞かれていたのかと2人が声の主の方向を向くと、絶句し目を見開いているジンと山野博士の姿があった。

 

 

「あーあ、聞かれちゃったか」

無印編終了後W編までの1年間を書き綴る予定ですが、原作通りW編を優先するか時系列順に書くかどうしましょうか。

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