サイコをスキャニングされちゃう被験者です♪   作:ゼノアplus+

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おもちゃと兵器の狭間で

31話

 

 

 

「あーあ、聞かれちゃったか」

 

「どういうことだレイ君!!20歳まで生きられない!?」

 

「……確かなんだな真崎君」

 

「えぇ……加納達の会話ですが、白の部隊内での会話ですのでわざわざ嘘をつく必要はないかと思います」

 

 

ありえないという表情でレイに詰め寄ったジンと、冷静に真崎に事実確認を求めた山野博士。対照的な反応だが考えていることは同じだろう。

 

 

「……やぁ、海道センセーロボには勝ったんだね。おめでとうジン君」

 

「そんなことはどうでもいい!!なにも思わないのか!?」

 

「うーん、まあなんとなく予想してたし……ああ、もしかしてジン君、人の致死率が100%って事ご存じないのかな?」

 

「ッ!!」

 

「ジン君ッ!!」

 

 

ジンの感情的な行動に、反射的にレイは目を瞑った。広げた掌を振り上げたからだ。しかし、いつまで経ってもレイに衝撃が来ない。聞こえるのは留めるような山野博士の声だけだった。恐る恐るレイが目を開くと、目に映ったのは震えながら涙を浮かべるジンの姿だ。

 

 

「バン君と君と一緒に、宇崎社長の最後を見た。僕だって何も思わないほど大人ではないつもりだ!!お爺さまもいつの間にか亡くなっていた!!辞めてくれ、死ぬ事を楽観的に見るな!!」

 

 

グッと胸倉を掴んで叫ぶジンにレイは声も出ない。思っていたよりもずっとジンは弱っていたらしい、いつものキリッとした声ではなくそれは懇願するただの子供のようだ。

 

 

「……ジン君。ごめん、強がってた。ボクも死ぬことが怖くないわけじゃないんだよ?でもね、最近分かってきたんだけど、自分の身体ってデータに出さなくても自分で分かっちゃうものなんだよね。ボクのカルテやら経緯やら知ってるジン君なら薄々勘づいてると思ってたし。まぁ、何が言いたいかっていうとね……真崎さん」

 

「ッ……なんだよ」

 

 

ジンのこういう姿が珍しいのか、山野博士と共に静かに子供達の会話を眺めていた真崎だが不意にレイに話しかけられたことで少しうわずった声を上げた。

 

 

「続きをしよう」

 

「……ふっ、やっと楽しむ気になったか?」

 

「うん。最初からそうさせるつもりだったんでしょ?やっと気づけた。あんなに辱めを受けたのはいつぶりかな。あ、師匠ジン君の事お願いします」

 

「ああ、ジン君このハンカチを使うといい」

 

「……ありがとうございます。レイ君、そういうことなら見届けさせてもらう」

 

 

ジンと山野博士がDキューブのそばに立ち、レイと真崎が再び向かい合って構えた。

 

 

「やっぱさ、サイコスキャニングモードを使うたびに寿命って減るのかな」

 

「サイコスキャニングモードの使用による発熱が脳に負荷を与えるんだろうよ。だから遠回しに使うなよって言ってたんだ」

 

「なるほどねぇ……でもさあ、せっかく真崎さんとバトル出来るんだし全力でやらないと意味が無いと思わない?」

 

「そこまでしてこのバトルになんの意味があるんだよ。LBXの製作者の前で言うのはなんだけどよ、所詮はおもちゃ同士のバトルだ。バトル自体に世界の命運がかかってる蓮と山野バンのバトルでもねえし」

 

「じゃああの2人は兵器で世界の命運を決めてるわけだ。結局はいつの時代もどこかで何かを使って戦争してるんだね」

 

 

先ほどまでとは違う、余裕を持った笑みのレイの言葉に山野博士が反応した。

 

 

「やはりレイ君の目には、LBXは兵器に映るかね?」

 

「はい。この考え方だけはボクの中で変えることができません。イノベーターからのそういう刷り込みもありますが、デクーエース、デクー改、トロイ、インビット……製造に関わったもしくはボクが開発したLBXは兵器としての運用を前提にしていますから」

 

「いいやちげぇ、LBXはおもちゃだ。結局は扱う人間次第って事だ。これからお前が関わるLBXは全ておもちゃとしてのLBXだ。アルテミスを経験したお前なら分かるはずだろ?」

 

「うん、兵器として開発されたトロイが1番強いってよく分かったよ。ボクはもうLBXをおもちゃとしては見れないよ真崎さん。だってオーディーンはリニアと同じくらいの速度で飛行し、プロトゼノンは相対速度300キロ以上でてたはずのリニアを止め、ゼノンはその完成形……ボクはもはや恐怖すら感じるね」

 

 

ジンは身に覚えがありすぎるのか口を閉じている。それほどまでにレイはLBXに対して確固たる考え方を持っている。

 

 

「……まあ真崎さんの言う通り、人間次第なのさ。つまりボクはそう言う考えって事なだけ。別にわざわざ兵器運用するわけじゃないんだし、なんだっていいのさ。あーでもフェアリーは一機だけ欲しいんだけどなぁ……」

 

「ドングリ内蔵のでいいなら余るほどあるぞ」

 

「いらないよそんなゲテモノ。よし、じゃあやろっか。絶対に倒してやる」

 

「さっきイフリートにボコボコにされてた癖によく言うぜ」

 

「油断して受けなくていい一撃受けてた癖に……」

 

「「…………ああ?」」

 

 

それを皮切りにバトルが再開された。先程までの陰鬱な雰囲気が一気に霧散し、そのままバトルの熱気が充満した。

 

 

「ジン君、よく見ておきなよ。これがボクの意思表明さ!!アッハハ!!イプシロン、必殺ファンクション!!」

 

『アタックファンクション クリムゾンスラッシュ』

 

「炎の魔神とも言えるイフリートに炎属性の技とか、舐めてんのかよ……必殺ファンクション!!」

 

『アタックファンクション ヴァルゾダース』

 

 

イプシロングレイブに炎がエネルギーが纏わりつき、イフリートは全身に黒炎を纏い突撃の準備をしている。

 

 

「今思えば、お前とももう10年近くの付き合いか」

 

「そんなに経ったっけ?まあボクも真崎さんも、自分の立場ってやつを理解してたしそんな感じしないよね」

 

「……ああ、そうだな。あの頃のお前はホントにクソガキだった。生意気でLBX以外全く興味がなくて……いや今もクソガキのままだな」

 

「そりゃそうでしょ。だってホントに子供だからね。それを言うなら真崎さんだって、保護者失格じゃないのー?」

 

「誰がテメェの保護者だ」

 

「どっちかっていうと檜山さんのじゃないかな?」

 

「…………それは言えてやがる」

 

 

互いの必殺ファンクションがぶつかり合い、その熱はDキューブのフィールドにとどまらず4人にも感じられるほど弾けている。

 

 

「俺は蓮の目的を手伝って……それと、お前にもっと生きてほしいだけなんだよ」

 

「じゃあボクはもっと真崎さんと一緒にいたいよ」

 

 

嵐の前の静けさとでも言わんばかりに、2人は優しい声音で思いを告げる。

 

 

 

「「だけど、今だけはッ!!!!」」

 

「イプシロン!!」「イフリート!!」

 

 

互いの行動や主張は相入れることがない。真崎は檜山と共に悲願を叶えるため、レイはただ自らの願いを叫ぶために。

 

 

「ブレイバーモード!!」「インフェルノモードッ!!」

 

『ブレイバーモード』『インフェルノモード』

 

 

レイのCCMグローブから表示されるモニターが増え、真崎のCCMが拡張され展開される。それと同時にイプシロンは白銀の輝きを、イフリートは更なる黒炎を纏い向きあった。

 

 

 

「お前とはこのまま一生バトルする機会が無いんじゃないかと思ってた」

 

「そうだね……真崎さんがボクをここまで案内してくれなかったらこうしてバトルすることもなかったと思う」

 

 

拳と槍による連撃が双方を襲う。特殊モードによって強化されたそれらは今まで以上に激しい攻防となるがお互い一歩も引かず打ち合っている。拳が振るわれれば盾で逸らし槍で貫こうとすれば拳がその膂力を持って叩き潰す。どちらかがステップ等で距離を離そうとしてもそれを上回る速度での追撃が離脱を許さない。

 

 

「ハッ、これでも食らってな」

 

 

イフリートの尻尾による薙ぎ払いを大きくジャンプすることで回避したイプシロンだが、計画通りと言わんばかりに真崎は笑みを浮かべ両腕を地面へと叩きつけた。

 

 

「ッッ!?インパクトカイザー並みの攻撃なんてッ、仕方ないねぇ!!」

 

 

炎を纏ったイフリートの拳は闘技場の大地を隆起させ人為的なマグマを引き起こした。着地狩りをする様にイプシロンに直撃しようとした瞬間、レイは素早い判断で盾を地面に向けて構えると蹴り付けマグマの進行を多少ながら食い止め、その隙に回避した。

 

 

「盾を失ってよかったのか?」

 

「失う……?何言ってんのさ。よく見なよ」

 

「なんだと?」

 

「イプシロンガーダーを舐めちゃあだめだよ」

 

 

真崎はレイの言う通りにCCMに目を移した。そこには、噴き上げるマグマの熱に耐え形を保っている盾があった。

 

 

「さすが、というべきだな。山野博士の作ったLBXは……」

 

 

レイはイプシロンを操作し素早く盾を回収するとしっかりと持ち直した。

 

 

「ったく、コイツは自信作だったんだけどな。そこまであっさりと防がれると……逆に面白くなってきやがった。いけ、イフリート!!」

 

 

イフリートから放たれる圧倒的な熱量がフィールドを包み込む。

 

 

「うーわ……、装甲の耐熱テストじゃないんだけどなー」

 

「もっとだ、もっとだ相棒……!!格の違いを見せつけろ」

 

 

飛び出したイフリートへの反応が一瞬遅れたイプシロンは、強烈な殴打をもろにくらい吹き飛ぶ。先ほどの大地の隆起で形成された壁すら突き抜けるその勢いで闘技場の客席にめり込んだ。

 

 

「はっやい……!!でも、まだ……!?腕が!!」

 

 

レイのCCMモニターに映る異常を示すアラームが鳴り響く。イプシロンの全体像がアップで映し出されその右腕の関節部の不具合を訴えている。

 

 

(接触するだけで溶けかけてる!?これじゃあ満足に武器が振れない……)

 

「どうした?もっと打ってこいよレイ!!しないのなら、激情の炎に身を焦がすだけだ」

 

「なんの、これしき!!……まだいけるねイプシロン!!」

 

「恨みますよ山野博士、コイツにこんなオモチャくれてやりやがって」

 

「ふっ……だが、君も楽しんでいるだろう?」

 

「えぇ……微妙な気分ですよ」

 

 

あまりの高熱にフィールドは陽炎がゆらゆらと揺れている。信頼と実績を誇る強化ダンボールでさえ溶けてしまうんじゃないかと思わせるほどの熱量とイフリートの威圧感がこの場を支配している。魔神というに相応しく、炎と称するには物足りない、圧倒的な暴力がイプシロンの前に立ち塞がる。

 

 

「立ち上がれよブレイバー、これがラストステージだぜ?」

無印編終了後W編までの1年間を書き綴る予定ですが、原作通りW編を優先するか時系列順に書くかどうしましょうか。

  • 1年間を先に読みたい
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