サイコをスキャニングされちゃう被験者です♪   作:ゼノアplus+

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フライトユニットと飛行に合わせて空気抵抗を受けないようにしている
監視型を彷彿とさせるバイザー
たまたまレイのパーソナルカラーと被っている
トロイに引き続きメイン武器がガトリング


何よりデクー


ふつくしい……!!


新たな敵 ディテクター

2話

 

 

トキオシアデパートは現在暴走したLBXの襲撃によって見るも無残な状況になっている。しかしそんな状況で果敢にもバン、アミ、カズヤ、レイの四人は被害を最小限に抑えるべく戦っていた。

 

 

「みんな大丈夫!?」

 

『ああ、だけど敵の数が多すぎてさすがに厳しい』

 

『しかもこいつら、妙に強いんだけど!!』

 

『狙撃手にこれはキツ過ぎんだよなぁ!?』

 

 

四人ともバラバラに戦っているが通話をつないでいるため逐一状況を報告しあっている。万が一の時は機動力に優れたオーディーンとフライトデクーで救援に向かうためでありレイの提案だった。

 

 

「ヤバそうだったら無理せずすぐ引いて!!今はLBXがいるから敵がそっちに向かってくれるけど何にもなくなったら次の標的はボク達自身だよ!!」

 

『『『了解!!』』』

 

 

レイはこの暴走事故に妙な気がかりを抱えているがそれを三人には伝えていない。下手に不安をあおりたいわけではないのだ。

 

 

(言い出しっぺが言うのもなんだけど、推進剤の連続使用はバーニアとフライトユニットに過負荷がかかるから厳禁なんだよねぇ!!)

 

 

心の中で悲鳴を上げながら、それでもレイはフライトデクーで空中から銃弾をばらまいている。

 

 

『フェンリルッ!?くそ、しくじっt…うわぁ!?!?!?』

 

『カズ!!どうしたんだ、返事をしてくれ!!カズ!!!!』

 

『キャァ!!あぅ……パン…ドラ…ごめ…』

 

「アミちゃん!?……バン君、一回合流しよう。ボク達、数で各個撃破されて行ってる!!こんなことになるならCCMグローブ持ってくるんだったよ!!」

 

『でも、二人を助けないと!!』

 

「パンドラとフェンリルの反応が消えた。多分やられてるさ、今一番やっちゃいけないのはボク達が全滅することだ!!」

 

『ッ!!わかった!!』

 

 

悲鳴が聞こえ、鈍い音がアミとカズヤの通話を通して聞こえてきた。レイはそれをLBXが破壊され二人が何らかの手段で意識を奪われたのだと仮定した。だからこそレイはバンと合流しようとしているのだ。

 

 

カチャ

 

「ッッ!!まっず、うわッ!?」

 

 

背後から物音がしたことでとっさに振り返った。しかしそこにいたのはスプレーのようなものを持ったデクー改、正面を向いてしまったことでその中身を直接吹きかけられてしまった。

 

 

(催涙!?いや違う、睡眠薬だ!!だったら!!)

 

 

「残念、薬物はボクには効かないんだよねぇ!!!!」

 

 

煙で視界が悪いが持ち前のセンスで正確にデクー改を撃破した。

 

 

「ゲホゲホッ!!バン君、敵の狙いはボク達だ!!なんか睡眠薬が入ったスプレーもってる!!」

 

『なんだって!?大丈夫なのかレイ!!』

 

「異常体質で助かったさ。すぐそっちに向かうよ」

 

 

エスカレーター付近にも敵が密集している。どうやら出入り口をふさぐように指示されているらしい。それを見たレイは即座に判断しCCMを操作する。

 

 

「必殺ファンクション!!」

 

『ATTACK FUNCTION GREAT BOMBER』

 

 

空中でのグレイトボマーの発動により周囲に大量の爆弾が降り注ぐ。暴走しているだけのLBX達ではよけることなどできるはずもなく連鎖的に爆発を引き起こしていった。さらに爆発による煙幕でレイの姿が見えなくなり、その隙をついてレイはエスカレーターを下って行った。

 

 

「って、あぶなっ!?」

 

 

下の階についた瞬間、目の前を何かが高速で横切った。

 

 

『……』

 

「アキレスディード。やっぱり君が司令塔か」

 

『………』

 

 

 

警戒してアキレスディードと見つめあっていると、お前に用はないとばかりに踵を返しどこかへ飛んで行ってしまった。

 

 

「捕まえられないから無視した?じゃあバン君のほうに」

 

 

フライトデクーに後を追わせながら自分もさらに下の階へ突っ走る。そしてフライトデクーのカメラにはバンの元へ迫るアキレスディードの姿があった。

 

 

「バン君後ろ!!」

 

『え!?うわっ!!』

 

 

間一髪バンは姿勢を低くしてアキレスディードを回避した。

 

 

『バンさん大丈夫ですか!?』

 

『ああ、大丈夫だよヒロ。レイもありがとう』

 

「うん、それ誰?」

 

 

バンのCCMから少年の声が聞こえた。逃げ遅れた一般市民か、しかしどうやらバンと知り合いらしい。

 

 

『彼は大空ヒロ。LBXを教えるのにさっき知り合ったんだ。今も手伝ってもらってる』

 

「はぁ!?初心者にこいつらと戦わせてるのかい……ん?暴走してない…しかも見たことないLBX。まあいいやすぐ行くからもう少し耐えてて!!」

 

『わかった、行くぞヒロ!!』

 

 

 

どうやら無事であるらしいのでレイはフライトデクーを自分の近くに戻しさらにエスカレーター下り始めた。

 

 

「ああもう数だけは多いな全く。なんでこんなLBXが多いところで……いや、どう考えてもそれが狙いだよねぇ」

 

 

これだけのテロを起こすためのLBXを現地調達でそのまま暴走させる。兵器輸送の必要もなく、カスタマイズされた誰かのLBXであればその分強い兵士に生まれ変わる。素晴らしいほどに効率的だ。

 

 

「それにしては被害が建物だけなんだけど……」

 

 

上から下へと移動している途中、逃げ遅れた人は見えたがけがをしている人はいなかった。二次被害があったのかもしれないがLBXによる直接的な被害は見受けられなかった。このテロの動機はわからないが、手際がいいにもかかわらず達成目標が不明瞭なのだ。

 

 

(ただテロしたいだけならこんな入念な準備はしない。どこかにかならず目的があるはず…)

 

 

それから2度ほど、敵LBXに睡眠薬のスプレーを吹きかけられたが少し目に染みるのと咳き込むだけで済んだので完全に無視して一階に到着した。

 

 

「おえっ、効かないのにしつこいんだよ」

 

 

サイコスキャニングモード中ならまだしも、ただのCCMで操作しているためスプレーの煙による視界不良は普通に致命的だ。そう言う意味では足止めとしては大いに成功している。

 

 

「ていうか、バン君達どこいったんだろう?」

 

「2人ならあの中だぜ」

 

「あの中……ふぅん、なるほどね」

 

 

特徴的な髪型にサングラスをかけたいかにも不審者です、というような男がレイの呟きに反応し親指で緑の膜に包まれた場所を指した。Dエッグと呼ばれるそれはDキューブの新たな形だ。通常のバトルフィールドに加えプレイヤーを包み込むような形で展開されるそれには、必殺ファンクションによる周りへの被害やバトルのやり逃げ防止で開発が進められていたものでそろそろ一般発売が控えていたのだ。どうやらこの男がバンにそれを与えてアキレスディードを封じ込めたらしい。

 

 

「で、キミは?」

 

「俺はコブラ。お前らのサポートをするために山野博士のとこから派遣されてきたんだよ」

 

「師匠が……?まあとりあえず信じるよ」

 

「おう、よろしくな」

 

 

明らかに偽名なコブラと名乗る男はレイに向けてグッドサインを出した。

 

 

「今はバン君とヒロ?君があの中でアキレスディードと戦ってるって言う認識でいい?」

 

「ああ、2人とも山野博士に見初められたプレイヤーだからな。もしかしたら今回で片づいちまうかもな」

 

「バン君はわかるけどヒロ君は完全な初心者だよ?そんなのを師匠が選んだなんて……」

 

「まっ、そういうのは後で纏めて話すからよ」

 

 

ピシュン‼︎

 

 

「「えっ」」

 

 

突然Dエッグのバリアに穴が空きそこからアキレスディードが飛び出していった。その飛行速度はフライトデクーでも追いつけるものであったが、フライトシステムの連続使用で過負荷がかかっているため冷却モード中で即座に使用できなかった。

 

 

「……ねぇ、Dエッグって必殺ファンクションにも耐えられる仕様じゃなかったっけ」

 

「そのはずなんだがな……アキレスディードってそんなに性能たけーの?」

 

 

必殺ファンクションでもないただの射撃でDエッグが突破された事に商品としての欠陥を感じた2人は苦笑いでアキレスディードが飛び去った空を見つめていた。そしてバトルが終了したことによりバリアが解かれていき、バンとヒロの姿が現れた。

 

 

「2人とも大丈夫かい?」

 

「あ、ああ……でも」

 

「ッ、オーディーンが……これは酷いね。ボクじゃここからの修理は出来ないかも」

 

 

バンの手には、敵の攻撃で四肢の砕けたオーディーンの姿があった。誰がどう見ても全壊と言える。

 

 

「バン、レイ!!大丈夫か!?」

 

「「拓也さん」」

 

 

慌ただしい状況が収まったのを見計らってか、拓也がレイ達の下にやってきた。

 

 

「……君は?」

 

「コードネーム、コブラだ。山野博士の命令でアンタらのサポートに来た。気軽に呼んでくれ」

 

「ヒロ、この際だし自己紹介したら?」

 

「あ、はい!!大空ヒロっていいます!!よろしくお願いします!!」

 

「宇崎拓也だ。タイニーオービット社の社長をしている」

 

「八神レイだよ。LBXはブランクがあるからあんまり期待しない方がいいさ」

 

 

簡潔にだが、この場にいる5人の自己紹介をし本題に入る。

 

 

「ねぇコブラ。父さんからの命令って言ってたけど、まさかまたイノベーターが?」

 

「いや、今度の敵はそんな生ぬるいもんじゃねぇ」

 

「なんだと?」

 

(イノベーターが生温いって……ボク喧嘩売られてる?これでもイノベーター最強だったんだけど……)

 

 

コブラがイノベーターを生温いと言ったことに思うところがあり口元が引き攣っているが、その脅威度を伝える手段としてはイノベーターしか物差しがない。つまり仕方がないのだ。

 

 

「今度の敵はディテクター、そんで山野バンと大空ヒロ。お前らは世界を救うために山野博士に選ばれたんだ」

 

「父さんが……」

 

「僕が、選ばれた……!!」

 

「あれ、ボクは?」

 

「お前にはメッセージの媒体が渡されてたな。えっと……ああ、あった。ほらよ」

 

 

コブラがレイにUSBメモリを手渡した。

 

 

「い、今時USBメモリ!?」

 

「お前ん家ならあるだろうってさ。それに今時って言うけど、ほんの10年ちょいくらい前までそれだったからな?」

 

「あるけどさぁ……うーわ、128GB?いや動画なら十分か……こんな低容量初めて見たなぁ」

 

「ジェネレーションギャップ恐ろし」

 

「まあいいや、後で見とくさ。それでこの暴走騒ぎをおさめるにはどうすれば……ッ!!」

 

 

レイがコブラに問いかけている途中、爆音が聞こえてきた。

 

 

『世界中の人間に告げる。我々はディテクター。世界をこの手に頂くことにした』

 

「拓也さん、外だ!!」

 

「行くぞ!!」

 

 

5人が外へ出てトキオシアデパートの外壁を見ると、黒い外套に機械のような仮面をつけた男が空中ディスプレイに映っていた。

 

 

「あれが、ディテクター?なんか、趣味わるくないかな?」

 

「レイ、今はそんなこといいだろ」

 

「いや……まあ、うん」

 

 

そしてディテクターによる犯行声明が終わるとあたり一体での爆発がおさまった。

 

 

「LBXの暴走、ここだけじゃなかったのかな?」

 

「…………なんだと?分かった……トキオシティ駅でもLBXの暴走が起こっていたらしい」

 

「同時多発テロとかマジぃ……?」

 

「とりあえず対策を立てよう。コブラだったか、君は事情に詳しいようだが説明を要求する」

 

「おいおい宇崎の旦那、少し落ち着けって。まずはバン、山野博士からお前にこれを預かってるぜ」

 

「父さんが俺に?……これは、LBX!?」

 

「かっこいいパッケージですね!!エルシオン……って言うんですねぇ」

 

 

コブラが拓也詰め寄られる前に、バンに未開封のLBXのパッケージを渡した。どうやらオーディーンの代わりになる機体の確保は出来ているらしい。

 

 

「コブラさん、エルシオンのカタログスペックもらえるかい?出来ればヒロ君の機体の方も」

 

「おいおいマジかよ……あー、山野博士が『レイ君ならきっと欲しがるだろうから』って、預かってるよ」

 

「アッハハ!!さっすが師匠。弟子のことはよく分かってる♪」

 

 

コブラからLBXのデータをもらったレイは、コブラと拓也の話を聞きながら2機のスペックについて考察をしていた。

 

 

(ふむふむ……あれ?エルシオンってオーディーンよりも全体的に控えめな性能をしているねぇ。世界を救うんだったらバン君に合わせてもっと尖らせた機体を渡す方がいいと思うんだけど……それにヒロ君のペルセウス?は珍しく二刀流か。初心者が扱うのに二刀流はどうかと思うけど、ヒロ君も使いこなせてるらしいし攻撃に寄せてる分機動性は確保できてるね。あーなるほどね。これ、エルシオンとペルセウスの連携を前提に据えてるから機体性能が尖ってないんだ。ん?もう一機分データがある……ミネルバ?てことはもう1人選んだ子がいるんだ……)

 

 

「レイ、聞いているのか?」

 

「ん?LBXが暴走する現象を『ブレインジャック』。で、ブレインジャックを引き起こしてるのがその付近で最も処理能力の高い『司令コンピューター』ってのを止めればいいんでしょ。ハッキングでどうにかならないの?」

 

「出来てたらとっくにやってるさ」

 

「まっ、そうだよねぇ。じゃあ乗り込むしかないか。この辺で1番処理能力が高いコンピューターって?」

 

「おっと、それについてはもう調べてあるぜ。このトキオシアデパートの地下にそれらしい反応がある」

 

 

簡単に話をまとめたレイは、乗りかかった船だから仕方ないと協力するらしい。こっそりとヒカリに帰宅が遅くなる趣旨のメールを送って、改めて耳を傾けた。

 

 

「拓也さん、ここって……」

 

「ああ、旧シーカー本部だ」

 

「しーかーほんぶ?」

 

「え、シーカーって元々ここなの?変な場所に立ててたんだねぇ」

 

「イノベーターに襲撃されてから今の場所に設置したんだ」

 

「うーわ、イノベーター無能すぎ。さすがテロリスト」

 

 

事情を知らないヒロは首を傾げているだけだが、イノベーター事件に関わりのあるレイ、バン、拓也は会話を続けている。

 

 

「とりあえず制圧しよっか。威力偵察は空を飛べるボクのフライトデクーを先行させるからバン君はエルシオンの完成と調整もしてていいよ。一応、カタログスペックだけ見てバン君用のカスタマイズデータを送っておくから」

 

「あのデータだけで1人のプレイヤーに合わせたカスタマイズ案出せんのかよ!?さすが、山野博士の弟子は伊達じゃねえのな」

 

「ありがとうレイ!!よし、早速エルシオンを組み立てよう!!」

 

「あっ、僕も見学します!!」

 

「今のバン君には少し物足りないかもしれないからそこは適宜調整してくれるかい?」

 

「ああ!!」

 

 

バンのCCMに簡略化したデータを送信したレイは冷却の終わったフライトデクーを発進させるために準備を始めた。

 

 

(アミちゃんとカズヤ君のことは一旦仕方ない。連れ去ったってことは何かに利用したいってこと、悪いようには扱わないはずだし)

 

 

レイのCCMは通常のものとは違い、LBXのコントロール範囲が従来の2倍となっている。とりあえず限界距離まで偵察へ送り、それ以上はバンとヒロと慎重に足を進めることにしたのだ。

 

 

「よし……フライトデクー、テイクオフ!!」

 




首相官邸


「八神君、君達の能力を活かす時が来たようだ」

「ええ……」ソワソワ

「どうした?君らしくないぞ」

「……義娘が、タイニーオービット社の新製品発表会に行ってるんです。彼女なら大丈夫でしょうが心配でして」

「なんだって!?すぐに連絡をしてあげなさい!!レイ君になにかあっては一大事だ。詳細は追って連絡する。後は下がってくれて構わない」

「あ、ありがとうございます」


(総理は少し、レイに同情しすぎな気もするが……同年代の娘さんがいると聞く。きっと親心なのだろう)

無印編終了後W編までの1年間を書き綴る予定ですが、原作通りW編を優先するか時系列順に書くかどうしましょうか。

  • 1年間を先に読みたい
  • W編を先に読みたい
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