サイコをスキャニングされちゃう被験者です♪ 作:ゼノアplus+
「よろしくね、レイ、ヒカリちゃん」
「アミお姉ちゃん、今日はよろしくお願いします!!じゃあ行ってきまーす!!?
1週間ほどが経ち、ブルーキャッツには新たに店員が増えることになった。先日、救出されたアミだ。スレイブプレイヤーにされていた影響で弱っていたアミもすっかり回復し、そういえばと思いついたレイが募集をかけてみた所、リハビリ代わりに引き受けてくれたのだった。
今日のヒカリは外出のため店の手伝いは休みだ。元気よく挨拶して出かけて行った。
「まあ最初はお客さんの注文を聞いてくるだけで大丈夫だから気楽にやってね。何かあったら呼んでくれたらすぐ駆けつけるからさ」
「分かったわ。レイは何するの?」
「ボクは基本的に厨房だよ。今日はヒカリが遊びに行く日だから代わりにホールをお願いね。今日は平日だしよっぽど暇な無法バトル馬鹿かジジババが殆どだから簡単のはずだし」
「……私も今度地下でバトルしようかしら。アルテミスにも興味があるし」
簡単に業務内容を説明し終わると、アミはボソッと呟いた。
「いいんじゃない?今年のアングラビシダスの有償商品もアルテミス参加権利だから去年より盛り上がるよ。今日ちゃんとやってくれたらパンドラも渡すしさ」
「1日手伝うだけでパンドラを貰ってもいいのかしら……?」
「まあタダでパンドラを渡すのもなんだからさ、渡すための口実だよ。アミちゃんカラーを思い出しながら頑張って塗装したんだから貰ってくれないとボクが困っちゃうよ」
「あら、レイなら頬擦りするくらい喜んで自分の物にすると思ってたのに、意外だわ」
「…………さあっ!!早速仕事を始めようか!!」
「逃げたわね……全く、頑張りますかっ」
誤魔化すように声を上げながら厨房に入っていくレイに呆れながらも、アミはエプロンを着用してペンとメモを持ったのだった。
記憶力や理解力に優れているアミはすぐに仕事を覚えた。元々美少女であるアミは愛想も良く手際も良かったのですぐに客から受け入れられていた。レイもそんな様子に安心したのか、いつもより熱心に仕事に取り組んであっという間に時間が過ぎたのだった。
「お疲れ様、大活躍だったよ。高校生になって正式にバイトに欲しいくらい」
「それも良いわね。面接の手間が省けそうだわ」
「アッハハ!!アミちゃんなら顔パスで採用さ。何よりスタッフの美少女増えるのは客ウケが良いし!!」
「ナチュラルに自分のことを美少女って言ったわね……いやまあ、その通りなのだけれど。でもあんまり調子に乗るのも良くないわよレイ」
「ん?」
「化粧で誤魔化してるつもりかもしれないけど、目の隈が隠しきれてないわよ?1日くらいしっかり休んだらどう?最近ミソラ商店街でレイの名前を聞かない日は無いわ」
「あれ!?マジかぁ……あっ、ホントだ。仕事してる途中にちょっとメイク落ちたかな?」
本日は早めに業務が終わり、レイとアミはティータイムに洒落込んでいた。女子だけでお茶するのも久しぶりなレイだが、たまーにミカやリコが客としてくるので世間話くらいはしていた。
「ついにレイが化粧をする日が来たのねぇ。去年は服を買うくらいで喚いてたのに」
「服装は今も拘ってないよ。制服の上に檜山さんのファーコートに近いのを着てるだけだし」
「それでもレイくらい美人ならなんでも着こなせるのがなんかこう……女性として負けた気になるわ。特にこの乳」
「ひゃぁ!?なにするのさ!!」
話の流れにしては突然に、アミはレイの胸を鷲掴みにした。レイはすぐに身を引き両腕で胸を抑えてアミに抗議した。
「コレが1番ずるいわよ。ストリートスナップとか頼まれたことないの?」
「何度もあるよ。あと、モデルの勧誘もね。全部断ってるけど」
「勿体無いわねぇ、まあ興味がないことにわざわざ首突っ込む性格でもないか」
「よく分かってるじゃん。臨時収入としてはバッチリかもだけど、メディア露出はちょっと勘弁して欲しいよ。ただでさえ、小っ恥ずかしい異名がついてるんだからさ」
うげぇ、っとはしたなく下を出して首を振るレイに、アミは苦笑いしている。
「美人は美人で大変なのね。じゃあそろそろ帰るわ、パンドラもありがとう」
「うん。パンドラの試運転したら一応感想を聞かせておくれよ。微調整はアミちゃんもできると思うけど、優秀なLBXプレイヤーのデータはいくらあっても困らないからね。今作ってる新しい子も一応……多分?ナックル装備だから参考にしたいんだ」
「新しいLBX!?それはもちろん協力するけど……レイ、寝不足なのそのせいでしょ」
「アッハハ、そうなんだよねぇ……」
「アルテミス用なのは分かるわ、でもそれで私生活を疎かにするのは違うわよ?店の手伝いならいつでもしてあげるからもうちょっとちゃんと寝なさい」
「はい……わかりました……」
アミからの説教はレイにとってなかなかに効く。ショッピングモールに連れて行かれた時から真面目なトーンで詰めてくるので、流石のレイも素直になってしまう。
「キタジマによるついでにちょくちょく様子を見にくるから。言うだけ言って逃げようだなんて思わないでね」
「怖いこと言うねぇ……分かった。アミちゃんも病み上がりなんだから、無理はしちゃダメだよ」
「ええ。またねレイ」
「もしもし、喫茶店ブルーキャッツです」
『レイか?俺だ、拓也だ』
数日後、レイは休みの日に新機体の開発に勤しんでいたところ、突然拓也から電話がかかってきた。
「拓也さん?久しぶりだね、何かあった?」
『レイに、というよりは2代目レックスに頼みがあってな』
「……へぇ、それはそれは……どうしたの?」
2代目レックスに頼み、それはつまりアングラビシダス関連の案件であるということ。いつもより声のトーンが1段落ちたレイは真面目な案件だと理解したのか、拓也もそのまま話を続けた。
『バン達も今年のアルテミスに出場することになったんだが、ヒロ、ラン、ジェシカの修行の場としてアングラビシダスへ出場させて欲しいんだ』
「ジェシカって人は知らないけど、ヒロ君とランちゃんねぇ……出場者が増えるのは盛り上がっていいけど、知らないよ?」
『何がだ?』
「ボクが直々に鍛えたバカ共が、アングラビシダスのルールで暴れ回る。その意味を分かってる?」
『ああ、だからこそだ。君の元で鍛えられたプレイヤー達相手になら、彼らもいい修行になるだろう』
「ふぅん、そこまでいうなら登録しておくよ。ウチの奴らにも、全力でぶっ壊せって伝えておくさ。トラウマになっても知らないからね?」
『こちらも伝えておこう、頼むぞ』
「はいはーい……楽しみにしてるよ。世界を救う勇者様方のバトルって奴」
その後、細かい情報を聞き通話は終了、レイは手元のタブレットで出場者を登録した後、アングラビシダス会場へと向かった。
「よぉお嬢!!珍しいじゃねえか、休みの日にまでこんな所に。なんかあったか?」
「ああガトー、ちょっと皆を集めてくれるかい?話がある」
「分かったぜ。おいテメェら!!我らがお嬢がお話があるらしい!!こっち来い!!」
途中、すれ違ったのは首狩りガトー。去年のアングラビシダスでバンに敗れ、半年ほど前に2代目レックスとしての威厳を見せるためにレイの踏み台にされた哀れなブルド使いだ。レイによって究極ブルドを与えられてからその腕はメキメキと向上し、今では荒くれ者ばかりのアングラビシダスの連中のリーダー的な扱いをされている。簡単に言えばレイの舎弟だ。
「お嬢ー!!今日も綺麗だぜー!!」
「お姉様〜!!ぜひわたくしと燃えるような殺し合いをしてくださいまし!!」
熱い声援を受けながら、いつも通り玉座に座ったレイは片手をあげる。するとその前に集まっていたプレイヤー達はすぐに静かになった。荒くれ者らしく序列というのを弁えているらしい。
「ついさっきアングラビシダスに新しい出場者が加わった。この3名だ」
レイは背後に投影したモニターにヒロ、ラン、ジェシカの写真を映し出した。
「3人とも、普通のバトルしかやったことなくてね。山野バン、海道ジンのチームメイトとしてアルテミスに出場するらしいんだけど、その修行にウチに出るそうだ」
「「「「「「舐めてんなぁ!!!!」」」」」」
「アッハハ!!そうだね、その通りだ」
プレイヤー達からヤジが飛ぶ。この反応も予想通りであり、当のレイも話を聞いた時にはそう思ったので同意した。
「だが、3人とも山野バン、海道ジン、灰原ユウヤというアルテミス決勝で最後まで勝ち残った猛者から指導を受けているそうだよ。下手こいたら……去年の誰かさんみたいにやられちゃうかもね。ねぇ?ガトー」
「うげっ……去年見てたのかよお嬢……ああそうだ。確かに俺は山野バンを舐めてかかってぶっ壊された。だが今年はそうはいかねぇ!!山野バン本人が出てこねぇのはいけすかねぇが、アイツの弟子とやらを俺がぶっ壊せばいいんだろ、お嬢!?」
「そう、その通りだ。まあ何が言いたいのかって話だよね……お前達」
急にレイから威厳のある覇気が放たれる。プレイヤー達は久しぶりのレイからのプレッシャーに冷や汗をかくが、その口元は笑っていた。
「本物の
「「「「「「うぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!」」」」
「それと、万が一この3人が優勝、準優勝した場合の、景品であるボクのチームメイトの権利がなくなるわけだけど……そこはちょっとルールを変更する。ボクから見て、満足のいくバトルを見せてくれた奴を選ぶことにしようか」
「おいおいお嬢……そんなこと言っちまっていいのかよ」
「当たり前さ、元々ボク1人で出場しても問題ないんだからね。誰でもいいわけじゃないけど、どうせなら良いバトルをする奴をチームにしたいと思うのは妥当だろう?」
「ハッ!!ちげぇねぇ」
ガトーもニヤリと笑い気合いを入れたようだ。レイからすれば、荒くれ者だろうが本質はバトルが好きで強いやつが好きな素直な奴ら。好感が持てる人間ばかりなので気に入っている。そういう意味ではここはとても居心地がいい。
「アングラビシダスの開催までもうすぐだ。もう一度言うがルールがないのがウチのルール!!せいぜい励んでくれたまえ」
そう言って、更なる歓声を受けながらレイは自室に帰って行った。
「アッハハ!!楽しみだなぁ!!……そうだ、どうせなら当日はステージに細工でもしてみようか」
◆
日本へ向けて飛行中のダックシャトルの中で、6人のプレイヤーがバトルをしていた。バン達だ。
「まさかまたアングラビシダスに行くことになるとは思っていなかったよ」
「ああ、俺もそう思う」
「アングラビシダスってバンがアルテミスの出場権利を手に入れたとこよね?どんなとこなの」
「「地獄」」
「「「「えぇ…」」」」
バンとジンがランの問いに間髪入れずに答えたことで残りの4人が引き気味だ。
「あはは……でもあながち間違いじゃないかもしれないよ。なんたってあのレイ君が主催だからね」
「レイ?……レイってあの『白銀の戦姫』!?」
「うっそ!?私レイ選手のファンなんだけど!!本当に会えるの!?」
「レイさん……強いとは思ってましたけど、そんな異名がつくほど凄い方なんですね」
ユウヤが笑いながら言った言葉に、まだレイに会ったことがないジェシカとランが驚いている。ヒロに関しては、LBXを始めた最初の日にあっているのでそこまで驚いてはいないが、それでもLBXに慣れてきた今ならあの強さを理解してきたようだ。
「ヒロ知らないの!?去年のアルテミス決勝戦、見てないなんて勿体無い!!」
「私もあのバトルは録画してたわ。女性プレイヤーの代表と言っても過言じゃないくらいよ」
「レイ君か……久しぶりに会うな。ユウヤ、彼女の様子は?」
「元気そうだったよ、でも最近は忙しいんじゃないかな。喫茶店と、大会の主催を一緒にやってるし」
「やっぱりレイにも大統領暗殺阻止に参加して欲しかったけど、その様子じゃ辞めておこうかな」
ジェシカがたまたま去年のアルテミス決勝戦を録画していると言うことにより、修行組3人はその映像を鑑賞し始めた。その横でコーチ組は懐かしむようにレイについて話し始めている。
「えぇ!?なんで今の避けれるんですか!!」
「ここが凄いとこなのよ!!でもねヒロ、ここからはもっと凄い!!」
「うわぁ、やっぱりいつ見ても凄いLBX捌き。憧れる〜!!」
修行組が和気藹々と鑑賞勤しんでいるところ、ユウヤは自分の1番の黒歴史が仲間に見られている事実にから目を逸らしていた。
「うーん……やっぱり、あの決勝を見られるのは恥ずかしいなぁ」
「仕方ないよ。ユウヤも事情が事情だしさ」
「その通りだ。それにしても……レイ君が半年掛けて育てたアングラビシダスか。もしかしたらあの3人には荷が重いかもしれない」
「オタクロスに言って武器の制限を解除してもらう?」
「その方がいいかもしれないね。バン君、頼めるかな」
「分かった」
拓也やオタクロスといった大人組は本来A国で行われるアングラテキサスを修行の場に考えていたが、どうせ修行するならとレイに話を持ちかけ了承されたことで急遽日本へと行くことになった。その処理や移動で大まかな説明しかしていなかったため、アングラテキサスで話す予定だった制限をそのままにしていた。しかしレイの事をよく知っているコーチ組は、制限ありのアングラビシダスでは修行にすらならないかもしれないと思い、こうして色々と相談している。
「……ユウヤ、レイ君の
「うん……八神さんに聞かされた。僕も同じ条件じゃないとはいえ、他の人よりは短い命だからね」
「そうか。正直な話をすると、僕は今医学を学ぶためにA国に留学しているんだ」
「ッ!?それってもしかして……レイ君のため?」
「無論彼女のためだけじゃない。人に助けられて生きてきた、だから次は僕が救う」
「いいと思う。凄くいい夢だよジン君!!」
バンが離れたため、小声で話しているジンとユウヤはレイの寿命の方の事情について話していた。バンがすぐ戻ってきたため長く話せていないが、レイを慕う2人はそれだけで十分だった。
「2人とも、オタクロスから許可が出たよ。でも日本に着くまでは俺たちの武器を練習させる、アングラビシダスはルールがないから、万が一自分の武器がなくなってもコーチの武器が使えるように携帯させておくんだって」
「なるほど、妥当な判断だな」
「それじゃあ早速練習しよっか。3人とも、そろそろ修行を始めるよ」
「「「はーい」」」
ニックスの6人はアルテミス出場、そして大統領暗殺阻止のために強くなる事に気合いを入れている。6人は集まると修行を開始するために話し合いを始める。
「そういえば、バンとジンが言ってた地獄ってどう言う意味?」
「アングラビシダスはルールが無いのがルール。つまりLBXや武器の違法改造だろうが、レギュレーションで規制されているアイテムの使用も認められている」
「うわぁ、それってズルじゃないの?」
「皆ズルしていいんだから、それが常識ってことさ」
「ユウヤの言う通りだよ。俺が去年戦った相手だと、ハンマーに爆薬を仕込んでたり、スタングレネードを使ってきたり……一対一のバトルで3機同時に操作してたり、色んな方法で戦ってきたこともあったな」
「それって……見ただけじゃ相手がどんなバトルをしてくるか分からないってこと?私の記憶力でも、知らない事だらけのバトルになりそうね」
「そ、そんなバトルに真面目に挑んで……僕達勝てるんですか?」
「勝てるように修行するのが今の仕事だよヒロ」
「……そうですね、僕、頑張ります!!」
アングラビシダスがどういう物か十分に伝わったところで、修行組はさらにやる気を見せてきた。
正史では傲慢チキな面が見られたジェシカも、よっぽどの惨劇が繰り広げられるのが想像できたのか今回ばかりは油断なく修行に取り組む勢いだ。
「あれ……アングラビシダス出場選手リスト、ミカとアミの名前がある……え、出場するのか!?」
無印編終了後W編までの1年間を書き綴る予定ですが、原作通りW編を優先するか時系列順に書くかどうしましょうか。
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1年間を先に読みたい
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W編を先に読みたい