サイコをスキャニングされちゃう被験者です♪   作:ゼノアplus+

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一日名誉弟子……その名はレイ

4話

 

 

「起きろ。今日の実験は無しだ」

 

「…………もう慣れたよ。今度はなに?」

 

 

今日も今日とでなにがいつもと違うらしい。初めて外に出た日から数週間が経っている。そんなことを悟ったレイはいつものようにゴネることなくスッと起きた。どうやら過酷な実験ではないだけマシらしい。

 

 

「エンジェルスターは知っているな?」

 

「エンジェルスター……あぁ、神谷重工の重機工場だっけ。なに?今度はそこへいくの?LBX以外は興味ないんだけど」

 

「そこにLBXの開発者である山野博士がいるとしてもか?」

 

「ッ!!へぇ……良いじゃん。今すぐ行こうよ」

 

 

どうやらレイのお眼鏡に適ったらしい。レイは立ち上がると真崎から服を受け取り着替えた。

 

ガチャッっとロックが外れ扉が開く。出てきたレイはパーカーのポケットに腕を突っ込みながら歩き始める。駐車場まで行くともはやお馴染みとなった真野達の3人組が待っていた。

 

 

「……姐さん達暇なの?」

 

「なっ……嬢ちゃん失礼だね!ちゃんとした任務だよ」

 

「そうっすよ。警護は自分達に任せるっす」

 

「社畜なんだね」

 

「この子……どこでそんな言葉を……」

 

 

レイは幼少時よりこの施設にいるため変な言葉を覚えるなんてはずはないのだが……

 

 

「…………」

 

「アンタかい真崎!!年頃の娘の教育に悪いんだからやめなさい!!」

 

 

明らかに目を逸らした真崎を真野が咎める。細井と矢壁はそれを見て笑っている。レイはなんのことがわかっていないようで首を傾げている。

 

 

(……一応、技術面も買われてるから研究室で勉強してるだけなんだけど……まあ言わなくて良いかな。面白いし)

 

 

なんとかその場を納め、5人はエンジェルスターへ車で向かうのだった。

 

 

 

 

〜エンジェルスター〜

 

 

 

 

「八神さん?」

 

 

真崎の気の抜けた声が響く。エンジェルスター正面玄関で5人を待っていたのはレイ達が所属する組織、イノベーターの作戦実行を担う黒の部隊のトップ、八神だ。

 

 

「真野、細井、矢壁、お前達は私と共に来て欲しい。監視の任務は現時点をもって破棄する」

 

「「「ラジャー!!」」」

 

「どもー八神さん。お久しぶりです」

 

「……君か、いつも実験ご苦労」

 

「いえいえ〜、これも組織の崇高な目的の為って奴ですよ」

 

「…………そうか」

 

 

八神が苦渋の表情をしている。おそらく人体実験というのが気に入らないのだろう。そしてそれを当たり前のように受け止めヘラヘラしている少女に対しても。

 

 

「アッハハ。八神さん、そんな顔しないでくださいよ。そうですねぇ……一つだけ言いましょうか。

 

貴方にとっての()は、本当に貴方を照らす()なんでしょうか?もう少し、光度を落とせば見えてくるかもしれませんよ」

 

「なに?……それはどういう……」

 

「アッハハ!!それじゃあまた会いましょう八神さん」

 

 

八神がレイを引き止める前に、レイと真崎は歩き出していた。真崎に至っては全力で頭を下げている。八神もそれを見て毒気を抜かれたのか、伸ばしかけた腕を下ろす。

 

 

(私にとっての光……海道先生?彼女は一体なにを……)

 

「八神さん、どうしたんですか?」

 

「ッ……なんでもない、行くぞ(後でしっかり考えよう。アサシンの件もあるからな)」

 

 

八神達もエンジェルスターの内部へ入って行った。

 

 

ところ変わってレイと真崎の2人組は、エレベーターを何度か経由して最深部までやって来た。いくつかのコンテナを通り過ぎてたどり着いた一つの扉。真崎はノックした後その扉を開けた。

 

 

「……誰だね?」

 

「黒の部隊副隊長の真崎と申します山野博士。八神さんの部下です」

 

「ほぅ……君が『鬼神』か。噂は私の耳にまで届いているよ。黒の部隊最強のLBXプレイヤーだとね」

 

 

部屋の唯一いた人物。LBXの生みの親である山野淳一郎博士だ。

 

 

「ははっ、私には過ぎた称号です。私はただ自らに課された任務を遂行しているだけに過ぎません」

 

 

硬い口調で話し始めた真崎。そんな真崎を、レイはポカンとした目で見ている。二つ名がつくほどだとは思っていなかったのか、ウッソだろお前……みたいな顔をしている

 

 

「ああ、このアホ面を晒しているのが、あの研究所の実験体2号です」

 

「……なるほど、君がか」

 

「ほら、挨拶しろ」

 

「へ?……えっとご紹介に預かりました博士。ボk……私が……えっと……?」

 

「申し訳ありません。後ほどしっかり教育をしておきますので」

 

「構わないよ真崎君。それで、何の用でここに来たのかね?」

 

 

レイの緊張した挨拶を真崎が遮る。どうやら聞くに耐えなかったらしい。山野博士は手で遮ると真崎に話を促せた。

 

 

「この子はLBXの技術面にも精通していましてね。是非とも、LBXの開発者たる山野博士にご指導ご鞭撻をいただきたいのです」

 

「え……今日、そういう予定だったの?最近技術関係多くない?」

 

「それだけ組織はお前の才能を買ってんだ。大人しく教えてもらえ」

 

「ふむ……まあそれくらいならいいだろう。こんな生活が続いていると暇でね。私のようなおじさんの話でよければ何でも聞いてくれ」

 

 

山野博士は少し考え込むような仕草の後レイに向かって微笑みながら真崎の話を了承した。歳の近い息子が居るだけあって、子供には優しいのだろう。

 

 

「では、私は部屋の外で待機しておりますので」

 

 

そう言って真崎が部屋を出たことにより、博士とレイの2人だけが取り残された。

 

 

「君のことは何と呼べばいい?流石に2号なんてものは女の子に対して失礼だろう」

 

「はぁ……ではボク……じゃなかった。私のことはレイと呼んでください」

 

「分かったレイ君。それといつも通りに話してくれて構わないよ。別に公式の場じゃないのだからね」

 

「ありがとうございます博士」

 

 

レイは少し微笑んで博士にお礼を言う。

 

 

「どうやらレイ君は今日のことを聞かされていなかったと見える。突然のことで考えが纏まっていないだろう?」

 

「いえ……LBXで聞きたいことなら何個でもあるので大丈夫です」

 

「……君は、LBXが好きなのかい?」

 

 

山野博士は、目の輝き出したレイを見て恐る恐る聞いた。

 

 

「もちろんです!!LBXはボクの全てと言っても過言じゃありませんから!!」

 

「全て……か。君のような子にLBXを好きになってもらえて本当に良かった……しかし……そのせいで、レイ君の頭には……」

 

「それ以上は言わないでください山野博士。LBXが作られる前からボク達はここにいる。LBXがなければ、重機でもなんでも使って今と同じ実験をしてたと思います。でも……ボクはLBXと一緒にこの実験を受けれて嬉しいんです。山野博士……ボクとLBXを出会わせてくれてありがとうございます!!」

 

「…………そう言ってくれると、私も報われたような気分になるよ。レイ君、LBXを好きでいてくれてありがとう。君のような子供がLBXを笑って遊んでいるのを見るのは、LBXを作った者としてこれ以上ない幸せだ」

 

「はい!!」

 

 

2人は笑いあいながらLBXのことについて話す。レイはもちろんのことながら、山野博士もどこか熱が入っているように見える。

 

 

「各種フレームごとのコアスケルトンによる姿勢制御バランサーと、それに耐えうる金属インゴットの素材についてなのですが……」

 

「ふむ……良い着眼点だレイ君。君はどうやらブロウラーやパンツァーフレームが好きなようだが、まずは基礎中の基礎であるナイトフレームの構造からしっかり説明していこう。一般販売されているLBXのコアスケルトンに使用されている金属は……」

 

「…………なるほど、だからすぐに。今日一日よろしくお願いします博士……いや師匠!!」

 

「ははっ……師匠か。良いだろう……1日名誉所長ならぬ1日名誉弟子だ。レイ君、私の教えは厳しいぞ!!」

 

「望むところです!!LBXについてならなんでもかかってこいや!!」

 

 

「部屋の中の会話が怖ぇ……監視カメラを見てる奴ら、絶対寝てるだろこれ……絶対に関わらないようにしよう……」

 

 

部屋から漏れ聞こえる『技術者』と書いて『変態』と読む者達の会話に戦々恐々とした真崎は、何も考えずドアを守ることだけに専念した。そんなカオスな現場は、用があってエンジェルスター最深部までやってきた八神が仲裁に入るまで止まることはなかった。

 

 

 

 

 

〜約6時間後〜

 

 

 

 

「ねぇ……なんか慌ただしくない?」

 

「侵入者だ」

 

「え!!それってつまりボクのでば……「ねえよ」……だよねぇ……」

 

 

山野博士との対談を強制終了させられたレイは不機嫌ながらも先ほどまで博士が居た部屋で真崎と会話をしていた。博士はすでに八神と共に何処かへ行ってしまった後だ。

 

 

「どんな奴が来たの?」

 

「山野バン御一行様だ」

 

「アッハハ!!あの子達結構アグレッシブなんだね!!うんうん……やっぱり面白いや!!」

 

「はぁ……なんでも楽しむのは良いことだが、状況を弁えろ」

 

「でもでも、これって獲物が罠も仕掛けてないのに勝手にやって来たんでしょ。ちょーチャンスじゃん。ここで捕まえられなかったらイノベーターの崇高なる一員としては……まずいんじゃない?」

 

 

楽しそうな声で言うレイに、真崎はいつも通りお疲れだ。しかし最後の一言でレイは絶対零度のような声音になった。

 

 

「その通りだ。だが、神谷会長曰くなんの問題もないらしい。お前がテストしたインビットを使うそうだ」

 

「インビットッ!!あの子は頑丈で素早くて、武器腕による中近距離攻撃が出来る優れもの!!AIを搭載して少しブサイクになっちゃうのは仕方ないけど、あの子達じゃ無理かもね!!アッハハッ!!」

 

 

ハイテンションでインビットについて語るレイは楽しそう……と言うよりマッドサイエンティストのようなレベルの表情をしている。おそらく山野博士との対談の余韻がまだ残っているのだろう。

 

 

「お、おう……そう言うのに詳しく無い俺でも、インビットがすげぇLBXだって言うことは分かるぞ」

 

「アッハハ!!ねぇカメラとか無いの?是非ともインビットの勇姿を見たいんだけど」

 

「ふっ……そう言うと思ったよ。ほら」

 

「さっすが!!もう7年の付き合いになるだけはあるね!!」

 

「まあな……そうか、もう7年か……」

 

 

レイの声に応え、真崎は画面に監視カメラの映像を映した。4箇所に分かれた映像にはそれぞれ、停止状態のインビットが、デクーカスタムR(監視型)を破壊していくアキレス達が、それを操作しているバン達が、最深部であるここの扉の外が、映っている。

 

 

「デクーカスタムRやっちゃえ!!そこだ!!……なんで当たらないのさ。プレイヤーやる気あんの!?ああもうまどろっこしいなぁ!!」

 

「お前が満足するほどの操縦をできる警備員なんていねぇよ……なんてもん求めてやがる」

 

「はぁ!?出来るでしょこれくらい!!どうせボクはサイコスキャニングモードさえ使えるようになればもっと強くなれるんだからね。今のボクぐらい無いとイノベーター失格だよ!!」

 

「まぁ……ウチの練度の低さは認めるが……といっても、隊長格が強すぎてそれ以外の隊員との差で誤解されるだけなんだよなぁ……はぁ……世知辛い……」

 

 

机をバンバン叩きながら熱狂しているレイに、組織のLBXを扱う隊員のことで遠い目をしている真崎。先ほどの八神のように止めてくれる人はいない。

 

 

「あっ!!インビットいいぞそこだぁ!!……ってあぁ!?カメラが……くそっ、やってくれるじゃないかバン君。だがそんなことではインビットは……ハッ!?自動操縦だから視界がなくなるのか……無理だったぁ……」

 

「…………(俺、7年もよくコイツのお守り我慢して来たよ、うん……本当に)」

 

 

インビットがアキレス達LBXによって突破されるシーンを見てレイはさらに叫んだ。どうやらLBXを自動操縦にしているのがお気に召さないようだ。

 

 

「はぁ……まさかインビットがやられちゃうなんて……つまんないねぇ……もう用はないや。帰ろうよ」

 

「勝手すぎるだろお前……『PIRIPIRI』……はい、私です…………ッ!!そんなッ……相手はLBXですよ!?……分かりました……すぐに帰還します」

 

 

突如かかって来た通話に真崎は声を荒げている。レイは首を傾げながら電話が終わるのを待ち……真崎がCCMを収めた。

 

 

「……帰るぞ。奴らは終わりだ」

 

「どうしたの?」

 

「エンジェルスターマックスを使うらしい……流石に終わっただろう」

 

「ッ!?…………イノベーター、いったいどこまで。うーん……流石に厳しいかなぁ」

 

 

2人は帰宅の準備を始める。と言っても、立ち上がって埃を払っただけだが。

 

 

「あ、そうそう。これ……持っててよ」

 

「あん?なんだこれ……っ、LBXの設計図。お前……」

 

「貴方だってここには不満を抱いてるはずだよ。八神さんも。いつか必ず革命の時は来る。それまで持ってて」

 

「…………分かった」

 

 

こっそりと、レイはLBXの設計図を真崎に渡した。真崎は納得行かない表情だが、ここで騒ぎを起こしても何も意味がないので黙っている。それとも、レイの発した革命というのが気になっているのだろうか。

 

 

そのまま最深部を脱出する2人。しかし、その道は一つしかない。上へ行きたいレイ達と最深部へ行きたいバン達。両者が出会うのは、必然だったのだ。

 

 

「ッ……お前は!?」

 

「レイ……」

 

「どうして……貴女が……」

 

「アッハハ!!見つかっちゃった。ごめんねぇ……ボクこっち側なんだ♪ああ、この前は本当に知らなかったから許してね〜」

 

 

すれ違ったレイ達とバン達。バン達の顔は驚愕に染まりながらも絶望の色も見えている。

 

 

「とっとと行くぞ」

 

「はいは〜い」

 

「ちょっと待てよ!!……捕まえないのか?」

 

 

カズヤが最もなことを聞いてくる。

 

 

「生憎、俺達はLBXを持って来ていない。別件で来たのに面倒なことしてくれやがって」

 

「アッハハ!!今度バトルするときは一撃くらい命中させれるようになっててよね。じゃないと……思わずプラチナカプセルごと破壊しちゃいそうだから」

 

「「「ッ……」」」

 

 

レイから放たれる圧倒的なプレッシャーにたじろぐ3人。

 

 

「じゃあ本当に()()()。次会う時は敵だよ。ばいば〜い♪アッハハハハッ!!」

 

 

2人が3人に背を向けて去っていく。通路に響くレイの笑い声が反響してさらに大きく聞こえている。

 

 

「レイが……敵……?」

 

「この前のバトル、もしアンリミテッドレギュレーションだったら……」

 

「何も……出来なかったのよね……勝てるわけがないわ」

 

 

残された3人が呟く。以前キタジマ模型店で行ったバトルを思い出しているようだ。

 

 

「2人とも、とにかく前に進もう!!今は父さんを助けないと」

 

「そうね」

 

「ああ!」

 

 

3人は走る。すでにもぬけの殻となった最深部を目指して……いや、もっと巨大で、強大なナニカが……待っているとも知らずに。

一回の戦闘シーンは長い?

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  • ちょうど良い
  • もっと細かく描写して欲しい
  • トロイ弱体はよ
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