サイコをスキャニングされちゃう被験者です♪   作:ゼノアplus+

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ミニチュアハウスの中の人形

7話

 

 

アングラビシダスも残るは決勝戦のみ。すでにバン、アミ、カズヤとジンはステージで構えている。レイはと言えば、郷田やその他のバンの友達たちのところにすんなりと混ざっている。もちろん真崎も近くにいる。

 

 

「今までの選手にイノベーターの刺客はいなかった……つまり……」

 

 

郷田が小さく呟いた。

 

 

「アッハハ!!気づくの遅いよ郷田君。そう……彼さ」

 

 

レイは笑いながらジンを見ている。その目は笑っていないが。そして、開催者の檜山改めレックスとMCによるコールが行われた後、ついにバトルが始まろうとしていた。

 

 

「そういや、お前は山野博士の居場所は知らないのか?」

 

「うん?知らないよ。興味無いもん」

 

「そうかよ……」

 

 

『バトルスタート』

 

 

レイと郷田が軽く話しているとバトルが始まった。開始早々アキレスが果敢に攻め、その攻撃が一瞬当たる。しかし負けじとジ・エンペラーもアキレスに攻撃し、今のところ戦況は拮抗しているように見えた。

 

 

「……どんな感じだ?」

 

「うーん……単純な操作技術で言ったらジン君の圧勝。でも……バン君のアキレスにはあれがある」

 

「Vモード、起動!!」

 

 

バンが叫び、アキレスが黄金に輝いた。そしてバンのCCMもスクリーンが展開された。

 

Vモードを発動し性能が上がったアキレスはジ・エンペラーに一撃一撃をしっかり命中させ少なく無いダメージを負わせている。

 

 

「おお!!秒殺の皇帝相手に大立ち回りだ。このまま押し切れ、バン!!」

 

「そう上手くいけば良いんだけどね〜」

 

 

レイが呟いたと同時に、ジ・エンペラーが急にスピードが上がった。いや、ジンが先ほどよりも早くCCMを操作しているのである。ジ・エンペラーのスピードに追いつけていないアキレスはメイスで、蹴りで、タックルでダメージを重ねられていく。

 

 

「バン君のバトルで一番良くないのは、焦った事かな。大方山野博士の事でプレッシャーなんだろうね。時間制限のあるVモードを有効に活かしきれないと……ほら」

 

「Vモードが……終わった……」

 

 

レイが言った時、アキレスの体から黄金の輝きが失われ、バンのCCMも通常の形に戻った。

 

そこを見逃すジンではない。さらにジ・エンペラーを動かし追撃をかけて行く。アキレスに抵抗の隙は与えさえない。メイスを振るうと同時にアキレスの背後へ移動しさらに殴る。それを何回か繰り返すとアキレスは倒れた。

 

 

「ジン君、決める気だね」

 

 

ジ・エンペラーがメイスを両手で構え静止する。

 

 

『アタックファンクション インパクトカイザー』

 

 

ジンのCCMから音声が聞こえジ・エンペラーが動く。エネルギーを貯めて思い切りメイスを振り下ろすと……地面が割れマグマのような高熱のエネルギーが吹き荒れた。それはそのままアキレスへと向かって行き……アキレスが飲み込まれた……

 

レイが横目で郷田達を見ればアキレスが負けたと思って絶望したような目をしている。

 

 

「アッハハ!!それでこそ……それでこそ……AX−00に認められた人間だよ」

 

 

抉れた地面の中からアキレスが飛び出した。そのまま両者は仕切り直しとばかりに激しい激突を繰り返す。熱い攻防に会場も凄まじい盛り上がりを見せている。

 

 

「…………ん?」

 

 

レイは何かに気づいたように眉を細めたが、勘違いだと思ったのか何事もなさそうに視線を戻す。

 

 

『アタックファンクション ライトニングランス』

 

『アタックファンクション インパクトカイザー』

 

 

両者は同時に必殺ファンクションを放つ態勢になった。しかし……ジ・エンペラーが技を放とうとするタイミングで、その機動を停止した。

 

 

「あー……なるほど……これは驚いた。アッハハ!!面白いねぇ……」

 

「何が起こったんだ!!」

 

「単純さ。彼の操作スピードにCCMが追いつかなくなった。CCMが処理限界を迎えたんだよ……ボクの使う品は余程高性能って事か」

 

 

ジ・エンペラーは行動不能。つまりジンの負け、バンの優勝である。

 

 

「帰ろっか」

 

「何か言っていかないのか?」

 

「ボクの賛辞は無粋だよ」

 

「そうか」

 

 

真崎が近寄ってきてレイと話す。そのまま2人は会場を後にしようとするが……

 

 

「おい待て!!……帰る気か?」

 

 

郷田がそれを引き止めた。振り返ったレイは一言だけ郷田に告げた。

 

 

「バン君に伝言……アルテミスで待ってるよ」

 

「ッ!!……それは……」

 

「アッハハ!!じゃ〜あね〜」

 

 

レイと真崎は扉を出て行った。残された郷田はその場に少し立ち尽くした後、気を取り直してバンを祝うために彼のもとへ向かうのだった。

 

 

 

 

外に出た2人は、すっかり暗くなった商店街で立ち止まる。少しすると、扉が開きジンが出てきた。

 

 

「久しぶり……いや、キミは覚えていないだろうね。はじめまして海道ジン君」

 

「君は誰だ?」

 

 

笑顔のレイに対して、ジンは無表情でレイに問う。

 

 

「アッハハ!!無愛想だねぇ……まあいっか。名前は……あー……真崎さん?」

 

「言えば良いだろ」

 

 

レイは少し遠慮気味に真崎に問いかけ了承をもらった事でその名を言った。

 

 

「レイ……ボクの名前はレイさ。まぁ、立場的には一応仲間だからよろしくね。いや〜今日は惜しかったね!」

 

「……それだけなら帰らせてもらおう。爺」

 

「はい、坊ちゃま」

 

 

レイの言葉を軽く聞き流し、ジンは立ち去って行く。レイは少し頬を膨らませながらその姿を見送った。

 

 

「むぅ……なってないね全く。これだから最近の若者は」

 

「同い年だろうが。帰るぞ」

 

「はいは〜い。ちなみにさ、ボクも山野博士がいる所に行けたり……?」

 

「しないな」

 

「だよね〜」

 

 

どうやら現実は甘くないらしい。レイと真崎はそれから会話をすることなく、真野達が待っていた車に乗り込み研究所へと帰って行ったのだった。

 

 

 

 

〜研究所〜

 

 

 

 

「起きろ。実験の時間だ」

 

「おっはようございまーす」

 

「おう、いい挨拶じゃねえか。どうした?」

 

 

翌日、真崎に起こされたレイだがその声は明るかった。

 

 

「アッハハ!!もうすぐアルテミスでしょ?色んな強いLBXプレイヤーがいるんだ。きっと想像を絶するほど面白いんだろうなって思ったら実験でもなんでもかかってこいや!!」

 

「はいはい……そんなに実験をしたいならすぐ連れてってやるよ」

 

 

真崎が面倒臭そうに言うとレイの部屋のロックが外れ扉からレイが出てきた。

 

 

「行くぞ」

 

「はーい」

 

 

2人は無言で歩く。全く同じ色、形をしている通路は明らかに迷いそうだが、何年もほぼ毎日歩いている2人は迷うわけもなく歩いて行く。

 

いつも通り実験室の扉が自動で開き中にレイだけが入ると、すでに灰原ユウヤは椅子でスタンバイしている。ガラス越しに研究者達も実験の準備をしている。

 

 

「おはよーユウヤ君。そろそろアルテミス、頑張ろうね〜」

 

「…………」

 

「むぅ……そろそろ反応の一つくらい欲しかったんだけどな〜」

 

 

実験がある日は毎日行なっているレイの一方的な挨拶は、今日もユウヤからの反応はなかった。

 

 

『実験を開始する……所だが、今日は別のことをしよう』

 

「……はぁ?」

 

 

研究所の職員が所属する白の部隊のトップ、加納義一はマイクを通して告げてきた。レイは疑問の表情だ。

 

 

『アルテミス当日にはサイコスキャニングモードを実戦で行ってもらう。もちろんそこが初起動だ。そしてそれを補助する為に我々が開発したのが……このスーツだ』

 

「はぁ……?」

 

 

実験室に2人の研究員が入ってきた。それぞれに黒ベースで、片方には黄色、もう片方には紫が混じっている、全身を覆うようなスーツを持っている。

 

 

『今日は、それを着ながら特殊な水のプールの中に入ってもらう。なぁに、お前達はその中にいるだけでいい。スーツの補助効果のデータを自動的に脳波としてこちらでモニタリングするだけだ。ちなみにCCMの機能もあるのでそのスーツを着るだけでLBXの操作も行える』

 

「なるほどね……なかなかの技術じゃん。で、ボクはどこで着替えればいいの?」

 

『はん……お前もそう言うのを気にするのか。まあいいだろう、簡易的にだが着替え室を用意させてやる』

 

 

加納の態度に少しイラつくレイだが、抵抗も出来ないので大人しく展開された幕の中で着替える。

 

 

「ちょっと……これ着にくいんだけど、女の人に手伝わせてよ」

 

『今は手が空いていない。つべこべ言わずさっさと着ろ』

 

「もう……む?ちょっとキツいかも……仕方ないか」

 

 

ぶつぶつと文句を呟きながらレイはスーツを着る。2分ほどで着替え終わったレイはその姿をあらわにした。

 

 

「ねぇ……」

 

『どうした?』

 

「これさ、もしかしてアルテミスで着るの?」

 

『当たり前だろう。なにか問題でもあるのか?』

 

 

レイの表情の消えた問いに加納はさらなる問いで返す。

 

 

「問題しかないでしょ。一応ボクって架空企業の代表として出るわけじゃん?これ……客観的に見て破廉恥だよ」

 

『ッ……ぬぅ……確かに』

 

 

レイは13歳にしては発育が良い。その状態で割と体のラインがしっかり出てしまうスーツを着れば……流石によろしくない格好だ。このままでは架空とは言え企業の品格も疑われてしまう。加納も同意したのか少し言葉を唸らせている。

 

 

『分かった。アルテミス当日までにデザインについてはどうにかしておこう。今日はそれで行え』

 

「りょうかーい。それとアンタの隣で顔を赤くしながら前屈みになってるデブ、どっかにぶち込んでおいた方が良いんじゃない?」

 

『はぁ……?ッ!!貴様、なにをしとるか!!……連れて行け!!」

 

「アッハハ!!……キモいんだよロリコン。死ねよ」

 

 

ガラス越しでも分かるほどレイの周りの温度が下がった。その目はゴミを見る目だ。

 

 

『……ただの実験体であるお前に同情などしないが、お互い気苦労が絶えんな』

 

「アッハハ!!なに、愚痴?アンタは一切の容赦なく実験してれば良いんだよ。全ては……海道先生の崇高なる目的のために、ってね」

 

『お前に言われんでも分かっている。では入れ』

 

「……そういえば呼吸は?」

 

 

軽い会話の後、思い出したかのようにレイが尋ねた。全身くまなく水の中に入るため呼吸ができるか、と言う問いだ。

 

 

『問題ない。対策はしている。灰原ユウヤはもう入っているぞ。さっさと入れ』

 

「はーい……よいしょっと……もがっ!?」

 

『ふはは!!そう、お前達は入っているだけで良い。例え呼吸が出来なくともな』

 

 

加納に騙されたレイは、なにも対策されていない水の中で必死に息を止める。

 

 

(……加納ゥ!!貴様ぁぁあああああ!!)

 

 

しかし、それも長くは続かない。そのまま息が切れ、レイは意識を失ってしまった。

一回の戦闘シーンは長い?

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  • ちょうど良い
  • もっと細かく描写して欲しい
  • トロイ弱体はよ
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