シャングリラ・フロンティア ~Side:Alinoiyu~   作:ゆくゆく

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 短めです。


答えは近くに、然れど遠く

 

 「マジックエッジッ!」

 

 私の手から放たれた魔力の斬撃がヴォーパルバニーの急所を的確に捉える。

 

 「ぴぎゅぅ〜」

 

 はぁ、危なかった。

 

 「ザッド君、大丈夫だった?」

 

 初めての戦闘でキルされかけたら萎縮しちゃうかもしれない。そう思って声をかけたんだけど・・・

 

 「センパイ、スゴい!私もそんなふうになれるかな・・・?」

 

 あっ、これ心配いらなかったね。スゴいキラキラした目で見られてる。

 

 「うん、ザッド君ならなれるよ。それこそ私よりも強く。」

 

 これは本当に心から思っている事だ。私みたいに消極的な理由でやっているのとは違い、ザッド君には強いモチベーションがある。これならきっとどこまでもやれるだろう。

 

 「とりあえず、もう少し色んなモンスターと戦ってみようか。」

 

 「はい、センパイ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ、結構戦ったね。」

 

 「結構強くなったね、センパイ。」

 

 それなりに長い間戦っていたザッド君のレベルは10まで上昇し、私のレベルも一つ上がっていた。

 

 「うーん、でも結構時間経っちゃったしそろそろ帰ろっか。」

 

 「・・・うん、そうしよっか。センパイ。」

 

 まぁ、流石に道中は何も起こらないでしょ。

 

 

 

 

 

 

 ほんとに何も起こらなかった。なにか起きて欲しいわけじゃないけどね。

 

 「じゃあ、また明日学校で。」

 

 「うん、また明日。」

 

 ザッド君と別れてログアウト。意識が現実世界に戻ってくる。ベッドの上で転がりながら今日のことを反芻する。

 

 私にとってシャンフロは最初は単なるゲームだった。他の人がやってるし何となく始めてみよう。そんな程度のモチベーション。

 

 あの事件が起こった後も、大して気にはしていなかった。まぁ、割とソロがメインになったけど。それでも、単なる暇つぶしの道具に過ぎなかった。

 

 その後のレイドモンスター『彷徨う大疫青』との出会い。そして吶喊の果ての捕食。あれを機に私のシャンフロに対するモチベーションはゼロ以下になり、トラウマともなった。リアリティが過ぎれば、そこで起こったことはリアルにも影響を与える。正しく私の身に降りかかったことといえるだろう。

 

 そして、そこから数ヶ月後の今。どんな因果かアラブからの転校生と一緒にシャンフロをプレイしている。彼は私のトラウマを散々抉って、過去の傷を掘り返して、でも、私に道を示してくれた。何故、私は彼と一緒にいるのだろう。どうして彼は私と一緒にいてくれるんだろう。自分が信じられないから。他人を信じられないから。傍から見ればとてもわかりやすい答えの問題を悶々と考え続ける。そして、いつしか意識は闇に飲まれていった。自身の心の答えを見つけられないまま・・・

 

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