シャングリラ・フロンティア ~Side:Alinoiyu~   作:ゆくゆく

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分かたれた道、繋ぐ思い

 

 「え・・・・・・?」

 

 「私も人づてに聞いたから詳しくは知らないんだけど・・・あれ、ひょっとして知らなかった・・・?」

 

 「うん・・・・・・」

 

 知らない、知らない、知らない!何それ!え?転校!?何で!?!?

 

 焦る心の中とは裏腹に頭は冷静に動き言葉を発する。

 

 「いつ・・・・・・?」

 

 「確か・・・明後日、だったかな。」

 

 「や、ごめん。てっきり本人から聞いてるかと・・・」

 

 真理佳の謝罪が聞こえるが、思考はそれを考えずに深くに落ちていく。ザーイドくんが転校する。その事実がここ最近の彼の不可思議な言動に説明をつける。どこか上の空だったのも、シャンフロが楽しくなさそうだったのも全部転校するから・・・シャンフロを出来なくなるからなのだろう。詳しくは知らないが外国ではシャンフロは出来ない。つまり、ザーイドくんが転校する=シャンフロ引退ということで・・・・・・

 

 「・・・あ、あれ?なんか・・・涙が・・・・・・あれ?」

 

 「由衣・・・」

 

 「ご、ごめん!私なんか変だね・・・ゲーム友達がいなくなるなんて今更なのにね!うん!ホント・・・今更・・・」

 

 なのに、何で・・・何で涙が止まらないのだろう。後から後から流れ出てくる涙はまるで素直には出せない私の想いを代弁するかのようにとめどなく流れ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 「落ち着いた?」

 

 「・・・うん、ありがと・・・」

 

 まだちょっと泣きそうだけど・・・うん、ちょっと落ち着いた。ひとしきり泣いた後に襲ってきた感情は、もっと彼と一緒にいたいという純粋な感情。これが恋なのかは分からないけど・・・・・・何もしないで後悔するのはもう嫌だから。

 

 「私、ザーイドくんに聞いてみるよ。」

 

 「うん!頑張って!」

 

 真理佳は本当にいい友人だ。よし、この問題が片付いたら駅前のカフェでなにか奢ってあげよう。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、放課後。

 

 「ねぇ、ザーイドくん。ちょっと話があるんだけど。」

 

 「・・・それは私の転校に関係する話・・・?」

 

 ・・・やっぱり本当だったんだ。

 

 「・・・うん。聞きたいことも言いたいことも沢山あるの・・・話、出来ないかな?」

 

 「・・・・・・出来ることなら有野さんには知られたくなかった。決心が鈍りそうだから・・・」

 

 「でも、もう逃げられないよね。ちゃんと伝える。今日の夜、いつもの時間に私達の始まりの場所に来て・・・?待ってるから・・・」

 

 そう言ってザーイド君は走り去ってしまった。始まりの場所・・・始めて出会った場所は学校だけど・・・・・・多分そういうことじゃない。私と彼を繋ぐ理由となったもの・・・・・・シャングリラ・フロンティア。きっと彼はあそこで待っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

  「坊っちゃま、宜しいのですか?有野様にはお気持ちは伝えない、と言っていらしたのに・・・」

 

 「彼女に聞かれなかったらそうしてたよ・・・でも、聞かれたからには答えなきゃならないんだ。それで拒絶されたら・・・・・・私はそこまでの男だったということさ・・・」

 

 「・・・そうでございますか・・・であれば私から言うことは何も。」

 

 「うん・・・ありがとう。セバス。君は最高の執事だよ。」

 

 「・・・勿体なきお言葉にございます。」

 

 

 

 

 

 そして、変わらぬ想いと変わる未来を携え世界は変わる。

 

 

 

 

 

 「ここ、だよね・・・」

 

 私と彼が初めてシャンフロの中で出会った場所。ファステイアの広場。今も初心者で賑わうこの場所に私は足を踏み入れた。

 

 「・・・んー、早く来すぎちゃったかな・・・」

 

 「アリノイユさん、ごめん。待たせちゃった?」

 

 「あっ、ザッド君・・・ううん、私も今来たところだから。」

 

 なんかこれデートの待ち合わせみたいだなぁ・・・いやいや、これはあくまで単なる待ち合わせ。ザッドくんの転校の話をちゃんと聞かないと・・・

 

 「それじゃ移動しよっか。」

 

 えっ?

 

 「えーっと、ここで話すんじゃないの?」

 

 「ううん、ここじゃ人の目も多いし。それにアリノイユさんに見せたい場所があるんだ。」

 

 見せたい場所?どこだろう・・・

 

 「うん、分かった。案内してくれる?」

 

 「はい、手。掴まって?」

 

 え、え?唐突なラブコメ展開についてけないんだが・・・?

 

 「う、うん。」

 

 「【テレポートゲート(座標転移門)】!」

 

 え、それって転移魔法・・・!?なぜ使えるのか、どこへ行くのか。そういった疑問を口にする前に私の世界は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「んぅ・・・はっ、ここは・・・?」

 

 「あ、起きた?」

 

 「あ、ザッド君・・・・・・そう!さっきのアレ!転移魔法だよね!?何で!?どうやったの!?」

 

 「ああ、あれはクエストの報酬の魔法巻物(マジックスクロール)だから・・・もう使えないよ。」

 

 「そ、そっか・・・ってわああ!!」

 

 ちょっと恥ずかしくなり、周りに視線をさまよわせたのだが、そこにはとても美しい花畑が広がっていた。

 

 「わあー、綺麗・・・すごーい・・・」

 

 「良かった、気に入ってくれた?」

 

 「うん!初めて見たよこんな場所。隠しエリア?」

 

 「うん、ここにはモンスターはノンアクティブしかいないからこうやって眺めてる分には安全だよ。」

 

 すごーい・・・綺麗だなぁ。ちゃんと花の香りもするし、さすがシャンフロだなぁ・・・

 

 「・・・ねぇ、有野さん。話、してもいい?」

 

 「はっ・・・!あ、うん、いいよ!ばっちこーい!」

 

 うう、つい見とれてしまった。でもすごい綺麗・・・

 

 「そうだね・・・何から話そう・・・」

 

 「うん、まず有野さんが言ってたように私は転校します。転校っていうか国に帰る、って感じかな・・・」

 

 「・・・うん」

 

 そっか・・・帰っちゃうのか・・・じゃあシャンフロの中でも会えなくなるよね・・・

 

 「えっと、それで日本に帰って来れるかは分からないから・・・もう二度と会えないかもしれない」

 

 「・・・・・・うん」

 

 嫌だ・・・でも言えない。もっと一緒にいたいから行かないで!なんて・・・悲劇のヒロインにはなれないよ・・・

 

 「・・・だから、有野さんに聞きたいことがあるんだ。」

 

 「・・・・・・?聞きたいこと?」

 

 何だろうか・・・全く思いつかない。え、ホントに何だろう。

 

 「・・・・・・その、ね・・・」

 

 「???」

 

 「・・・・・・私の恋人として一緒に来てくれないかな・・・?」

 

 「んひゅっ」

 

 !?!?!?!?え、えええ、えええええええ!?

 

 「あ、え、え?んん!?!?」

 

 「あ、有野さん?大丈夫?」

 

 「あ、うん・・・大丈夫。」

 

 いや、全然大丈夫じゃない!恋人として!?いやいやいや、ええ!?

 

 「そ、それはそのー、わ、私と()()()()関係になりたいということでしょうか・・・?」

 

 こくん。頬を染めたザッド君が小さく頷く。

 

 んええええええ!!!いや、ザーイドくんの事は好きだけど!付き合いたいとかは特に考えてなかったし!住む世界も違うし!そもそもいきなり海外だなんて・・・パスポート無いし・・・

 

 「えっと・・・その、わ、私でよければ。はい。」

 

 「!ホントに!?」

 

 「わっ!・・・ほんとほんと。こんなことで嘘つかないよ」

 

 私の手を握ってキラキラとした目でこちらを見上げてくるザッド君は、その、なんて言うか女の子アバターなのも相まって完全に美少女。絵面が事故を起こしてる。

 

 「えーっと、それでね?・・・恋人になるのは大賛成なんだけど・・・いきなり外国に行くのは無理というか・・・パスポートもないし・・・」

 

 お母さんも許してくれなさそうだしなぁ・・・

 

 「んーー、ううーん・・・」

 

 「ねぇ、有野さん・・・その、私がまた日本に戻ってくるまで私の事忘れないで待っててくれる?」

 

 「待ってる!!」

 

 はっ・・・あまりの可愛さについつい速攻で返事をしてしまった。

 

 「ゴホン!・・・えっと、うん。待ってるよ。絶対。ザーイド君が約束を破るような人じゃないって信じてるから。」

 

 「うん・・・うん!ありがとう!!えっと・・・・・・」

 

 ?どうしたんだろう。なんか言おうとしてる?

 

 「ザーイド君、どうした」

 

 「由衣・・・さん?」

 

 「んぐぅっ!」

 

 とんでもない会心の一撃(クリティカル)を食らったわ・・・

 

 

 

 

 

 そして、2日後。ザーイド君は飛行機(自家用ジェット機)に乗って国に帰っていった。

 

 「ねぇ、由衣。ホントに追いかけなくて良いの?」

 

 「いいのいいの。私向こうの言葉喋れないし、それに約束したから。」

 

 「由衣がいいならいいんだけど・・・にしても花畑で告白かぁ・・・いいなぁ、ロマンチックじゃん。私もそんな恋がしてみたいなぁ・・・」

 

 「あはは・・・そうだ、真理佳。この後駅前のカフェでお茶しない?奢るからさ。」

 

 「え、どうしたの急に。まぁ、奢ってくれると言うならお言葉に甘えさせてもらうけど・・・」

 

 「んー、まぁ色々な感謝を込めてって感じかなぁ・・・」

 

 「何それ。まぁ、いっか。行こ!」

 

 「うん!」

 

 当分ザーイドくんに会えないのは寂しいけど、まだサンラクさんに謝るという目的も果たせていない。そうだな・・・次会った時に色々話ができるように色んなことをしよう。まだまだ時間は沢山あるのだから・・・・・・

 

 

 

 

 

 ピンポーン

 

 ザーイド君が旅立って約一ヶ月後、急に家のベルが鳴らされた。

 

 「はーい」

 

 何だろう。宅配便かなにかかな?

 

 「はいはーい、どなたですか・・・・・」

 

 「・・・・・・・・・・え?」

 

 「・・・・・・ただいま、由衣。」

 

 色んな感情が駆け巡り、何も言えなくなる。伝えたいこと、言いたいこと。色々な言葉が頭の中で浮かんでは消えていく。でも・・・

 

 「・・・・・・・・・・・・おかえりっ・・・!」

 

 

 




 というわけで、これでシャングリラ・フロンティア〜Side:Alinoiyu〜は完結です。唐突な終わり方&途中長らく更新が止まっていて非常に申し訳ないです!気が向いたら、なにか番外編的なものは書くかもしれません。知っている方も多いと思いますが、この作品はシャングリラ・フロンティア本編を書いている硬梨奈さんがTwitterで言っていた案を元に書いた作品です。初投稿ゆえ、拙い部分もあったであろう拙作をここまで応援してくれた読者の皆様には感謝の念しかありません!特に初期の頃から感想や評価をつけてくださった読者の皆様。あなた達のおかげでここまで続けられたと言っても過言ではないです。作者は褒め言葉に弱いので、だいたいコメント付けられるとその日は一日中ニヤニヤしてました。あとは、シャンフロの二次創作でまた新しいものを書こうと画策しているのでそちらも気が向いたら投稿します。その時はまた応援していただけると嬉しいです。

 本当に今まで応援していただき、ありがとうございました!!
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