シャングリラ・フロンティア ~Side:Alinoiyu~   作:ゆくゆく

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零れる思い、止まらぬ言葉

 

 ふぅ、何とか逃げきれた・・・直接なにかしようとしてきた人はいなかったけど無言の圧力が痛かった・・・!特にあの(え、逃げるの?)みたいな目・・・うう、過去のトラウマが・・・

 

 「アリノイユさん?大丈夫?急に唸り出して。」

 

 「あ、うん、大丈夫。ありがとう・・・えーっとなんて呼べばいいかな」

 

 「ん、ああ。言い忘れてたね。シャンフロでは僕はザッド。よろしくね、アリノイユさん。」

 

 「うん、よろしくね。ザッド君。」

 

 「アリノイユ様、私のことはセバスとお呼びください。」

 

 「うん、セバスさんもよろしくお願いします。あと、さっきは助けてくれてありがとうございました。」

 

 「いえ、お礼は結構ですよ。執事として当然のことをした迄です。」

 

 それでも感謝の気持ちは伝えたい。結局私は先輩なのに何も出来なかったからね・・・

 

 「あ、そうだ。アリノイユさん、さっき絡まれた時僕達のことを守ろうとしてくれたでしょ?ありがとう、嬉しかったよ。」

 

 え!

 

 「いやいやいや!私なんて何も出来てないし!結局セバスさんが全部やってくれたから・・・」

 

 「ううん、剣を構えてたでしょ?結果がどうとかじゃない。僕のために何かしようとしてくれた。その気持ちが嬉しいんだ。」

 

 だから、ありがとう。そう伝えてくれたザッド君だけど、私にはその感謝の気持ちが痛い。だって、思っただけで何も出来ていないなんて過去の私と何も変わらないのだから。

 

 少しは変わったと思ったのだ。絡んできた男を追い払うために1歩を踏み出した時。けれど何も変わってなどいなかった。頭の中で思うだけで何も行動などできない。そんな女に人から感謝される価値などあるのだろうか。

 

 「・・・・・・そんなことない・・・・・・」

 

 自然と口から言葉がこぼれる。

 

 「え、何か言った?」

 

 悪気は無いのだろうその態度が今の私には酷く癪に障る。

 

 「そんなことないって言ったの!私はあなたに感謝されるような良い人じゃないの・・・!」

 

 激情は止めることは叶わず、言葉となって世界に顕れる。

 

 「いくら思っても意味ないんだよ!実際に動かなきゃ!ザッド君みたいに恵まれた人には分からないよ!」

 

 熱に浮かされたように茹だる頭の中で、どこか他人事のように冷めた思考が警鐘を鳴らす。これ以上はいけないと。

 

 だけど、止まらなかった。好意を知らないから。彼の気持ちを考えることも無く。

 

 

 「私は遊びでこの世界に居られないの・・・遊びたいだけなら他の人とでいいでしょ・・・?もう私なんかに関わらないでよ・・・!」

 

 そのまま逃げるようにログアウトをした私の薄れる視界の中、酷く傷ついたようなどこか寂しがるような悲しい目をした彼の顔が見えたけど、それもすぐに掻き消えてしまった。




 これ、本来ラブコメになる予定なんすけど
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