異世界転生とはエンタメである。
私はノンフィクション番組〈異世界転生〉のプロデューサーであり、君たちにはわかりやすく神と名乗っておこう。ここで気をつけてほしいのが、私が名乗っている神は実際の神ではない。君たちから見て、それに近しい何かだ。形容するものがないからそう名乗ってるに過ぎない。今回は、〈異世界転生〉の作り方を教えよう。
さて、まず、主演の書類審査だ。死後の魂となった彼らの生前の行いや趣味などが記された書類に目を通す。ここで異世界系のライトノベルやゲームを好んでいたもの以外は大体落とされる。たまに例外もいるし、それはほんのわずかなので今回は無視する。
次に対面式の面接である。
「な、なんだ、ここは!?俺はさっきまで通学路を歩いていたはず」
『おぉ、死んでしまうとは情けない』
オタク相手には大体この言葉で落ちつく。どうやら、生前の世界で有名なワードらしい。おかげ様で楽してる。
『覚えてないのか?お前は死んだんだぞ』
「俺が死んだ?」
大抵、死んだ直前の記憶がないため適当な死因をでっち上げます。ほとんどがトラックに轢かれる場合が多いです。理由にしやすいし。
「トラックに轢かれて…そっか、あの時」
『実はその件で謝らないといけないことがあるんじゃ』
簡単にまとめると、
・間違えて殺した
・だから、異世界に転生させる
・ついでに凄い能力をやろう
「ほ、本当か!」
『本当じゃ、お詫びじゃしな』
そうそう、
「なあ、俺が生まれ変わる世界では魔法とか使えんのか?」
『使えるぞ』
「お、よっしゃ。で、チートとかは…」
『それはこのガチャを引いてくれ』
「ん?ガチャ?」
『このガチャを引いて書かれている能力を授かれる。普通の人間だと運がよくて一回だが、お主は儂が間違えて死なせってしまったから三回引いてくれ』
「よし」
ガチャというのは便利だ。こちらが想定していないものを言われるようなこともなくなるし、大体のやつらは喜んで回して文句も言わない。なんて夢のマシーンなんだ。
一時期は不老不死やら催眠能力とか言うやつらが多くて困っていたんだ。
「お、全魔法適正」
『ほう、無難じゃのぅ』
「次は魔力Z…?これって凄いのか?」
『凄いぞ、神を除いたらお主が最大の魔力を持ってることになるからの』
魔力のランクはEから始まって、D C B Aと上がっていく。まあ、これは分かる。AからなんでSになるんだよ?アルファベットって知ってるか。Aの前はないんだぞ。
そして、Sの次はSS SSSと続く。いや、なんでS並べんだよ。そこに意味はねぇだろ。で、SSSの次がZ。…うん、なんでSを4つ並べねぇんだよ、いきなりZとか意味不明すぎるだろ。
「最後は成長促進。なんか、地味だな」
『よし、三回引いたね。じゃ、転生しようか。君がいく世界は〈ゼイン〉。いわゆる、剣と魔法の世界。3、2、1』
「うぉっ、ちょっと待て!まだ、聞きたいことが…」
彼を転生させる。これでようやく対面審査は終わりだ。ぶっちゃけ、彼は逸材だ。元の世界では異世界チーレムものを好んでいた。さらに学校では人気ものというポジションではなく、よくいるそこまで特徴がない、まあ、簡単に言ってしまえばモブ的立ち位置。さらに、中二病というのを気付かない程度に発症している。がっつり発症してるほうだと会話にならないからNG。
今回は、彼が主演で決まりだな。あとはヒロインにとある国のお姫様やらなんやらを決めれば、よしこれで完了。
これで転生者くんがチート能力ではちゃめちゃ行動を冒したりチーレムを作ってくれるのを、放送で流すだけだ。
放送の際は生まれたばっかりのときや睡眠シーンはがっつり消す。だって需要ねぇし。
よし、これで番組撮影開始である。
◇◇ゼイン◇◇
俺が目を覚ますとそこは異世界だった。銀髪オッドアイになった俺。
どうやら、俺はこの国の公爵家に生まれたらしい。
それから、数年後、俺は国の魔法学園に通うことになった。
通う際、魔力量チェックがあり、なんなく合格。というか、歴代最高値だったようだ。嘘だと言われたから魔法で体育館?を凍らせれるとみんな黙ってしまった。
あれ?これ、氷魔法の最下級魔法の『アイス』のはずだけど、俺なんかやっちゃった?
そこからはてんやわんやで、この国の王女と仲良くなったり、闇に落ちた他国の王子と戦ったりした。さらには、魔王と戦うことになった。魔王が悪さをしてるとのことだったが、実際に会ってみたら、美少女で悪さをしてるようには思えなかった。調べてみると、魔王ではなく、魔王の側近が悪かった。なんかそいつが言うには邪神の復活が目的だとか。しかし、そうはさせない。俺が絶対阻止してやるぜ!
◇◇◇
大分、ダイジェスト風に語ったが、今期はこんな感じだ。これがウケる。我々の世界では視聴率は驚異の25%超え。ファンレターもよくくる。
ファンレターには
「こんな能力はどうですか?」
「今回も面白かったけど、好みの女の子がいなかった」
とかが多いかな。積極的に意見は取り入れようと考えている。だから、たまによくわからない能力をチートとして渡すことがある。それは許してほしい。
これがノンフィクション番組〈異世界転生〉の作り方だ。
君も興味を持ったのなら、どこかのサイト、いやノートに異世界転生ものを書いてみるといい。いつか、番組にできるかもしれないぞ
ここまで読めた方。単純に凄いです。
ゆっくり休んでください