パワフルプロ野球ポケット 〜両利きのエース〜   作:人類種の天敵

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すいませんお久しぶりです。
仕事が忙しいうえに書いても書いても納得出来ない無限ループに陥っていました。というか出来上がった今話も正直微妙な感じです。
先の展開は妄想出来るのにそこに行くまでの話を書くのが難しいっていう……。あとパワプロアプリで真央ちゃん当たらなかったんでそれも失踪の原因の一つですかね(適当)。


変な夢と野球の神様

 

 

 

 

 

 

俺は夢を見ていた。

 

夢を見ていると言ってもどう説明すればいいのか。

 

身体はピクリとも動かず、ただボーッと目の前にあるマウンドを眺めていて、マウンドには1人の投手とバッターボックスに立つヒーローのコスプレをした打者がいた。

 

赤青黄ピンク銀と色彩様々なヒーローのコスプレをした打者達。

 

このヒーローもどき達は格好こそふざけているものの、今の俺ではどこに投げようが打たれてしまうと予感出来るほど打者としての実力を持っていると、その立ち姿や構えで解った。

 

ーーードシン!

 

ーーードシン!

 

ーーードシン!

 

そんなヒーローもどき達を相手に豪快なフォームのオーバースローで目にも止まらぬ速さのストレートを投げ続ける右投げの男に、俺はただ、「凄い」という感想しか抱くことが出来なかった。

 

ーーードシン。ドシン。ドシン。

 

胸を張り、腕を高く高く上げたワインドアップ。

 

ゆったりと左足を上げ、右足は爪先立ちをしているものの、それは大地に突き刺さった案山子のように体を揺らすことなくピンと立っていた。

 

そこから左足が地面を踏みしめれば連動するかのように左肘が勢いよく背中側へ突き抜け、白球を握りしめた右腕は垂直の軌道をなぞり打者目掛けて放たれた。

 

打者の遥か頭上から放られたストレートは地面にバウンドする軌道を描くも、浮いていると錯覚してしまうほどのスピン量で低めスレスレを抉り。ドロンと縦に割れるカーブは打者のタイミングを著しく狂わせてバットを空振らせ、ストレートと同じ速度で、しかも手元で鋭く変化するカットボールとスプリットが鈍い音を轟かせば打者はその衝撃に堪らずバットから手を離す。

 

こうして青いヒーローを。黄色のヒーローを。ピンクのヒーローを。緑のヒーローを。色味様々なヒーロー達をその豪速球で捩じ伏せていくその男は、赤色のヒーローが打席に立った時、ふと左手のグローブをこちらへ向けて口を動かした。

 

ーーー俺の投げる姿を、よぉく見とけよ。

 

俺が習得しようとしている投球フォームに酷似した、否、正に完成形と言えるフォームで持って打者を次々葬っていく姿は、男の背後に断頭台を幻視させ、知らず知らず背筋を凍りつかせた。

 

そして男と赤いヒーローの勝負が始まった。

 

バットを構えた途端に鳥肌が立つ程のオーラを纏う赤いヒーローと、それを全く意に介さず、それどころか見下すように鼻で笑う男。

 

外角低めに落ちるドロップカーブ。内角低めに突き刺さるストレート。ボールゾーンへ逃げるカットボールと、男が投じた3球は全てがボール球の判定となる。

 

その間赤いヒーローはバットを振るどころか身動ぎ一つしないーーーいや、動くことすら出来なていなかった。

 

ヒーローは恐れている。

 

男のストレートを、投球を、まるでギロチンに掛けられる罪人のように。

 

そして、投手と打者の戦いにおいて、相手に怯える事は即ち投手と打者に明確な差が存在し、敗北を意味している。

 

ーーこいつらに手こずってる暇なんてねえんだ。

 

ズドン

 

ズドン

 

2球立て続けに外角と内角に撃ち込み、相手を追い込んだ男の視線は、そもそも打者を見てすらいない。

 

ーー俺達に遊んでる暇はない。

 

ホームベース手前に叩きつけられるように投げられたボールは地面に跳ねる直前にギュルギュルと音を唸らせ、バウンドするー!!と確信した俺と赤いヒーローを嘲笑うかのように上昇し

ストライクゾーンの真ん中を螺旋を描くように穿った。

 

赤いヒーローは膝を突き、やがて体が透けるように消える。

 

ヒーロー達を打ち取った男は帽子を脱ぎ捨て、俺を見た。

 

ーーバッターボックスに立て。俺の投げ方を教えてやる。

 

その素顔は紛れもなく俺自身の顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゅんちゅんちゅんちゅん

 

「はっ……!」

 

ガバッと体を起こす。

 

あぁ、変な夢だった。昨日は真央ちゃんと雪山に登山に行って危うく遭難し掛けて疲れていたのかもしれない。

 

しかし遭難することを想定して下見をしていたのか真央ちゃんに連れられた洞窟で一夜を過ごすことになり、そこで洞窟の奥にポツンと建ったお社を見つけた時はまあ……男心が疼いたよね。

 

 

 

 

昨日

 

「『野球神の祠』ぁ?(うっわー胡散臭そうなのがぷんぷんしますねぇ!)」

 

腐っている上に虫食い状態でボロボロのお社にはデカデカと野球神の祠と書かれていて、一目見るだけで村人は誰も立ち寄らないんだろうなーってのが分かる。

 

「……雨風凌げて便利」

 

「えっ。もしかしなくても住んでる?此処に?」

 

コクリと頷く真央ちゃん。え、マジか?よく見てみると打ち捨てられたソファやら冷蔵庫やら、え?ブラウン管?あんなもの久しぶりに見たぞオイ。

 

「いや、流石にこんな場所……え?真央ちゃんてホーム……」

 

こんなボロっちい場所に、しかも山に幼気な女の子を済ませるってやばくないか?え、親は?育児放棄?虐待?捨てられた?やばいやばいやばいやばい。これ親父に相談しないとやばい案件過ぎるだろ!?

 

「と、とにかく真央ちゃん!今日からこんなゴミの掃き溜めみたいな所じゃなくてちゃんとした家っていうか俺の家で生活しよう!うん!そうしよう!」

 

そうと決まれば一刻も早くこんな所から真央ちゃんを連れて行こうと手を掴むが突然頭に頭痛が走り出す。

 

『小僧!黙って聞いていれば好き放題抜かしよるのう』

 

(な、なんだこれ!?頭に誰かの声が響く!)

 

『儂は野球の神様じゃ!野球男児であれば儂のことを知っておろう!』

 

いや、知らねーよ。

 

『む、むう。そうか。しかしこの野球の神様たる儂のお社をゴミの掃き溜めと呼ぶとは失礼な奴じゃ』

 

「あ、いえ。「ゴミの掃き溜め」じゃなくて「ゴミの掃き溜めみたいな所」って言ったので間違えないで下さい」

 

『煩いわ!どっちでも失礼な事に変わりないわ!』

 

なんだか分からないが老人を怒らせてしまったらしい。

 

「と、所で野球の神様ともあろうお方がなんでこんなボ…………………んー………ボ〜…………」

 

『………』

 

「………古風?……いや無いな…えぇ?じゃあ…すぅー。んー…………」

 

『………』

 

「……趣ある?」

 

「そう、そう!趣ある!趣ある!」

 

『喧しいわ!ボロっちいと言い掛けて別の言葉探すのに時間かけすぎじゃろ!語彙力を鍛えんか!』

 

勉強は嫌いだ。特に数学。

 

『ろくな大人にならんな。お主』

 

「うぐ。そ、それは置いといてなんで野球の神様が住んでる社がこんな悲惨な事になってんですか」

 

『………それはのう』

 

神様の声の調子がさっきより暗くなる。

ということは何か村人との確執とかそんな事があるんじゃないかと期待しry

 

「ただ忘れられただけ」

 

『ちょ、おwお主w確かにそうだけどももうちょっと言い方あるじゃろwwあるじゃろwwww』

 

なんでも無いかのように言う真央ちゃんとセリフを取られた上に何故かツボって爆笑し出す神様。

 

「………うっそーん」

 

ほんとなんなんだこの人?

 

『とまれお主。この小娘は我が社を悪しき者どもから守る役目を持っておる。連れて行かせるわけには行かんのう』

 

「えっ?」

 

「……たまに変な奴らが来る」

 

「変な奴?」

 

「そう」

 

変な奴ってあの魚の被り物をした?アレみたいなやつが来るってことか?

 

『奴らに場所を特定されるとちと面倒なのよ。野球はせんくせに願い事ばかり厚かましい奴らでのう……おお!そうじゃったそうじゃった。そういえばお主、昔儂が願いを叶えてやったじゃろう』

 

「は?」

 

『惚けるでない。……ん?お主忘れておるのか?ふうむ。ちょっと待て………これは、どうも継承が不完全な状態になっとるのう。出力をする時に何か不純物が混じったかのう?うーむ分からん』

 

(え!?不純物!?出力!?)

 

『まっ!特に気にせんでもええわい。とかくお主も山に入ってくる不届き者を小娘と一緒にしばき倒すなら小娘と懇ろになるのも構わんぞ』

 

「ねん……?はぁ、まあ此処らへんは爺さんの土地らしいんで怪しい人が来ないように相談しますけど」

 

『うむ!それならついでに止まっている継承もこちらでなんとかしてやろう。早速今日から効果がある筈じゃ』

 

「はぁ。ありがとうございます?」

 

こうして野球の神様と不思議な祠で出会い、その日の内に親や爺さんと相談して真央ちゃんはパワ村家に住む事になり、変質者が山に立ち入らないようにする為の対策も立てた。

 

そして今日見たのが右投げオーバースローの男とヒーロー?達の試合だったんだけど、これが神様の言ってた「継承」ってやつなのだろうか?どうにもヒーロー戦後の夢の続きを思い出せそうにない。

 

なんかおしっこちびりそうだったのは朧げに残ってるんだけど……。

 

「まぁ、あの投球フォームやストレートの威力と変化球はしっかり目に焼き付けてるんだしいっちょ投げ込んでみよっと!」

 

夢の中のあの投球フォームを頭の中でなぞりながら投げ込みをしてみるとこれまでよりも指の掛かりや全身の勢いをボールに乗せて投げる感覚が掴めた。

 

それでもまだ、あの男が投げるストレートは程遠かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、今回のはどんな奴だった?」

 

「話にならねえ。つーか継承が不完全なのはどういうことだよ?」

 

一面に紫色の花を咲かせたマウンド、同じ野球部のユニフォームを着た男2人が話している。

不思議なことに彼らは背格好や顔など、全くの瓜二つ、まさに同じ人間が2人マウンド上に存在しているかのようだった。

 

「さあ?もしかしたらもう打ち止めなんじゃない?」

 

ニヤニヤと笑う男の言葉に左腕にグローブを嵌めた男は苦々し気に表情を歪める。

 

「チッ。自分は関係ない面しやがって。あの時お前が救えていれば終わったはずだろうが」

 

「僕に言われたってね。最初は固定エンドってソレ、厳しすぎなくないかい?そもそも、三代目ってことで右と左で投げれたって言ってもヒーローもニトロも厳しいんだよねーいやホント……阿部様はね?」

 

「………………ふ、フン。俺は諦めないからな。例えアレに才能が無くたって継承さえ終われば問題無い」

 

「ああ、その通りさ。僕らは今度こそ真央ちゃんを救ってみせる……所で彼の記憶探ったけどさ。彼を追い出した新しいエース。アレ……臭いよねぇ」

 

「…………そこを含めて全部捩じ伏せればいいだけの話だろ」

 

あーあ、と右腕にグローブを嵌めた軽い調子の男が肩を竦める。

 

「これだから脳筋1号は。真央ちゃんの好感度が足りなかった人間は違うね」

 

「ハン。ソレはお前もだろ。しかも何を血迷ったか発狂して手当たり次第に攻略し出した挙句に全員に刺されれて終わりやがってよ」

 

「ハァー!?僕のルートは強制的フラグだったんですぅー!バカ過ぎて補修で練習に参加させてもらえなかった頭の足りてない脳筋は黙っててくださいねー!」

 

「アァー!?お前のは所詮クラスの頭の良い子を口説き落として必要な知識だけ身につけただけだろ!あとお前だって補習受けてたろが!」

 

「ノンノン。補修も必須イベントだっただけなのでノーカンでーす」

 

「やるかテメエ!?しょーもねー変化球ばっかの見かけた倒しクロスファイヤーがッ!」

 

「脳筋理論のジャイロボールよりマシだよねー!なんだよ気合で投げれば浮き上がるって……バッカじゃねーの?こちとら相手の思考を読み切った上での繊細な投げ方が要求されるんだよ!」

 

「………」

 

バスンバスンとグローブを叩く音が聞こえる。

ホームベース付近にはいつの間にかキャチャーマスクを被った男が座っており、振り返った投手2人に「良いから投げてみろよ」と視線で投げかけている。

 

「フン。まあ、手数と底維持の悪さだけは買ってやるよしょんべんサイドスロー」

 

「ほーん。まっ、相手の心を折るストレートの速さだけは認めるけどね。ストレートゴリラ」

 

この2人の投手は、存在しない甲子園を沸かせた無名の投手である。

 

片やMAX160kmのストレートに異常な回転量で以って浮き上がるストレートを実現させ、数多くの打者の心を折ってきた〝悪魔の右手〟と恐れられた投手。

 

片やありとあらゆる変化球を曲がり始めやその変化量を自在に操り、消えるシュートさえ投げたと謂われた、数多の観客どころか打者をさえ魅了した〝神の左手〟と呼ばれた投手。

 

そして2人の周囲に1人、また1人と同じ顔、同じ体格の男達が集まり始めた。

 

一人一人が存在しない甲子園にて自らの高校を優勝へ導いてきた類稀な能力を持つ選手ばかりだ。

 

彼らには共通してある一つの目的があり、この夢の世界で自らの技術をパワプロに継承していた。

 

「時間だ。継承を始める」

 

今日もまた、夢の世界でパワプロの悲鳴が上がる。

 




阿部様をマウンドに立たせてはいけない(迫真)
阿部様をマウンドから追い出すために投手でプレイすれば点がなかなか取れず、打者でプレイすれば阿部様がマウンド上で輝きを放つジレンマ。

ガンダー戦はちょこまか動いて冷静にヒーローをコロコロすれば良いんで実質のラスボスはニトロ。あと真央ちゃんのイベントフラグェ……


右投げの男……初めてヒーローを打ち破った男。高高度から打者の足元へ突き刺さるストレートから断頭台と呼ばれ、後に頭のおかしい回転量でホップするジャイロボールを会得してからは悪魔の右手と恐れられた。脳筋。自称力の一号。

左投げの男……完璧超人だったが強制イベントフラグによって持ち越しせざるを得なかった男。彼女の記憶を失った後、心にポッカリ開いた穴を埋めるように複数の女性との関係を作り、それが元で刺されて死んだ。打者を観察するのが得意で相手の思考を呼んだ投球術や変化球から神の左手と称えたが、唯一彼のクロスファイアの餌食となった者は死神の鎌と恐れた。自称技の二号。
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