新訳・転生マブラヴ オルタネイティヴジェネレーション移設版 作:うさぎたるもの
1984年 7月20日 佐渡島の大会議室からマークが出ていくと、ほかの契約者も我先に通信室施設の部屋に我先に向かって歩きだしていたが、たが一部の国々やすでに一族や友人、親友、恋人、妻、子供がいない契約者のパイロット達は、国元の外務省などにやはり電話をかける事が多いが、それでもそのような人々が同じ国ならば、まとめて代表がテレビ電話で連絡をしていることが多かった。
実際にこのテレビ電話のシステムの多くは火星政府が地球側に提供したシステムの一つだ、特に国や重要施設、または契約者の家族がいる家などに機材を火星軍が持ち込んで、家の中に設置しているのだから、このテレビ電話のシステムも契約者に貸し出している機械の一つに入っているために、それぞれの国が問答無用で破壊したり、ばらしたりできる代物ではなかった。
その為か火星政府側は地球側の国々にライセンス契約として一部の技術は提供はしているのだから、そんなさなかにも篁家にはやはりテレビ電話が取り付けられていた。
じりりりり じりりりり じりりりり じりりりり じりりりりり じりりりりり
じりりりり
「はい・・・もしもし篁家です、元気にしていましたかしら貴方」
そう黒電話風に発信音が変えられているテレビ電話の前に正座で座って話しているのは、今はこの家を守っている【篁 栴納(たかむら せんな)】という女性であった。
そしてその女性が抱っこしている赤ん坊こそが【篁 唯依】という名前を付けられた元気な女の子がすやすやと眠っていたのだから。
「すまないな、このような機会でもなければ、私は日本や君に通信など送れないからね」
その表情はなんだが、おかしいのかテレビ電話は相手の顔の表情もしっかりと映してしまう、栴納が抱いている唯依ですらはっきりとわかるのだ、だからこそ何かしらの重大なことが発表される事かもしれないと黙って栴納はテレビ電話の前で正座をしつつ唯依をあやしていた。
「君には本当につらいことになるかもしれないが・・・実は火星政府が地球側と交渉した結果【とある場所のハイヴ攻略戦】を十月にはする予定になってしまった」
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その時通信を黙って聞いてしまった篁栴納はこの情報が本当であると自らの旦那の言葉や表情で完全にわかってしまったのだ。
「・・・・・・・・・・・・そうですか・・・・武家の篁家として名誉なことなんでしょうが・・・・私としては・・・この子に父親を合わせてられない可能性があるということなんですね、貴方」
「あああ・・・そういうことだ、すまない、栴納・・・日本側としてもう一つのチーム・・・あいつ等は確実に不参加するらしい・・・日本としても契約者のチームは二チームしかいないからな、このような危ない賭け事で二チームごと失うわけにはいかないだろう」
「それは・・・そうですが・・・あの方は・・・」
「それは言ってやるな、あいつも苦渋の決断なんだ、あいつは日本帝国側で俺は近衛側の代表という形で契約者になっている、だからこそ余計に日本の近衛がある程度戦えるということを他の国々に示さないと意味はないしな」
実際に篁の言っていることは何も間違いではない、実際に他の国々も二チーム以上いるならば確実にどちらかを残す選択はするのだから、だからこそテレビ通信部屋の小部屋が今は大渋滞をしているのは、国によっては全員参加もありえるからだ。
だがリスク管理の利点からもそれは流石に危なすぎると、どの軍人や国の上層部も思っていた、だからこそマークが言った120席という数は現実可能な数では丁度良かったのだ。
ハイヴ攻略戦はどの国々もやりたいと思っているが、もし失敗したら、全滅したらあり得ないほどのリスクを抱えるているのだ、今回の契約者達も本当ではハイヴ攻略戦はやりたくはない、確かに天秤は人類側に戻ってきているがそれでもやりたくないものはやりたくないのだ。
だが彼らは軍人である、つまりはマーク中将という契約者のトップから命令を受けてしまえば、それがどんな命令で有ろうともやるしかないのだらか。
「それで、遺書は九月中旬頃にはそちらに郵送してもらえるように手配は済むようにする予定ではあるが・・・・・・・娘の唯依が成長した姿を見れないのは残念ではあるが・・・あいつに全てを任している、最悪の事態を考えて栴納も篁という家を守ってくれ」
「はい・・・・・・わかりました・・・・・・・・・・あなたこそ・・・生きて必ずかえってくださいこの子にも私も・・・またあなたの姿を見たいと思いますから」
「ああわかっている・・・栴納を未亡人にはしない予定だ、火星軍の機体は我々が作って乗っている戦術機よりも何世代も上の性能を有している、だからこそ大丈夫だと思っている」
実際に武具などを作り出してきた譜代の家柄である当主の篁が言っているのだ、彼は戦術機のテストパイロットや開発部門を任されるほどの腕前であり、技術者の一人でもあったのだ。
故に技術者やパイロットの視点からみればいかにトルネードガンダムカーディガンタイプが化け物モビルスーツなのかよくわかっていたのだから。
「それにこちらの機体はすべてにおいて粒子兵器が搭載されている、BETAの数だけのごり押し程度ではこちら側がキルスコアを沢山稼がせてもらっている」
「そうですが・・・・・・ですがわかっていると思いますが・・・私もまだ体が弱いままです、そして唯依もまだ生まれて間もないんですよ、だからこそちゃんと戦場から生きて帰ってきてください」
「それは分かっている・・・そろそろ時間がくるからな今は佐渡島いる契約者の多くが故郷や様々な人々にこうして私のように君のような人々にテレビ電話をするからね、制限は一時間と限られているんだ」
「そうでしたか・・・では今度のこちらに帰ってくる時は必ず言ってくださいね、手料理の肉じゃがを沢山作ってあなたの帰りを待っていますから」
「あぁ・・・君の肉じゃがを食べるのを楽しみにするよ、栴納」
「はい、貴方様も息災でお元気で」
「君もな」
こうして契約者の篁のテレビ電話が終わる頃には、ほかの国々からやってきた契約者のメンバーの多くも一時間という制約の下で、テレビ電話越しで今回のハイヴの場所や正確な時間などは教えないようにうまく会話をする契約者の姿が通信施設の小部屋から出る人間や逆に入る人々によってかなりの時間、通信施設の小部屋の前に契約者達の行列が並んでいた。
こうして一週間の間に契約者達が祖国や大事な人々に教えたハイヴ攻略戦の情報は静かに民間人のコミュニティや軍隊のコミュニティに広がっていく。
ただし、いつどこのハイヴを攻略するかは、まだ火星政府も地球側の国々も発表はしていなかった、これはテロ組織のキリスト派閥を警戒しての事であった。
難民救援組織という組織は存在はしているがテロリストの温床にはならずにすんでいた、確かに火星政府が地球側に介入する前は難民組織の中にも一部の過激派テロリスト思考持ちが多くいたが、火星政府と軍隊が難民キャンプのテコ入れ等に積極的な支援をしてしまえば、彼等の本来の目的は自分達の食べる所や仕事や住居が欲しいであった。
特に食べ物が悲惨であったは間違いではない、だがその食べ物事情が火星政府と軍隊の行動でほぼ解消されてしまったのだ、つまり過激派の殆どは目的が消滅したために空中分解したことも大きかった。
だがキリスト派閥だけは完全に別物であった、彼等は完全に宗教の聖書に人々に試練を与える存在がこのBETAであると完全に信じた存在が多いのだ。
実際に火星政府と軍隊はなんとがキリスト派閥のテロリストの行動に悩まされたこともあった、結果作戦が行われる時期や時間を完全に外部に言うということは契約者達もできなくなってしまった。