その才能の制御は難しく、ヒナギクはこれからもきっと完全制御は出来ないだろう。
そんな才能をヒナギクは意図せず使ってしまった。
あらゆる知識を知ることが出来る才能だが、とある条件で更に幅を増やすことが出来る。
『触れる』ことで自身の知識にない情報すらも知識として『知る』ことができる。
その才能を意図せず使ってしまったのは、シロガネヒカルを平行世界から帰る際に運んでいる時。
数年後の未来に、世界に、時間に、空間に
その時にその才能は発揮された。
シロガネヒカルの未来の情報を知ってしまった。
十年も経たない内に、どんな世界でも彼が命を落とすことを知ってしまった。
世界と時間を超えながらそんな事を知ってしまったヒナギクは愕然とし、ヒカルを運びながら迷子になりつつも、なんとか元の世界に戻ってきた彼女は考えるまでも、悩むまでもなく、当然のように彼を死から守ることを選んだのだった。
あらゆる世界、あらゆる時間で自分自身が手を尽くし、それでも彼を守れなかったことを知った彼女は自身が天使であることを利用して天界から彼をサポートすることに決めたのだった。
自身のこれからよりも、彼のこれからを選んだ。
普通であれば選ばないどころか考えつかない選択肢ではあるが、あらゆる世界の自分自身が失敗したことを知った彼女は天界に行くことを迷わなかった。
ヒナギクは誓ったのだ。
彼だけは守ると。
弱くて頼りにならなかった頃から一緒に努力してきた。
彼を一人で騎士王の元に置いて行った無力感はもう味わいたくなかった。
彼の胸を槍で一突きにされた時のような絶望感はもう御免だった。
だから彼女は迷わなかった。
………そのはずだった。
彼が必死に天界に行く事を止めてくるのも振り切ってまで我を通した。
彼女はもちろん天界から彼を見守るつもりでいた。
街でとある花を見かけるまでは。
その花には女神からすれば少量の、神以下の存在からすれば大量の神聖が込められていた。
もちろん悪い人間には使えないように幾つものプログラムが掛けられていた。
だが、ヒナギクにはそんなことはどうでもよく、重要なのは『願いを叶える』ということに特化した花だということだ。
これを使えば、天界に行かずに済むのではないか。
そう思ってしまうと、ヒナギクは悩み、葛藤した。
何を願えば天界に行かずに済むのか。
いや、この花は女神エリスが街の子供達の為に用意したものだ、使う訳にはいかない。
そんな考えがヒナギクの頭の中をぐるぐる回り、ふと思いついたのだ。
自分はギリギリ、本当にギリっギリ子供なのでは?
もし自分が子供なら使っていいのではないか、と。
そう思い始めると、なんだか使っていい気がしてきたヒナギクは最終日まで悩みに悩み抜いた末に、五本の花と自身の天使の力を使い、
────世界を変えてしまうことにした。
106話です。さあ、いってみよう。
106話
ピピピピピピピピピピッ!
「おわっ!?」
突然部屋に鳴り響く音に飛び起きる。
一瞬何が起きているのか分からず半狂乱になったが、
携帯電話のサイド側のボタンを押すと音はすぐに止まった。
「………??」
この携帯電話に違和感がする。
いや、
買い替えたのは別に最近ではないはずなのだが、どうにも気になってしょうがなくて携帯電話を眺めていると、更に違和感に気付いた。
俺の腕、こんな細かったっけ、などと考えていると
バタンッ!
「どわっ!?」
俺の部屋の扉が開け放たれて、俺が驚いていると、一人の少女が姿を現した。
今度こそ違和感を感じ、更に突然部屋に入ってきた驚きで俺は完全にフリーズした。
俺の部屋に入ってきた曲者は、一瞬俺を見て目を丸くしていたが、数秒後には怒りの表情を浮かべ始めて口を開いた。
「……おはよう、ヒカル。起きてるのに何で着替えないの?」
「はあ?何言ってんのヒナ?」
そう聞き返すと、余程俺の発言が気に入らなかったのか鬼のような憤怒の表情を浮かべて、部屋に俺が干してある
「寝坊助!着替え!ご飯!学校!」
「え、ちょ、分かっ、あぶっ!?」
シャツにワイシャツとズボンはしっかりキャッチしたが、トドメの靴下が俺の顔面にクリーヒットした。
「早く!」
「わ、わかったわかった。着替えればいいんだろ」
俺がそう言って着替え始めると、ヒナが顔を朱に染めてあたふたしながら後ろを向いた。
何でこいつ、俺に着替えろって言ったくせにこんな恥ずかしがってんの?というか部屋出ればよくない?なんて考えながら、俺はすぐに着替え終わった。
夏服のおかげで着る物が少ないからだ。
俺が着替え終わった事を言うと、ヒナは俺を引っ張って朝食に向かった。
人の家だと言うのに遠慮も無しにおかわりを三杯パクパクしたヒナはニコニコで俺の家族に挨拶をして、俺達は学校へ向かった。
何故平然とヒナが俺の家や俺の部屋に勝手に入り込み、挙げ句の果てには飯まで食い散らかしているのかというと、答えは簡単で
ん?なんか変な感じだな、違和感がする。
いや、幼馴染でもこんな事普通ありえないからだろう。
桜井雛菊。通称ヒナ。
家が隣同士で、幼い頃からだいたい一緒にいるような仲だ。
ヒナの両親が多忙でよく家を留守にしているので、心配した俺の家族は親がいない日はこっちに来る様に言ってしまったせいで、あんな蛮行が許されているというわけだ。
俺の家族はヒナが大好きで、家の鍵まで渡しているので、年がら年中毎日俺を叩き起こしに来る。
ヒナの両親が忙しいと言ったが、何の仕事をしているかは知らない。
というか知りたくない。
噂じゃ極道だとかヤクザもんだとか聞いているが、今更そんな事を知ったところでヒナとの関係が変わるわけでもないんだし、知っても知らなくてもどうでもいいことだ。
………別に怖いわけじゃないけどね。
ヒナの父親が「カチコミに行ってくる」とか、ヒナの母親がウチの組がどうとかこうとか言ってるのを聞いたことなんて無いからね全然。
オレハナニモシラナイ。
登下校で毎日通ってるはずの道なのに、この異様に湧き上がってくる気持ちはなんなんだろう。
じゃあ、どこに行くというのか。
それは全く分からないが、学校に行くことだけは間違っているというか、変な気がした。
これはまさか何かの超能力や予知能力でも身につけてしまう前兆だというのか。
いや、ただの中二病か。
というか学校に行かないとして、やることも特に無いし、自由な時間を得るというメリットに対して、デメリットが大きすぎる。
まず学校側に怒られて、何か罰が下る可能性がある。
次に家族に怒られる。
父親を怒らせるのは面倒だ。
最後にヒナ。
ぶっちゃけこの中で一番面倒なのがヒナだろう。
きっと耳栓を貫通する声量でブチギレてくるに違いない。
さて、そのヒナが先程からずっと隣から俺のことをジロジロ見てきている。
学校までまだ少し歩くし、ガン無視してバカなことに頭を回すのもアホらしくなってきたし、いい加減声をかけるか。
「なんだよこの野郎」
「ヒカル、なんか荷物少なくない?」
「あ?こんなもんだろ?」
教科書とノートは持って帰ってないし、特別必要な持ち物は無かったはずだ。
俺のスクールバッグに入ってるのは筆記用具とかの必要最低限なものだけで中身はスカスカだから、気になったのだろうか。
「ちゃんと道着持ってきた?防具は?」
「は?道着?防具?」
「えっ!?まさか持ってきてないの!?」
「持ってくるわけねえだろ、アホか」
何で学校に持って行くんだよ、痛い奴じゃん。
そんな心底驚いたみたいな顔をされても、俺の方が驚きだし、そもそもうちの学校に空手部は無いぞ。
「今日道場の日でしょ!?学校が終わったらそのまま行かないと間に合わないよ!」
「いや、別に学校があるんだからしょうがないだろ」
「持って来て、そのまま道場に行けば遅れずに済むのに!ああもう、家から出る前に持ち物の確認をすればよかった……」
ハンカチ持った?ティッシュ持った?道着持った?帯は?防具は?ってか?
持たねえよ馬鹿野郎。
というかこいつの背負ってるリュックが登山用ぐらいデカいのはそのせいか。
せっかく中学生になって女子の制服を着るようになって、男と間違われなくなってきたのに、これじゃ効果半減だな。
「とりあえず学校終わったら走って帰らなきゃだね」
「走らねえよ」
「何でさ!」
ギャンギャン吠えてくるヒナを無視していると、ようやく学校に着いた。
校門を通り玄関に入って、下駄箱へ。
靴を履き替えて、ヒナの後ろを付いて行くと教室に辿り着いた。
「あ、おはよう。ヒナちゃん、シロガネ君」
「おはよー」
「おはよう」
我がクラスの学級委員長でもある彼女は極度の人見知りで、一年経ってようやく友人らしい話し方をしてくれるようになった。
………はずなんだけど、何故か違和感がする。
見慣れたはずのクラスメイトなのに、何故だろう。
ヒナはゆんゆんの席に向かい、親しげに話し始めたので、俺も自分の席へと向かった。
まあ、ゆんゆんの隣なのだが。
ゆんゆんは窓側の一番後ろの席、その前がヒナで、ゆんゆんの隣が俺、そして俺の前でありヒナの隣が……
「おはようございます、今日も夫婦で登校とは羨ましい限りです」
「夫婦じゃねえ。あとついでに、おはよう」
「出来れば挨拶はついでにしてほしくなかったのですが、返してくれただけよしとしますか」
憎たらしいイケメンスマイルを浮かべて挨拶して来たのは
留学生で注目度も高く、中学生のくせに身長は170後半、学校一の美少年と名高く、弓道の全中優勝者でもある。
完璧なイケメンと言っていいのだが、マイペースだったり、学校の女子のほとんどがトリスターノに好意的で男共からの嫉妬を買っているせいで友達が極端に少ないことぐらいしか悪いところは見つからない。
「夫婦ではないと仰られていましたが、確かに年齢的にまだ籍は入れられませんからね。失礼しました」
「年齢とか籍とかの問題じゃねえんだよ馬鹿野郎。これ以上アホな発言をしてみろ、この怒りん坊が鉄拳を……ってお前どうした?」
「ト、トリタン。ぼ、僕達は別に夫婦じゃないから………──」
怒りん坊、もといヒナの言う通りなのだが、何でこんな顔を赤くしてるんだ?
ヒナが最後の方に何かを呟いていたが、聞こえなかった。
まさか照れてる?
いや、トリスターノのことが好きなのか?
それなら赤面するのには納得だが、少しだけ複雑な気分だ。
「これは大変失礼しました。お詫びにヒカルさんのとっておきの情報を差し上げます」
「え、なに?」
「おい」
何で俺の情報が出されなきゃいけないんだ。
「ヒカルさんの携帯の中に私達の年齢で見てはいけない画像や動画が……」
「お前ふざけんなこの野郎!そ、そんなの無いからねマジで!やめてくれない、そうやって嘘こくの!」
「ヒカル、後で確認するから」
「何でだよ!もしあったとしてもお前が確認する必要は無いだろうが!プライバシーの侵害だぞ!」
「シロガネ君……」
ゆんゆんにまで非難の目で見られるのは何なんだよ。
というか、ゆんゆんの顔が少し赤いということは俺が持ってる動画とかの内容の予想がついてるってことだよな。
意外とむっつりなのかもしれない。
気が合うかもしれないね、俺達。
「嘘かどうかは確認していただければわかるかと」
「うるせえ!お前は言っちゃいけねえことを言ったんだよ!表出ろこの野郎!」
「残念ながら私は弓道の大会と趣味のアーチェリーが控えてますので、それはご遠慮します。では!」
「やかましい!待てこの野郎!」
「はあ、これだから男の子は……」
「あはは、でも楽しそうだよね」
逃げるトリスターノを追いかけると、背中からは呆れた声が聞こえてきたが、今は気にしている場合では無かった。
つまらない。退屈だ。
異様なまでにそう感じた。
座って授業を受けるという行為がどうしても自分に合わない気がする。
黒板は文字で黒から白へ埋まって行くのだが、俺のノートは白から白へ、つまりは空白のままだった。
今までの授業の分のノートを見ると、それなりにしっかりと書かれていた。
…………わかりやすくまとめてあるかどうかは別として。
真面目にノートは書くが、内容は理解は出来ていない。
俺は……いや、昨日までの俺はそんな感じだった。
じゃあ、今の自分は?
ノートも書かず、授業も聞かず、内容も分からず、ボーッとするただのバカ。
それがわかっているのに、俺はやる気にならなかった。
昨日までの俺と、今の俺にどうしてここまで差があるのか、それが気になってしょうがなかった。
今日の授業が終了し、ホームルームも終わった。
ただ時間が過ぎ去るのを待つだけだったが、それも終わって俺がほっと一息吐いていると、
「ヒカル、行くよ!」
「あ?うおおおああああ!?待て待て待て!」
俺がカバンを手に取る間も無く、俺の手を引っ張り、引き摺って行く勢いのヒナを必死に止めると、心底不思議そうな顔で振り返ってきた。
「なに?」
「なに?じゃねえ!荷物持ってねえし、何をそんな急いでんだお前は!」
「道場に遅れるって話はもうしたよね?」
「だからって走って行かないって話もしただろうが!だいたいこの時期に走ったら汗ダラダラで道場に行く前に体力使うことになるわアホ!」
「ヒカルの方がアホだし、そのぐらいの体力もないから大会で良い戦績が取れないんだよ!」
「なんだとこの野郎!」
「喧嘩なら受けて立つよこの野郎!」
俺が一歩ヒナへと踏み出したあたりで、周りのクラスメイトからの『まーたやってるよ』みたいな視線に気が付いた。
ゆんゆんやトリスターノも苦笑して俺達を見ていた。
…………アホらしい。
「わかった。走らないけど、急ぎ足ぐらいで向かうぞ」
「……えっ、何いきなり?」
「お前は勉強とか空手だけじゃなくて、空気を読むことも覚えろよ」
「ヒカルにそんなこと言われ……あっ、えっと、お騒がせしてごめんなさい」
ヒナは周りの視線にやっと気付いたのか、ペコリとクラスメイトに頭を下げている間に俺はカバンを手に取ると、ゆんゆんと目が合った。
「また明日な」
「うん、またね。道場頑張って」
「……」
隣から無言の期待の眼差しを受けたが、それは無視してヒナに行くぞと声をかけた。
「あれ、私は!?」
「もう少し口が固くなったら挨拶してやる。ついでにじゃあな」
「……なるほど、これが日本の文化『ツンデレ』ですか」
アホにツッコミを入れるのは疲れるので無視して、そのままヒナと俺の家へ向かった。
「………」
道場から家へと帰る道すがら、ヒナが落ち込んだ顔をしているのは何故か考えていた。
稽古が終わる頃には落ち込んだ顔になり始めていたので、道場の先生と俺で首を傾げていたのだが、先生には『ヒナのことはお前に任す』という
とはいえ、本当にヒナが落ち込むようなことは無かったように思う。
俺との練習試合もいつも通りだった。
ヒナは天才ではあるが、感覚派の天才なので教える才能が無いことは今更の話なので、それで落ち込むとも思えなかった。
……ならば稽古以外のことか。
俺は二つほど瞬時に思い付いた。
一つ目は、恋愛。
朝にトリスターノ相手に赤面していたことを考えると、もしかしたら割と本気なのかもしれない。
二つ目は、ヒナの成長だ。
ヒナの身体の成長はあまり良くない。
だが、それを気にしたところでって話だろう。
身近にゆんゆんがいるのも悩んでしまう理由なのかもしれない。
ゆんゆんは学校でもトップクラスのスタイルで成長は著しい。
対してヒナはもう、それはそれは平坦であった。
学校のトップと底辺を比べるなんて、あまりに残酷すぎる。
俺がそれとなく、なるべく気を使って言ってやる必要があるのかもしれない。
「ヒカル、なんだかつまらなそうだったね」
「へっ?え?なに?」
俺が気の利いた『身体じゃねえ、ハートなんだ』という熱い一言を贈ろうとしたら、ヒナから話しかけられて出鼻を挫かれた。
「稽古中ずっとつまらなそうだった」
「は?俺が?」
「うん」
「そんなことないと思うけどな」
「あるよ。いつもはもっと楽しそうなのに」
違う誰かと勘違いしてないか、それ。
と言おうとしたが、まさか俺のことで落ち込んでるとは思ってなかったせいで、言えなかった。
俺が通ってる道場には俺と年齢の近い男がいないから俺の練習相手は基本的にヒナしかいない。
そうなると、俺がやるのは子供達への指導ぐらいしか無くなるのだが、それをつまらなそうにしてるように見えたのだろうか。
でも俺だってそれはしょうがないことだと思ってるし、一年ぐらい前からこの現状はヒナも知っていたはずだ。
だから、つまらなそうになんてしてないはずなんだが、もしかしたら今日の学校のようにつまらなく感じていたのかもしれない。
「というか何でヒナがそんなこと気にするんだよ」
「えっ、そ、それはその……えっと、お、幼馴染だから?」
「何だよそれ」
「い、いいじゃん別に」
そんなことをやり取りしていると家に着いた。
ヒナも俺の後ろに着いてくるということは今日の夕飯もバクバク食って行くみたいだ。
実の息子や孫である俺が食卓に着くよりも、ヒナが食卓にいる方が家族の笑顔溢れる場になる件について俺はどんな顔をすればいいのか、わからない。
祖父や祖母はヒナのことを完全に孫娘だと思っているようで、学校のことやらを聞き倒していて、ヒナも笑顔で答えていた。
そんな俺達のいつも通りの食卓の時間に一つの爆弾が投下された。
「ヒナちゃん、今日はお風呂も入って行ったら?運動して汗かいたでしょう?」
「え、いいんですか?」
「もちろんよ」
「えへへ、ありがとうございます。あ、でも、僕が入ったら順番待ちが長くなっちゃうんじゃ……」
「大丈夫よ、ヒカルと一緒に入っちゃえば何も問題無いわ」
これが爆弾だ。
投下したのは俺の母だった。
「へっ?」
「は?」
「そうすれば何も問題無いな」
「そうじゃな」
「無いですねぇ」
問題しか無いんだけど。
俺とヒナが呆然とする中、それ以外の家族が決まりましたと言わんばかりに次の話題に移り始めた。
「いや、おかしいだろ」
「そうね、うちの子が最近買う漫画はエッチなものばかりでおかしいと思うわ」
「おいいいいいい!誰もそんな話してねえよ!べ、別にエッチな漫画なんて買ってないからね!あれはちゃんとジャ◯プの漫画だから!全年齢の漫画だから!」
「後で確認します」
「よろしくね、ヒナちゃん」
「何でお前が確認すんの!?そして何で確認を任せてんの!?やめろよ!お前漫画でも俺にケチつけてくんなよマジで!」
「もし見つからなかったら、鍵付きの引き出しの中よ。鍵は机の裏のところにテープでくっついてるわ」
「わかりました」
「おいいいいいいい!!何で知ってんの!?というか知り尽くしすぎだろ!俺の秘密が全然守られてねえよ!」
「他に隠すとしたら……」
「ちょ、ご、ごちそうさま!お、俺ちょっと用事出来たから!先に行くから!」
そんなことを言って、さっさと食卓を抜けて自身の部屋へと駆け込んだ。
俺は体を洗い終わって湯船に入ろうとしたその時、風呂の扉がガチャリと開いた。
「お、お邪魔します」
「………ふぁ?」
ヒナが顔を半分だけ扉から覗かせていたのを見て、間抜けな声を出してしまった。
俺は数秒後に我に帰り、急いで湯船へと飛び込んだ。
ば、爆弾処理するの忘れてたああああああああああ!!!
「まだ」
前書きはかなり端折ってますが、これからまた詳しい話が出てきますのでご安心ください。
支援絵を頂いたことに改めて感謝を。
番外編じゃなくて本編に組み込めばいいじゃない、という無理矢理感はともかく、絵をいただいていなければあり得ない展開でした。
平和な世界で学校生活をする四人を書きたかった。
あまり長くは続きません(ネタバレ)ので、この急展開も楽しんでいただけると嬉しいです。