詳しくは後書きで……。
一応あらすじ書いときました。
117話です。さあ、いってみよう。
これまでのあらすじ
ニホンから帰還した四人。
だが体は中学生のままで、ステータスやレベルもその当時のものであった。
過去の挫折もあり、今までの努力が全て無くなってしまったことに絶望するヒカルであったが、ゆんゆんの言葉でもう一度最初から始める事を決意。
紅魔の里の方々の協力を得て、ほぼ力が戻った面々はようやくアクセルに戻ることが出来た。
しばらくしてヒナギクも復活し、四人のアクセルの日常が戻った。
ある日、公園でいじめられているちょむすけを発見して保護、カズマ邸に送り届けることに。
そしてカズマ邸にて、王都近辺の砦が魔王軍幹部の襲撃を受けていることと、めぐみんや紅魔族のとんでもない過去を知ることになる。
カズマ達一行は魔王軍幹部の討伐に行くことになったのだが、それを心配したゆんゆんの発言により、ヒカル達も砦に向かうことになったのだった。
「おら、ここで大人しくしてろ!」
「騒ぐんじゃないぞ。まあ、どうなってもいいなら騒いでもいいがな」
「どわあっ!?え、ちょ、あ、あの!俺、本当に何も……!」
拘束された状態で強引に押し込まれて顔から倒れ込んだが、すぐに負けじと立ち上がり自身の無実を伝えようとした。
だが、言い終わる前に扉は閉まり切り、鍵もがっしり閉められてしまった。
ガラの悪い二人は俺を閉じ込めた後、ひと睨みしてこの場を去っていった。
人生で二度目の牢屋。
人生で三度目の監禁。
いや、そんなことはどうでもいい。
まずはここから出なくてはいけない。
ここにいたらマジで命がない。
ここはグレテン王国、キャメロット城内の牢屋であった。
王都付近の砦に辿り着いた翌日、カズマ立案による反攻作戦が開始された。
王都付近の砦には魔剣のミツルギを始めとした大勢の実力者達や日本出身のチート持ち、それにジャティス達もいたのだが、大した抵抗は出来ずにいた。
その原因は邪神ウォルバクがこの世で最も射程の長い魔法である爆裂魔法を使うからだった。
一日に一度向こうのタイミングでふらっと現れては砦の外壁に爆裂魔法をぶち込んでからテレポートで退散する。
そんな爆裂アンドアウェイの作戦で砦が壊されてしまえば、砦付近の森に待機している大勢のモンスターが攻め込んできてしまう。
そのせいで守りを固めるしか出来ずにいたのだが、状況は変わった。
何故なら、多くの魔王軍幹部や賞金首を倒したパーティーがこの砦にやって来たのだから。
爆裂魔法の早撃ち対決。
カズマの『潜伏』で待ち構え、気付かれないようであれば、ウォルバクが現れたところをそのままめぐみんの爆裂魔法をぶっ放す。
気付かれた場合、ゆんゆんの光の屈折魔法でめぐみんの姿を隠しつつ、アクアとヒナの支援魔法を掛けたダクネスと俺が前に出る。
ミツルギと他の冒険者達は森で待機しているモンスターの注意を引いてもらい、トリスターノや他の後衛冒険者達は砦で全員の援護をする。
運が良ければ一瞬で決着が着く、そんな作戦。
最悪ゆんゆんの『テレポート』で逃げればいいし、爆裂魔法を耐えたことがあると豪語するダクネスを肉盾にすれば、俺の危険性も減る、はず。
特に反対意見も出ずに、作戦は決行されることになった。
カズマの『潜伏』スキルを使い待機し始めて、どれだけの時が経った頃か。
深くフードを被り、ローブで身を隠した人物が砦へ堂々と歩いてきた。
ローブで体の線が隠れているが、女性だということがわかる。
その女性はフードを被っているものの、口元が見えていて、そこからはもし街中で見かけても、魔王軍側の存在だとは分からないだろうぐらいに普通の人間のように見えた。
爆裂魔法の射程まで近付けたのか、ウォルバクは立ち止まったのだが、何かに気付いたように、ふとこちらを見てきた。
目が合ったような感覚がした後、何故かこちらへと歩いてきた。
何故気付かれたのか、全く分からなかったが、俺達は気付かれた場合の作戦行動に移行した。
カズマが指示を出し、各々が行動を始める。
めぐみんは爆裂魔法の詠唱、ゆんゆんはめぐみんの姿を隠すべく光の屈折魔法を唱え始め、俺とダクネスが前に出た。
ウォルバクは突然現れた俺達に驚いたように立ち止まる。
俺達が構えても、距離を取ったり構えたりする様子も無かったのだが、ウォルバクはおもむろにフードをまくり、素顔を晒した。
フードの下は、赤い短髪と猫科のような黄色い瞳を持つ美人さんだった。
「……あなた、こんなところで何してるの?」
「それはこっちのセリフですよ。お風呂好きのお姉さんじゃなかったんですか?」
少しだけやり辛いと思っていると、カズマとウォルバクが親しげに話し始めた。
どうやら何度か会ったことがあるらしい。
魔王軍幹部であり、怠惰と暴虐を司る女神であることを名乗ってくるウォルバクに対し、カズマが何故魔王軍幹部なんかをやっているのかと問うと、倒したら分かるかもしれないわねと答えるウォルバク。
親しい間柄でも、戦うことをやめる気は無いみたいだ。
戦闘に入る緊張感で空気が変わった、そう感じた時。
「ねえ、ちょっとあんた待ちなさいな。一応神聖を感じるけど、何よ怠惰と暴虐を司る女神って。あんたなんか邪神でしょ?それならそうとしっかり名乗りなさいよ」
アクアが突然そんなことを言い出して、空気をぶち壊した。
ウォルバクもまさか初対面の相手に暴言を吐かれるとは思っていなかったのか、戸惑いつつも言い返す。
「……私はあまり印象の良くないものを司っているだけで、元はれっきとした女神よ」
「嘘ついた!この自称女神が嘘ついたわ!この世界で正式に女神として認められているのは、私とエリスの二人だけなのでした!謝って!勝手に女神を自称し、清く美しく尊い女神の名を穢した事を謝って!」
ヒナがアクアを止めようとしているが、アクアはお構い無しで噛み付いていく。
喧嘩のような言い合いをしていて、完全に戦闘をするような雰囲気ではなくなっていた。
そろそろ爆裂魔法の詠唱が終わってもおかしくないはずなのに、何の反応もないめぐみんに視線を向けると、詠唱は止まっていて呆けたように立ち尽くしていた。
最大のチャンスに何をやってるんだ。
そう思った俺はそろりそろりと歩き、同じく前に出ているダクネスに近付き、コソコソと話しかけた。
「ダクネス、少しいいか?」
「ん?どうした?」
「アクアに気を取られている内に俺達はウォルバクの後ろに回ろう。剣の間合いまで近付ければ、二人の強化を貰ってる俺なら殺れるはずだ」
「ああ、何かあった時は私が盾になろう。よし、行こうすぐ行こう」
「お、おう」
期待したダクネスにドン引きながらも、ウォルバクの視界からいなくなるように、円を描くように後ろへと回り込む。
後ろへ回り込みながらも思った。
どう見ても人にしか見えない相手に必殺の魔法を撃つのは確かに躊躇われるかもしれない。
俺だってパラメデス相手に命のやり取りをしてる中でも、殺す覚悟が遅れた。
結果、俺は死んだ。
もうあれを繰り返してはいけない。
死ぬ感覚も、みんなを心配させるのもダメだ。
だから、俺はもう人型だろうがなんだろうが敵であるなら躊躇わない。
俺は間合いまで近付くと、居合いの構えでウォルバクの首へと斬りかかろうとした。
「っ!!」
「ちっ!」
だが殺気か何かを感じ取ったのか、ウォルバクは俺の一撃を紙一重で避けて距離を取った。
ウォルバクも先程までのぐだぐだな雰囲気を一瞬で切り替え、俺に構えつつ詠唱を始める。
俺は左腕の鎧でガードしつつ、ダクネスと距離を詰める。
詠唱をするような魔法よりも、ヒナとアクアの支援魔法をもらった俺達の方が確実に早い。
俺は踏み込み最短距離で刀の突きを放つ。
ウォルバクは追い詰められ、目を見開く──
どころか、ニヤリと嗤った。
「惜しかったわね、相手を倒すだけが勝利じゃないのよ」
詠唱の途中だと思っていたが、完全にフェイクだった。
俺は興奮した様子のダクネスよりも体を前に出して、左腕でガードする。
「『ランダムテレポート』ッ!」
まずいと思った時には、足元の感覚が無くなり、視界がブレた。
次の瞬間には別の光景が広がり、急に戻ってきた地を踏む足の感覚にタタラを踏んだ。
「どこだこ……」
「貴様、何者だ!!」
「へ?」
俺が言い終わる前に怒鳴り声が聞こえて、顔を向けると、数人の衛兵らしき人達が俺に武器を構えていた。
「え、えっと……」
「貴様、ここがグレテン王国の象徴であるキャメロット城だと知っての狼藉か!」
「………………ふぁ?」
改めて前を見ると、あらびっくり。
なんとかランドも真っ青の綺麗なドデカイお城がありましたとさ。
………いやいやいやいや。
「あの、これはなんていうか……」
「ひっ捕えろ!!!」
俺が冷や汗をかきながら刀を納めて敵意のないことをアピールしようとしたのだが、それがどうやら敵対行為に見えたらしく、衛兵達は盾を構えて押し寄せてきた。
「ちょ、ま、待ってください!お願いします!なんでもしああああああああああああ!!!」
俺はすぐに取り押さえられて、武器や持ち物を全て剥ぎ取られた際に、年齢を誤魔化す魔道具の効果が無くなり更に怪しまれたことで牢屋へとぶち込まれることになった。