このすば ハード?モード   作:ひなたさん

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122話です。さあ、いってみよう。



122話

 

 

 アイリスとの自己紹介が終わり、俺はずっと疑問に思っていたことを口にした。

 

「というか、ゆんゆんは?席を外してるのかと思ってたんだけど、もしかしていないのか?」

 

「彼女だけは砦に残ってもらった。カズマ殿がどうしても作戦に必要だからと言っていたからな」

 

「ああ、なんだそういうことか。ハブられたのかと思った」

 

「そんなことあるわけないじゃん。それに二手に分かれた方がいいかなって話になったんだ。元々、ジャティス王子にヒカルの捜索依頼をだしていただいて、その報告をすぐに聞けるようにするために城に来たんだ」

 

 すぐ会いたかったけど、それなら仕方ないか。

 ゆんゆんなら作戦の戦力になるし、何かあっても逃げられるだろうし、多分大丈夫だろう。

 

「すでに使いの者を出して、そなたが無事に戻って来ていることも報告済みだ。彼女も安心した様子で、作戦に張り切っていたそうだ」

 

 いつの間に。

 それなら急いで向かう必要もないか。

 今日ぐらいはゆっくり休んでからでもいいだろう。

 

「砦に戻りたそうな顔をしているヒカルに少し提案があるのだが、よいか?」

 

「なんだよ、いきなり?」

 

「先程言った通り、ゆんゆんにはそなたの無事は報告済みだ。砦には精鋭揃いで、作戦も敵陣に爆裂魔法を撃ち込んで逃げるもので、もし奇襲されたりしても逃げることを優先すると言っていたことから、そこまで危険になるようなものでもない」

 

「……まあ、そうかもな」

 

「砦の精鋭達は今まで辛酸を舐めさせられてきたことから殺気立っているし、あまり仕事を奪われると反感を買う」

 

「何が言いたいんだよ」

 

 一番最初に提案と言っていたし、何か俺にやってほしいことがあるのだろうが、前置きが長い。

 ゆんゆんのことは確かに心配だけど、話通りならある程度安全そうだし、ジャティスからの提案なら内容次第ではいくらでも協力するぞ。

 

「そなたが急いで向かう必要も無ければ、砦の戦力になる必要も無い、ということだ」

 

「それで?」

 

「数日だけでもいい。この城に滞在してほしい。そして出来ればアイリスの話し相手になってやってくれないか?」

 

「兄様!?」

 

 自己紹介後は様子を探るように黙って話を聞いていたアイリスが驚きの声を上げる。

 

「まあ、聞くのだ。余も兄らしいことをしてやりたかったのだが、すでに父上が別の戦場へと行ってしまわれた以上、余も明日には向かわなければならない。このタイミングで余の友人であるヒカル達がいるのも何かの縁、是非ともヒカル達とアイリスも仲良くなって欲しいと思ってな」

 

 王女様の話し相手ね。

 いや、普通だったら引き受けるよ。

 ジャティスからの頼みだし、特に難しいことでもない……いや、相手の身分と釣り合ってないから難しいのか?

 まあでも、俺はこの城で暴れた身だし、なるべくバレるような危険は冒したくないんだけどな。

 

「………兄様」

 

「む?どうした?」

 

「先程からやたら友人を強調してきますが……単に友人を自慢したいだけじゃないですか?」

 

 アイリスが半眼でジャティスを見ながら尋ねると、ジャティスは軽く微笑み、首肯した。

 

「それもある」

 

「もう、兄様ったら」

 

 最初は妹と何を話せばいいか、わからないなんてことを言っていたのに、随分と仲良くなったもんだ。

 呆れた顔になっていたアイリスは佇まいを直し、俺たちに向き合う。

 

「私からもお願いします。どうか、ほんの少しだけ私とお話相手になってくださいませんか?」

 

 こんな女の子の真摯なお願いをされて断れるわけもない。

 一応トリスターノの方を見ると、軽くイケメンスマイルを見せてきた。

 これは「リーダーにお任せします」の笑みだろう。

 アイコンタクトはいいけど、俺達以外には絶対に通じないからな。

 まったく、これだからイケメンは。

 次はヒナの方を見ると、頷いてきた。

 こいつもトリスターノと同じ意見らしい。

 

「分かりました。数日の間、お世話になります」

 

 俺がそう言うと、アイリスは心から嬉しそうに輝くような笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいませーん!やっぱり帰らせてもらっていいですか!?」

 

「『エクステリオン』──ッッ!!」

 

「ああああああああああああああ!!!」

 

 斬撃が地面を削りながら飛んできたのを確認すると、俺は力の限り横に跳んで避けた。

 そして受け身を取りつつ立ち上がり、俺は全力で走り出す。

 

「ヒカル、逃げてばかりでは訓練にならん。そろそろ余の友人として恥ずかしくないところを見せてくれ」

 

「リーダー、ファイトですよー」

 

「やかましいんだよこの野郎!!バトル漫画の主人公みたいにポンポンポンポン斬撃飛ばしてきやがって!俺なんか技名を叫んで攻撃したことすら無───」

 

「『エクステリオン』──ッッ!!」

 

「ああああああああああああ!!!」

 

「あっ、また避けられましたっ!」

 

「避けるに決まってんだろうが!最近シリアス続きなのも、マーリンからとんでもない話を聞かされたことも、こんな小さな女の子が斬撃なんか飛ばして来ることも、ジャ◯プみたいな戦力のインフレの序章に過ぎなかったんだ!もうたくさんだ!俺はまんがタ◯ムきらら作品の二次創作に行かせてもらう!!」

 

「ヒカル、何言ってるの?邪魔にしかならないでしょ?」

 

 

 何故こんなことになったのか。

 王女様も日頃城に篭もって上品にお勉強とかをしているだけでなく、剣の鍛錬や戦闘訓練をしているとかで、本日もその時間がやってきた。

 今まで俺達と話をしていたせいか、かなり名残惜しそうに席を立とうとしたところ、何を思ったのかジャティスの一声により俺がアイリスの訓練相手をすることになった。

 子供相手だからと気軽に引き受けた俺も悪いのかもしれないが、聞いてない。

 斬撃を飛ばしてくるとか聞いてない。

 

「ヒナああああああああ!支援魔法!!支援魔───」

 

「『エクステリオン』──ッッ!!」

 

「──ほおおおおおおう!!!」

 

 身を投げ出して避けた後にヒナの方を確認すると、呆れた顔で俺に支援魔法をかけ始めていた。

 よし、体が一気に軽くなった!

 これで多少はなんとかなる。

 

「行くぞ、王女様!」

 

「迎え打ちます!」

 

 地面を蹴って前へと突き進む。先程までとは体が出せる力も体の軽さも違う。

 アイリスも先程までの俺とは違うことを感じ取ったのか、表情が更に引き締まり、剣を高く掲げた。

 構えからしてまた斬撃が飛んで来ると思った俺は走った勢いのまま刀を地面へと突き立て、力任せに振り上げた。

 斬撃は飛ばせなくとも、土や砂は飛ばせる。

 支援魔法をもらった俺なら、それなりに辺りが砂埃で見えなくなるぐらいに。

 

「っ、けほっ、エ、『エクステリオン』ッッ!!」

 

「っぶね……っ!」

 

 目眩しをされても斬撃を飛ばして来るだろうことはなんとなく、そう感じていてた。

 そんな気がしていたから、砂埃が舞う中も移動を続け、避けることが出来た。

 

「ふっ!」

 

「っ!接近戦ですか!」

 

 砂埃が収まり、俺が一気に距離を詰めてきているのを確認したアイリスは剣を正眼に構える。

 正直言えば、俺には接近戦しかない。

 爆発するビンとか石をぶん投げる戦法もあるけど、今やるような戦い方ではないから、俺が出来ることは接近戦に限られてくる。

 斬撃とか飛ばせないからね、しょうがないね。

 

 接近戦は危険ではあるが、メリットもある。

 斬撃を飛ばしてくる『エクステリオン』は今まで見た限りでは、斬撃を飛ばす影響か剣を高く構えて大きく振るような割と隙が大きい攻撃に感じた。

 それに少し魔力の溜めがあるように見えるから、接近戦で使うにはリスキーだ。

 更に言えば、ヒナの支援魔法をもらった『狂戦士』の俺なら力でゴリ押しも───

 

「っ!!」

 

「流石、兄様が認めた人ですね!」

 

 アイリスと鍔迫り合いの形になるが、力は拮抗している。

 いや、マジかおい。

 こんな小さな女の子のどこにそんな力があるんだよ、ふざけんなこの野郎。

 

「はあっ!」

 

 真剣を使った試合だが、アイリス王女様はなんだか楽しげに俺と剣を交えている。

 アークプリーストのヒナがいるから、ある程度はなんとでもなるとはいえ、真剣の戦いを楽しんじゃうあたり色々心配になるんだけど。

 

「『エクス──」

 

「させるかっ!」

 

 少しでも距離が離れればエクステリオンを放とうとする。

 俺は攻めることを強いられているような状態で、アイリスはそれを逆手に取りカウンターを狙ってくる。

 多分だが、お互いに致命傷を避けるために急所等への攻撃をしないようにしているせいで、勝ちを逃している。

 というか俺の方がとっくに負けてると思う。

 でも、続けている以上はまだ負けてないわけで。

 純粋に楽しんでるアイリスを相手に手を抜いたり、わざと負けるとか出来ずにいた。

 だから、真っ向勝負を続けて、続けて。

 

 

 俺の刀が折れた。

 

 

 無茶な使い方をしていたし、そもそもがそこまで良いものではなかったけど、強化石とかいうトンデモ技術で強化出来ていたから、そうそうこんな事態になるとは思っていなかった。

 強化石めっちゃ使ったんだけどなぁ……。

 

 申し訳なさそうにするアイリスやジャティスに気にする必要は無いと言っても、なかなか聞かず、結局は王宮の鍛冶師に剣を作ってもらおうという話になったところ。

 

「いや、その必要は無いよ」

 

 突然現れた第三者がそう言った。

 一瞬で視線を集めたその女性は特に気にすることもなく、俺に軽く手を振ってきた。

 

「やあ、さっきぶりだね。マーリンお姉さんだよ」

 





このすば、新作アニメ制作決定おめでとうございます!!!!!
本当によかった!!マジで嬉しい!!
この報告を受けて、その日に投稿しようと思ったけど、無理でした!
でも、マジでめでたい!!

新作アニメ制作決定とはっきり言わないあたり、三期なのか、それとも劇場版か、OVAか、はたまた全部か、もしくは三期プラス爆焔アニメ化か!?
とかもう期待が高まりまくってヤバヤバのヤバです。
六巻の内容は映画映えするだろうけど、三期でじっくりやってほしい気がしなくもないけど、動くアイリスや本気出したカズマさんが見れるなら、もう何でもいいですはい。
とにかく超楽しみ!

そして、まさかのこのすばに新刊があるという情報ね。
内容が何なのか全く分かりませんが、めちゃくちゃ早く読みたい。
戦闘員の新刊から一年以上経って、軽く不安だったけど、このすばも書いてらしたのですね。でも戦闘員も続きお願いします(強欲)

暁なつめ先生が、その他にも色々なことをツイートされて供給過多でしたが、なんとか致命傷で済みましたね。
これ以上書くと後書きがアホほど長くなるので控えるとします。


自作の話に移るとして、次回で今回の章の話は終わり。
次に幕間をいれて、そこから次章に入ります。
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