書くのが進まず投稿が全然出来ないので幕間を二話に分けることにしました。
今回はシリアスです。
さあ、いってみよう。
幕間2-1
『俺ももしヒナと同じ立場だったら、何とかしてお前達と一緒にいようと行動してただろうから……俺はヒナのことを悪く言えない』
『私もリーダーと同じ意見なのですが……次からは仲間外れにしないでください。そろそろ私も不貞腐れちゃいますからね?ただでさえ出番も少なめなの(以下略』
『私も同じ意見。だけど、それ以上に許せないこともあるわ。親友だからこそ、家族だからこそ、今回のことは許さないわ』
『ヒナちゃん、私達はどんなことがあっても家族でいられると思ってる。だから、天界に行くまでは、絶対私達と一緒にいること。今度勝手なことをしたら、次は喧嘩なんだから』
身体のダメージのせいで幼児になっていたヒナギクが目覚めた後の家族会議のこと。
三人が言っていたのは主にこのような内容であった。
ヒカルは気遣うような、トリスターノは複雑そうな苦笑を浮かべていたが、特に責めることもなく許してくれた。
唯一ゆんゆんは本気で怒っていたものの、結局は許してくれるようなものだ。
最低なことをしたという自覚がヒナギクにはあった。
その分辛くもあり、まだ家族だと言ってくれることに安堵もしていた。
欲望に負けた。
心の弱さが嫌でも分かった。
何でも出来ると思っていた。
自業自得だというのに、それでもマーリンと騎士王への恨みがあった。
だから、自身への罰として、身体が幼児化している間は精神世界で修行をしていた。
あるえ達に救助されたことを確認してから、身体の回復を促す為にも体を小さくし、ほんの少し残っていた花の力を使って精神の世界を作り上げて、身体が回復するまでひたすら修行した。
……結局、その修行も三人から何を言われるかという恐怖から逃げただけであった。
ヒナギクがその事に気付いたのは、家族会議の後に、許された安堵から泣いてしまった時のこと。
修行後に天使として格段に強くなれたものの、心が強くなることはなかったのだ。
三人から許されたヒナギクは、三人の為にもヒカルを救う為にも、将来的に天界に行くことを強く決意した。
天界からヒカルを見守り、ヒカルの死亡フラグを壊しまくる。
それが死が確定しているヒカルを守る唯一の手段だとヒナギクは考えた。
それは今でも変わらない。
変わらないのだが、やはり不安は残る。
今回の事件から、少し自信が無くなったこともあり、ヒナギクは悩んでいた。
所詮は一人が出来ることなど限られている。
だからヒナギクは協力者が必要だと結論付けた。
「はぁ……」
天界でヒナギクに協力をしてくれるだろう人物など、一人しかいない。
幸運を司る女神、エリス。
この世界の未来を憂い、世界の管理や死者の案内だけでなく、自身の分身を下界で活動させて世界をより良い方向へと導こうとする献身的な女神。
本来であれば、神がそこまでする必要はないのだが、女神エリスの性格や性質が、ただの傍観者でいることを許さなかった。
その慈悲深き女神を利用しようとしていることに対して嫌気が差し、ヒナギクはついため息が漏れてしまった。
協力してくれることを前提でヒナギクは考えているが、そもそも
正直に言えば、五分五分で協力を得られるかは賭けや運次第になる。
とはいえ、協力を得られないことには始まらない。
「だから、しょうがないよね」
ヒカルの部屋に忍び込みつつ、ヒナギクは呟いた。
これは作戦だ。
まだまだ制御が出来ていない『全知』の力でヒカルの記憶から女神エリスの情報を引き出す。
その情報から女神エリスの何か、好印象なものを持参でもして、少しでも協力を得られる可能性を増やすという作戦。
エリス教の信者であり天使でもあるヒナギクよりも、主人公のくせに必殺技の一つもないこの男の方が何故か女神エリスとの繋がりがある。
というか、エリス教でもないくせに全人類で一番女神エリスと縁が深いのかもしれない。
シロガネヒカルの方が女神エリスを知っているだろうと結論付けての作戦である。
それ以外にもどうにかこうにか情報を引き出せないかなと思いつつ、ヒナギクはヒカルの布団へと潜り込んだ。
作戦なので、布団に潜り込むのもしょうがないことなのです。
これは人助けだからセーフ。
ヒカルの為だから、しょうがない。
そう考えながら、ヒカルの体にぎゅっと抱きついて目を閉じた。
この行為にも理由がある。
制御が利きづらい『全知』の力を少しでも使えるように全身でヒカルに触れる必要があったのだ。
決してヒカルに抱きつきたかったわけではない。
などと容疑者は供述しており───。
「すー、はー」
この鼻で息を吸い、口で息を吐く行為にも当然理由がある。
この深呼吸は精神統一。
記憶を引き出すのには、かなりの集中力が必要なのだ。
だいたい何らかの力を使う時は、全集中しなければならない。
決してヒカルの匂いを感じたかったわけではない。
などと容疑者は供述しており───。
「うぅん……」
ヒナギクがヒカルの布団の中に忍び込み、あまつさえヒカルに抱きつき全集中の呼吸をしてから数分が経ったが、なかなか記憶が引き出せずにいた。
おかしい、望んでいない行為をこんなにも頑張っているのに……。
などとヒナギク容疑者は(以下略)
「むぎゅ……」
ヒカルが寝ぼけているのか、それともヒナギクを抱き枕か何かに勘違いしているのか、抱き寄せられて出た声。
今日は調子が悪いのかもしれない。
エリス様に協力を得るのもまだ急ぎではないし、日を改めよう。
そう思っていると、なんだか眠くなってきたヒナギクはゆっくりと微睡みに落ちていき、そして───。
『言い訳は結構です』
『私は絶対に同棲を止めて見せます!』
『いや同棲を止めるっていうか、息の根を止めようとしてますよね!?』
『どっちも同じです!』
『同じであってたまるか!』
『天誅!!』
『うおわああああああああああ!!!』
『……運の良い人ですね。まさかタイミング良く起きるとは』
『おいいいいいいい!!!せっかくヒナに何も言わないでやったってのに、何してくれんですかこの野郎!!』
───とんでもない夢、いや記憶を見てヒナギクは目を覚ました。
他にも色々な記憶、関係ない記憶も得られたが、それはもうどうでもいい。
ヒナギクは布団から抜け出し、部屋を出て、寝間着そのまま外へ出た。
向かう先はこの街一番のエリス教会。
協力は得たい。
だが、その前に。
女神エリスに話さないといけないことが出来た。
時刻は深夜。
勢いそのまま外に出ても、誰一人会うことは無く、それは教会の中も同じであった。
真ん中の通路を抜けて、祭壇の前でヒナギクは跪き、祈りを捧げた。
「こんばんは、ヒナギク。こんな夜中にどうされたのですか?」
少し経つとそんな声が聞こえた。
立ち上がりながら声が聞こえた方へと振り向くと、その先には、まるで最初からそこにいたかのように佇む女神エリスの姿があった。
「こんばんは、エリス様。お忙しい中申し訳ありません。どうしてもお話したいことがありまして」
「いえ、構いませんよ。他ならぬヒナギクがそう言うのです。どれだけ忙しかろうと駆けつけますとも」
慈愛に満ちた微笑みを浮かべ、そう言う女神エリスのあまりにも神々しいオーラと佇まいは、まさに完璧な女神に見える。
一人の少女に魅入られて異常な愛を向ける、とんでも女神だということをガワだけ見て分かるわけがないのだ。
「ありがとうございます。早速本題なのですが」
「はい」
ヒナギクの前だからと三割り増し完璧女神オーラをキラキラと無駄に演出しながら微笑む女神エリスはヒナギクから続けて出てくる言葉を待つ。
ヒナギクは一度落ち着くように、目を閉じて呼吸を短く吸うと。
「度重なるシロガネヒカル殺人未遂について、納得のいく説明をいただけますか?」
目を開けたヒナギクの視線は絶対零度のように冷たく、怒りを抑えるためか真顔であり、拳を固く握っていた。
下手なことを言ってみろ、創造神や他の神々が許しても、果たしてこの拳が許すかな?
ヒナギクから発せられる怒りのオーラはだいたいそんな感じである。
「………………………………」
対する女神エリスは、完璧女神オーラなど何処かへと消え去り、汗がダラダラと滝のように流れ、顔は引き攣り固まった。
カリバーンの説明を前回入れ忘れてました。
と言っても、ほぼお話に出た通りです。
選定の剣と呼ばれる聖剣であり、決して折れず傷付かない。
ただそれだけの聖剣。
所有者に力を与えたりなんてこともしないので、ヒカルはただ雑に扱ってもいい剣を手に入れただけである。
ヒナギク「それだけの剣にしては、なんだか力を感じるような……?」
このハード?モードの世界線には『エクスカリバー』は存在しない。
それが何故かも不明である。
ちなみに、アイリスが所有する『なんとかカリバー』は完全別物。