ダイパリメイクやってたら、いつの間にか書く時間が無くなっていた……おのれ任◯堂め。
というわけでめちゃくちゃ文字数短いですが、次のお話は多分多くなると思います。
多すぎて分割する可能性もあります。
133話です。さあ、いってみよう。
「あぁ、つっかれた……」
「はあ、ほんとにね……」
「ふわぁぁ……これが『紅伝説』……!! くぅぅ、ここに来てよかったぁ!!」
へたり込むヒカルとゆんゆんとは対照的に感激して喜び倒してるゆり。
他三人も疲れているようだが達成感に包まれているせいか、笑みを浮かべていた。
「むっ、ヒカルに色々と詳しいことを聞こうと思っていたが、そろそろ戻らなければ……」
「あっ、わ、私も急にいなくなってクレアが大騒ぎしているかもしれません」
王族二人がハッとして慌て出すので、ヒカルとゆんゆんも立ち上がり、礼を言った。
「二人とも、忙しいのに来てくれてありがとう」
「本当にありがとうございました」
「ふっ、当然のことだ。残念でならないが余は急ぐ。いつか時間の取れる時にまた会おう」
「ヒカル様、ゆんゆん様、今回の冒険少し怖くはありましたが、大変勉強になりました! また兄様と会える時を楽しみにしています!」
「ああ、またな」
マーリンが開けた次元の穴に二人が通っていき、見えなくなるまで見送る。
「さて、ミツルギ君はどうするんだい? 私はこの後少し王城に行って二人のために汚れてしまった服とかを綺麗にしてあげなきゃいけないから、帰るなら今だよ?」
「え、それは困ったな。ボクもシロガネから聞きたいことがたくさんあったんだけど、フィオとクレメアも待ってるし、戻ろうかな」
「了解〜。はい、先程と同じようにその穴を通ってくれれば帰れるよ」
「ああ、ありがとうございます。シロガネ、また今度じっくりと話そう。ジャティス王子のこととか君がめちゃくちゃ強くなってることとか、ね」
「あ、ああ、うん。わかった。今日は、っていうか前からだな。本当に助かった。ありがとう。この礼は必ずするよ」
「期待してるよ、じゃあね」
ミツルギがイケメンスマイルを浮かべた後、姿が見えなくなるまで見送るヒカル達。
世話になってばかりだと言うのに、王城で酷い目に合わせてしまった後ろめたさで気まずく感じていたヒカルは次元の穴が閉じると肩の荷が降りた気分であった。
「じゃあ私はジャティス王子やアイリスちゃんのために色々と助けに行くから、少し待っていてくれたまえ」
「余計なことはしないでよ?」
「はいはい」
ゆりが嗜めるように言うと、マーリンは聞き流しながら、スルリと次元の穴を通り姿を消した。
残ったのは未来の家族三人。
顔を見合わせると、自然と笑みが浮かぶ。
三人の誰かが口を開こうとしたその時、
「おお、アレを倒したか。偶然辿り着いた場所で拾ったものだが、存外バケモノでな。まさか倒されるとは思わなかった。素直に感服だ」
後方を振り返ると、宙に浮かぶ壮年の男がそこにいた。
側面部を刈り上げたオールバックの髪には黒髪の中に白髪がラインのように入っている。
煌びやかな礼服を風で揺らし、酷薄そうな眉と瞳でヒカル達を見下ろしていた。
「ヴォーティガンッ!!」
ゆりが叫び、父と母を守るように前に立つ。
ヒカルとゆんゆんもその様子を見て、すぐに身構える。
「流石、災厄の男。バケモノ程度では足りなかったか。まあ、いい。見ろ、この力を」
宙に浮かぶヴォーティガンは見せ付けるように腕に幾重にも纏った魔法陣を展開し、何も無かったはずの空間から本を取り出した。
マーリンの魔法を使いこなしていることに内心冷や汗もののゆりだが、ヴォーティガンの余裕のある態度を見て苛立ちの方が比重を上げた。
「……マーリンの物真似は楽しい?」
「ふふ、ふはははははは! ああ、楽しいとも! あのマーリンを恐れずにすむのだ。これだけ愉快なことはない」
口を三日月のように歪めて嗤うヴォーティガンはすぐに真顔へと戻り、辺りを見回した。
「マーリンは何処に行った?」
「さあ? どこだと思う?」
「まさか、いないのか? 冗談はよしてくれ。これでは本当にワンサイドゲームじゃないか」
舞台の役者のように大仰に驚くヴォーティガンは言葉とは裏腹に表情には笑みが浮かぶ。
自身の復讐がもう邪魔されることはないと確信したからだ。
その様子に更に腹を立てるゆりだが、腹を立てているのはゆりだけではなかった。
「未来からわざわざやってくるほど執念深いのにすぐ様襲いかかったりしないのか。目的は俺じゃなかったのかこの野郎」
「災厄の男。ああ、目的はお前だ。生きているだけで災厄を呼ぶ世界の癌。お前さえこの世界に来なければ世界は安定していた、私はこんな目に合わずに済んだ」
「知らねえよ、そんなの。はらわた煮えくりかえってるのはこっちもだ。よくも俺の家族を危険な目に合わせてくれたな」
復讐の炎で燃えるヴォーティガン。
怒りの炎で燃えるヒカル。
未来のことで復讐するとは言われても、今のヒカルからすれば身に覚えのないことで理不尽な目に合っているだけである。
「私達の里をめちゃくちゃにしてくれた礼も忘れないでよ、ヒカル?」
「当たり前だ。木刀でヒナヒナにしてやる」
「あと、その、私達の未来が幸せだってことを教えてくれたお礼も……」
「え、あ、うん」
ゆんゆんの発言に軽く勢いを削がれながらも木刀を突きつけるようにして構えるヒカル。
だが、それを鼻で笑うヴォーティガン。
「ふん、この魔法を使いこなす私に今のお前では何も出来ない。出来るとすればそこの女二人ぐらいだ。仲間がいるからと良い気になるなよ木偶の棒」
「未来じゃその木偶の棒に負けたんだろ?」
「……勘違いするな、お前に負けたのではない。まあ、いい。お望み通り、目的の遂行することにしよう」
ヒカルに手を翳すヴォーティガン。
それを見てヒカルを守るようにゆりとヒナンドが前に出て構える。
「私達がいること忘れてない? マーリンの魔法を少し使えるようになったからって、随分と自信があるんだね?」
「あるに決まってるだろう。私が今まで何処にいたと思う?」
「お手洗いとか?」
「はっはっはっはっ、面白くないぞ小娘。教えてやろう、先程まであらゆる次元を通ってきた。私と同じ想いをしたであろう奴らの縁を辿ってな」
「……」
「マーリンがいないのなら好都合。奴は来れないように先程されたように妨害してやる。見せてやろう、真の絶望を!」
舞台の役者のように高らかに宣言し、両腕を広げる。
すると、ヴォーティガンの後方に次元の穴がいくつも出現する。
「っ!?」
「おい、マジかよ……」
「嘘でしょ……」
「よお、久しぶりじゃねーか」
一つの次元の穴から出てきたのは、人間ではなかった。
金属の様な光沢を放つ漆黒の肌。蝙蝠のような巨大な羽。
上位悪魔のホースト。
「あーア、見たくもなイ顔また見ちゃっタ」
二つ目の穴から出てきたのは、見目麗しい女性であった。
成人男性の平均を余裕で越える高身長に、地面にまで届きそうな青い髪、上半身の全てが隠れてしまいそうなほどの爆乳。
魔王軍の幹部候補でもあった、邪神のデモゴーゴン。
「あぁ? この世界の俺とやらは、こんな奴らに負けたってのか?」
「……あり得ない」
「ヴォーティガンの虚言に騙されたか。まあ、いい。早く片付けよう」
更に三つの穴から出て来たのは三人の騎士。
円卓の騎士パラメデス。
円卓の騎士サフィア。
円卓の騎士ラモラック。
「さあ、復讐の始まりだ」
ヴォーティガンは過去に向かう途中でコツを掴み、マーリンが使う魔法を使えるようになってます。
前書きで触れましたが、次回は文字数多めです。
戦闘描写を長々と書く、というわけではない(というか書けない)のですが、こう……いろいろと起きます(語彙力)
未来からの復讐編が長くなりましたので、また章とか章名をいじるかもしれません。
勢いで書いてるせいですね、すみません。
混乱させてしまったら申し訳ありません。