このすば ハード?モード   作:ひなたさん

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134話です。さaaaaaaaa──────



















 はい、みんな大好きマーリンお姉さんです。

 おいおい、私が出るだけでそんな喜ばれると照れちゃうね。
 いくら私が美人で可愛くて愛想が良くておしゃれで究極完全無欠の女でも、惚れちゃあダメだぜ?
 だって、私にはlikeがあってもLoveは無いんだから。
 残念だけど、私のことは諦めて欲しい。

 って、いやいやいやいや。
 そんな話をしに来たんじゃあないんだ。
 ちょっとだけお話に付き合ってほしくてね。

 ……あ、これぐらいで『これ脈ありなんじゃね?』とか思わないようにね。

 話を戻そ……え?
 そもそもお前は何をやってるんだって?
 見ての通り前書きジャックだよ。

 そうじゃないって?
 ああ、何故画面の前の君に話しかけてるかって聞いてるのか。
 いやなに、暇つぶしと気まぐれだよ。

 え、ヒカリ君がピンチ?
 早く行け?

 いや、ヒカリ君はだいたいピンチじゃん。
 これから彼は騎士王を倒す運命が待ち受けてるんだから、これぐらいで焦ってもらっちゃあ困るんだよね。
 あと、ゆりもいるし、援軍もいるからまだ余裕はあるさ。

 というか今もヒカリ君のために動いてるところなんだ。
 だったら話しかけてないで、そっちに集中しろって言うんだろうけど、そういうことでもないんだ。
 例えばだけど、君が何か乗り物に乗って長距離を移動していたとする。
 目的地に着くまで君はヒマだとするけど、それは決して目的地に着く前の寄り道とかサボりではないだろう?
 私も同じくおサボりとかをしているわけじゃあないんだ。
 とどのつまり移動してるけどヒマってこと。

 どこに向かっているかって?
 それはまだ秘密さ。

 で、お話したいことっていうのはヴォーティガンのこととか未来のことかな。
 ほら、現在に生きる君達にとっては分からないことだらけだろう?
 だから私がヒマな時間を使って解説をしようかなってね。


 ヴォーティガン。
 グレテン王国の王の座を狙う悪ーい奴。
 そして『グレテン王国を破滅させる者』としての役割と運命を背負わされた男。
 おっと、話しすぎちゃったかな。
 まあ、いいや。
 色々と裏で動く方が得意な男なんだけど、今は復讐のせいで我を忘れてる、というか私の魔法をほんの少し使えるようになってるから調子に乗ってるのかな。
 その証拠にさっさと殺せてしまえるはずのヒカリ君達を回りくどい方法で痛ぶってから殺そうとしてるだろう?
 それというのもヒカリ君に()()邪魔されているからなんだ。
 それプラス、利用されていた分さらに復讐に燃えているから、だね。

 二度目はすでに話された通り、グレテン王国を滅ぼそうとした時の話。
 色々省くけど、ヴォーティガンが私ですらどうしようもない力を手に入れて、感情のままにグレテン王国を襲ったのさ。
 トリスタンがヒカリ君達に救援を要請して、この世界のオールスター大集合って感じだったんだけど、それでも敵わなかった。
 彼が、かの聖剣を手に入れるまではね。
 ここら辺が二度目の話。

 では、一度目はいつか。
 この時間の更に数ヶ月後には戦争が本格化する。
 おいおい、ネタバレじゃあないぜ。
 この戦争に本腰が入れられるのは分かっていたことじゃあないか。
 ともかく、魔王軍がベルゼルグ王国に全面戦争を仕掛ける日のこと。
 その日にグレテン王国もほぼ全軍でベルゼルグ王国に向かっていた。
 グレテン王国に残ったのは数人の円卓の騎士のみ。
 そこをヴォーティガンは狙った。
 事前にグレテン王国がガラ空きになるのはヴォーティガンも知っていたからね。
 人を裏で動かし、水面下で計画を練り、あと一歩でグレテン王国を乗っ取ることが出来た。
 だがグレテン王国軍はすぐにグレテンへと帰ってきた。

 シロガネヒカリが騎士王を倒し、グレテン王国軍を撤退させたからさ。
 そこからは最早語るまでもないけど、騎士王や円卓の騎士がヴォーティガンから国を取り返した。
 ヴォーティガンは処刑されるはずだったけれど、裏で繋がっていた仲間の手引きにより逃げ出すことに成功した。
 身を焦がれるほどの復讐の念を抱きながらね。
 これが一度目のお話。


 話しすぎるのもよくないからね。
 だいたい、こんな感じじゃあないかな。
 何はともあれ、シロガネヒカリに邪魔されたことを我を忘れるほどブチ切れてるってことさ。
 大きな力を得た時の代償というか、あんなモノに乗っ取られちゃったから余計に……ってもう少しで目的地だ。
 悪いけど、ここらで解説を終わらせてもらうよ。
 解説役はクールに去る……ん!?あれもなかなか面白そうじゃあないか!
 それじゃあ、またね。






 おっと、忘れるところだった。
 これだけは言っておかないと。

 134話だ。さあ、いってみよう!



134話

 

 

「俺様は別に恨みとか無いんだ。だけどよ、やられた分のお返しはしとかないとダメだよなぁ?」

 

「なんだよ、あんた。探し物してたり、そそのかされてこっちに来たり、案外ヒマなのか?」

 

「今はフリーの身だからな。こういう契約じゃないことも気分で受けたりするのさ」

 

 上位悪魔ホーストの感情が伺えない空洞の目を睨みながら、身の上話でもするかのように話すヒカル。

 ただ今の敵は一人ではない。

 次に視線を移すと、返ってきたのは苦笑いだった。

 

「そこの悪魔とだいたい一緒だヨ。それに今回は絶対に負けることはなイって話だったからサ」

 

 小ぶりの投げナイフをクルクルと回しながら、言い訳でもするかように話すデモゴーゴン。

 そのことに気を取られて、目前まで迫る槍に気付くのが遅れるヒカル。

 その遅れは致命的であった。

 致命傷を負ったヒカルは散々痛めつけられた後に殺されることになるだろう。

 その槍が届いた場合の話だが。

 

「お父さん、危ない!」

『ヒナァ!!』

 

 ヒナンドの拳で槍の軌道をずらすことで守ることに成功する。

 そして、そのまま槍を向けてきた騎士へと拳の連打を叩きつける。

 

『ヒナヒナヒナヒナヒナヒナァ!!』

 

「うおっわ!?危ねえ!?なんだアレ!?」

 

 だが円卓の騎士も伊達ではなく、無理矢理体勢を変えることで回避し、後退する。

 

「……ちょっと、気を付けてよ」

 

「迂闊が過ぎるぞ、パラメデス」

 

「いやいや、あんなの誰が予想出来んだよ!?騎士王だって色々持ってるけど、あそこまで奇天烈なもんはないだろ!」

 

 騎士二人に嗜められたパラメデスは邪魔してきたヒナンドを指差し、抗議している。

 敵が後退し、一度呼吸を整える……ことも出来ずに、ヒカル達にまた次の攻撃が迫っていた。

 

「おい、やっぱりソイツ天使の類か」

 

 ホーストが一瞬で間合いを詰めて屈強な腕を振るう。

 並の人間であれば直撃せずとも死に至らしめる剛腕。

 

「『ライト・オブ・セイバー』───ッ!!」

 

「ぐぅっ!!紅魔族はやっぱり厄介だな……」

 

 ゆんゆんが振るう光の刃がホーストへと直撃し、ホーストの一撃を阻止した。

 

「その天使、あれか。俺様をめちゃくちゃ殴りやがったガキか。それなら合点が行く。悪いが本腰入れて戦わせてもらう」

 

 天使を前にして、先程までとは雰囲気の変わったホーストが構えを取る。

 滲み出る殺気に気を取られそうになるが、更に別の一手がヒカル達に迫っていた。

 

「ちっ、大人しくしてろよこの野郎」

 

「なんだヨ、俺のこと忘れてるのかと思ったゼ」

 

 ナイフの投擲を木刀で払い落とす。

 それを見て、安心したように笑うデモゴーゴンは続けて言った。

 

「まあ、俺の本領はコレじゃないって分かってるよナ?精々頑張れヨ」

 

「っ!」

 

『サア、堕ちロ。そして眠レ』

 

 その言葉を聞いた瞬間、ヒカルの意識は断ち切られ、悪夢へと誘われる。

 注意するべき敵が一人いなくなったことで騎士達やホーストはゆんゆん達へと殺到する。

 絶望的な戦力差でも負けじと杖を構える少女二人ではあるが、一人を庇いながら戦える相手ではない。

 このままでは、即座に殺されてしまうだろう。

 

 このままでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒカル達がまだシルビアと戦っている時のこと。

 

 二対四翼の羽を大きく羽ばたかせてる黒髪の少女とその少女に羽交い締めされるようにして抱き抱えられる銀髪の少女が空を猛スピードで飛んでいた。

 

 黒髪の少女、ヒナギクの表情は鬼気迫るものであった。

 それもそのはず、銀髪の少女クリスに『紅魔の里で神の力でも観測出来ない()()が起こっている』と聞かされたからだ。

 その言葉の後に、更にシロガネヒカルの姿も観測出来ないと続き、ヒナギクは気が気でなかったのだが、しっかりと考えを巡らせていた。

 状況からしてヒカルが紅魔の里にいるだろうことは明白であり、それならば自らが確認すれば良いと結論付けた。

 クリス──いや、幸運の女神エリスも今回は協力的であったのもヒナギクが冷静でいられた一つの要因であった。

 天使のヒナギクとして事態の確認を正式に要請されたことで、普段は封印されている天使の力を使うことを許可された。

 更に何が起きているのかを見極めたいとのことで、クリス自身もついて来てくれることになった。

 

 それからトリスターノとも合流し、事情を説明してから三人で紅魔の里にテレポートで向かおうとしたのだが、何故かテレポートすることが出来なかった。

 それから話し合い、トリスターノはアクセルでテレポートが出来るまで待機し、ヒナギクとクリスは紅魔の里に急行することになった。

 

 修行とムードメーカーの強化でヒナギクの天使の力が上がっているとはいえ、二人を抱えて飛べば、バランスも悪くなる上に飛ぶスピードが遅くなる。

 何が起きているかも分からないのに、更に遅れを発生させるのは致命的である。

 それにトリスターノも少女に抱き抱えられるのは色々とどうなんだという考えが過り、アクセルに残ることを提案した。

 そしてヒナギク達は紅魔の里に着き次第、テレポートが出来ない原因を優先的に排除することを約束し、飛んで紅魔の里に向かうことになった。

 

 

 

 神の力でも観測出来ない何か。

 それがなんであれ良くないことが起きていることは間違いない。

 

 事態は一刻を争う。

 ヒナギクは自身が出せる最高スピードで空を駆ける。

 クリスを抱えていることから無理が生じているのか額に汗すら浮かんでいた。

 不安に押し潰されそうになりながらも前に進むことだけを考え、懸命に羽を羽ばたかせるヒナギク。

 一方、クリスといえば。

 

「はぁはぁはぁ……密着した身体、かかる息、感じる汗と匂い……これもう私達は交わってあああああああああああああああああああっ!!ヒナギクっ!落ちちゃいます!落ちちゃいますぅ!!」

 

 一瞬でクリスを抱えて飛ぶことを放棄したヒナギクは腕の力を抜いて一人で飛ぼうとしたのだが、クリスは間一髪ヒナギクの手を掴むことに成功していた。

 紅潮した顔が一転して青ざめるクリスはヒナギクの手を掴んで、体が風に遊ばれながら叫ぶ。

 

「落ちていいですよ」

 

「死んじゃいます!死んじゃいますから!」

 

「それ仮初の肉体ですよね?」

 

「だからいいってわけじゃありませんよ!すみません、謝りますから許してください!」

 

「…………わかりました。でも抱えれるのは疲れたのでしばらくそのままでお願いします」

 

「えっ」

 

 そのまま飛び続けるヒナギクの手を死に物狂いで掴むクリス。

 クリスは悲鳴を上げながらも、ふと気付いた。

 飛ぶ勢いが強くて、ほぼヒナギクの身体と自分の身体が密着していることに。

 

「まあ、これはこれで……」

 

 クリスはそう言ってヒナギクの腰にひしっと抱きつき、難を逃れる。

 だがヒナギクがそれを許すわけが無かった。

 

「いだだだだだだだだだだっ!?」

 

「離れるか、落ちてください」

 

「それどっちも落ちますよねぇ!?」

 

「僕は構いません」

 

「すみません、ヒナギク!これは不可抗力なんです!ヒナギクの腕に負担を掛けまいと私なりの善意なんです!私ここで頑張りますから、ヒナギクは飛ぶのに集中してください!」

 

「こ、この……っ!」

 

「あぁっ、ヒナギク!紅魔の里が見えて来ましたよ!」

 

「……ああもう!」

 

 抱き着くクリスを引き剥がそうとするヒナギクはわちゃわちゃしながらもスピードを落とさずに進んでいた甲斐もあってか目的地へと近付いていた。

 ヒナギクは変態を振り払いたい気持ちを抑えて、飛びながら紅魔の里を注意深く見回した。

 里がほぼ壊滅状態であることに焦りと不安が増しつつも里の中心部分でヒナギクは見つけた。

 

 複数の敵を相手にするヒカル達を。

 

 

「あれ、なんか天使みたいなのいません?え、なんですかあれ?」

 

 ヒナギクもそれは疑問に思っていたが、そんなことは今はどうでもいい。

 ヒナギクは羽に力を込めて、クリスへ注意を促した。

 

「突っ込みます。気を付けてください」

 

「というかあれって……え、きゃあああああああああああああああああ!?」

 

 目標を見つけたヒナギクはまるで砲弾のように真っ直ぐに飛んでいく。

 ヒナンドではなく正真正銘の天使が変態を腰に引っ提げて、カオスな戦場へ乱入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 置いていかれた男、トリスターノはキッチンに立っていた。

 

「下準備もこれで終了。掃除も終わってしまいましたし、これで本格的にやることが無くなってしまいました」

 

 ヒナギクとクリスが飛んでいくのを見送った後、戦闘準備もすぐに終わらせて、数分おきにテレポートを試しているのだが発動することはなく、ただ待っているだけでは手持ち無沙汰だった為、家事をこなしていた。

 

「はぁ、約束を忘れていただけでなく、ついでに調査なんてしなければ、すれ違いにはならなかったのですが……」

 

 彼はヒカルに今日は家にいると話していたのだが、馬小屋で世話になっていた主人と会う約束があることを失念していた。

 ヒカルが出かけた後、ふと思い出し慌てて主人の元へと向かったのだ。

 そしてその主人に会った時、前々から聞いていた『シロガネヒカルやその周りの人物について嗅ぎ回る男』の噂を聞き、外出したついでにその男について調査を始めた。

 このことがきっかけでヒカル達とすれ違うことになり、こうして置いてけぼりを食らっている。

 

「騎士の誰かが……いや、今のグレテン王国にそんな余裕はないはず……」

 

 トリスターノが調査に乗り出したのは、円卓の騎士やグレテン王国の関係者が噂の人物ではないかと懸念してのことだった。

 違うだろうと思いつつも調査せずにはいられなかったのだ。

 タイミングとしては最悪であったが、周りに迷惑をかけたくない気持ちと先にその人物について知っていれば対策も出来ると考えてのことであった。

 

「さて、そろそろテレポートを試してみますか……」

 

 何回も試して発動しなかった為、ダメで元々の気分でテレポートを試し、魔法が発動する感覚を感じて、すぐに発動のキャンセルを行った。

 

「やっとですか……っ!」

 

 噂の人物や家族の安否にやきもきしていたが、待ちに待った出番が来たことにトリスターノの表情に不適な笑みが浮かぶ。

 すぐ自身の装備や持ち物の確認をし、家の戸締りを済ませて、テレポートを発動させる。

 

「いま家を空けたくないのですが、まずは目先の火の粉を払いましょうか」

 

 トリスターノはテレポートの魔法を発動させて、紅魔の里へと転移する。

 出番を削られがちな男もようやくあのカオスな戦場へと参戦出来たのだった。

 





今回長めの後書きです。

忙しくていつの間にか三週間経っちゃいました。
少しずつ書いてはいたのですが、上手く書けなかったり修正したりで投稿期間が開いてしまい申し訳ないです。
一週間に一回は投稿したいんですけどね。
色々あったんです、すみません。


そして解説です。

トリスターノがテレポート出来なかったのはシルビアがいたからです。倒されたことでようやく転移出来るようになりました。

エリス様が協力的だったのは事態の解決を急ぐためであり、ヒナギクと合法的にくっ付けるからではありません。多分。

ヒナギクの翼の数について。
ここら辺の詳しい解説はまた今度になると思います。
二対四翼の羽は『智天使』の証。
天使の階級で上から二番目。
超パワーアップしていますが、理由とかは詳しい解説の時に。

ちなみに上から一番目の『熾天使』はあの『戦闘員、派遣します!』で出てきたりもしてます。
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