このすば ハード?モード   作:ひなたさん

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お久しぶりです。

155話です。さあ、いってみよう。



155話

 

 宝島から数日経ち、まだまだ周りは宝島の熱が冷めやらぬ中、俺はレベリングに勤しんでいた。

 王都に遠征したりと工夫を凝らしているが、ステータスの低さはなかなか超えられない壁だった。

 頭を悩ませつつアクセルに帰ってきて、一応冒険者ギルドにも顔を出しておこうかなと思い、扉を開けると、女性冒険者に「最近モテちゃって困りますわー」的なことを言ってるカズマを見つけた。

 こいつも話題が尽きないな、なんて思いつつ話しかけると、惚気話ではなく割と真面目な話がカズマの口から語られた。

 

「ウィズさんにストーカーねぇ……」

 

「いや、これがマジなんだよ」

 

「というか、今までいなかった方がおかしいんじゃねえのか? ちょっと顔色が悪くて、商才がアレなだけで他はだいたいパーフェクトだろうが」

 

「まあそれはそうなんだけど、そういうのは置いといて、だ。さっき言ったストーカーのレベルがやばくてさ。なんでも道の往来で情熱的に告白をした後『お前を襲う!』って言って服を脱ごうとしたらしい」

 

「ストーカーっていうか、ガチのやべえヤツじゃねえか。おいおい、アクシズ教じゃねえだろうな」

 

「おいこら、俺を見ながらアクシズ教とか言うな! アクアはアレのアレだが、俺は関係ないぞ!」

 

 カズマが語気を荒げながら俺にビシリと指を突きつけ、言い放つ。

 まあ、この世界で『やーい、お前の母ちゃんアクシズ教ー!』なんて言ったらガチの取っ組み合いが始まるのは確実なので、カズマがキレ気味になるのも当然だ。

 まあ、アクシズ教なんてどうでもいい、今はウィズさんの話だ。

 

「それで? 警察にはもう突き出したのか?」

 

「いや、それがさ……」

 

 更に詳しく聞いてみると。

 

「あ? 明日直接会う? なんでだよ」

 

「いや、自分で直接決着つけるってウィズがな」

 

 真面目か。

 いや、ウィズさんは真面目だな。

 

「それで少し気になることがあってさ。あのバニルが見通せないって言ってたんだ。あのバニルが見通せないなんて、相当だぞ」

 

 バニルさんが見通せないってことは……。

 

「……え、マジでアクシ──」

 

「おい、それ以上はやめろ」

 

 どうやら禁句になったらしい。

 

「冗談だよ。それで?」

 

「なんかあった時に備えて俺達も近くで待機しようかなと思ってるんだけど、ヒカルもどうだ?」

 

 その提案自体は悪いものじゃない。

 だけど、なんか嫌な予感するんだよな……。

 具体的に変態で強いヤツってところが。

 

「あー……行けたら、行くわ」

 

「おい、それ来ないヤツだろ」

 

 いや、カズマ達がいるならいいかなってね。

 それに『バケモンにはバケモンをぶつけるんだよ!』という名言もある。

 ヤバいやつにはヤバいの(カズマ)をぶつけた方が綺麗に収まるんじゃないかと思ったわけだ。

 決して面倒くさそうだからやめとこうかな、なんてことは思ってない。決して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。

 一応、大きな予定もなかったので、少し遅れ気味だったが顔を出すことにした。

 本当にヤバそうだったら、カズマに頑張ってもらって、それでもダメそうなら俺も止めに入ろう。

 そんなことを思いながら指定の場所に着いたのだが。

 

「ウィズさん、いねえじゃん」

 

「あ、遅いぞヒカル」

 

 いたのはカズマ達御一行のみ。

 思ったより大したことなかったのかと思いつつ、せっかくここまで来たんだから詳しく話を聞くことにした。

 

 軽くまとめると、

 ストーカーのあまりに情熱的な告白に押されまくったウィズさんは耐えられなくなってテレポートで逃げ出したらしい。

 

 更に衝撃的なのが、ウィズさんがリッチーだということも承知の上での告白なのだとか。

 しかもウィズさんのその力量を知っている上で勝負を挑み、勝てば今の仕事は辞めて家庭に入れ、とまで言ったらしい。

 

 いや、もうなんというか言動に少し難はあるが……普通に良い男──いや、漢なんじゃないか。

 

 事前に知っていた情報から完全にヤバい変態としか思っていなかったが、あまりの男らしさに尊敬の念すら覚える。

 

 いや、確かにヤバい行動が目立ってはいたが、気持ちが前に出過ぎていただけかもしれない。

 ゆんゆんも少し前まで友達欲しさに奇行をやらかすことがあったが、それと似たようなものかもしれない。

 俺は嫌いじゃないよ、そういう奴は。

 むしろ応援するよ、ウィズさんにも幸せになってほしいしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウィズさんがテレポートしてから三日が経った。

 あれからウィズさんは一度も帰ってきてないらしい。

 まあ、結婚を申し込まれて戸惑わないわけがないしな、当然のことだろう。

 俺も結婚を控えた身だ、なんとなくわかる。

 そして、ストーカー……いや、デュークという男らしいが、デュークはまだアクセルの街にいるらしい。

 ここまで来てデュークほどの男が引くわけがない。

 ……いや、俺は一度も会ったことはないんだが、きっとそうだ。

 

 それはともかくとして、

 カズマはまだデュークのことが気になるらしく、俺も一目見ようと思い、カズマと一緒にデュークがいるという噂の酒場へとやってきた。

 なんか途中からダストも付いてきたが、断る方が鬱陶しくなりそうなので黙認した。

 

「なんだよ、お前ら。さっきからアイツのことジロジロ見て。知り合いか?」

 

 カズマが見ていたフードを被った男──デュークを指差して尋ねてきた。

 

「いや、知り合いってわけじゃないんだが……」

 

 カズマの返答を聞いたダストはニヤリと不敵な笑みを浮かべ、デュークへと近付いていった。

 

「おう、イケメンの兄ちゃん。俺はダスト、この街でちょっとした冒険者だ」

 

「……何だお前は。何か用か?」

 

 チンピラを止めようか悩んだが、カズマの話ではデュークはかなりの実力者だと聞いていた。

 試すようで少し気が引けるが、そのまま様子を見ることにした。

 デュークが本当の男か、それとも嘘だらけの変態か。

 ダストへの対応である程度は分かることだろう。

 

「俺が名乗ったんだから、お前も名乗れよ。礼儀を知らねえのか? あ?」

 

「…………俺の名はデュークだ。もう一度聞くが、何の用だ?」

 

 ダストの態度の悪さに思わず頭を抱えそうになったが、デュークの対応は今のところ悪くはなかった。

 ……後で止めなかった詫びとして、デュークに一杯奢ろう。

 

「お前、見ない顔だが新入りか? さっきも言ったが、俺はこの街で名の知れた冒険者だ。一杯奢っとくと後々何かと助かるかもだぜ?」

 

「この俺にたかる気か? ……なるほど、人里には出てみるものだ。こんな経験はなかなか無いからな」

 

 デュークはそう言って立ち上がると、ダストへ強烈なプレッシャーを放った。

 おお、ウィズさんに結婚を申し込むべく勝負を挑もうとする真の漢は、口先だけの変態ではなかった。

 これで何の遠慮もなく応援が出来るというものだ。

 

「ふっ、合格だ。そうだ、冒険者はそうじゃねえとな。俺達は舐められたらおしまいだ。新入りにはこうして粉をかけ、反応を見ることにしてるのさ。素直に金を払う腰抜けには冒険者なんてやれるわけねえからな。そして、アンタみたいなやつには歓迎の一杯を贈ることにしているのさ」

 

 飲んだくれのチンピラが何か言ってる。

 正直、少し痛い目にあってくれないかなとも思ったのだが。

 

「……そうか。なかなか面白いことをしているのだな」

 

 デュークは金髪のチンピラの言葉を間に受け、そう返すと再び座った。

 負け犬のチンピラは、店員にデュークの酒を注文するとじゃあなと言い残しその場を去る。

 やがて悠然とした態度で俺たちの下へと戻ってくると。

 

「おい、お前ら! 何なんだよあいつは! あんなヤバそうなヤツなら最初に言えよ! 一杯奢るハメになったじゃねえか!」

 

「お前が悪いんだろうが」

 

「そうだよ。それで、どれぐらい強そうだった?」

 

 カズマも俺と似た思惑だったらしい。

 ウィズさんのためにもデュークの力量をある程度は知っておいた方がいいからな。

 

「あいつはヤバいぞ。俺が今まで会った中でもかなりヤバい。それこそ、魔王の幹部クラスじゃねえのか?」

 

 ウィズさんに挑もうとしてるんだから、それくらいはないとな。

 いや、良かった良かった。

 ただのヤバい変態じゃなくて。

 

「つまり……俺に匹敵するほどの力を持っている、ということか」

 

 カズマはキメ顔でそう言った。

 俺は多分呆れ返った表情をしていたが、そんな俺を横目にカズマはデュークへと近づいていった。

 

「やあ、ちょっといいかな? 俺の名は佐藤。この街最強の冒険者と評判の佐藤和馬ってもんだ」

 

 …………割と実績あるからな。

 俺は何も言うまい。

 

「おい、いいのか? 止めなくて」

 

「知らん。最強なんだからどうとでもなるだろ」

 

 ダストがひそひそと俺に尋ねてくるが、俺はキッパリとそう返した。

 ダストにあれだけ言わせるほどの実力者に自分から絡みに行った以上、自己責任だろう。

 俺は店員にデュークへの酒を注文後、会計してそのまま酒場を後にした。

 

 デュークの大胆な告白が実るか実らないかはともかくとして、今回は大したことにはならなそうだ。

 今まで聞いてきたデュークの性格からして、少し気持ちが昂りやすい傾向にあるのかもしれないが、この街にはすぐ頭に血が上って爆裂する頭のおかしいのがいるし、大した問題じゃないだろう。

 なんなら、まだ常識人判定かもしれない。

 そう考えると、上手くいく可能性の方が高そうだ。

 陰ながら応援するとしよう。

 

 何はともあれ、まずは自分達のことだ。

 俺の問題はそう簡単に解決するわけがないから、しばらく保留するとして、ヒナが最近街で違和感を感じるとかなんとか言っていた。

 ベティヴィアの一件もあったし、そのままにしておくことは出来ない。

 何よりヒナが正体不明の違和感が気になってしょうがないようなので、無理矢理調査に参加させられそうだ。

 首根っこを掴まれて引き摺られるのはもう御免なので、自分から動くとしよう。

 

 ……エリス様がアホなことやらかしてるとか、そういうオチだったらまだ平和でいいんだけどな。

 





このすば3期来ましたね。
アイリスが動くところやカズマの本気がアニメで見れるのは嬉しい限りです。
ゆんゆんの出番は少なそうですがね。
アニオリでゆんゆんのお話を二話ぐらいやってもいいと思いますけど、どうでしょう?だめ?そう……。

3期のおかげで、やっと書けました。
書くの久しぶりすぎて、変になってるかもしれません。
時間空きすぎだろ……。
時間空きすぎて、なんか知ってる作品が消えてたり、めちゃくちゃ仲良かった人が消えたりしてる。
まあ、このサイトじゃ珍しい話でも無いですけど、時間の流れは残酷ですね。

本編に触れましょう。
デュークさんはアレのアレなので、ヒナが反応するのも当然というもの。
原作の流れにかなり触れることになりそうです。
もう少しで原作14巻の紅魔の里の次期族長のアレコレが起きますけど、その前にヒナのおじいちゃん関連のお話があるかも、ですね。
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