このすば ハード?モード   作:ひなたさん

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やはり最初をテンポ良くするのは難しいですね。

2話です。さあ、いってみよう。


2話

「おお……」

 

 思わず感嘆の声をあげた。

 目を開けるとまるで中世のヨーロッパのような街並み。 

 街の人たちを見て普通の人間とは違う部分を持つ人たちがいるのが見える。

 犬のような獣耳や先が尖ったようなエルフのような耳。

 

 本当に別の世界に来たらしいな。

 

 あの邪しn……じゃない女神の言うことを信じてないわけじゃないが、やはり不安はあった。

 

 

 よし、これで俺の冒険が始ま……

 

 ってちょっと待て。

 選択肢的にほぼこれしか選べなかったし、女神に乗せられてノリノリでこんなところに来てしまったが、俺はこれからどうすればいいんだ? 

 

 事情を知る人たちが迎えに来てくれたり、女神の使いが街を案内してくれるのだろうか。

 

 ここまで来てようやく自分の状態を確認し始める。

 服は死ぬ前と変わってない。私服だ。

 持ち物はサイフすらない。何も持っていないことから女神が選んだのは武器の類ではなく、何かのスキルや才能なのだろう。

 

 何回も何も持ってないことを確認しつつ5分、10分と誰かが来てくれるのを待つ。

 

 待てども待てども何も来ない。何も無い。

 

 とりあえず前を通った人物に話しかけようとして止まる。

 これは言葉は通じるのか? 通じない場合は英語か? 

 海外の旅先で言葉が通じないなりにボディランゲージやノリで話すのとは訳が違う。 

 

 俺はこの世界でやっていかなきゃいけないのに……。

 

 止まっていてもしょうがない。当たって砕けろの精神で俺は鎧姿の男に話しかけた。

 

「あのーすみません」

 

 俺が話しかけたことで振り返ってくれる。

 獣耳やエルフ耳のような耳ではなく、見慣れた普通の人間の顔立ち。というか茶髪だが、普通に日本人のような顔立ちの青年だ。

 

「僕に何か用かな?」

 

 ……言葉は問題無かった。本当によかった。

 

「あー、えっと俺ここにはじめて来てさ。それで……」

 

「もしかして日本から来た人?」

 

 幸運にも第一村人で日本のことを知る人に出会えた。

 

 

 

 

 

「なるほどね」

 

 だいたい情報の交換ができた。

 彼はミツルギ キョウヤ。俺と同じく日本から転生して来た勇者候補だ。

 

「にしても転生特典がわからないなんて。君、本当にどうする気だったんだい?」

 

「しょうがないだろ。女神様も大変みたいで早く選んでくれって言うし、そもそもこの世界のこと何もわからないし」

 

「でもわかるよ。僕もこの魔剣グラムが無ければ、確実に路頭に迷っていたからね」

 

 もう少し親切仕様にして欲しい。

 

 とにかく彼は事情を理解してくれたらしく、かなり協力的だ。

 どうやら冒険者になるのも金がいるらしく、生活にも困るだろうからと10万エリスをポンと渡してきた。

 大金を渡されてかなり動揺したが「僕は魔剣グラムがあるからね」とのこと。

 そのかわりまた戻ってきた時に君の能力がわかっていれば仲間になって欲しいと言われた。

 んなもん二つ返事でOK出すに決まってる。

 

 ミツルギはこれからこの街じゃなく違う街でレベルを上げつつ仲間を集めるらしい。

 あまり力になれなくて申し訳ないね、なんて言われたが十分すぎるほど力になってる。顔立ちもかなり整っているが、どうやら中身もイケメンらしい。

 

 ミツルギ様様だ。あの邪神よりもよっぽど神様らしいじゃないか。

 というか本来はもう少しこの世界について教えてもらえるし、お金も貰えるはずらしい。もうなんなんだ。

 

 ミツルギにはかなりの借りを作ってしまった。俺もあんな勇者になりたいもんだ。

 

 そんなこんなで俺はミツルギとは別れて冒険者ギルドに着いた。

 

 来る途中に言葉も問題なく理解出来ることを確かめ、何故だか知らないはずの看板の文字が読めることから言語の問題も無くなった。

 

 スキル系の転生特典なら冒険者カードに表示されるかもしれないと、ミツルギに聞いた。

 

 冒険者になって、自分の転生特典を確かめる。

 これで俺の不安要素は消えて、晴れて俺の冒険と第二の人生が始まるという訳だ。

 

 

 とりあえず今日は冒険者の登録と特典の確認。それと他にも情報収集しつつ泊まる場所などの確保をしなくてはならない。

 

 ミツルギにここまでしてもらったんだ、これ以上情けないことは出来ない。

 

 

 俺は意を決してギルドの扉を開けた。

 

 

 

 

 どうやら酒場や食事処も兼ねているらしい。

 昼間だがかなりの賑わいだ。

 

 右奥に受付らしき場所が見えたから、そこに向かおうと一歩を踏み出した瞬間、

 

「おまえさん、見ない顔だな」

 

 いきなりモヒカンのごついおっさんに絡まれた。

 

 これはもしかしてアレか。

 ここのリーダーに挨拶も無しにここを通るつもりか? みたいな。

 

「ああ、冒険者になりに来たんだよ。これからよろしくな」

 

 下手に出て舐められるのも嫌だったから、タメ口で返してみたが、どう来る……? 

 

 返事は無く、まるで睨み合いのような時間が過ぎる。

 

「おまえさん……まだ若ぇだろ。悪いことは言わねえ。冒険者なんてヤクザな稼業やめときな」

 

 いや、止められるのぉ!? 優しいな!? 

 顔と言ってることが全然違うよ、このおっさん!! 

 

「い、いや、そういう訳には行かない。冒険者になりに此処まで来たんだ。今更引けねえよ」

 

「……そうか」

 

「ああ」

 

 空気が重い中、数秒経ち

 

「右奥のカウンターだ。気をつけな、ルーキー」

 

「え、あ、はい。ありがとな……」

 

 思わず敬語になってしまった。やっと受付へと歩き出せることが出来た。

 な、なんだったんだ……? 大物パーティーのリーダー格か、それともこの街一番の実力を持つ冒険者なんてこともあり得る。

 

 ミツルギにはここは駆け出し冒険者が集まる街だと聞いていたんだが、どうにも考えを改める必要があるらしい。変に目を付けられてないといいんだが……。

 

 情報収集はしっかりやらないと痛い目を見るかもしれないな。

 

 

「今日はどうされましたか?」

 

 受付にはウェーブのかかった髪におっとりした感じの美人な女性。

 

 うん、でかい。説明不要。なるべく目が行かないように気を付けつつ目を見て話しかけた。

 

「冒険者の登録をお願いしたいんですけど、その前に」

 

「はい?」

 

「入り口にいたモヒカンのごつい人、アレどんな人ですか?」

 

「……あー」

 

 歯切れが悪い。しまった、触れることすらダメだったか……? 

 

「あの人はここの食堂の一般人の常連さんです」

 

「……ゑ?」

 

 

 ……。

 

 

 いや、冒険者じゃないんかいいいいいいいい!!!!!! 

 





オリキャラは後々のお話の後書きで説明があったり無かったりします。
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