このすば ハード?モード   作:ひなたさん

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文字数がいつもの倍か三倍あったので分けました。

20話です。さあ、いってみよう。


20話

 トリスターノが部屋にやってきた。

 なんかあったのか?

 

 

 話を聞くとゆんゆんが一人で違うパーティーに頼み込み違うパーティーを作り明日の早朝にホーストと戦うみたいだ。

 

 あのゆんゆんが?

 ぼっちのあのゆんゆんが?

 ……そうか、すごいじゃん。ゆんゆん、いつの間にそんな成長したんだよ。

 それなら俺もヒナギクと一緒に違う仕事をしてもいいかもしれないな。

 俺は戦力外通告を食らったんだ。

 これからはもう冒険者なんてやめて平和に……

 

「行かないんですか?」

 

「あのなぁ。ゆんゆんがわざわざ俺を置いていったのはなんでだ?戦力にならないどころか、邪魔だからだよ」

 

「違います。貴方が、友達が大事だから、守るためにゆんゆんさんは戦いに行ったのです」

 

「一緒じゃねーか。てか行ったところで何の役にも立てやしねーよ」

 

「そんなことはありません」

 

「はあ?また守られろってか?」

 

「シロガネさん、悪魔討伐クエストの時、他の冒険者が逃げるのに必死な中、冒険者の中で一番弱い貴方が危険な場所に飛び込みヒナギクさんを救ったんです」

 

「ただ勝手に動いたというか」

 

「それを誇るべきです。誰もが出来なかったことをしたのですから。

 

 いいですか、シロガネさん」

 

 貴方が行く道は貴方が決めるべきです。その道は戻ることは出来ません。後悔したくないのなら考えて選ばなくてはいけません」

 

「……」

 

「でも貴方が選ぶ道はもう決まってるはずです。少し躊躇ってるだけでしょう」

 

「決めてねえよ、まだ」

 

「いいえ、決まっています。何故なら、私の友達は自分が弱かろうが何だろうが友達の為に頑張れる人だからです」

 

 こいつにそんな立派な友人がいたとは、知らなかった。

 

「その友達は友達を見捨てるなんて出来るはずがありません」

 

「死ぬかもしれないのにか?」

 

「ええ、そうです。何故なら圧倒的な力の差を見せられた友人とはパーティーを解散しようとしても、結局その友人が気になってしまって、ずっと隣を張り続けてきたのですから」

 

 ん?

 

「……は?お前もしかして俺が抜けようとしたの知って」

 

「だからその友人が危ない戦いに赴くというのであれば、自分がどれだけ釣り合わなかろうと、きっと隣に立とうとするはずです」

 

「てめえ、このストーカー野郎!どこからどこまで見てんだ!」

 

「さあ、どうしますか!?どの道を選ぶんです!?」

 

「てめえ、誤魔化されねえぞ!マジでお前ふざけんなよ!」

 

「まだ道を踏み出せませんか?なら私も手伝いましょう!」

 

「おいこ」

 

「何故なら私も貴方の友達ですから」

 

 ウインクをしながら、なんとも憎たらしいパーフェクトなイケメンスマイルをしてくる。

 

「……はあ、ストーカーなんかと友達とはな」

 

「決まったようですね」

 

 うんうんと満足気に頷いてるのは、とても腹が立つ。これだからイケメンは。

 

「そうだな、決まったよ」

 

「ふふふ、それなら」

 

「まずはお前をぶん殴ることだ」

 

「へ?」

 

 バキッ!

 

「ぐあっ!!」

 

 スキだらけの綺麗な横顔を思い切り殴り飛ばす。

 よし、スッキリした。

 

「いや、え、ちょ、ええっ!?私すごい良いこと言ったのに!?」

 

 殴られたところを抑えながら立ち上がり抗議するトリスターノ。

 

「やかましいんだよ、この野郎。色々とプラスマイナスされたけど、マイナスだよ」

 

「ええっ!トリタン頑張ったのに!」

 

 何がトリタンだ。気持ち悪い。これだからイケメンは。

 

「だけど」

 

「?」

 

「友達にプラスもマイナスもねえな。じゃあ行くか」

 

「ふっ、ええ!」

 

 よし、すぐに準備を整え

 

「あ、」

 

「どうした?」

 

「ここは私も殴り返すべきなんでしょうか?」

 

 間抜けな質問をしてくるトリスターノ。

 重要な事を思い出したかのようなリアクションをするな。

 

「冷静に聞いてんじゃねーよ。文字数も多くなるからさっさと行くんだよ、馬鹿野郎。これ以上引き伸ばしたらだるいだけだ」

 

「メタいですね」

 

 準備を整えてすぐに向かおう。

 

「待って」

 

 と思ったら、起き上がるヒナギク。

 

「お前寝てたんじゃねーのかよ」

 

「僕が寝てるのに騒いでたくせに何言ってるの?僕も行かせて!」

 

「ダメに決まって」

 

「僕も寝てられないよ。だって、男達のくっさいセリフ聞いて、ちょっとしんどいよ!」

 

「やかましいわ!良い感じのシーンぶち壊すんじゃねーよ!」

 

「そうですよ!私とシロガネさんの誰得友情シーンですよ!私ただでさえ出番少なめなのに!セリフ量も少ないんですよ!?」

 

「お前もやかましいんだよ!イケメンといえど男なんて誰も求めてねえんだよ!」

 

「ひどいっ!」

 

「だいたいさ!くっさいセリフで二人で盛り上がってたけどさ!」

 

「うるせえ!くさい言うな!」

 

「僕だって友達なんだよ!!なら僕もいくよ!その道に僕も連れてってよ!」

 

「……お前もくさいじゃねーか」

 

「くさいですね」

 

「うるさいよ!皆くさいから僕もくさくなってあげたの!自分もくさくなったら気にならないくささなの!」

 

「くさいくさいうるせえよ!」

 

「だから!連れてって!僕も友達の力になりたいんだ!」

 

……。

 

「どうするんですか?」

 

「はあ……。まあ、あれだ。くさい奴らで頑張りますか」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

 俺たちは今度こそ準備を始めた。

 

 

 

 

 

 もうすでに戦いは始まっていた。

 ありゃ遅刻だな。

 堂々と近くへと歩み寄る。

 

「よーし、お前ら打ち合わせ通りにやるぞー」

 

「僕は正直これが一番楽しみだったんだよ!次が悪魔を滅ぼすことだけど!」

 

 

「な、なんだ……?」

 

 ぼっち、いや、ゆんゆんとレックス達、更にはホーストまでこちらに注目している。

 

「「「お控えなすって!」」」

 

 右半身を前に出し右手の手のひらを相手に見せるようにして中腰になる。

 

「こう!?合ってる!?」

 

「そうそう、良い感じだ」

 

「私はどうです?」

 

「お前はもうちょい前傾姿勢で」

 

「こうですか?」

 

「いいね」

 

 

「何しに来たんだあああああ!?」

 

レックスだかセッ◯スだかがブチ切れてくる。

 

「いや、何って俺らも戦いに」

 

「緊張感まるで無いよ!これ上位悪魔だぞ!お前ら初心者冒険者と重傷のアークプリーストじゃん!帰れよ!」

 

「やる気はありますよ」

 

「殺る気満々だよ!」

 

 ニコニコのトリスターノとシャドーボクシングを始めるヒナギク

 

「そうだよ、俺たちは新しく出来たパーティーの一つ、その名はぼっちトリオ!」

 

「え…?」

 

 固まるぼっち、いや、ゆんゆん。

 

「え?ぼっち?私はわかりますけど、貴方達は?」

 

「僕も恥ずかしながら友達が、その、いなくて……」

 

「俺もこっちの国に知り合いが誰もいない状態で来たからな、ぼっちトリオでいいだろ」

 

「では決まりで」

 

「そうだね」

 

「……えっ!?ちょ、ちょっ、ちょっと待って!?え!?トリオ!?」

 

 動揺し始める別のパーティーのぼっち、いや、ゆんゆん。

 

「よし、やり直しだ!行くぞ!」

 

 二人とも頷いてくれる。三人でキレ良くポーズを決める。

 

「「「お控えなすって!!」」」

 

「手前、生国と発しまするは日本の生まれ、姓はシロガネ、名はヒカリ。人呼んでヒカルと発する冒険者でございます!」

 

「手前、生まれはヒノヤマ、名はヒナギク、人呼んでヒナと呼ばれる冒険者でございます」

 

「ちょっと!?え?何やってるの!?なんでパーティーの名乗り上げみたいなこ……」

 

「手前、生まれはグレテン、名はトリスターノ、人呼んでトリタンと呼ばれるしがない弓兵でございます」

 

「「「我ら、ぼっちトリオ

以後、面対お見知りおきの上、よろしくお願い申し上げます!」」」

 

「ああ!これがニホン!最高です!」

 

「ええ、こういうのも悪くありません」

 

「ねえってば!さ、三人!?ねえ、私もそれ頑張っておぼ……」

 

「いや、ほんと何しにきたんだよ、お前ら!!」

 

 キレ気味のレックス達。ちゃんとお控えなすってって言ったのに。

 

 

「なんだ?お前森で会ったやつじゃねーか。見つけたのを知らせに来てくれたのか?」

 

 ホーストがようやく気付いたらしく、俺に声をかけてくる。

 ホーストは二枚あった羽が一枚切り落とされて、身体中傷が付いていた。

 

「よお、ホーストさん。悪いけど、見てねーな」

 

「じゃあなにしに来た?お前、見たところ初心者冒険者だろ?そんな弱っちい装備で何ができる?俺様との力の差がわからないわけじゃないだろ?それともわからないぐらいのバカなのか?」

 

「なんだよ、ホーストさん。あんたも随分とボロボロじゃねーか。顔色悪いよ?お腹痛いの?」

 

「元からこういう色だよ、バカが!」

 

「ねえってば!私もそれ教えて!恥ずかしいけど頑張って覚え……」

 

「ねえ、悪魔と知り合いなんて聞いてないんだけど。後で詳しく聞かせてもらうから」

 

「そうですよ、今更変な設定なんてズルいですよ!」

 

「お前に言われたくねえんだよ!」

 

 ヒナギクもトリスターノも変な勘違いはやめてほしい。

 

「ぅぅ……ひっく、覚えるからぁ……わだじもぉ……」

 

 泣き始めるぼっち、いや、ゆんゆん。

 

「あのーおたくのパーティーのぼっちさん、じゃなくて女の子なんか泣いてますけどー?」

 

「いや、悪魔かお前!!お前のせいだろ!」

 

「悪魔はそっちにいるだろうが!」

 

 ホーストに指差してツッコミを入れるが、何故か周りの反応は冷たい。

 

「そうです、やりすぎですよ」

 

「泣かせるなんて最低だよ」

 

「だって勝手にパーティー抜けたのぼっちさんだし」

 

「ええっ!?抜けてないよ!?その、これはちょっと事情があって、ていうかぼっちさん!?」

 

「……お前らやりあうのか、やりあわないのか、どっちなんだ?」

 

 困惑するホースト。

 

「そうだぞ、お前ら。ホーストさん困ってるだろ。そういう流れ壊すのやめてほしいんだよね」

 

「いや、壊してるの全部お前!」

 

 レックスは意外とツッコミがキレキレだ。

 さて、仕切り直しだ。

 

「そこの女の子はな、俺らの友達なんだよ。危険な戦いをしてるのなら助けるのが道理。ということで」

 

「あの、えへへ。友達は嬉しいんだけどパーティーでもあるんだよね……?ねえ?」

 

「義によって助太刀致す!トリスターノ援護頼む!ヒナ、行くぞ!」

 

「「了解!」」

 

 距離を取り弓を構え始めるトリスターノ。

 

「行くのはいいんだけど、なんか作戦とかあるの?あれ結構強いよ?」

 

「パーティーなのよね!?抜けてないもん!」

 

 ヒナが作戦を聞いてくる。そしてぼっちさんがうるさい。

 

「お前の支援魔法が俺の生死をわけると言っても過言ではないぞ」

 

「ねえ!聞いてる!?」

 

「え、ちょ、戻って!今すぐ戻って!」

 

「作戦名を伝える」

 

「あ、やっぱりちゃんと考えて」

 

「『ガンガンいこうぜ』だ」

 

「ちょ、待って!一人だけ『ガンガン逝こうぜ』になってるから!」

 

「いいから支援魔法かけてくれ」

 

 多分ヒナが仲間になってくれた今なら『ムードメーカー』が機能してくれる

 

 

 はず。

 

 

 そうすれば支援魔法もあってそれなりになって、まあまあ戦えるようになる。はず。

 

 もっとマシな作戦は無いのかって?そんなこと考え付くようなステータスは無い。

 だって俺は強くなれないんだし。

 

 ヒナの支援魔法が俺にかかる。そして他にも『ブレッシング』という魔法もかけてくれた。

 滅茶苦茶身体が軽い。力が漲るようなそんな感覚。何か重かった荷物を下ろしたような気さえする。

 

 ヒナがグローブを付け始める。お前やっぱりモンスター相手にもボクサースタイルなんだ…。

 

「完全に消す」

 

 ヒナ、キャラ違いすぎるだろお前。

 

「そっちはそっちで戦いな!俺らは俺らで戦う!」

 

 レックス達に伝え、とうとうホーストとの戦いが始まった。

 




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