31話です。さあ、いってみよう。
ゴースト討伐を決めて一週間ほど経った。
この一週間は準備や自分達の仕事に使った。
そして例の教会近くの町に一日かけて馬車に揺られて移動して着いた。
冬になって来たのか寒くなってきた。共同生活に反対してた俺が言うのもなんだけど、馬小屋生活してなくてよかった。
魔王軍に味方する国に比較的近いせいか町の住民も少なく、寂れた雰囲気の町だ。
今日から泊まる宿もボロい上に少し割高だ。こうしないとやっていけないのだろう。
この町は治安も少し悪いみたいで、今三回目になるがチンピラみたいのに絡まれたがヒナのボディーブローでだいたい解決した。
今日はそのまま休み、明日は情報収集。
明日そのまま行けるようなら討伐に向かう。無理そうなら明後日に回す。
今回のクエストはほとんどヒナ頼りだし、この町周りのモンスターもアクセルに比べると少し強いモンスターがいるから無理は出来ない。
慎重なぐらいがちょうどいい。死んだら意味がないからな。全員と話し合ったが全員の賛成を得られた。
トリスターノと同じ部屋なのは正直嫌だったが宿が少し高い為妥協した。ツイン二つ借りて各々の部屋へと向かった。
部屋に着いて荷物を置いていると
「不束者ですが今日からよろしくお願いします」
「変な言い方をするな。よろしく」
トリスターノはやっぱり冗談のセンスがない。
時刻は20時過ぎ、まだ寝るには早いがすることもなく持ってきた本も読み終わってしまいどうしようかと寝転んで悩んでたら、女子二人がやってきた。こいつらもやることがないのだろう。ゆんゆんはトランプを持ってきている。
ゆんゆんがトランプを持ってると一番最初に会った時のことを思い出す。トランプの山作ってて話しかけ辛かった。
しばらくトランプで遊んだ。たまに日本にいた時とルールが違ったりしてギャップがあったが楽しい時間が過ごせた。
「そういえば孤児院に行った時に面白い絵本があったんだけどさ」
「面白い絵本?」
「ヒカルが絵本読んでるってだけで、すでに面白いんだけど、どうしたの?」
「やかましいんだよこの野郎。天才少年がソロで魔王を倒しに行って結局自分が魔王になっちまう話よ」
「面白い絵本っていうから何だと思えば、それは誰もが知ってる物語だよ?」
「そうですね。有名な昔話です」
「え?そうなの?割と主人公がぶっ飛んだこと言ってるからマイナーなものかと思った」
「確かにセリフとかアレな感じだよね」
「『チートがあればソロでオッケー。稼ぎも全部俺のもんだしソロ最高!』なんてよく絵本にしたもんだなと思ったんだが」
「ヒカルはなんでこの話知らないの?ニホンにないの?」
「ねえよ、こんなの。絵本って子供の成長の助けとかになったり、親子同士のコミュニケーションとかその為にあるのに、こんなんでいいのか?」
「流石子供達の指導員ですね」
トリスターノが茶化してくるが、そんな風に褒めてもあの子達には近寄らせないからな。
ヒナが感銘を受けたような表情になり、涙ぐむ。
「やっぱり僕のやり方は合ってたんだね。子供達の指導を通してこんな立派に」
「なに親みてえなこと言ってんだよお前は」
「あとは言葉遣いやセクハラとかしないように矯正すれば」
「おい、今矯正とか言ったか?」
「…セクハラは本当にやめてよね」
ゆんゆんが少し赤面しながら睨んでくる。
男の怖さを教えてあげただけで俺はセクハラなんてしていないのだ。更に言えば短いスカートが悪いと思います。
「脱線しましたが、あの絵本の何が面白かったんですか?」
トリスターノが話を戻してくる。
「ああ、そうだった。勝手に感動したり、身に覚えのないセクハラとか言われて忘れるところだった」
「ねえ、後で話があるから」
ゆんゆんに凄まれたけど、話を進めた。
「いや、お前これ、天才でめちゃくちゃ強かったけど、『ぼっち』だから魔王になっちゃったみたいな話じゃん?」
「…まあ、そうだね」
認めたくなさそうだけど、つまりはそういう話なのだ。
「じゃあこの絵本の通りなら、俺達は全員魔王になれるってことだろ」
「…え、そうなるんですか?」
「そうだろ。全員適性あるぞこれ」
「ないよ。ヒカルは何言ってるの?」
こいつ、いつも俺の話聞いてるくせに、よくバカにしてくるのはなんなんだろう。
「そ、そうよ。私達なら魔王なんかにならないわ。な、なぜなら」
「わ、私達はみんな、と、友達だから!」
「う、うん…」
「お、おう…」
「そ、そうですね…」
なんかアレな発言に少し引いた三人。
「ええっ!?な、なんでそんな微妙な反応なの!?」
「う、ううん、ごめんね。僕達はみんな友達だよね」
「いえ、その、頑張ったなあと」
「ていうかそのくさいセリフ言うのに何回どもるんだよ」
「く、くさい!?」
赤面してプルプルし出すゆんゆん。
「く、くさいとか言っちゃ駄目だよ!ゆんゆんだって少し恥ずかしかったんだろうからさ」
「そうですよ。女性相手にくさいなんて」
「なんだよこの野郎。お前らだって似た反応しただろうが」
プルプルしてたゆんゆんは目に涙を浮かべ
「うわあああああああん!!くさいってなによ!!ヒカルだってよくくさいくせに!!」
「おい、なんだその誤解しか生まれないセリフは!え?なに?俺、くさいの?え?体臭?こ、口臭とか?」
「ちょ、ちょっとこっち来ないでよ!」
「おいいいい!!なんでそんなマジな反応なんだよ!!え!?マジか!?本当にくさいのか!?」
「よくくさい事言ってるじゃない!!悪魔討伐の時にくさいこと言ってたし!!」
「そっちかよ!!え、物理的にはどうなの?く、くさくないよね?ねえ?」
「こ、来ないでったら!」
「お前なんなんだよ!いつもニホンの話しろとかうるさく近寄ってくるくせに!!」
「おい、トリスターノ!俺は匂わないよな!?そうだよな!?」
ニッコリ笑うトリスターノ。
「何笑って誤魔化してんだ!!」
「どうせヒナちゃんだって我慢してるのよ!そうなのよ!」
「マジもんのくささなの!?」
「え!?いや、別にそんなことは」
「ヒナちゃんには物凄くくさいこと言ったの私知ってるもの!!」
「はあ?んなこと」
「『お前のことが知りたいんだよ。面白いとかつまらないとかどうでもいい』なんてくさいこと言ったくせに!!私のことは全然聞いてこないくせに!!」
「え、いや、ちょ、」
「あーそれはくさいですね」
「くさいですね、じゃねえんだよ!冷静に判断してんじゃねえ!」
「『あいつらが俺のパーティーでいてくれる限り、俺は弱いか』」
「うわあああああああああ!!!お前このちびっ子!!あの事は言うなって言っただろうが!!」
ゆんゆんが思い出して言うセリフを大声でかき消してから、あのバカに向き直る。
「ちびっ子!?あの時のヒカルの話は別に恥ずかしいことじゃないじゃん!だから二人が話してって」
「話すなって言ったの!バカなの?愚かなの?脳味噌入ってますかー!?」
ヒナの頭を両手で掴んでシェイクして脳味噌があるか確かめる。
「ちょっと!女性相手にこんなこと」
「だあれが女性だ!?このちびっ子め!」
「まあまあ」
そんな事を言ってトリスターノが宥めてくるが
「ってか、お前もくさいこと言ってただろうが!!何自分は関係ありませんみたいな顔してんの!?」
「いえいえ、リーダーほどでは」
「何煽ってんだ!上等だこら!」
宿の主人に怒られるまでこの言い争いは続いた。
全員落ち着いたところで年長者で落ち着いているリーダーである紳士のこの俺が話し出す。
「じゃあ、あれだ。この場を上手くまとめる為に言うけど、お前ら全員くさいってことでいいな?」
「いや、何自分は違いますよ感出してるの?」
「そうだよ。一番くさいのはヒカルじゃない」
「まあまあ、リーダーもくさいのは少し気にしてるでしょうから」
「お前も少し自分は違いますよ感出してんじゃねえよ!」
「一番最初に言い出したのはヒカルでしょ!」
「なんだよこの野郎!俺が少し物を知らなかったりするだけでいつもバカにしてきて、今度はくさい扱いか!?」
「少しじゃないし、くさいでしょ!」
「くさいのはお前らだろうが!」
「何やる気!?紅魔族は売られたケンカは買うんだからね!?」
第二次くさい大戦が始まったが、早い段階で宿の主人にブチ切れられたので強制的に終了した。
不本意ながら『全員くさい』で落ち着いた。
次からシリアス入ったり入らなかったりします。
次回から不定期更新になります。
今は33話書いてますが、このハード?モードを作る時に考えていたキャラの書きたかった部分の話を書いているんですけど、どうにも上手く書けないのかモチベーションが上がらないのかで全然進まないのです。
気分転換に違うこのすばの二次創作を書いていくかもしれませんので、もし投稿出来たらそちらの方も読んでいただけると嬉しいです。