33話です。さあ、いってみよう。
とりすたん?
「逃げておきながらこんなところにいるということは殺されに来た、ということだな?」
金髪碧眼の女騎士はトリスターノを睨み付けている。
いつものイケメンスマイルが消え失せたトリスターノ。
冷や汗かいてるトリスターノなんて初めて見た。
「い、いえ、その」
トリスターノが何とか言い訳をしようとしてるが、俺はこの状況よりも二人の安否よりも気になることができてしまった。
とりすたん?
とりすたんってあれ?
あのトリスタン?
「お、おま、おまお前ト、トリトリトトリス」
「あ、あの落ち着いてください。これは少し事情があって」
これが落ち着いていられるか。
だってこいつがだぞ?
この変態ロリコンストーカーが?
あの?トリスタン?
こいつが、え、え、
円卓の騎士かよおおおおお!!??
「…」
あの碧い眼がこちらを向いた。冷たい目だ。
まるでゴミを見るような。
「お前がトリスタン?あの円卓の騎士の?」
「…何故貴方はグレテンを知らないのに円卓の騎士は知っているのですか?」
トリスターノは表情はあまり余裕は無さそうだが、不思議そうなものを見る目で見てくる。
「なあ?それならお前が王って呼んでたあの人って!」
「ふ、不敬ですよ!」
指差したら、叩いて怒られた。
「…」
王は黙ったままだ。
「もしかしてグレテンの王ってこと?」
いつの間にか近くに戻ってきたヒナがゆんゆんをおんぶしながら会話に入ってくる。
ゆんゆんは気を失っているみたいだ。
「…そうです。あの御方はグレテンの王」
「騎士王、アルトリウス」
騎士王が自ら名乗る。
え、円卓の騎士とかいるのかよ!?
どうなってんのこの世界!?
しかもこいつら敵なのかよ!?
そら魔王軍に勝てんわ!
魔王軍だけならまだしも円卓の騎士!?
よく人間側は滅びてないもんだ!
「何故、王がこんなところに…」
「…話す必要はない」
「…」
「私はトリスタンに用がある。それ以外は何処へでも行くがいい」
「…」
トリスターノは死刑宣告をされたような顔をしている。見るとヒナも似たような顔をしていた。
「…すみません、リーダー。私は」
…。
「騎士王さんよ、トリスターノをどうする気だよ?」
「なっ!?不敬です。口を謹んでください」
トリスターノが注意してくるが、知ったことじゃない。
「騎士王さん、いいから答えろよ」
「…トリスターノ?そこの裏切り者は殺す。ただそれだけだ。貴様らは早く消えるがいい」
はっきりと殺すと言った。
トリスターノもヒナも絶望したような顔をしていた。俺も多分同じ顔をしているのだろう。
何も言えずにいる俺やヒナとは裏腹にトリスターノは覚悟した様な顔になり
「…すみません、私は…ここまでのようです」
アホがアホなことを言った。
「何言って」
「私は嘘を付いてました」
「魔王軍幹部の側近だと」
「私は魔王軍連合国の王の側近だったのです。もうお分かりでしょうが」
…。
「私はシロガネさんに約束しました。『友達や仲間を危険に晒したりしない』と」
「いえ、約束もありますが、それ以上に私は貴方達が気に入ってしまってるんですよ」
「貴方達を巻き込みたくありません。今起きている状況は私が好き勝手に動いた結果なのです。私が悪いんです」
「どうかそのまま何もせずに行ってください。勝手なことを言ってるのは重々承知ですが、どうか仲間として友達として最後のお願いです」
「貴方達は行ってください。そして私のことは忘れてください」
……変態ロリコン嘘付きストーカーを一体全体どうやって忘れろって言うんだよ。
何が起きても忘れられる気がしないね。
後ろを向いて歩こうとしてヒナと目があった。俺の方を信じられないといった顔で見ている。
「ねえ…置いてく気なの?嘘だよね…?」
「…ありがとうございます。貴方が友達で本当によかった」
泣きそうな笑顔でトリスターノはそう言った。…これだからイケメンは。
「おい!馬鹿野郎!トリタンを置いてく気なの!?」
ヒナは俺に頭突きするんじゃないかとばかりに迫り、俺に怒鳴り散らしてくる。
まったく何でこんな口が悪くなったんだか。
ゆんゆんを背負ってなければ、きっと掴みかかってそれはもうしばかれまくっていたことだろう。
「最後のお願いだってよ」
「!もういいよ!ゆんゆん背負って逃げなよ!僕が戦う!」
「王よ、お待たせしてしまい申し訳ありません。最後に時間をいただきありがとうございます」
「何勝手なこと言ってるんだよ!まだ終わってない!トリタン!僕がーー!?」
剣を引き抜いた。
これ以上勝手はさせない。
「本気なの…?そこまでしてトリタンを置いていくの!?」
「強引にでも連れて行ってあげてください。私のせいで無駄な血が流れるのは御免です」
「ヒカルには失望したよ!こんな最低な人だったなんて!」
いつもいつも馬鹿にして、勝手に失望してんじゃないよ。
「騎士王はゆんゆんさんが万全だとしても私達のパーティーなんかで敵う御方ではありません。どうか行ってください」
「何でだよ!僕達は友達でもう…!?」
剣を振りかぶる。
「貴方がリーダーで本当に良かった」
「待ってよ…僕達は」
振り向いて剣を振り下ろした。
剣の腹で。
トリスターノの頭に。
トリスターノは綺麗に不意打ちを貰い、そのままバタリと倒れた。
「よし」
俺の言葉の後は誰も何も話さなかった。
いや、まあ話せなかったのだろう。
そして数秒後
「な、な、」
騎士王の方を見たら睨み顔は消えて、口を少し開けて茫然としていた。
「何してんのおおおおおおおおお!!!??」
ヒナの絶叫が教会に響き渡る。
「なんだよこの野郎。置いて行きたくないんだろ?」
「え、そ…うだけど!そうじゃなくて!」
「こっちの方が連れて行きやすいだろうが」
聞いた途端ヒナの表情はパァッと明るくなる。
「やっぱりヒカルは」
「ヒナ、お前二人担いで走れるな?」
「へ?ちょっ!?僕に二人担がせる気!?」
「出来るかって聞いてんだよ」
「で、出来るけど、出来ればヒカルも一人負担して欲しいんだけど…」
「俺は一人担いでもそんなスピード出せないぞ。どうだ、参ったか」
えっへん!とばかりに胸を張った。
伊達に病人やら呪われてるやら言われてないぞ俺は。雑魚を舐めるなよ。
「自信を持って言うセリフじゃないよ!」
「じゃあ二人担いで普通に走れるな?」
「…うん。二人担いでも行けるよ?」
「よし、じゃあトリスターノ持って行け」
「ねえ、ヒカルは?」
「俺か?俺は」
「騎士王さんに話がある」
未だ沈黙を通し冷たい目でこちらを見る騎士王に剣の切っ先を向けた。
「…は?」
ヒナが気の抜けたような声を出す。
「…ねえ、その確かに追い詰められた状況だけど落ち着いてよ。僕もさっきは好き勝手言ったけど」
「全員死ぬのと、一人死ぬの、どっちがいい?」
「…」
残酷な問いかけをした。
ヒナがまた絶望したようなそんな顔をした。
「違うよ!僕は確かにトリタンを置いて行くのは嫌だって言ったけど、僕はヒカルにも」
「うるせえな。まだ話し合うだけだろうが、もしかしたら生きてるかもしれないぞ?」
そんな可能性無いけど俺はそんな可能性があってほしかったのか、そんなことを言った。
「じゃ、じゃあ僕が!」
「お前さっき一人でも担いで走るのきついって聞いたの忘れたのか?」
「支援魔法をかけるから」
「かけてもらって二人担いでも、それで精一杯だぞ?道中モンスターに襲われたらあっさり死ぬぞ?すぐ死ぬぞ?」
ヒナの顔がどんどんと焦りが増していく。
次に何か思いつかないか必死に考えている。
しょうがない。
「なあ、俺の能力のこと覚えてるよな?」
「え?」
「仲間を強くするだけで俺のステータスが低くなるのおかしいと思わないか?」
「それは、思ったけど」
「実は俺の能力にはまだ教えてない能力がある」
「そ、それって」
「だけど、ちょっと強力でな。お前達のことを巻き込みかねない。悪いけど、一人で戦わないと危ないんだよ」
そんな能力だったらどれだけ良かったか。
「そ、そんなの聞いてないよ」
「とっておきってのは最後まで隠しておくもんだろ?」
BLE◯CHの後だしじゃんけん方式だから。
なん…だと…的な感じでリアクションしとけばいけるから。
「本当なの…?」
縋り付くようなそんな顔だ。
いつだったか教会で話した時のような。
あの時の子供のようなそんな顔。
そんな顔されたら、どうにかしてやりたくなるもんだ。
「おう。死にたくないしな」
「信じていいんだよね?」
「いいよ」
「…」
せっかく嘘をついたのに、まだ疑わしい目で見てくる。
小声で話し出す。
「おい、いつまで待ってくれるかわからないんだぞ?早く行けよ」
「う、うん。支援魔法だけはかけていくからね」
「ありがとな」
トリスターノを担いだ時少し危なっかしかったが多分俺が持つより安全だろう。実際二人を担いでいても平気そうだ。
身長のせいでトリスターノの足は引きずってるけど、しょうがないだろう。
「気を付けろよ。モンスターがいるからな」
「僕の心配より自分の心配してよ…」
「信じてるからね?」
「はいよ」
返事をしながら、ずっと黙ったままの騎士王に向き直る。
長いこと待ってくれてるけど、実はめちゃくちゃ良い人とかそういうオチない?
扉が開いて出て行く音を聞いた。
さて、始めるとしますか。
「お控えなすって」
例のポーズをとる。
最近教えたばかりだ。まさかやることになるとは。
「手前、生国と発しまするは日本の生まれ、姓はシロガネ、名はヒカリ。人呼んでヒカルと発する冒険者でございます。以後、面対お見知りおきの上、よろしくお願い申し上げます」
何をしてるんだこいつは?みたいな顔されてる。まあ、そうだろうな。俺だっていきなりこんなんされたらそうなる。
丁寧な自己紹介したし、ラブアンドピースな感じで終わったりしないかな。
「騎士王さんよ」
「何故だ?」
話始めようとした時に騎士王が沈黙を破り遮ってきた。
「あ?」
「何故トリスタンの代わりを買って出た?」
騎士王の表情は変わらない。
「あのうるさい子供の為か?それともトリスタンに何か恩でもあるのか?」
「あのガキの為でも無いし、トリスタンに恩なんて無いし、そもそもトリスタンなんか知らん」
「?」
何を言ってるかわからない顔だ。
「俺がトリスターノの友達だから、ここにいるんだよ」
「俺の友達殺すんだろ?じゃあ黙って見てるわけにはいかない」
「その、さっきから言ってるトリスターノとやらは何だ?」
「知らねえよ。あいつがそう名乗ったからな」
「…」
「あいつはトリスターノだよ。お前が言うトリスタンとか円卓の騎士とかグレテンとか知ったこっちゃないね」
「あれは我が国のトリスタンだ。それに貴様如きが私の邪魔をすると?」
「いやいや、俺の友達を殺さないってんなら、別に大人しく帰ってもいいんだぞ?」
「トリスタンを渡すのなら大人しく帰してやろう」
「渡さなかったら?」
「貴様もトリスタンもお前の連れも殺す」
「じゃあ無理だね」
剣を構える。
「見逃してやると言ったんだぞ?貴様みたいな冒険者が私に勝てると思っているのか?」
「うるせえ、やるんだよ」
剣を構えて突撃。
騎士王との戦いが始まった。
このファン、紅伝説のストーリーに入りましたね。
配布あるえも良いですね。
こっちも紅魔の里の話書きたいけど、何話になるんだこれ…。
新しい星4ゆんゆんの為にガチャりましたが、結果は爆死です…。
星4二枚来たのにすでにスキルが上がりきってる光アイリスと風リーン。ピックアップと全く関係ないやつ出るのやめようよねえマジで。
アイリスなんてスキルマックスですでに三枚余ってるんですよこれ…。
さて、全く関係ない後書きになりました。ごめんなさい。
魔王軍をくそ強化しちゃいました。
魔王を倒すのはカズマ。
では騎士王を倒すのは?
なんて、そんなお話にしたい(願望)