このすば ハード?モード   作:ひなたさん

37 / 166
続きです。

前回と同じくご都合主義です。
それでも良ければお読みください。



番外編②

『No』の先のハッピーエンド②

 

 

 最初は家に招待して、食事後にボードゲームでもやって仲良くなろうかと思っていたけど、家は怖いので外でご飯が食べたいと言われた。

 何回も誘拐じゃないって言ってるのに全然信用してくれない。

 ヒカルとはボードゲームやって仲良くなったし、その作戦で行こうと思ったのに。

 

 

「『族長』ってヒマなんですか?」

 

「喧嘩売ってる?」

 

 いつだったかめぐみんと一緒に来たカフェでご飯を食べることにしたのだが、席についた一言目がこれだった。

 

「だって毎日毎日毎日毎日ほいほいほいほいと通学路からひょっこり出てくるんですから」

 

「う、でもヒマではないから。ちゃんと仕事終わらせてから私は来てるから問題ないの」

 

「ストーカー行為は問題があると思うんですけど」

 

「ところでヒカリ君、私には敬語じゃなくていいわ。もう少し子供らしくしてほしいし」

 

「まあそれでいいならそうするけど、その誤魔化しはどうかと思うんだけど」

 

「何が食べたい?なんでもいいわよ」

 

 メニューを渡して、強引に話題を変えた。

 

 

 

 

 

 注文を終えた後

 

「何が目的なんだ?」

 

 ヒカリはとうとう本題に入ってきた。

 そうなるよね。

 

「実はね」

 

 全部話した。

 ヒカリがかつての友達と似ていること、それに名前まで同じだということ。

 その友達が亡くなってしまったこと。

 私達のパーティーがバラバラになってしまったこと。

 他にも思い付く限りのことを話した。

 子供になんてことを話してるんだろうと思っていたが、どうしてか止まらず全てを話していた。

 

 こんな訳もわからない話をしてるのに、ヒカリは真剣に話を聞いてくれていた。

 この数日まるで話を聞かないで好き勝手してたのが嘘みたいに。

 

「ごめんね、変な話しちゃって」

 

「…」

 

 改めて冷静に考えて、こんな小さな子に何を言ってるんだろう。

 困らせてしまったせいで黙ってしまった。

 しばらく私も友達がいなかったせいか、この雰囲気をどうしていいかわからない。

 

「それに毎日来てごめんね。どうしても気になっちゃったの」

 

「俺はヒカルじゃない」

 

「!」

 

 …知ってる。

 知ってたけど、この子を見た瞬間から奇跡に縋りたい気持ちになってしまった。

 

「その、俺はよくわかってないけど、ゆんゆんさんがすごい辛い思いをしてるのはなんとなくわかった」

 

「俺はヒカルじゃないし、その人の代わりなんて俺にはやれないけど」

 

「なんとなく、ゆんゆんさんの力になりたいと思う」

 

 どこまでも真っ直ぐに私のことを見てくれている瞳がその顔がどうしても、ヒカルと重なる。

 

「だからヒカリとして俺と友達になってください」

 

 我慢していたものが溢れて、止まらなくなった。その言葉に何度も頷いた。

 対面に座っていたヒカリが隣に来て、頭を撫でてくれた。

 その小さな身体にしがみつくようにして、ただただ泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 カフェ店内で良い歳をした大人が子供にしがみついて、わんわん泣いている状況を見て、人は何を思うだろうか。

 

 とりあえず不審に思うだろう。

 私だってそう思う。

 

「ご、ごめんなさい!本当にすみませんでした!」

 

「い、いや、大丈夫。大丈夫だから」

 

 私は今、店の人たちに平謝りしていた。

 幸い他のお客さんがいなかったお陰で私は店の人たちに醜態を晒すだけで済んだ。

 いや、私がわんわん泣いてたから、お客さんがいなかったんじゃ…?

 

 私はこれ以上考えるのをやめた。

 

 謝り倒した後、ヒカリの元へと戻ると、ヒカリはマイペースにもご飯を食べていた。

 うん、やっぱりこの子は

 

 

「さて、そろそろいいかな?」

 

 私の後ろから声が聞こえて振り返る。

 

「あるえ、久しぶり。どうしたの?」

 

 私の同級生のあるえが立っていた。

 

「いや、それはこっちのセリフなんだが…」

 

 何故だか呆れたような顔でこちらを見てくる。

 

「あるえ姉ちゃん、どうした?」

 

 へ?

 ね、姉ちゃん?

 

「どうした、じゃないよ。いつもの時間に帰ってこないから心配してたんだ」

 

 ヒカリに向かって、ムスッとした表情で睨むあるえ。

 

「ごめん、あるえ姉ちゃん。でもたまには遊んできたらどうだい、ってよく言ってるじゃん」

 

「それはそうなんだけど…はあ」

 

 ため息をついて腕を組んで、今度は私に向き直る。

 

「さて、話してもらおうかな?」

 

「え、ちょ、ちょっと待って!?あるえ、お、弟!?弟いたの!?」

 

「私が聞いてるんだが…。まあ、いいか。

弟じゃないよ、近所の子さ。その子の両親は忙しくてね、よくお世話を頼まれてるんだ」

 

「お世話っていうか、あるえ姉ちゃん、俺より家事できな」

 

「ごほっ!ごほっ!」

 

 あるえが咳払いで必死に誤魔化してる。

 恥ずかしいせいか、顔が少し赤くなっている

 あるえ、出来ないんだ…。

 

「さあ、私から話すことはもうないよ。

ヒカリのことはその子の両親から頼まれてるんだ。いい加減聞かせてもらう。

珍しすぎる組み合わせがカフェに来て、尋常ならざる雰囲気だったから流石の私も口を挟めなかったけど、全部話してもらおうか」

 

 うっ、この言い方だとしっかり見られてたみたい…。

 隠すことでもないし、あるえにも話しておこう。

 

 

 

 

「ふむ、なるほど」

 

 そう言いながら手帳を開き、さらさらとメモをしているあるえ。

 

「えっと、あるえ?何書いてるの?」

 

「ん?ああ、すまない。小説のネタになりそうな話だったから、つい」

 

 悪気は無いんだろうけど、それはどうなの?

 結構私のデリケートな部分なんだけど…。

 

「生まれ変わりに前世での絆。素晴らしい。まさか本当にそんなものにお目にかかれるとはね」

 

「えっと、信じてくれるの?」

 

「先程の光景を見たらね」

 

 それは速やかに忘れてほしい。

 私の羞恥心がなんとかなってしまう前に。

 

「そもそもゆんゆんは悪いことをする人間とは思ってないからね。ご両親からこの子のことを任されている身としては聞かざるを得なかっただけさ」

 

「ありがとう、あるえ」

 

「いいさ。それにヒカリはもともと聞き分けも良くて物覚えも良くてね。この歳で親を気遣うし、家事もなんでもこなす子だから、本当に何かあった時の為に私は任されているだけで、今回もたまたま気付いたから世話を焼きに来たってわけだよ」

 

「でもあるえ姉ちゃん、たまに俺のところに飯食いにくああああああああっ!」

 

「ごほっ!ごほっ!」

 

 足が、足があ…と言っているヒカリに何があったか考えないでおこう。

 仲良いなぁ…。

 お姉ちゃんか…いいかも。

 

「こうして子供らしくないところは昔から気がかりで心配だったんだけど、ゆんゆんも見てくれるなら安心出来るね」

 

「あるえ…!」

 

 こんなに信用してくれるなんて…まるで友達同士みたい…!

 私もヒカリと友達になったんだし、いつまでたっても一人ぼっちなんてダメよね。

 前に進まなきゃ!

 

「もしかしたらこの子供らしくないところは前世でのことを少し覚えてるから、なんてこともあるかもしれないね」

 

 ど、どういう事?

 私が疑問に思っていると、あるえはそれに気付いたのか説明を始める。

 

「ヒカリは先程言った通り、子供らしさのカケラもなくてね。物覚えが良いのは前世での経験があるからとか。聞き分けがいいのは、まあ家の都合もあるだろうけど、前世での大人としての精神があるから、とか。」

 

 そんなことがあり得るの…?

 でも確かに初対面の時も子供らしくない反応だったり、敬語で話したりしてた。

 

「さあ、ヒカリ。そこのところはどうなのかな?何か覚えてることとかないかい?」

 

 そんなことを言いながら手帳を開き、メモの準備万端なあるえ。

 ヒカリはもぐもぐしながら思案顔をしているが、あまり覚えてるような雰囲気ではない。

 

「ゴクリンコ。特にない、けど」

 

「けど?」

 

「たまに初めてやるはずのことなのに、なんとなくやったことがあるような気がする時がある」

 

「ほう!」

 

 あるえはメモしながら興奮気味だ。

 

「なんとなくその通りやったら上手く行く時がある」

 

「いいね、最高だ。他には?」

 

「うーん」

 

 思い出して欲しいけど、無理してほしくない。

 ヒカリに何かあったら嫌だし。

 

「そうだ!最初ゆんゆんを見て、何か思ったことはないのかい!?」

 

「ちょ、あるえ!?」

 

 な、なんてこと聞くの!?

 でも、もしかしたら

 

 

「おっぱいが大きくて、スタイルが良い」

 

 

「「…」」

 

 二人で真顔になり、沈黙が流れた。

 

「…その、なんだ。あまり記憶はないみたいだね」

 

「…うん」

 

 あるえの気遣いが少し辛かった。

 

 

 

 

 

 久しぶりに親しい人と食べたご飯はなんとなくいつもより美味しく感じた。

 三人での食事も終わり、解散する時間になった。

 

 私もヒカリの家に送ってから帰ろうかな。

 そんなことを考えている私を見て、勘違いしたのか

 

「この子は責任を持って私が送り届ける。そんな心配しなくて大丈夫だよ」

 

 あるえがそんなことを言った。

 うん、ちょっと違うんだけど、あるえなら心配いらないか。

 

「うん、わかった。お願いね」

 

「ああ、任せてくれ」

 

 ポーズも決めて自信満々にそう答えてくる。

 あるえは変わらないなぁ。

 そんな変わらない姿に少し安心した。

 

「さて、じゃあ」

 

「あ、待って。あるえ」

 

「?」

 

 ヒカリと友達になって、前に進むと決めた。

 だから、その第一歩を今、踏み出す。

 自分の為にもヒカリの為にも。

 

「あるえ、私と友達になって!」

 

「…え?私は友達じゃなかったのか」

 

「え?」

 

 ………え?

 

「……どうやら私の勘違い」

 

「ちょ、ちょちょちょっと待って!?私のこと友達だって思ってくれてたの!?」

 

「思ってたけど、かんちが」

 

「こ、これからも!これからも末長くよろしくお願いします!」

 

「あ、ああ。うん、よろしくね」

 

 ガッチリと握手をした。

 少しあるえが引いてた気がするけど、気のせいよね!

 だって、これは友情の握手なんだし、何もおかしいことは無いはず!

 

「じゃあ二人とも気をつけてね」

 

「ゆんゆんもね」

 

「またな」

 

 またな、か。そんな言葉だけで物凄く嬉しくなってしまう。

 二人と別れの挨拶をして、二人が見えなくなるまで見送ってから、私も帰ることにした。

 

 

 友達が二人も増えるなんて、今日は良い日だな、なんて思いながら帰り道を歩く。

 

 友達…か。

 

 ヒカル、ヒナちゃん、トリタンさん。

 彼等との冒険を、生活を思い出す。

 辛いことを思い出してしまうけれど、彼等との冒険は人生で一番楽しい日々だった。

 

 怒るヒナちゃん、面倒くさがるヒカル、それを宥めるトリタンさん。そして苦笑する私。

 目をつぶれば、そんな光景を簡単に思い出す。

 

 もしも

 

 もしも、あの後もみんなと冒険者を続けられていたら、どんなことが待っていたのだろう。

 

 考えても仕方ないことだけど、そんなことを考えてしまう。

 

 でも決まっている。

 きっと楽しかったに違いない。

 

「ヒナちゃん、元気かな」

 

 ヒナちゃんが実家に戻って行ってしまった後、手紙を送ろうと何度も筆を執ったのだが、何を書けばいいか分からなくなってしまった。変なことを書いて更に傷付けてしまうんじゃないかと思うと怖くて、どうしても送れなかった。

 でも今なら、今ならきっと

 

「あ!!!!」

 

 思わず大声を出してしまった。

 そうだ。ヒナちゃんにヒカリのことを報告しよう。

 

 そう思い付いた私は走って家へと向かった。

 




「続きが書けたら投稿します」とか言ってたくせに、すぐ投稿して恥ずかしくないんですか?と皆さん思うかもしれません。
恥ずかしくありません。

いえ、そうではなくて。
予想以上に書けてしまったというのもあるんですけど、投稿するときの章管理が少し面倒くさいということに気付きました(私が把握しきれてないだけかもしれませんが)
なので本編よりも番外編を優先して書くことにしました。
本編もキリがいいですし。
番外編は五話完結予定です。予定なんです。

良ければ感想や評価していただけると嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。