このすば ハード?モード   作:ひなたさん

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番外編という名のご都合主義、第三弾です。



番外編③

『No』の先のハッピーエンド③

 

 

 ヒナちゃんに手紙を送って一週間が経った。

 今頃返事を書いてくれている頃だろうか。

 

 ヒカリのことは一応伏せておいた。

 期待させすぎるのも良くないし、何よりヒナちゃんの現状がわからない。

 近況報告と言っても数年が経っているから、かなり長くなってしまったが…出来る限り書いた。

 それと見せたいものがあるから是非紅魔の里に一度遊びに来て欲しいという文章と、もし来るのが難しければ返事だけでも欲しい、といった内容になっている。

 

 来るのが難しいという返事が来たら、ヒカリのご両親に許可をもらって、連れて行くことも考えている。

 まだヒカリのご両親にご挨拶も行けてない以上、まだ考えているだけだけど。

 

 

 

「これ、くれ」

 

「ダメよ、何回言えばわかるの?」

 

 ヒカリは学校帰りに私の家に来るようになった。

 友達になって、すぐに来てくれるようになって本当に嬉しかった。

 

 

 これ、というのは一本の片手剣。

 普通の片手剣でも、こんな小さな子供にあげる訳がないのに、よりにもよってそれはヒカルの形見となってしまった片手剣。

 

「ください」

 

「言い方を良くしたことは褒めてあげるけど、その剣はあげません」

 

 私の家に初めて来た日に、その片手剣を見つけたヒカリはまるで何かに魅入られてしまったかのように片手剣を見たあの時から、私にずっと欲しい欲しいと言ってくる。

 何度も断ってるのに、諦める気配が全く無い。

 ヒカルも結構頑固だったな。ボードゲームでヒカルが普通に負けてるのに俺の方が勝ってるなんて言い張ってたし。

 

「おいくら?」

 

「非売品です」

 

「ありがとう!」

 

「タダで持っていっていいわけじゃないわよ!」

 

 剣をひったくり、届かないように剣を持って手を上げた。

 これだけでヒカリじゃ届く手段がない。

 

「かーえーせー!」

 

「これは私のでしょ!」

 

 ぴょんぴょんと飛び跳ねて剣に手を伸ばしてるのが、少し子供らしくて可愛らしい。

 ふふ、ちょっとだけ可愛いくて癒される。

 

「あ、ここに良い段差が」

 

 もにゅ

 癒されていたのも束の間、段差と称してヒカリが私の胸を鷲掴みにしていた。

 

「っ!!」

 

 ゴンっ!

 

「ぎゃん!」

 

 咄嗟に剣を持ってない腕でゲンコツした。

 少し手加減出来てないかもしれないけど、頭を抱えて痛そうにしているぐらいなら大丈夫、なはず。

 

「『テレポート』」

 

 剣を私の寝室へテレポートさせると、ヒカリが目尻に涙を浮かべながら恨みがましい目で睨んでくる。

 胸を腕で庇いながら、私も睨み返す。

 

「どこやったんだよこの野郎」

 

「そんなことを言う前に私に言うことがあるでしょこの野郎」

 

「?」

 

 何わけわからないみたいな顔してんのこの子!

 

「女性の胸を触ったんだから、言うことがあるよね?」

 

「あるえ姉ちゃんよりは小さかったけど、結構なお手前で」

 

 腕を上げると、頭を両手で庇ってきた。

 こ、この!

 

「謝らないと怒るよ?」

 

「ゆんゆんは剣を取ったし、俺は胸を触った。お互い様ということに」

 

「紅魔族は売られた喧嘩は買うわ。知ってるわよね?」

 

 杖を手に取り、ヒカリへと迫る。

 

「…ま、魔法使う気ですか?」

 

「そうよ?だってこれは喧嘩だもの」

 

 ニッコリと笑いかけると、ヒカリは後退りながら、恐怖を浮かべる。

 あ、少しゾクゾクしてきた。

 

「『ロック』逃がさないから」

 

 部屋の扉は閉めておかないとね。

 

 でも、ヒカリが悪いんだもん。

 仕方ないよね?

 ブルブルと震えて

 

 

 可愛いなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お仕置きを堪能…じゃない、お仕置きをしっかりした後、疲れて寝ちゃったヒカリをソファーへと寝かせた。

 

 久しぶりに魔法を使った気がする。

 最近は仕事ばかりしていたし、たまにはこうして魔法を使ったりしないと腕が鈍るかもしれない。

 この里を代表する者としてそれは許されない。

 気分転換にもなるだろうし、仕事が早めに終わった日は少し里の外で

 

 

 ううん、とヒカリの方から声がする。

 もう起きたんだ。

 目を擦りながら、起き上がり私を見て怯えた表情になる。

 

「何か言うことは?」

 

「魔王がいる!」

 

「さてと、第二ラウンドね」

 

「ご、ごめん!」

 

 私が立ち上がってすぐに謝ってきた。

 

「何に対して?」

 

「えーっと、おっぱい揉んだのと、あるえ姉ちゃんと比べたこと?」

 

「……別に比べたことはどうでもいいんだけど。すぐに謝らなかったこともダメ」

 

「ごめん」

 

「わかればよろしい。あと、あるえに変なことしないこと」

 

「え、うん。最近はしてないから大丈夫」

 

 そういう問題じゃない。

 というかあるえに何したんだか…。

 

「それと剣なんだけど、あれは本当に渡せないわ」

 

「ヒカルのだから?」

 

「…そうよ。それに危ないもの」

 

「ヒカルのものってことは、実質俺のってことでしょ?」

 

「そんなわけないし、ヒカリが自分でヒカルじゃないって言ったんでしょ」

 

「…そうか」

 

 そんな残念そうな顔されると、なんか私が悪いことしたみたいじゃない。

 どうしようかな。

 

「じゃあヒカリが学校卒業したら、剣買ってあげるわ。それならどう?」

 

「いや、いいよ」

 

「なに?遠慮してるの?」

 

「俺はゆんゆんと友達になったんだ。母親になって欲しいわけじゃない」

 

 …さらっとヒカルみたいなこと言ってくると、びっくりするからやめてほしい。

 

「たまにあれで素振りしていい?」

 

「…まあ、それぐらいならいいけど、変なことしないでよ?」

 

「変なことって?」

 

「素振り以外に使ったら没収するからね」

 

 ここで下手なこと言うと、やりそうだから言わない。

 

「わかった」

 

 

 

 

 ヒカリはその日の夕飯は私の家で食べることになった。

 最初は両親に変な話をされたりしたが、ヒカリの事情や前世との繋がりを話すとあっさりと受け入れられた。

 

 それはそれでどうなの?

 いや、助かってるからいいんだけどね。

 

 ヒカリは私の両親とも仲良くなっていて、最早本当の家族みたいになっている。

 

 

「この歳でここまで料理が出来るなんて本当にすごいわ。毎日手伝ってもらいたいぐらいよ」

 

「いえ、そんな。教えてもらったことをしてるだけですから」

 

「それがすごいのよ。ほら、おかわりいる?」

 

「はい、いただきます」

 

 お世話になってばかりじゃ悪いからと、料理を手伝うようになってから、それはもうお母さんに気に入られている。

 少し猫被ってるけど…。

 

 

「ふむ、ヒカリ…光か。これは紅魔の里の希望の光となる存在になるかもしれんな」

 

「ちょっとお父さん、変なこと言わないでよ」

 

「何を言う。ここまで多くのことが出来る子供はそういない。神童と言っても良いレベルだぞ?うちの娘がショタコンだと思った時はどうしようかと思ったが」

 

「お父さん!?何言ってるの!?違うよ!?違うから!」

 

「ゆんゆんは少し優秀すぎるところがあるからな。ずっと独り身なんじゃないかと思っていたが、こうして考えると家事が出来て、気立てが良い相手を選ぶというのも」

 

「本当に違うから!!」

 

 お父さんは最初からずっと勘違いしてるけど、前世との繋がりの話、お母さんのお手伝いをすることや子供ながらに家事も出来るところ、礼義を弁えているところも大いに気に入っている。

 

 

「ヒカリ君、将来は何を考えてるかな?」

 

「ちょ!」

 

 何考えてるの!?

 

「えーっと、すみません。まだわからないです」

 

「そうよ、お父さん。まだこんな小さいのに」

 

 お母さん、そうじゃない。

 将来を聞くこと自体がおかしいって言うところでしょ!?

 

「それもそうか。私としたことが!はっはっはっ!」

 

「もう、お父さんったら」

 

 何この雰囲気!?

 ヒカリも本当によくわかってないのか、ニコニコしたままだし!

 

「そうだ、ヒカリ君。もし勉強に困ったら、ゆんゆんを頼りなさい。うちの娘は学校を次席で卒業した成績優秀者でね」

 

「そうなんですか?初めて知りました」

 

 そこから延々とヒカリに娘の自慢話をしていた。娘の私もいるのに。

 恥ずかしいから何回も止めたけど、止まるわけがなかった。

 

 

 

 

 

 ヒカリを家に送ってから、お父さんから話があると言われて来てみれば

 

「私も紅魔族の族長であったというのに未だに常識にとわれているとはな。まだまだ修行が足りないな」

 

「え?お父さんに常識なんてあったの?」

 

「はっはっはっ!言うようになったな、娘よ!」

 

 はあ…。

 

「で、なあに?仕事に不備でもあった?」

 

「違うよ。ふむ、話というのはだな。ヒカリ君のことだ」

 

「ヒカリ?ヒカリがどうかしたの?」

 

「私も最初はいろいろと言ってしまったが、前世との繋がりを聞いて、そしてヒカリ君をよく見て考え直したよ」

 

 なにを?

 

「うん。ヒカリ君との交際を認めよう」

 

 ………。

 

 …は?

 

「お母さんとも話し合ったが、世間体なんて気にしないで、やっぱり好きになった人とお付き合いするのが一番だからな」

 

「い、いやいやいやいや!何言ってるの!?違うって言ってるじゃない!」

 

「ん?今更隠す必要もないだろう。毎日学校前で待ち合わせしたりカフェデートしたりしてたんだろう?」

 

「ち、ちちちちちがっ!!違う!違うってば!え!?ちょっと待って!?な、なんで!?」

 

「?なんで知ってるかってことか?もう里の噂になってるが」

 

「は!?噂!?う、噂ってどういうこと!?」

 

「なんだ?知らないのか?『今代の族長はショタコン』ともっぱらの噂に」

 

「わああああああああああああああ!!!!」

 

 

 嘘でしょ!?

 里中にそんな風に噂されてるのっ!?

 でも、確かに毎日学校前や通学路で会ったり、カフェに行って抱きついて泣いたりしたから、傍目から見たらそう思われてもおかしくない!?

 いや、おかしいでしょ!?相手はまだ十歳にもなってないのよ!?

 そりゃあ嫌いじゃないし、好き…好きって言っても変な意味じゃなくて!異性的な意味じゃなくて!そ、そう!友達として!友達として好きなのは間違いない!

 

 どうしよう!?終わってる!

 里始まって以来の最悪の汚名を抱えた族長になっちゃったよ!

 終わり!終わりよ!私の終わり!もう外歩けない!一生家の中で過ごすしかない!

 

 

 あまりの絶望に頭を抱えた。

 確かに客観的に見たら、私の行動はいろいろアウト。アウトオブアウト。完全にアウト。なんで警察のお世話になってないのか不思議なレベル。

 いくらかつての仲間に似てるからといって、やっていい事とやっちゃいけない事があるのは子供でもわかるのに、私ときたら。

 

「……え?本当に知らなかったのか?めちゃくちゃ有名だったぞ?あまりにも堂々と犯行に、じゃない、その…逢瀬を楽しんでたから」

 

「あああああああああああああああ!!!!」

 

 犯行!!やっぱりそうよね!?

 傍目から見たら犯罪よね!?

 ていうか私なんで捕まってないの!?

 

「もう今更気にしても仕方ないだろう?それともヒカリ君に会うのはもうやめるのか?」

 

「!!」

 

 それは…絶対に無い。

 あの子はヒカルじゃない。

 でも、それがどうした。

 

 

 あの子はもう私の友達なんだから!

 

 

 確かにおかしな行動をしてしまった。

 今までの行動をどうこうするなんて出来ない。

 ヒカリとの関係を終わらせるつもりも変えるつもりもない。

 それならこれからの行動で汚名返上するしかない。

 胸を張って、いや胸を張ってはちょっと無理かもしれないけど、族長としてやっていく。

 

 

「…覚悟を決めたか、娘よ。

友達が出来なくて、ずっと私やお母さんの後ろに隠れていた子供のお前、

ずっと家で一人で遊んでいた学生のお前はもういないのだな。

それだけ冒険者として活動していた時間がお前を成長させたのか」

 

「親として、子供の成長ほど嬉しいものはない。それは子供がどれだけ年齢を重ねようとも」

 

「お父さん…」

 

「ここまで立派になるとはな。親としては複雑だが、やはり親元を離れる方が成長に繋がるのかもしれないな」

 

 違う、そんなんじゃない。

 多分、私は親元を離れた程度で変われたりしない。

 私が変われたのは…

 

「それともヒカリ君の前世の人がここまで成長させてくれたのかな?」

 

「!」

 

「ふっ、図星か。出来れば私も会いたかったものだ。何故連れて来なかった?」

 

「え、ええっ?いや、だってパーティーメンバーだし」

 

「また今度詳しく聞かせてもらいたいな」

 

 何かお父さんに話すことは…うん、いっぱいあるね。

 最初は、ヒカルと出会った時の話から

 

 

「さて、話が逸れてしまったな。

ヒカリ君との交際は認めるのだが、ヒカリ君はまだ子供だ」

 

「わ、わかってるし、交際なんてしないから!」

 

「…そうは言うが、先程部屋から凄まじいプレイというか、そういう声が聞こえてきたんだが」

 

「へ?」

 

「部屋は『ロック』で閉じられて、ヒカリ君の悲鳴とお前の楽しげな悦んでるような声に、部屋はドッタンバッタンの大騒ぎ」

 

「あ…」

 

「更には胸を揉んだとかなんとか聞こえてきたから、もうヒカリ君に手を出したのかと」

 

「ち、違うに決まってるでしょおおおおおおおお!!!!」

 




ヒナギクを出そうと思ったら、出てこなかった。何を言ってるかわからないと思いますが、私にもわかりません。
次は確実に出ます。

あと二話で番外編終了です。
イメージ通り行けば。
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