このすば ハード?モード   作:ひなたさん

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37話です。さあ、いってみよう。



37話

 

 

 最初はゴースト討伐は失敗になったと思われていたが、騎士王のあの槍は聖なる力を持ったものらしくルーシーズゴーストを綺麗に浄化したらしい。

 俺達が浄化したわけではないがギルドが調査した結果、ゴースト討伐が確認出来た為、報酬金を得ることが出来た。

 更に道中にいたモンスターもクエストが出ていたものでその報酬に加え、ウイングトードの買取も合わせてかなりの金額の報酬を貰えた。

 

 

 命の危険に更にはクエスト失敗した上移動費も無駄になるという三重苦にはならずに済んだというわけだ。

 そんな俺達はアクセルのギルドに届いた報酬金を受け取り、

 

 

 俺は部屋に監禁されていた。

 

 

 ちなみに今監禁二日目になる。

 

 

 どうしてこんなことになったか、それは俺とヒナが神器の回収が終わった後のこと、三人が今後の方針について会議がしたいと言い出したことから始まった。

 クリスも戻ってきたが、俺達の会議に邪魔しないように出かけていった。

 

 それで会議をすることになったが、三人がヒソヒソと話し合ったりしてるし、様子がおかしいのもまあわかってはいたのだが…。

 

 ヒソヒソ話が終わった途端ヒナがいきなり仕切り始めて会議が始まった。

 怪しさ満載だったが、特に文句は無いのでそのままやらせて最初の議題へと入った。

 

 最初は普通の議題で、冬に入ったことによりモンスター達が冬眠し、冬の期間中は危険なモンスターや危険なクエストしかないので、余程のことが無ければ、クエストには出ないで今回の報酬金で冬を過ごすとなった。

 もちろん満場一致で可決。金が無いならまだしもあるならわざわざ冬の危険なモンスター狩りになど行く気はない。

 その話ついでに、報酬を多く貰ったが、節制を心がけるように言われた。特に文句もないので、どんどん次の議題へと入っていった。

 

 意外にも三人でヒソヒソしていた割に普通の議題が多く、そのまま終わるかと思われた。

 最後の議題に入ります!とヒナが高らかに宣言して、三人が一斉に俺の方を見てきた。

 首を傾げた俺に最後の議題が叩きつけられた。

 

 それは騎士王襲撃時の俺の行動についてのことだった。

 

 いくら全員が助かったとはいえ、あんな危険な行動をするのはやめるように言われた。

 俺も別にしたくてしたわけじゃない。

 心配してくれているのもわかっている。

 

 俺の考えすぎかもしれない。

 だが、どうにも弱いんだから守られていろ感を感じてしまって、その時俺はよく感じなかった。俺が弱いのは重々承知している。いるのだが…。

 

 この返答が悪かったのは後になってわかるのだが、この時の俺は愚かにも感情に任せてテキトーにこう答えた。

 

 善処しまーす。

 

 雰囲気はそこから一気に悪くなる。

 三人の表情は目に見えて不機嫌、怒りが見えるようになり、それはもう怒られた上に色々と言われた。

 だいたい正論で、俺も言い返すこともなく我慢して先程言われたことを口だけでも了解とかごめんとか言えばよかったが、この時はどうしたことか俺は反撃に出た。

 正直反撃と言っても反論になってない、というか俺の感情論だった。

 

「危ないからやめてって言ってるの」

 

「危ないなんて冒険者やってればいくらでもあるだろうが」

 

「だからってあんな無茶」

 

「みなさんご存知の通り、弱いから少しぐらい無茶しないと冒険者できないんだよこの野郎」

 

 とかそんな感じ

 それ故に会議は激化した。三人が言ってくることに対し、イラついた俺は少し罵詈雑言も混ぜて反論していると、三人は頷き合った。

 これがきっと最初に三人がヒソヒソと話していたことだったのだろう。

 それに気付くのが遅れ、ゆんゆんがこちらに杖を向けて、呪文を詠唱し始めた。茫然とした俺は遅れてなんとか行動を起こそうとした瞬間

 

「『スリープ』」

 

 と声が聞こえて、俺の意識は暗闇へと落ちていった。

 

 

 そして気が付いた俺は部屋にいた。

 会議はもしかして夢だったのか?なんて思って起き上がると、すぐに異変に気が付いた。

 窓が使えないように木の板を打ち付けられていた。

 なんだこれ?どうなってんだ?と思い、扉の方に行こうとしたら、見たことのない本が十冊ほど置いてある。

 それ以外にも絵本が三冊、見たことのない袋に包まれたものが五個ほど同じくして置いてあった。

 疑問には思ったが、他の三人に聞くことにしようと、扉に手をかけたが開かない。こちら側からロックされてないのに開かない。

 なんだ?壊れたか?

 ガチャガチャガンガンとやっていると、声が聞こえてくる。

 

「起きた?」

 

 ゆんゆんの声だ。よかった。

 誰もいなかったらここから出られないところだった。

 

「なあ、ここから出られないんだ。手伝ってくれないか?」

 

「…」

 

 何故か無言だ。

 

「おーい!」

 

「えっと、出られないようにしたから、出られなくて当然よ」

 

 は?

 

「会議の結果、今回のリーダーの行動は危険なものとして判断しました。また危険な行為をされるのではないかと考えた私たちは冬の間、貴方には部屋から出ないように閉じ込めることにしました」

 

 トリスターノの声も聞こえた。

 な、何言ってんのこいつら…。

 

「冬の間は本当に危険なの。それに私たちが言っても全然聞いてくれないし、反省もしてくれないし、ヒカルの意見が変わるまではね」

 

 え、俺の人権は?

 粗相したペットの扱いじゃんこれ!

 子犬が怒られても反省しないからゲージに閉じ込められるやつだよこれ!

 

「いやいやいやいや!何言ってんだ!?ちょ、マジで!トイレは!?飯は!?餓死しろってか!?」

 

「トイレは扉の前に置いてあった簡易トイレで済ましてください。ご飯ももちろん私たちが三食きっちり用意させていただきます」

 

「か、簡易トイレ!?お、おま、ふざけんな!」

 

「真剣だよ。私達はね?ヒカルに死んで欲しくないの」

 

「よ、よし、わかった!もうあんなことはしない!だから出してくれ!」

 

「…しばらくは出さないよ。多分閉じ込められたのが嫌で口だけでそう言ってるだろうから」

 

 正解だけど、こんなので俺が意見変えると思ってんのか!?

 

「ちょ、なんでだよ?信じてくれないのか?」

 

「先に能力のことで嘘付いてきたよね?」

 

「…だ、だからあれは」

 

「トリタンさんを守る為だって言うんだよね?それはわかってるよ?ヒカルの行為は危険だけど立派なものだったっていうのも理解してるの。だけど危険な行為を繰り返して次生き残れるかわからないでしょ?やめてほしいって話したのに全然聞き入れてくれないから、こんなことになったのよ」

 

「あー!なるほどね!完全に理解したよ!反省しました!出してください!」

 

「とりあえず三日はダメ」

 

「おい、ざけんな!」

 

「しばらくは反省してください」

 

「おいいいいい!マジなの!?マジで閉じ込めておく気なの!?」

 

「うん」

「はい」

 

「ちなみに魔法でも扉と窓にロックしてあるから、ヒカルが力づくで頑張っても無駄だからね。最近ヒカルは本を読むって聞いたからみんなで選んで多めに買っといたから、それを読んで過ごすこと。それと」

 

「いやいや、あのさ!おかしいって思わない!?パーティーメンバー閉じ込めてることおかしいって思わない!?」

 

「そ、それと、そ、そのち、ちちちちり紙は多めに置いておいたから!」

 

「何の配慮してんのお!?どんな気の回し方!?俺のことなんだと思ってんだコラァ!マスターしろってか!?この期間でベーションをマスターしろってか!?このマセガキ!」

 

「マ、マセガキ!?子供扱いしないで!ていうかべ、ベーションとかマスターとか大きな声で変なこと言わないでよ!し、しばらく出さないから、あまり騒がないでよ!」

 

「え、ちょ、勝手に終わらせんな!おい!」

 

 そこから返事は一切返ってこなくなった。

 

 

 そして今に至る。

 本を読むのは嫌いじゃないし、この世界のことを勉強しとかないといけないこともあるが、本を読むという行為に飽きた。

 日本にいた時みたいに携帯があればいくらでもゲームやら何やらで引きこもってられるかもしれないが、それもない。動画も見れねえし…。どうしたものか。

 

 ご飯を持ってくる時に奇襲して出てやろうと思ったけど、完全に三人には読まれていた。持ってくる時は三人で来る上にヒナには支援魔法、ゆんゆんは俺の動きを止めたり妨害したりする魔法があるせいで、俺は何も出来ない。

 

 

 魔法なんてロクなもんじゃない。

 大の男の俺が小さい女の子に全力で向かっていって、けちょんけちょんに負ける俺の気持ちが分かるか?

 

 才能なんて大っ嫌いだ。

 いつだってそうだ。歳の差だったり、経験年数だったりを簡単に跳ね返しやがる。

 ここまでコツコツ頑張ってきたやつの思いを踏みにじって。

 いつもいつも追い抜かれていく。

 俺はまた…

 

 

 って、何考えてんだ!普通にブルーになってどうする!?

 とりあえず三日目は変なことしないで反省したフリをして出してもらおう。

 今日はあれだよ。こう偉い人の気分を味わおう。飯も勝手に用意して持ってきてくれるなんて、偉くなきゃされないからね、うん。

 

 

 

 

 一日目にはこんなことをしていた。

 何してたかっていうと、それはもうガンガン騒いだり、奴らの恥ずかしいことを大声で言ったり。少しぐらい良いだろ?

 

「ヒナ!いるかー?」

 

 扉にノックしながら話しかける。

 少しして返事が返ってくる。

 

「……いるけど、なに?」

 

 めちゃくちゃ不審がってる。

 なんだよ。気分悪いなぁ。

 

「そうか。いるならいいや」

 

「は?え、なんだったの?」

 

「いや、なんでもない。話しかけただけ」

 

「…変なことしないでよね」

 

 扉の前から気配がなくなった時を見計らって

 

「エリス様ーー!!!私は!ヒナギクに!!監禁されていまーーーす!!!」

 

 ドコドコと走ってくる音が聞こえて怒声も聞こえてくる。

 

「ちょっとお!!変なこと言わないでよ!!」

 

 ドン!と扉を叩く音が聞こえた。

 

「エリス様ーー!!ヒナギクにいやらしいことされていまーーーす!!」

 

「何言ってんの!?するわけないでしょ!?バカなの!?エリス様に変なこと言わないでよ!!」

 

「いやーーーー!!!!助けてーーー!!!」

 

「変なこと言うな馬鹿野郎!!ヒカルのそんな言葉なんか届くわけないでしょ!」

 

「やめてーーーー!!来ないでーーー!!」

 

「ヒ、ヒナちゃん!落ち着いて!罠だから!絶対罠だから!!落ち着いて!」

 

 ゆんゆんが抑えてるのだろうか、叩く音がなくなった。

 

「うー!部屋から出たら覚えておいてよ!!!」

 

 ふぅー、満足した。

 

 

 

 

 

 一日目に渡された本は全部読み終わって、二日目に支給された本に手を出そうかと思い、やめた。

 身体がアホほど鈍っている。

 少し動き回りつつ、ストレッチをしたりして、また俺はなんかしてやろうと思った。

 人間ヒマになると少しおかしくなるのかもしれない。

 

「おーい、本読むの飽きたぞー!なんか無いのかー!」

 

 少しすると

 

「……あるから、少し待ってて」

 

 ゆんゆんが返事をしてきて、少ししたらまた戻ってきた。

 鍵のカチャンという音が聞こえて、扉が少し開かれたので、力づくで押し出てやると思ったが、全然開かなかった。

 不思議に思った俺は見ると、チェーンロックが二つほど付いてるのが見えた。

 え、そこまで厳重なの?玄関よりも鍵の数多いじゃん。

 

 下の方から四角い箱がスーッとゆっくり入ってきて、その後扉が閉まり鍵の音が聞こえた。

 

「あのね、分からないことがあれば教えるから。いつでも声かけてね」

 

 と言って扉の前から離れていった足音がした。

 

 箱を見ると、ぶっちゃけ予想通りというかなんというかボードゲームだった。

 二〜四人用の。

 

「あのーすみませーん」

 

 今回は駆け寄ってきたようなそんな足音。

 

「なに?どうしたの?」

 

 ゆんゆんの声は少し嬉しそうな声だ。

 

「これ複数人プレイ用なんですけどー」

 

「だ、大丈夫!一人でもできるわ!だって私、紅魔の里にいた時にやってたもの」

 

 つらい。

 

 懇切丁寧に教えてくれるけど辛い。

 擬似複数人プレイをしろと。違う自分を演じてみるのも面白いと思うわ、とかアドバイスされた。今までで一番嬉しく無いアドバイスかもしれない。

 

「はあ、ありがとうございます」

 

「う、うん!またなにかあったら声かけてね!教えるから!」

 

 スキップしてるんじゃないかぐらいの足取りの軽さの足音だった。

 

 

 

 よし、本でも読むか。

 





お気に入り、評価、感想ありがとうございます。
皆様のおかげで書くのが楽しいです。

三章はしばらく日常回です。
方針がしっかり決まるまでの時間稼ぎとかそんなわけではありません。
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