このすば ハード?モード   作:ひなたさん

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40話です。さあ、いってみよう。



40話

 

 

 雪は積もり、本格的にクエストに行くことが無謀になったある日。

 驚くぐらいに平和な俺達の日常。

 それを脅かす一つの事件が起きた。

 

 

「僕の下着がなくなりました」

 

 

 ヒナの下着が突如として消えたという。

 正直犯人は一人しか思い浮かばないが。

 

「…」

 

 何故かヒナは俺を見ていた。

 

「おい、ふざけんなよこの野郎。誰がお子ちゃまの下着なんか盗るか」

 

「お子ちゃま!?」

 

「だいたいこんなことするぐらいならゆんゆんの下着盗るわ」

 

「ええっ!?」

 

 赤面して驚いた後にこちらを睨んでくるが、そんなことを気にしてる場合では無い。

 クリスの方を見たら、すーっとゆっくり目を逸らしてきた。

 

 こ、こ、こいつ!!

 こいつ、やりやがったあああああああああああ!!!!

 なに自分の職業を存分に活かしてんだてめええええええええええ!!!!

 本業の力を見せてんじゃねえよこのやろおおおおおお!!!

 

 こいつを突き出してやるのは簡単だが、流石にいろいろとまずい。

 

「というかお子ちゃまの下着が無くなったっていうならトリスターノが一番怪しいじゃねえか」

 

「ええっ!?」

 

 トリスターノがまさか私ですか!?みたいなリアクションしてるけど、本当は一番疑われるべきだろ。

 

「なんでトリタンが疑われるの?変なこと言ってると怪しいよ?」

 

「じゃあいくらでも調べろよ。これで無かったらここまで疑った分謝罪しろよ」

 

「…自信あるみたいだね」

 

「当たり前だろうが。女性は嫌いじゃないが、そもそもお前は子供だし。曲がったことはしねえよ」

 

「私には曲がったことされた記憶があるんだけど…」

 

「…というかその下着が無くなった状況とか教えろよ。何も知らないのに疑われるなんておかしいだろうが。何があったんだよ」

 

「ねえ、話逸らしたよね?」

 

 ゆんゆんから凄まれるけど、最近慣れてきたからあまり怖くない。杖を持ち始めたらヤバいけど。

 

「では状況確認からしていきましょう。ヒナさん、辛いでしょうが話していただけますか?」

 

「なんでお前が仕切り始めたの?」

 

 俺の疑問をガン無視して、ヒナの説明が始まった。

 

「うん、まずはクリスさんと一緒にお風呂入ってたんだけど」

 

 はい、終わり。もう決まりだよ。

 こんなふざけた話に巻き込まれたのアホらしすぎるわ。ちょっと助けてやろうとか思ったのがバカみたいだよ。

 何考えてんのこの変態女神。いや、むしろ女神とかつけたくないわこの変態。かみとか名乗ってるのに犯罪やって恥ずかしくないの?

 というかコイツ絶対不可侵条約とかなんとか前に言ってたよね?何が絶対不可侵??侵入してるじゃん。お風呂からベッドに下着にまで侵入してるじゃん。

 完全に調子乗ってるじゃん。いつでも触れられるようになって最近ヒナを抱き枕にして寝食共にしてるせいで調子に乗りまくってるじゃん。手付けちゃいけない領域に侵入しちゃってるじゃん。

 

「それでね、一緒に洗いっこしてたら」

 

「おい、警察呼べ」

 

「な、なななななななんでっ?呼ぶ必要なんて無いよお〜?」

 

「動揺してるじゃん。目に見えて動揺してるじゃん」

 

 ほら、クリスさんもう滝のような汗だもん。すげえ汗かいてるもん。わかりやすすぎるもん。

 

「いきなり警察はちょっと…」

 

 トリスターノ、最早そういう領域じゃないんだよ。お互いの為にならないんだよ。

 

「そうだよ、まだクリスさんと仲が良いことしかわかってないじゃない。自白?自白するの?」

 

「ざけんな」

 

 ゆんゆんも何言ってんだ。

 仲が良いのはいいけど、その仲が良いの利用してるじゃん。自分の欲望の限りを尽くしてるじゃん。これからも何するかわかんないよこれ。

 

「途中でクリスさんがのぼせちゃったのか、鼻血が出ちゃって先に出たんだけど」

 

 犯人の名前出てますよー!状況説明の時点で犯人の名前出ちゃってますよー!

 クリスさんはわかりやすすぎるぐらいに俺から目を逸らして汗かいてますけど。

 もう本当に突き出そうかな。

 はあ…。

 

「おい、クリス」

 

「は、はい。なんでしょうか?」

 

「お前『間違って』ヒナの下着持って行ったりしてないか確認してきてくれ」

 

「え、あっ!そ、そうだね。すぐに確認してくるよ!」

 

 クリスが自分の荷物を確認しに行き、すぐに気まずそうな表情で戻ってきた。

 

「ひ、ヒナ…ごめんね。あたしが間違って持って行ってたみたい…」

 

「え、あ、そうでしたか」

 

 ……まあ、これが落としどころだろう。

 犯罪も未遂で終わった。

 

「で?俺に言うことは?」

 

「…これにて一件落着だね!」

 

「おい」

 

 自分でもびっくりするぐらい低い声が出てしまい、周りが驚いた顔をしていた。

 

「ご、ごめんなさい」

 

 叱られた子供がおっかなびっくり謝ってきた。

 

「普通証拠も無しに犯罪者扱いしたら、こんなんじゃ済まないぞ?」

 

「うん…。ごめんなさい」

 

「まあ、わかればいいよ」

 

 

 

 

 

 

 身体が揺れる。

 眠い。またヒナか。

 毎朝毎朝、諦めずにまあよくやることだ。

 

「起きてくださいませんか?」

 

 んあ?敬語?

 

「ごめんなさい。仕事とかが長引いてしまってこんな時間ですが起きていただけませんか?」

 

 布団から顔を出すだけでしんどいが、なんとか目を開けた。

 まだ外は暗いが、明るく光っているせいですぐに誰がいるかわかった。

 そこにはまさかまさかのエリス様がいた。

 

「おはようございます。申し訳ありません。少しお話しをさせてくださいませんか?」

 

「はあ、なんでエリス様がここに?」

 

 体を起き上がらせ、一応神様なので正座をするが、足は崩すように言われてその通りにした。

 

「今回のこと本当に申し訳ありませんでした」

 

「まあ、良いとは言えないですけど、犯罪はやめていただけませんか?」

 

「おっしゃる通りです…」

 

 少し恥ずかしいのか頬が赤い。

 

「…」

 

「貴女がヒナのこと溺愛してるのは知ってるけど、間違ったことしてると思ったら俺はちゃんと言いますからね。あいつがどれだけ泣こうが喚こうが、貴女の琴線に触れようが」

 

「はい、それはそうしてください」

 

「他には何かありますか?」

 

「え?いえ、その今日のことを謝りにきました」

 

「そうですか。では、おやすみなさい」

 

「はい、おやすって、ええっ!?」

 

「うう、寒い」

 

 布団に体を入れて暖を取る。まだすぐに眠れそうだ。

 

「え、ちょ、私の力で部屋暖かくしますから、話をしてくださいよ!」

 

「え?終わったんじゃないんですか?」

 

「え、いや、だって私まだ少し謝っただけで」

 

「それでいいですよ。もういいんすよ」

 

「ええっ、そ、そうだ。普段のクリスの過ごし方で何か問題があれば言ってください」

 

「もう少し自重してくださると助かるんですけどね」

 

「うっ、本当にすみません」

 

「まあ、それぐらいですよ。自重して犯罪しなければ、あとは好きにしてください」

 

「ほ、本当にそれだけでいいんですか?私今回のことは反省してたので、秘蔵のヒナギクコレクションを一つか二つは渡そうと思ってたんですけど」

 

「いや、まずヒナギクコレクションってなに?というか犯罪するなって言ったばかりですよね?何やっべみたいな顔してんの??腹立つ!そのわざとらしい顔腹立つんだけど!」

 

「くっ…!ですが、私も言ってしまった手前引けません。さあ、どれにしますか!?」

 

「何最初の三匹のポケ◯ン選ばせるみたいな感じで取り出してんだ!犯罪やめろって言ったじゃん!これ俺が選んだら完全に犯罪の片棒担いだことになるじゃん!おい!そのどうしてもコレクション出してる感じやめろ!誰も望んでねえし、一緒にされたくないんですけど!というかその無理してますよ感全開の顔やめろ!」

 

「ふっ、これを選ぶとはお目が高い」

 

「選んでねえよ!何一つ選んでねえよ!どこに目つけてんだ!話の流れ聞いてた!?そのプルプルしながら写真をチラチラこちらに見せてくんのやめろ!ムカつく!大して見たくもないのに少しチラチラするせいで見たくなっちゃうのすっげえムカつく!」

 

「ぐふぁっ!や、やっぱりこれはダメです!これは私のお宝と言っても過言ではありません!こっちにしてください!」

 

「だから選んでねえって言ってんだろうが!なんで吐血したんだよ!どんなダメージ!?なに勝手に選んで渡そうとしておいてダメージ受けてんの!?というか何がお宝だよ!完全に盗品とか盗撮じゃん!そもそもいらねえんだよこの野郎!」

 

「はっ!?しまった!私、コレクションの一つや二つと言ってしまいました…!くっ!どうすれば…!!」

 

「だから、いらねえよ!何が謝りに来ただよ!何も人の話聞いてねえよ!なに今世紀最大のミスをやらかしたみたいな顔してるわけ!?今世紀最大のミスは人の話聞いてねえことだよ!」

 

「一番は渡せません!二番と三番で許してください!お願いします!」

 

「人の話聞いて!?お耳付いてないのかな!?いらないの!いらない!おい!押し付けてくんな!どんな押し売り!?こんなの持ってたら余計に疑われるわ!」

 

「…まさか、やっぱり一番が、欲しいんですか…?」

 

「言ってねえよ!耳に呪われたイヤホンでもつけてんのか!もしかして俺以外の違う誰かと会話してたりする!?最早その方が納得するよ!」

 

「ぐっ!かはっ!こ、ここここここれを、ぐっ!」

 

「どんだけ吐血すんだああああああ!!!いらねえって何回言わせるんだよ!何左手が言うことを効かないみたいな感じで写真持ってる右手止めてんだ!そんな小芝居いらねえよ!ってかもう帰れよ!もう終わったんだよここの会話パート!眠いの!もう寝たいの!お願い!帰って!」

 

「ま、まさかもっと良いものを寄越せと!?」

 

「言ってねえよ!!ってかまだあるわけ!?どれだけ犯罪に手染めてんだよ!神様なのに恥ずかしくないの!?おい!なに覚悟決めた顔してんだ!いらねえよ!お願いします!帰って!百エリスあげるから帰って!帰ってください!」

 

「…わかりました。この激レア使用済みの歯ブラシを…」

 

「何がわかってんだ!!何一つわかってねえよ!っていうか激レアってなんだ!!もう何してくれてんだ!人の家入ってやりたい放題しやがって!それ没収だ!俺が捨ててやる!」

 

「こ、これを捨てるなんて、とんでもない!私だってまだ一回しか使ってないんですよ!?」

 

「何がとんでもないだ!とんでもないのはあんたの頭だよ!ってか一回使ったってなんだ!!い、いや!やっぱり聞きたくない!あんたの話はやっぱり聞きたくない!帰れよ!もう許すから帰れ!」

 

「…では、本当に何もいらないと?」

 

「いらない。もう帰って。エリス様も大変でしょう。お帰りください」

 

「そんな風に邪険に扱われると傷付きます。私、神様なんですよ?」

 

「めんどくさ!この神様めんどくさ!邪険に扱われるような理由がさっきまでの会話で溢れ出してたよね?もう帰ってくれればハッピーエンドだよ!」

 

「むぅー」

 

「なに今更可愛いリアクションしてんの?やめてくれる?ギャップがえげつないから。ほら百エリスですよー。これで帰りましょうねー」

 

「ぷいっ、私がそんなんで動くと思ったら大間違いです。決めました。皆さんが起きるまでここに居座ります」

 

「いや、なに爆弾発言してんの?わかった、三百エリスにしますよ、どうですか?」

 

「いらないです。ヒナギクの思い出百選を話しますので聞いてください」

 

「やめろおおおおお!!!とんでもねえこと言ってんじゃねえ!!わかった!どうすれば帰ってくれるんですか!?具体的に言ってください!」

 

「…なんか引っかかる言い方ですが、そうですね…。欲しいものを言ってください。流石に神器とかは無理ですけど」

 

「んー」

 

 欲しいものと言われてもな…。

 そういえば写真か。写真…。

 

「じゃあエリス様の自撮り写真ください」

 

「まあ、それぐら」

 

 フリーズするエリス様。

 そのままたっぷり十秒経ってようやく時は動き出す。

 

「…え?誰の」

 

「エリス様の自撮り写真ください」

 

「わ、私!?」

 

「はい。あ、言っておきますけど、テキトーなのはダメですよ。渾身の可愛いやつを撮って俺にください」

 

「な、な、なにを言って」

 

「エリス様の可愛い自撮り写真ください」

 

「え、えええええええええ!!??」

 

 

 俺はエリス様の赤面状態で頑張って可愛いアピールをするエリス様の写真を手に入れた。

 これをいつかヒナに見せて腰抜かさせてやる。

 





この話、本当はもっと仲間内でギクシャクする予定だったんですけど、そういや監禁したばっかだったなと思って、大幅に修正しました。
変なところがあるかもしれませんので、何かあれば教えていただけると助かります。

次回から三章のラスト部分に入っていきます。

クリス関係の話多くないかって?
冬の期間中のみです。多分。

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