このすば ハード?モード   作:ひなたさん

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今回でクエストに出ると言ったな、あれは嘘だ()

5話です。さあ、いってみよう。



5話

 街の案内もしてもらったし夕飯を奢るよ、なんて話をし始めたら、随分と驚かれた。

 お金に余裕は無いが持ってないわけじゃない。これは必要経費だろう。

 

「ええっ!? そ、そんな……! いえ、むしろ私が奢ります! 奢らせて下さい!」

 

 

 ????? 

 

 何故? 世話になったのは俺なんだが……。

 というか女の子、しかも年下の娘に奢ってもらうほど落ちぶれちゃいないぞ。

 

 

 奢る奢らないの問答を街の往来で10分ほど繰り広げることになった。

 問答が終わって気付いたが視線が痛いこと痛いこと。

 

 

 なんとか納得してもらったところ、オススメの店があるとかでまた案内をしてもらっている。

 手帳のようなものを取り出して、食い入るようにして見ている。そんなに楽しみにしていた店なのか、それとも少し複雑な場所にあるのだろうか。

 

 

 たまにペンを出して何かを書き込んだりして、何かを呟いている。

 

「い、いいの……? 友達が出来たらやりたいリストにこんなに丸がついてしまったけど、本当にいいの? もしかしてこれは夢? もしかして明日にはシロガネさんはいなくなってるんじゃ……」

 

 

 丸聞こえだし、勝手に俺を消しにかかるのはやめてほしい。

 まだまだ分からない事ばかりだが、この娘はほぼ確実に友達に困っているタイプだろう。

 なるべく優しく接してあげよう。

 

 

 これでまさかこの娘が釣りで新手の宗教勧誘とかだったら、最早拍手レベルだ。その手腕に敬意を表して大人しく勧誘されてやろう。

 

 

 

 ただし俺をここに送った邪神、お前だけは絶ッ対に崇拝しないからな。

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなでオススメの店とやらに着いた。

 お洒落な感じのカフェだ。食事も出来るんだろう。

 

「よ、よし! 私に任せて下さい!」

 

 へ? なにを? 

 聞こうとする前にゆんゆんは勝手にカフェへ突撃していくので慌ててついていく。

 

 テンポは悪いが店員に話しかけ二人席へと案内される。

 店員からメニューを受け取り、そのまま流れるように俺にパスされる。

 首を傾げていると、どうやらもう何を注文するか決まっているらしい。

 

 

 普通にパスタとかあるんだな。割と日本と変わらないな。

 ただ食材の名前がたまにわからないので、これは少しずつ覚えていく必要がありそうだ。無難にカルボナーラをチョイス。店員さんを呼んだ。

 

 俺は注文を伝え終えたことを視線でゆんゆんに伝えると

 

「わ、私はいつもので!」

 

「はい?」

 

 

 …………。

 

 

「え、あ、えっと、あの」

 

 

 な、なぜ、

 

 何故行きつけ感を出したぁ!? 

 任せてくださいってそういうことか!? 

 

 

「……あ、えっと申し訳ありません。わたし最近始めたばかりで勝手が分からなくて」

 

 

 店員さんも気ぃ遣ってるよ! 

 なんでそんな無茶したんだ! 

 

 

「そ、そうだね、はじめたばかりじゃわからないことも多いよ。ほ、ほら、メニューあるから」

 

 メニューを手渡してなんとか立て直せるように俺からもフォローする。

 

 

 立ち上がってこい。お前はやれば出来る娘だ。多分。

 

 

「こ、こり、こりょ、こ、これをおね、お願いします」

 

 

 動揺しすぎだァ! 気をしっかり持てッ! 

 今のうちに体勢を立て直すんだッ! 

 

 

「当店ではカップル割なんてものがあるのですが、如何いたしましょう?」

 

 

「カブッ!?!?!?」

 

 

 おいいいいいい!!! 何トドメ刺そうとしてんだァ!! もうその娘のライフは0よ! 

 

 

「と、友達割はありますか!?!」

 

 

 ねえよ!!! 絶対ないよ!! 

 なんで自ら首締めてんだァ!! 

 

 

「申し訳ありません。友達割はありませんね……」

 

 

 だろうな。

 

 夕飯はまるでお通夜のような静けさだった。

 

 

 

 

 

 コミュニケーションがうまくいかないから、なるべく夕飯で上手く話せるようになろうと思っていたんだが、まさかの伏兵がいたことによりキャンセルとなった。

 

 真の敵は味方に……いや、もうこの話はやめよう。忘れてあげないと多分一生赤面したまま話してくれなくなる。

 会計の時も俺の背中に隠れていた。何も知らないフリをしよう。

 

 

 クエストを受けたりとかしてないはずなのに、なんだこの疲労感は。

 もう部屋に戻って休みたい。ゆんゆんもきっと部屋に戻りたいだろう。

 宿に戻ろうと伝えると未だ赤面状態のゆんゆんはなんとか頷いてくる。

 夕飯前に決めた宿のことを後悔しはじめている。何故ならゆんゆんと同じ宿にしてしまっているからだ。

 

 

 めちゃくちゃ気まずい。

 俺も気が利く性格なら良かったが、なんて声を掛けていいか全くわからないし、ゆんゆんも何も喋らない。

 俺は別に連れと無言の時間があっても辛くないタイプだが、この無言はしんどかった。

 

 

 なんとか部屋に着いた。シャワーを浴びてベッドで眠るとしよう。今日限りのベッドだしな。

 

 部屋の前でゆんゆんに

 

「それじゃあ今日は」

 

「あ、あの!」

 

 まだ何かあるのだろうか、君も満身創痍なんだから無理しないでくださいお願いします。

 

「明日は何時に集合したりしますか……?」

 

 

 あああああ……何も決めてなかった。

 何時がいい? と逆に聞くと

 

「あ、あの出来れば朝ごはんも一緒に……」

 

 メンタル馬鹿強いな。

 あんなことがあってすぐに食事に誘えるなんて……。この娘は案外大物になるのかもしれない。

 もう全部任せよう。

 

 時間とかを全て決めてもらい、別れる。

 

「じゃあまた明日、おやすみ」

 

「は、はい! お、おやすみなさい!」

 

 

 ようやくベッドイン。

 異世界転生がこんなにしんどいなんて聞いてない。

 シャワーは朝にしよう。

 

 疲労困憊。明日からの不安もあるってのに、目を瞑ると一瞬で寝てしまった。

 




次こそクエストに行きます。
ええ、本当です。
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