このすば ハード?モード   作:ひなたさん

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45話です。さあ、いってみよう。



4章 『紅魔の里』と『恋』
45話


 

 ナトリから帰ってきて翌日。

 今日はゆっくりしようと提案し、満場一致で今日一日はお休みになった。

 心身共に休めること、と指示を出し、そのまま解散を言い渡したが、皆やることも無いらしく、リビングでダラダラとしていた。

 

 クリスとゆんゆんはボードゲームに興じていて、トリスターノは弓や装備の手入れをしていた。

 俺も装備の手入れを終わらせて、今回消費した魔道具の確認をしつつ、何か良い魔道具の使い方や組み合わせがないものかと、ゆるーく思考を巡らせていた。

 先程から名前が出ていない一人の脳筋娘はどうしてるかというと、大人しく俺の近くに座っていた。

 ただ挙動不審で、ずっと俺をチラチラ見ている。まるで初期のゆんゆんだ。

 いつもなら言いたいことはすぐに言いに来たり、暇なら日本の話を聞かせろとうるさいのだが、珍しく静かであった。

 何かあるのかわからんが、静かならそれでいいやと思っているし、何か言いたいことがあるなら自分のタイミングで言ってくればいい。

 俺はそう考えていたので、わざわざ自分から地雷を踏みに、いや自分から話しかけに行くようなことはしなかった。

 

 

 そんな昼下がり。

 ヒナは俺に少し近づいて座り、真剣な表情で切り出してきた。

 

「その、さ。ヒカルの家族って、どんな人達だった?」

 

「なんだ、いきなり」

 

「…だって夢で」

 

 まだ気にしてたのか。

 

「って言われてもな。普通じゃね?」

 

「もうちょっと具体的に」

 

「具体的にねえ…。良い家族だったと思うけどな。良い意味で放任主義だったよ」

 

「どういうこと?」

 

「自由に過ごしてたよ。何日も帰らなくても怒られなかったし…そのせいで飯は作ってくれなくなったけど」

 

「不良だったの?」

 

「違えよ。あとは俺がやりたいこともやらせてくれたよ。俺がたまに対人戦で強いのは、そのおかげだよ。いろんな武道をやらせてくれたからな」

 

「そうなんだ。ちなみに何やってたの?」

 

「空手柔道剣道合気道古武道居合道」

 

「え?え?」

 

「弓道棒術薙刀逮捕術…は違うか。あとは何かあったかな」

 

「う、うん。もう大丈夫」

 

「まあ少しやった程度しかないものもあるけどな」

 

「そ、そうなんだ。お母さんは?」

 

 そんな感じで家族のことを聞かれた。

 いつの間にか全員聞いていた。そこまで気になるような話しではないだろうに。

 

「コンちゃんは世界一可愛いんだ。俺に似てな」

 

「最後の一言で台無しだよ。僕のイメージが総崩れだよ」

 

「何が可愛いってな、俺のことが大好きなのに、素直になれない。つまりツンデレなんだよ」

 

「本当かな?」

 

「今はおじいちゃん犬だが、子供の時なんか俺が『おいで!』って言ったら、二、三回フェイントを入れてから全力で俺とは反対方向に走っていってな」

 

「それは素直そのものなんじゃ」

 

「俺の足が大好きでな。生まれたばかりの頃なんか俺が歩く度に足に全力で噛み付いてきてな」

 

「やっぱり好きじゃないよね」

 

 なんだ嫉妬か?

 悪いがコンちゃんに勝てるやつはいない。

 諦めてくれ。

 

「その、さ。もう会えないの?」

 

「んー、まあ、そうだな」

 

 ヒナの表情が暗くなった。

 亡くなったと思われたんだろうが説明が面倒くさいし、変に誤魔化すと聞きたいことを聞いてくるこのお子ちゃまには根掘り葉掘り聞かれることだろうから、特に何も言わない。

 

「寂しい…よね?」

 

「まあ、もう会えないしな」

 

「そう、だよ…ね」

 

 ヒナは俯いてしまった。

 そこまで悲しく思うことじゃないだろう。

 いつかは起こることだろ。俺もこいつも。

 なんかみんなも少し暗くなっちまった。少し冗談でも言って雰囲気変えるか。

 

 そんなことを考えていたその時、ヒナは突然勢いよく立ち上がる。

 皆驚きヒナを見ると、何か覚悟決まった顔をしていた。

 

「僕決めたよ。僕が」

 

 チラチラ見てた時とは違い、俺のことを真っ直ぐに見て、決めたと宣言した。

 

「あ?」

 

「僕がお母さんになるよ!」

 

 ……。

 

 空気が死んだ。

 誰も発言すら出来ない程に。

 

「お前、何言ってんの?」

 

「聞いてなかったの?僕がヒカルのお母さんになるよ!」

 

 ……。

 

「こいつは何を言ってるの?」

 

 トリスターノに聞いたが、苦笑いしか返ってこない。

 ゆんゆんは普通に驚いてる。

 クリスを見たら、真顔でこちらを見ていた。こいつ怖。

 

「確かに寂しいとは言ったが、別に」

 

「全部言わなくて大丈夫だよ!ヒカルが乱雑な性格で言うことを聞かないのは、きっとご両親を亡くして寂しい思いをしていたからなんだよ!」

 

 んなわけあるか。

 お前が良い子ちゃんすぎるだけで俺はそんな悪い性格じゃない。じゃない、はず。

 

「あー、あたしも寂しいなー」

 

「わ、私がいますよ!お母さんは無理ですけど、私が友達として支えます!」

 

 何を思ったのかクリスは棒読みで寂しいアピールをし始めたが、違う奴が釣れた。

 そうじゃない。クリスはそう思ったはずだが、なんとか苦笑いで誤魔化していた。

 お前ヒナなら関係性は何でもいいの?

 ヒナが天界に行ったら大変なことになりそうだ。

 

「なあ、俺は別に新しい親が欲しいなんて思ったことはないぞ」

 

「うん。わかってるよ」

 

 わかってないだろ。

 今まで見た中で一番優しく微笑まれた。

 

 

「では不肖トリスターノ、私がお父さ」

 

 ドンガラガッシャーン!!

 

 弾丸のように突っ込んできた何かにトリスターノは吹き飛ばされ、セリフ途中で色々なものを巻き込んで壁に激突して倒れていた。

 

「クリスさん、何してるんですかああああああああ!!」

 

 トリスターノをぶっ飛ばしたのはクリスだった。

 

「え、あー、こけちゃってさ!」

 

「いや、普通にドロップキックの体勢でしたけど!?」

 

「おいおい、ツッコミが激しすぎるだろ。トリスターノー?大丈夫かー?」

 

 へんじがない、ただのへんたいのようだ。

 

「トリタン気絶しちゃったかー。じゃああたしがお父さん役やるよ」

 

「気絶しちゃったかーじゃねえよ!犯人お前!現行犯だよ!」

 

「え?じゃあ私は何になったら…」

 

 ゆんゆんが出遅れて何になればいいか悩んでるけど、なってほしいなんて言ってない。

 

「おいこら、なんでおままごとごっこ続けようとしてんの?というかそもそも俺は別に」

 

「クリスさん、お願いします!」

 

「了解!」

 

「了解じゃねえよ!てかお願いすんな!」

 

「なに?クリスさんがお父さんなんて贅沢なかなか無いよ?わがまま言っちゃダメでしょ!」

 

「なに母親ヅラしてんの?やめてくんない?あと性別違うだろうが!」

 

「えと、じゃあ私はお姉さ」

 

「…わかったよ。じゃああたしは第二のお母さん役になるよ」

 

「第二のお母さんってなに!?どんな家庭!?複雑な家庭事情!?」

 

「ぐっ、では、私が第三のお母さんになります…!」

 

「第三のお母さんってなんだよ!ますますわけわからん家庭になってるわ!あとお前は普通にお父さん役でいいだろうが!」

 

 フラフラと立ち上がった変態がアホなこと言い出した。

 

「お父さん役は死の危険を感じるので嫌です。私も精一杯お母さん役をやってみせましょう」

 

「いらねえよ、その意気込み」

 

「私は!第四のお母さんになります!」

 

「何人お母さんいるんだああああああ!!!そんなお母さんいて家庭で何やんだよ!?二番目以降のお母さんは何すんだ!?子供俺だけだろうが!」

 

 元気に手を上げてお母さん宣言するゆんゆん。

 ゆんゆんすらもお母さんウェーブに乗ってきたせいで、ますます収集がつかなくなってきた。

 

「まあ落ち着きなよ。こんな美男美女のお母さん、そうそういないよ?」

 

「いや、美男美女のお母さんっていう矛盾アリアリのセリフに疑問を持て!」

 

「愛があれば性別の壁など些細なものです」

 

「良いこと言ってるかもしれないけど、誤魔化そうとしてる感しか感じねえよ!」

 

「こら!お母さんになんて口の利き方するの!謝りなさい!」

 

「お前は叱ることしか出来てねえんだよ!第一のお母さんは叱る専用ですかこの野郎!」

 

「ヒナギク、この子も複雑な年頃よ。わかってあげて…」

 

「そうですね、ありがとうございます。クリスさん」

 

「そのヒソヒソするのやめてくんない?腹立つ!なんか年頃の子供へのリアルな反応で腹立つんだけど!てかそもそもお前らより俺の方が年上だっつーの!!」

 

「愛があれば年の差なんて些細なものです」

 

「その言葉は良いものかもしれないけど、この状況はどう見てもおかしいだろうが!!ってかお前は何!?第三のお母さんは愛担当なの!?」

 

「私の担当はどうすれば…」

 

「担当以前にこの状況がおかしいことに気付け!」

 

「はい、ディフェクトカトラス」

 

「それは短刀!わかりづらいボケしてくんな!一部の人にしかわからねえだろうが!」

 

「愛と叱る担当はもういるからね。あたしは愛され担当かな」

 

「愛され担当!?そんな担当が!?」

 

 クリスの意味不明な発言に素直に驚くゆんゆん。

 

「ねえよ!!どう考えても無いし、いらねえよ!!」

 

「いらないなんて言うんじゃありません!お母さんに謝りなさい!」

 

「愛があれば担当の壁なんて」

 

「同時にボケてくんな!ツッコミきれねえんだよ!あと担当の壁ってなんだ!」

 

「ゆんゆんは出稼ぎ担当かな」

 

「ええっ、それってもうお父さんなんじゃ…」

 

「まだ担当気にしてたのかよ!もういいって!妹とかでいいわ!」

 

「え、それって何番目の?」

 

「逆に何人妹いるんだよ!!今のところゆんゆん以外母親になってんだろうが!」

 

「一番目でいいのね!?」

 

「だから番号いらねえよ!」

 

「愛があれば兄妹の壁なんて」

 

「それは超えちゃいけねえ壁!!あとお前はそれしか言えないのか!?」

 

「ヒカル。少しうるさいよ。静かにしなさい」

 

「お前らのせいだろうがあああああ!!」

 

「ね、ねえ担当は?一番目の妹の担当は?」

 

「だから複数人いないんだから担当もくそもねえだろ!なんで俺が妹のキャラ設定しなきゃいけねえんだよ!」

 

「愛され担当って難しいよね。ヒカルは無理そうだし、ヒナギクに愛してもらうしかないかなぁ」

 

「え、ええっ!?僕は何をすれば…?」

 

「簡単だよ。こっちにおいで」

 

「おいいいいいいいい!!!一番と二番の母親おかしな雰囲気になってるよ!子供の前で変なことすんのやめてくんない!?」

 

「愛の前では子供も親も関係ない、ということですね」

 

「なにその理解ある感じのセリフ!!おい、止めろ!俺の前ならともかくゆんゆんの前で変なことすんな!」

 

「ふふふ、見たいの?ヒカルもエッチな子に育っちゃったなぁ」

 

「ヒ、ヒカル!最低だよ!そんな子に育てた覚えはないよ!」

 

「育てられた覚えもねえよ!おい、寝室に連れてこうとするの止めろ!あの頭の中お花畑になってるやつ止めろ!」

 

「あ、あのね、ヒカル。私も理解ある方だから!だ、大丈夫だから!」

 

「理解あるの!?いや、問題はそこだけじゃないんだけど!大丈夫じゃない状況なんだけど!」

 

「愛があれば」

 

「ああああああああああ!!もおおおおおおおおおお!!俺の話を黙って聞け!!!」

 

「どうしたの?いきなり」

 

「いきなりじゃねえだろ!なんでそんなきょとんとしてんの?ずっとバカなこと言ってるお前らにツッコミ入れてただろうが!」

 

「ヒカル。お母さんが聞いてあげるわ。話してみなさい」

 

「妹も聞きます!」

 

「第三の母も聞きましょう」

 

 いちいちツッコミ入れてたら日が暮れそうだな。

 

「はあ…。最初からずっと言ってるけど、両親も妹もいらねえんだよ」

 

「…なんで?寂しいんじゃないの?」

 

 ヒナが少し暗い表情になる。

 そういやこいつはここに来るまでは両親とずっと生活してきたんだったな。

 夢を見た俺を見て、それでもし自分が両親がいなくなったらと考えたら、きっと辛くなったんだろう。

 

「確かにもう会えないと思うと寂しく思う時もあるけど、ほとんどの人間がそうだろ。気にする必要無いんだよ」

 

「でも」

 

「俺の両親の代わりなんていないよ。どんなやつでも代わりなんて出来ない」

 

「…」

 

「それは、その、まあお前らもそうだ。家族も大事だけど、お前らもそれぐらい大事っていうか」

 

 やべ、すげえ恥ずかしい。

 全員が俺のことじっと見てる中、なんてこと言わなきゃいけないんだ。

 

「ほらお前らはなんていうか、別に無理矢理母親とかの枠組みに当て嵌めなくてもいいっていうか」

 

「もう一緒に住んでるし、飯も食ってるんだ。お、俺達は、その、家族みたいなもんだろ」

 

「「「「ツ、ツ、ツ…」」」」

 

「な、なんだよ」

 

 

「「「「ツンデレだあああああああああ!!!!」」」」

 

 

「誰がツンデレだああああ!!!俺が真面目に話してるのにバカにしやがって!!全員しばき倒してやる!!」

 

 全員入り乱れての大乱闘になった。

 トリスターノを盾にしたり、トリスターノを武器にしたりして、かなり善戦をした。

 間違えてゆんゆんのおっぱいを触ってしまって、うっかりにやけてしまった後、女性陣三人にボコボコにされて死を覚悟したが、あまりの大騒ぎにご近所さんに怒られたおかげで助かった。

 





デモゴーゴン戦、見返すと酷かったのでいつかリメイクします。多分。
しばらく日常回です。
この章から時系列かなり飛んだりします。このペースだとダラダラして終わらなくなっちゃうので。

あとこのお話とは関係ありませんが、このファンのフレンド申請ありがとうございます。
まだ十人もいませんので、ぼっちの人もそうでない人も良ければ僕のページから申請してください。
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