「囲め囲め!周りを囲んで一気にやっちまうぞ!!」
めぐみんとゆんゆんが喧嘩したせいで見つかった!!
ワラワラと出てきた鬼モンスター達が取り囲もうとして迫って来る。
「ゆんゆん、先程はよくもネタ魔法と言ってくれましたね!ネタ魔法の破壊力を久しぶりに見せてあげましょう!」
「えっ!?ちょ、ちょっと待っ」
「『エクスプロージョン』ッッ!!」
慌てる俺らを無視して、めぐみんが魔王の手先を大量に巻き込んで爆裂魔法をぶち込んだ。
辺り一面の木々が丸ごと吹き飛び、その威力は鬼達どころか俺達も爆風に煽られて吹き飛んだ。
「いったた…」
近くからゆんゆんの声が聞こえた。
いや、近いどころか俺がゆんゆんに覆いかぶさっている。
「ああ…ごめんな、ゆんゆん。だいじょ、うぶ、か」
顔を上げたら、スカートがめくれ上がり、全開状態の黒い下着が見えた。
今の状況を説明すると、なんというかロックなナインな体勢になっている。俺が上になっていて、そのせいでめちゃくちゃ良く見える。
そのおかげで、いや、そのせいでゆんゆんの下着が見えてしまっているのだ。何ということだ。
それよりも何よりも、ゆんゆんのうち太ももの際どいというか、その下着に近いところに
「なんだこれ、バーコード?」
そう、この世界では見たことがなくて、日本で日頃見ることがあるバーコードがゆんゆんのうち太ももにあった。
「えっ?」
もしかしてこれが、刺青…?
「きゃあああああ!!早く退いてよバカああああああ!!」
見られたことを察したのか、悲鳴を上げて、俺のケツを押してくる。
俺も悲鳴を出されて焦って早く退こうとしたら、ケツを押されて、不意打ちで膝蹴りを横っ腹に食らい、体勢を崩した。
その結果、顔面からゆんゆんの下着にダイブした。
「いやあああああああ!!こんな時に何してるのよバカ!!バカ!!最低!!」
「おふっ!退くから!!退きますから!」
俺はもう押されすぎて、ゴリゴリ顔面を地面に押し当てられながらも、頑張って返事をしたが、ゆんゆんはパニック状態で聞いてくれない。
ゆんゆんは怒りに身を任せ、俺のケツをバシバシ叩いて、何度も膝蹴りをぶち込んだ後、思い切り蹴り上げながら俺の体を退かした。
「いってえ!」
起き上がりながら、ゆんゆんを見ると真っ赤っかな顔で自分のスカートをおさえていて俺のことを真っ赤に光らせた瞳で睨んでいた。
「いや、あの、本当すみませんっていうか」
視線を感じて振り返ると、少し後ろにはヒナがいた。
恐ろしい程に無表情でゴミを見るような目で俺を見ていた。
「最低」
今まで聞いたことが無いような冷たい声だった。
「ちょ、ま、待ってくれ!今のは確かに見るだけ見たら最低かもしれないけど、事故だぞ!?やりたくてやったわけじゃないって!」
二人にそう言い訳しても、聞いてくれないどころか目も合わせてくれなくなった。
というか、それどころじゃな
「人間でもあんな最低な奴がいるんだな」
「あいつから殺そうぜ」
「そうだな、最期に良い思い出来てよかったな」
「おいいいいいいい!!なんで敵からもそんな風に言われなきゃいけねえんだよ!!お前らも見てただろ!?爆風で吹き飛ばされたんだよ!見てたよな!?お前らも一緒に飛ばされてたしなあ!?ねえ!?見てたってあいつらに言ってやってくれよ!頼むよ!」
敵モンスターの鬼達からもゴミを見る目で見られた上に散々な言われようをされた。
確かに悪いことをしたかもしれないが、これは言い返さないと気が済まない。
「なんで敵に助けを求めてるんですか…」
呆れるような声に振り返ると、困ったような顔で苦笑するトリスターノがいた。
「トリスターノ!お前ならわかってくれるよな!?マジで事故!事故だってあいつらに伝えてくれよ!あいつらマジで目すら合わせてくれないよ!」
いつものようにイケメンスマイルを俺に向けて、俺の肩に手をポンと置いて、落ち着いた口調で話し始めた。
「リーダーのお勤めが終わるまで、私は待ってますから安心してください」
「いや、有罪なの!?どこが安心できんだよ!すでに罪扱いなのか!?待てよ!本当に事故だって!裁判は!?情状酌量の余地なしか!?弁護士!!弁護士を呼んでくれ!!」
「残念ながら…」
「おい!!マジか!?マジでダメなのかこれ!?」
「お前達いい加減構えるなりしてくれ!!」
ダクネスから怒鳴られたが、今は理不尽に抵抗する時だ。悪いが、そっちで片付けてほしい。
「何言ってんだ!早く逃げるぞ!」
正面から戦うのは不利だと判断したカズマはめぐみんを背負いながら、全員に逃げるように呼びかける。
一応やれなくもないが、戦闘は難しいだろう。今この状況だと誰も俺の言うこと聞いてくれなそうだ。
「俺らも逃げるぞ!」
そう呼びかけている途中で、更にこちらへ接近してきている魔王の手先達が見えた。
やばい、と思ったのも束の間、どうやら様子が変だ。その魔王の手先達は随分と必死な形相で武器を投げ捨てながら、こちらへ向かってきている。
援軍?
そう思った時、突如として何もない空間から黒いローブを着た集団が現れた。
いや、全員が黒いローブではない。何人かは黒色のライダースーツみたいなツナギを着て、指先が空いた手袋をはめていた。
現れた人数は四人。武器も服装もバラバラだが、その四人はめぐみんやゆんゆんと同じ紅い瞳だった。
紅魔族。
何もない空間から突然現れた様に見えたのは、テレポートか何かの魔法だろうか。
援軍ではなく、この紅魔族に恐れて逃げて来たのか。
紅魔族四人より俺達の方へ駆け出そうとした時、
「もう逃げられはしない…ッッ!我が深淵に眠る闇の業火に抱かれて消えるがいいッッ!!」
「我が禁忌よッ!現世の扉を閉ざす鎖錠を破り、我が敵に滅びをもたらせッッ!」
「漆黒の闇に住まう叛逆の力よッ!我に屈し、我に従い、その猛威を振るえッッ!!」
「炎は獣に、竜は我が手に。楔を破壊し、命の鎖を引きちぎり、世界を食らい尽くせッッ!」
それは、魔法の詠唱……ではない。
というか聞いたことが無いから、分からん。
多分、決め言葉か何かだったのだろう。
彼らは一瞬で魔王の手先に追いつき、全員が全く同じ魔法の詠唱を開始した。
「ちょっ……!待っ……!やめっ……!」
魔王の手先の一人が何かを言おうとした瞬間
「『ライト・オブ・セイバー』!」
「『ライト・オブ・セイバー』ッ!」
「セイバーッ!」「セイバーッッッ!」
彼らの手刀が輝き、光輝く刃が魔王軍達に次々と切り刻まれて。
その後、その場に残ったのは魔王の手下だったもの。ただの肉塊と成り果てた。
………。
や、やややややっべえええええ!!
さっきゆんゆん怒らせちまったじゃねえか!肉塊ルートじゃんこれ!マジでやべえよ!これと同じになっちまうよ!!落ち着いたら全力で謝ろう!
闇だ漆黒だ言ってたくせに、すげえピカピカする魔法使うじゃん、とかツッコミが出来なくなる程ゆんゆんにどう謝ろうかと考えていたら、一瞬で魔王の手下達を肉塊にした紅魔族の人達が俺達の方に歩いてくる。
その一人がカズマの方に話しかける。
「遠く轟く爆発音に、魔王軍襲撃部隊員と共に来てみれば……。めぐみんとゆんゆんじゃないか?なんでこんなところにいるんだい?」
そんな普通の口調で気さくに話しかけていた。
めぐみんがそれによろめきながら答える。
「ぶっころりーじゃないですか。お久しぶりです。里のピンチだと聞いて、駆けつけて来たのですよ」
ピンチと聞いて、紅魔族四人が首を傾げる。
え?ピンチじゃねえの?
「ところでめぐみん、こちらの方達は君の冒険仲間かい?」
少し嬉しそうにめぐみんがコクリと頷く。
それを見て、ぶっころりーが真剣な表情になり、マントをバサッと翻した。
「我が名はぶっころりー。紅魔族随一の靴屋のせがれ。アークウィザードにして、上級魔法を操る者……!」
突然そんな自己紹介を始めるぶっころりー。
本来ならば唖然とする所なのだろうが、俺達は、既にめぐみんとゆんゆんの二人によって耐性が付いている。
「これはどうもご丁寧に、我が名は佐藤和真と申します。アクセルの街で数多のスキルを習得した者。どうぞよろしく」
カズマが相手に合わせた自己紹介をすると。
「「「「おおおおーっ!」」」」
突然、紅魔族の人達がそんな驚きの声を上げた。
「素晴らしい、実に素晴らしい!外の人は、我々の名乗りを受けると微妙な反応をするものなのなんだけど……!まさか外の人がそんな返しをしてくれるとは!」
そのぶっころりーの言葉に他の紅魔族がウンウンと頷き、今度は俺の方を期待した目で見てくる。
やるしかあるまい。
「お控えなすって」
例のポーズをして、そう言うと紅魔族の四人は首を傾げたが、そのまま続けよう。
「手前、生国と発しまするは日本の生まれ。姓はシロガネ、名はヒカリ。人呼んでヒカルと発する冒険者でございます。
以後、面対お見知りおきの上、よろしくお願い申し上げます」
「「「「おおおおーっ!」」」」
「外の人がこんなカッコいい名乗りをしてくれるなんて…!よろしくね、ヒカルさん!」
「よろしくです。ぶっころりーさん」
どうやらウケたらしい。
最初はヒナに軽い気持ちで教えたものだったのに、すっかり俺達のパーティーの挨拶になってしまった。今日はこれを何回もやることになりそうだ。
ぶっころりーさん達にテレポートで送ってもらった後、彼らが颯爽と去っていったのは光を屈折させる魔法で姿を隠しているだけとか、ぶっころりーさん達はただの暇を持て余したニートとか、あまり知りたくない情報を知ってから、ゆんゆんの実家へと向かった。
紅魔の里は小さな農村のような大きさの集落だ。なんというか長閑な田舎というイメージ。
その住民達は緊迫した様子で、目つきは鋭い……ということもなく、どこまでも長閑で欠伸してる人までいる。
とても里のピンチには見えない。
ゆんゆんの実家へと向かう途中、何度かゆんゆんのご機嫌を伺ってみたが、俺と目を合わせるとすぐにそっぽを向かれた。
…時間を置いて話しかけよう。多分すぐに謝りにいっても逆効果だろう。
里の中央にある大きな家、そこがゆんゆんの実家だ。ゆんゆんのご両親に挨拶を済ませて、早速話を聞くことになった俺達は族長宅の応接間に通された。
テーブルを挟んでソファーに座る包帯やら鎖やらの厨二ファッションをした中年の男性がゆんゆんの父親でひろぽんさん。
そんな人が眉間にしわを寄せて、衝撃の事実を話し始めた。
「いや、あれはただの近況報告だよ。手紙を書いている間に乗ってきてしまってね。紅魔族の血がどうしてもね」
「ちょっと何を言っているのか分からないです」
カズマが即座にツッコミ、俺の隣ではゆんゆんが口を開けてポカンとしている。
「……え?あ、あの、お父さん?その、お父さんが無事だったのは嬉しいんだけど、手紙の最初の『この手紙が届く頃には、きっと私はこの世にいないだろう』っていうのは…?」
「紅魔族の時候の挨拶じゃないか。学校で習っただろう?……ああ、お前とめぐみんは成績優秀で卒業が早かったからなぁ」
「……魔王軍の軍事基地を破壊することも出来ない状況っていうのは?」
「あれか?奴ら、立派な基地を作ってな。破壊するか、観光名所にするかで皆の意見が割れててな」
こんな調子だ。
応接間にいる人数が多くて、俺達のパーティーはソファーに座りきれなかったので、壁際に立っている。途中から話を聞くのがバカらしくなり、窓の外を眺めてのんびりしていた。
紅魔族特有のノリのせいで俺達二つのパーティーは見事に乗せられてここまで来たみたいだ。
族長達の話を聞き流しながら、春の陽気に当てられて眠くなってきたその時。
『魔王軍警報、魔王軍警報。手の空いている者は、里の入り口グリフォン像前に集合。敵の数は千匹程度と見られます』
『せっ!?』
カンカンという鐘を叩く音とともに、里中に流れるアナウンス。
単位のおかしさに思わず驚きが口に出た。
紅魔族三人は何事もないかのようにしてるのが余計に異様に感じる。
これからただテレポートで帰るだけかぁ、なんて思ってたが、そんなことは無いみたいだ。
わけのわからん理由でここに来たかと思えば、まるで俺からパンツを見に行ったみたいな容疑にかけられてうんざりしていたところだ。
少し体を動かして、ちょっと貢献してから帰り
「慌てなくて大丈夫ですよ。ここは紅魔の里です。皆も見にいってみますか?」
と、めぐみんが落ち着いた調子でそう言った。
そこは地獄だった。
色とりどりの魔法が雨霰のように降り注ぎ、魔王軍は埃のように宙を舞い、塵芥となった。
地面は燃え盛ったかと思えば、凍て付き、光が迸り、爆発した。
「うわあああああああああああああっ!!!」
「シルビア様!シルビ」
「走るのを止めるなっ!やられうわあああああああああ!!」
「撤退ーっ!撤退しろおおおおおおっ!!」
「だから俺は行きたくないって言ったんだよおおおおおおああああああああ!!?」
そんな声が聞こえたかと思えば、綺麗な色をした魔法に飲み込まれていき、次の瞬間には聞こえなくなり、姿もまるで元からいなかったみたいに掻き消された。
「これがファンタジーかぁ…」
「こんな大虐殺見て、その感想を言うのやめてくれ」
俺が呟いた一言にカズマがツッコミを入れてくる。だってなぁ…。もうちょっとこう…死体とか血溜まりが残れば、戦争というか戦闘をしてるみたいな気になれるけど、紅魔族が魔法を撃った後なにも残らないからな。敵相手に普段なら同情なんてしないが、これは流石に可哀想に見える。
あと俺のこのモヤモヤをどうしてくれようか。
カズマ達のパーティーはめぐみんの家でお世話になるらしく、そこで分かれた。
俺達はゆんゆんの家に戻り、それぞれ空いてる部屋に泊めさせてくれると言って、ここにいる間お世話になることになった。
トリスターノのテレポートでいつでも帰れるのだが、どうやら友達を家に招くというのもしてみたかったらしく、ゆんゆんは俺達にいて欲しいみたいだったから、しばらくはお世話になることにした。ゆんゆんも久しぶりに親御さんと過ごしたいだろうしな。
借りた部屋に行って、装備を外して荷物を置き終えた後、玄関に戻ると、俺を見た途端に機嫌が悪くなるヒナと困った顔のトリスターノがいた。
トリスターノから聞くと、ゆんゆんはややこしい手紙を送ってきた『あるえ』に制裁しに行ったらしい。先程も俺達やカズマ達に謝り倒していたし、そもそも根本の原因はあの手紙だから無理もない。
「私達はどうしましょうか?」
「俺達か?んー、観光するならゆんゆんに案内してもらったりした方がいいしな。そういえば他で買うより、ここで魔道具を買えば安く済むんじゃないか?」
いつだったか、ゆんゆんが紅魔族製の魔道具だから里で買えば安い、みたいなこと言っていた気がするのを思い出した。
「そうですね。品揃えもいいかもしれませんし、見に行ってみますか」
「おう。ヒナもそれでいいか?」
「………うん」
一応口は利いてくれるぐらいには機嫌は治ってきたらしい。というか、そもそも何でこいつが怒ってるんだ?こいつのパンツ見たわけでもないのに。
「んじゃあ、それで」
「ヒカル君、少しいいかな」
じゃあ出発ってところで、後ろから声を掛けられる。
振り返ると、ゆんゆんのお父さんがそこにいた。
「はい。何かありましたか?」
「ちょっとヒカル君と『二人で』話したいことがあってね。少しだけいいかな」
二人で、をめっちゃ強調してきた。
ゆんゆんのことで聞きたいことでもあるのだろうか。あんな娘持ったら心配するのも無理はない。ゆんゆんの為にも俺が話して、不安を取り除いておこう。
二人には後で合流すると伝えて、先に行ってもらった。俺は先程みたいに応接間に通された後、ガチャリと鍵をかけられた。
……なんか内緒話でもするのかな。
「『ロック』『サイレント』……ああ、掛けてくれたまえ。なにただ話をするだけだ」
「……は、はあ、失礼します」
じゃあ何故部屋の扉に厳重に魔法をかけたのか教えて欲しい。先程紅魔族のヤバさを嫌というほど目の当たりにしてきたばかりだというのに、不穏な空気を感じるのは心臓に悪い。
「コーヒーはどうかな?最近王都の王族の方と会う機会があってね、良いものを貰ったんだ」
「い、いただきます」
「うむ、了解した。君はパーティーのリーダーなんだってね?話を聞いておきたかったんだ。うちの娘が迷惑をかけていないかな?何分あの子は人見知りだからね、常々心配だったんだよ」
ここだ。ここで心配の種を無くしておけば、この不穏な空気も無くなるはず。
俺はゆんゆんがめちゃくちゃ出来た娘だとヨイショしながら、最近のゆんゆんの話をし始めた。
コーヒーを受け取り、お礼を返しながら、話を続ける。
話し終えた頃に表情を見ると、ゆんゆんのお父さんはニコニコしていた。概ね良好といったところか。
「ところで」
そう言って、コーヒーを一口飲んだ後、鋭い視線をこちらに向けてくる。
「はい?」
「うちの娘とはどんな関係かな?」
先程のニコニコは何処へ散歩に行ってしまったのか、えらく神妙な顔で聞いてくる。
…これが本題か。
もちろん答えは一つ。
「仲間であり、友達です」
「……他の二人ともかい?」
「もちろんです」
「…」
「…」
「えーっと、何故そんな話を?」
沈黙に耐えきれず、かと言って何か新しい話題があるかと言われると無いので、そのまま疑問を口にした。
ゆんゆんのお父さんは十中八九、俺達を男女として付き合ってると勘違いしてるに違いない。プロポーズ擬きはされたけど、あれは仕方なくされたことだし、俺とゆんゆんは誤解されるような仲じゃない。これをちゃんとわかってもらおう。
「何故って、あの子が帰って来てから、頻りに君のことを気にしていたからね」
えっ。
里に入っても目すら合わせてくれなかったけど…。むしろそっぽ向かれたけど。
「失礼かもしれませんが気のせいでは?」
「いやいや、そんなことは無いよ。他の人達にはそんな視線を向けなかったのに、君にだけは視線を何度も向けていたからね」
全く気付かなかったけど、なんだろう。何か言わない方がいいこととかあったのだろうか。そういうのは事前に言ってほしい。
……事前にあんな事故が起きたから、言えなかったんだろうが…。
「何か言ってほしくないこととかあったのかもしれませんね」
「心当たりは?」
「ありませんね。もう五ヶ月近く一緒にいますから、もしかしたらあるのかもしれませんけど」
「そうか。見た感じ嘘をついてるようには見えないな。悪いね、疑うような真似をして」
「いえ、親なら、父親なら娘の心配をするのは当然だと思います」
「そうだろう?正直あの子が冒険者をやるとは思ってなくてね。君も最初は苦労したんじゃないかな?」
「はい。と言っても少しだけですが」
すっかり気を良くしたゆんゆんのお父さんの娘の自慢話が始まり、どれだけ可愛いか、愛しているか等の話を聞いていた。
話を聞いていると、余程心配らしい。でも、わかる。一緒に行動してる俺ですら心配になる時がある。気休めにしかならないかもしれないが、安心させてあげられないものか。
「任せてください。最近俺もようやく上位職になれたので。娘さんを絶対守ってみせますので、心配しないでください」
「…ほう、そうか。君に」
バタン!と大きな音を立てて、扉が開け放たれた。
そこにいるのは息を切らしたゆんゆんがいた。
「お、お父さん!何やってるの!?」
「ん?何ってヒカル君に色々と話を聞いてたんだよ」
もうここ一時間話を聞いていたのは俺だけどな。まあこれで俺達の仲が変に勘違いされることも無いだろうし、ゆんゆんの話も聞けたし、悪い時間じゃなかった。
「は、話って何っ!?変なこと話してないよね!?」
俺と族長を交互に見て、確認してくる。
族長の方を見ると、族長もこっちを見ていて、変な話した?みたいに首を傾げてきたので、首を横に振って否定を示した。
「なんか仲良くなってない!?」
「普通に話をしていただけだよ。さて、ヒカル君、今日の話はここまでにしよう。ヒカル君達はいつまで滞在するのかな?いくらでもいてくれて構わないよ」
「今日の話!?もしかして明日とかも話す気なの!?やめてよ!」
「決めてないんですよね。ゆんゆん、どうする?」
「え?うーん、と、とりあえず二日か三日ぐらいかな?」
「了解だ。ではまた夕飯の時に」
「はい、失礼します」
ゆんゆんと共に応接間を出ると、ゆんゆんが半眼でこちらを見てくる。
「なんだよ、変なことは話してないぞマジで」
「…本当?」
「ああ。喫茶店で常連ぶって「いつもの」とか言っちゃったり、ボードゲームばかり誘ってきたり、酒飲んで俺にめちゃくちゃ無理矢理飲ませてきた後、俺に吐き掛けてきたりしたことぐらいしか話してないぞ」
「話してるじゃない!!!」
ヒカル
ラッキースケベをやらかす様になって主人公らしくなった。
嫌いなものは理不尽と才能。
紅魔族の戦闘種族ぶりにドン引き。だけど紅魔の里のちょっと田舎な感じは嫌いじゃないと思っている。
肉塊ルート阻止に向けて頑張っているが、今のところ何の効果もない。
族長からは少し気に入られたみたいだが…。
他、出番少なめの為省略。
次回もヒカルばかりのお話になるかも。
感想、お気に入りありがとうございます。
最近感想多くて嬉しいです。
めちゃくちゃモチベに繋がります。