このすば ハード?モード   作:ひなたさん

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ハード?モード史上最強最悪の問題作。
とある方の感想の返信で「シルビアとの戦闘は終わり」と書きましたが、その後の深夜テンションとノリと睡眠時間を削って書き上げたヤベー奴。
悪ノリ、雑な展開、雑な扱い、ギャグ補正、メタ、etc
なんでもござれの延長戦。
なんでも許せる方のみ進むがいい。
この先は地獄だぞ。

感想とかで文句言っても「劇場版だから」しか返さねえからなこの野郎。
ちなみにこの話を読まなくても次の話に続いています。というかそっちが本来の57話です。警告しましたからねマジで。

では57話。さあ、いってみよう。



57話

 

 なんとかシルビアを倒した。

 強くなったとはいえ、あんな魔王軍幹部と戦うなんて、いくらなんでもハードすぎないか。

 

「『セイクリッド・ハイネスヒール』」

 

 ヒナが俺に回復魔法をかけてくれる。

 これで俺のボロボロの身体も元通りに

 

 

 

 ならなかった。

 

 

「え?」

 

 ヒナが呆然として、もう一度回復魔法をかけてくるが、変わらなかった。

 

「は?」

 

 何故かカズマが間抜けな声を出していたので、カズマの方を振り返ると、カズマが信じられないものを見る目でシルビアの死体がある方を見ていた。

 俺もそちらを見ると、見たことを後悔するような光景が広がっていた。

 

 シルビアの胸元から何かが沸き起こり、シルビアの身体を包んでいく。

 沸き起こったものはまるで一つの山が出来る程の量の水色の液体のようなものが形を成していき、シルビアの人型や魔術師殺しを取り込んだラミアの姿とは全く別の身体を作り出す。

 

 姿が形成されて出てきたのは、四足歩行の何かだった。四足歩行とは別にまるで人間のような手が生えていて、巨大な大剣を持っていた。

 頭の部分からシルビアの体が出てきて、先程のライフル銃で撃たれた胸元の穴は無くなっている。液体のようなものに影響されたのか、髪の毛が水色の液体のように唸っている。

 所々に鎧の破片のようなものが液体の体を覆っていて、それが形を作っているように見える。

 

「な、なんじゃありゃああああああああああああああああ!!!??」

 

 カズマの大絶叫が辺りに響き渡る。

 これはあれだろうか。ゲームのラスボス戦とかによくある第二形態とかだろうか。

 

「あ、あれ!!この前戦ったスライムじゃない!?」

 

「デッドリーポイズンスライムのハンスか!」

 

 アクアとダクネスが知っているかのように話し始める。

 

「ああ、あれお前らの知り合い?そうなんだぁ、じゃあ俺達は邪魔しちゃいけないからお暇しよう!ゆんゆん!トリスターノ!ヒナ!帰る」

 

「ちょっと待て!!そんなわけにいくか!!里を守るにはアレを倒さなきゃいけないんだよ!みんなで協力するしかねえ!」

 

「お前らが倒した奴なんだろ!?もっかい倒してくれ!」

 

「少なくともあんな状態じゃなかったよ!」

 

「そんな言い合いしてる場合じゃないでしょ!?」

 

 俺とカズマが取っ組み合いをし始めたところで、ヒナが割って入ってくる。

 

「そんなこと言ったって、ヒナの回復魔法が通らないということは、未だに『魔術師殺し』の効果が続いてるんだぞ!?それにめぐみんのいつもの爆発オチもないんだぞ!?」

 

「おい、爆発オチ呼ばわりはやめてもらおうか。あと、カズマ。先程の爆裂魔法、返してください」

 

「んなこと言ってる場合か!!」

 

「ああ!何という巨大なモンスター!私はああいうのを待ち望んでいた…っ!!」

 

「お前しか待ち望んでねえんだよ馬鹿野郎!」

 

 絶望的な状況だというのに、ダクネスの変わらない変態ぶりに思わずツッコミをしてしまった。

 

「ね、ねえ!なんかゆっくりこっちに近付いて来てるんですけど!?もうこっちにロックオン状態なんですけど!!」

 

 アクアがシルビア第二形態を指差して、叫んでいる。確かにそいつは体を動かすのを慣らすようにして、ゆっくり近づいてきていた。

 

「と、とにかく!ヒカルとダクネスで前衛を頼む!」

 

「ちょ、待て!!百歩譲って、このドMと前衛張るのはまだいい!!」

 

「んっ!いいぞ!やはりヒカルは素質があると思っていたところだ!もっとだ!もっと来い!」

 

「やかましいんだよこの野郎!俺、結構ボロボロだし、そこまで時間稼ぐ自信ないぞ!?」

 

「そ、そうです、カズマさん。ヒカルはもう」

 

「でも、あんな相手に前衛張れるのは二人しかいないんだよ!頼む、少しでも時間を稼いでくれ!」

 

 マジかよ…!

 俺のパーティーメンバーがそれでもと止めてくる。確かに前衛をやれるのは俺とダクネスしかいない。

 …ああ、くそ。腹括るしかない。

 

「わかった。やるよ。ただしちゃんと倒す方法捻り出せよ!」

 

「わかった!」

 

 カズマの気合の入った返事が返ってきた後に、仲間達から総ツッコミを受ける。

 

「嘘でしょ!?ヒカル、バカになっちゃったの!?」

「無茶よ!里はもうこの際しょうがないから、撤退しましょう!?」

「回復もしてないのに、どう戦う気ですか!」

 

「どう戦うかって?この」

 

 ダクネスの肩に手を置き

 

「世界最強の肉盾で守りつつ、可能ならチクチク攻撃する。あくまで気を引く程度のことしかしない。これでどうだ?」

 

「うむ、流石ヒカルだ!『ドS先生』の名は伊達じゃないな!」

 

「ちょっと!!もう来るわよ!!」

 

 アクアがもう限界とばかりに俺達を置いて逃げ始めた。

 未だ不満げな仲間たちの顔を見て、俺まで不安になって来た。

 

「安心しろ。時間稼ぎだけだ。だから、カズマ達と倒す方法考えてくれ!ダクネス!行くぞ!」

 

「ああ!期待してるぞ!ドS先生!」

 

「何に期待してんだお前は!?あれと戦うんだよ馬鹿野郎!マジで気合入れてくれよ!」

 

 そう言って、ダクネスと共にあのシルビア第二形態の元へと向かう。

 こうして近くに行くと、デカさがよくわかる。まるで山だ。

 山相手に、最近までクソ雑魚剣士の俺が立ち向かうってのか。はあー、逆に面白くなってきたわくそったれ。

 あの異形の姿となったシルビアにダクネスと対峙することになった。

 

 

 

 

「カズマさん!何か案はありませんか!?ヒカルが死んじゃいます!」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!とにかく、めぐみんの魔力を回復させよう!出来れば、ゆんゆんも回復させたい!トリスターノ!五人ほど紅魔族を連れてきてくれないか!?」

 

「わかりました!」

 

「ゆんゆん!何度かアイツに向けて魔法を打ってみてくれないか、どこまで無効化されるか確かめたい!」

 

「わかりました!『ライトニング・ストライク』ッ!!」

 

 トリタンが走っていった後、カズマがゆんゆんに指示を出していた。

 僕もヒカルの元に残ればよかったかもしれない。何回も回復魔法をかければ、もしかしたらなんとかなったかもしれない。

 そもそもあんなの相手に上位職とはいえ、二人で立ち向かうなんて無茶どころの話ではない。

 やっぱり僕が

 

「ねえ、貴女。何か持ってるでしょ?」

 

 アクアさんが僕に話しかけていた。

 何か?

 

「えっ、僕が持ってるもので今役に立つものなんか…」

 

「あるじゃない。胸元に」

 

「え?」

 

 胸元を見ると、僕の胸元が微かに光っていた。

 エリス様から預かった指輪だ。

 いつもはネックレスにして、万が一のことがないように服の中に入れて、汚れないようにしている。

 なんでアクアさんはすぐわかったんだろう。

 胸元から取り出し、アクアさんに見せる。

 

「でも、これは不浄のものを許さない指輪で」

 

「貴女、これどこで手に入れたの?日本から来た転生者ならともかく、なんでこんな神器を持ってるわけ?」

 

 何故ここでニホン?

 あとテンセイシャって何?

 

「エリス様から預かりました。僕に持っているように言われたもので」

 

「エリスに?どういうこと?もしかしてこうなることを知ってたとか?」

 

 よ、呼び捨て…!?

 ……ここは喧嘩をしてる場合じゃない。

 ヒカルの為にも耐えなきゃ…。

 え、じゃあアクアさんの話を聞く限り、エリス様はこの危機を回避する為に僕にこれを…?

 

「ちょっと見せてくれる?」

 

 そう言われたので、アクアさんに渡す。

 まるで鑑定でもするようにいろんな角度から見ている。

 

「その指輪の名前は『聖女の指輪』です。その指輪は不浄な存在を許さない聖なる指輪と言われていて」

 

「知ってるわ。この力ならアレを分離出来るかも」

 

「…え?」

 

 

 

 

 

 

「ダクネス!!まだいけるな!?」

 

「ああ!!この程度で弱音を吐くなど、クルセイダーとは言えないからな!」

 

『邪魔よ!』

 

 まるで小型のビルのようなサイズの大剣が俺達を振り払うように横なぎに振るわれる。

 俺はダクネスを前に出して、後ろからダクネスを押す。

 

 ガギィィィィィン!!!

 

「おっふぁ!!!これだ!!この腹筋を貫通するようなこの重い一撃!!これを待っていたんだああああああああ!!」

 

 この大剣の一撃を二人で受け止める。

 ダクネスの腹筋に大剣がクリーンヒットし、ダクネスと俺が思い切り振り払われるのを耐えた。

 足場の地面はガリガリと削れ、勢いはなかなか止まらなかったが、俺とダクネスの踏ん張りでなんとか止めることが出来た。

 

「俺もやっておいてなんだが、なんで生きてんだお前!?」

 

 

 

 

 

 

「おい、アクア!それマジなんだろうな!?」

 

「何よ疑うわけ!?じゃあ他に何か方法思い付いたんですかー?」

 

「こ、こいつ!」

 

「カズマさん、落ち着いてください!じゃあこの指輪の力を上手く当てることが出来れば、あのデカイ身体からシルビアを切り離せるんですね!?」

 

「そうよ。この指輪の力は魔法とかスキルなんてものじゃないの。この指輪の力はまさしく神の力そのものと言っていいわ。」

 

 え、僕はとんでもないものを渡されてたんじゃ…。

 

「それほどの神聖な力なら、あのスライムやらアンデッドやらがごちゃ混ぜになって物理耐性が上がろうが、魔法耐性が上がろうが、ダメージを与えられるはずよ。ただその力をどう当てるかよ。案としては武器にエンチャントするのが手っ取り早いかしら。その指輪は攻撃用じゃないし」

 

「じゃ、じゃあ、僕がこの指輪をつけてシルビアを殴れば…!」

 

「え…ま、まあそれでもいいけど、危険よ?その指輪を使えるのは貴女か私ぐらいね。使い手が潰されれば、その指輪はただの綺麗な指輪よ。言っておくけど、私は嫌よ。危ないもの」

 

「ええっ、そ、そんな!アクアさんも一緒に行きましょう!」

 

「い、嫌よ!なんで貴女そんなちっこいのに勇猛果敢に突っ込もうとするのよ!とにかく私は嫌!何かエンチャント出来る武器を探してそれであいつを切り離してきて!私は絶対にいや!」

 

 心底嫌そうに僕から距離を離して捲し立ててくる。

 

「おい、出来るんだな!?」

 

 カズマさんが何かのスキルで紅魔族の方からめぐみんへ魔力を送り込みながら、確認してきた。

 

 

 

 

 

 

 

「ダクネスぅ!!まだまだだよなぁ!?」

 

「もちろんだ!!まだまだだ!まだいける!いや、もっと来い!!」

 

『あなた達なんなのよぉ!!?』

 

「行くぞ!!ダクネス……カリバーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 

 直立不動のダクネスの足首を持って、太もも部分を肩に乗っけていたものを構える。

 

 これはダクネスカリバー。

 選ばれし者にしか使えないという設定だったらいいなと妄想した感じの、ただの大剣を持ったダクネスを俺が武器として振り回して使っているだけである。

 この世界最強の肉盾を最強の武器にするという発想の転換。まさしく天才のそれ。

 俺の怪力とダクネスの防御力とタフネスで出来る、最強の合体技。相手は死ぬ。

 

 シルビアが振ってくる大剣に合わせて、ダクネスカリバーを振るう。

 

 ガギィィィィィン!!

 

「うおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 ガリガリガリガリガリガリガリガリィッ!!

 

 奴の大剣と俺達の合体技のぶつかり合いに大地が耐えきれず、砕けて裂ける。

 

「ああ!!しゅごい!!!ヒカルしゅごいのおおおおおおおおお!!!!」

 

 あー聞こえない聞こえない。

 何も聞こえない。

 

 次の大剣が振るわれる。

 もう一度だ!

 構えて次の攻撃に備えたその時、

 

 

 あっ。

 

 

 ヒナの支援魔法が切れた。

 ダクネスを支えきれない。

 というかあの攻撃を受け止めることは不可能だ。

 

 なんとかダクネスを大剣と俺の間に下ろして、ダクネスカリバーから肉盾へと瞬時に切り替える。

 ただ今回俺は踏ん張れていない。

 つまり、

 

「ぐわああああああああああああ!!!!」

「があああああああああああああ!!!!」

 

 二人とも大剣の一撃を食らい、吹っ飛んだ。

 

 

 

 

 

 

「よし、ゆんゆんとめぐみんも魔力回復したな!」

 

「これで本日二度目の爆裂魔法が撃てます!」

「私も全力でいけます!」

 

 二人の魔力の供給が終わり、シルビアへのトドメの攻撃は準備できた。

 後はこの指輪の力を使って、シルビアとあの異形の身体を切り離す。

 僕は『シロガネブレード』を鞘から抜いて、指輪を嵌めた右手で持つと、『シロガネブレード』が輝きに包まれた。

 

「僕もこれで」

 

 そんな言葉を話したその時

 

 何かが此方へと吹っ飛んできた。

 何度もバウンドした後、ゴロゴロと転がり、僕達のところに転がって来たのは

 

「……ただいま」

 

 ボロボロのヒカルだった。

 

『ヒカル!』

「リーダー!」

 

「すまん、もう限界。ヒナの支援魔法も切れた。ギャグ補正で頑張ったんだけど」

 

「ギャグ補正ってなに!?頭でも打った!?」

 

 ヒカルの元へ跪き、ヒカルの手を握った瞬間

 

 指輪が今までにない程の輝きを放った。

 

「ちょ、眩しい!貴女一回その指輪嵌めた手をヒカルから離しなさい!」

 

 みんな眩しいと僕に言ってくる中、アクアさんから具体的な指示が飛んできて、その通りにヒカルから手を離す。

 すると、輝きは小さなものになっていく。

 

「ちょっと、調べさせてもらうわよ」

 

 そう言ってアクアさんがヒカルの胸に手を当てると、アクアさんが驚きの表情に変わる。

 

「……なんでこんな人間が、持ってるのよ…。指輪といい、まさかエリスがなんか仕込んだんじゃないでしょうね…」

 

 そう呟くと、ヒカルから手を離す。

 まるで意味を理解できなかったが、一体何があったのだろうか。

 

「…えっ、今回のお話ってアレでしょ?ボス戦とか言って、ちょっとシリアスな気分出してるけど、普通にギャグ回だよね?何その衝撃の新事実みたいな感じ?」

 

 ヒカルがわけのわからないことを言ってるのを無視して、アクアさんが話し始める。

 

「ヒナギク、貴女はヒカルと一緒にエンチャントした武器を振りなさい。それでもうアレを切り離せるわ」

 

「えっ」

 

「お、おい!どういうことだよ!?」

 

 みんな驚きの声を上げる中、カズマがいつものツッコミのように尋ねる。

 

「いろいろあって私もよくわかってないけど、二人の力を合わせれば、勝てるってことよ。ほら、立ちなさい『セイクリッド・ハイネスヒール』」

 

 

 

 

 

 

 魔法の効き目は相変わらず薄かったが、なんとか立てるまでにはなった。

 

 今は俺達でその作戦?の確認をしている。

 今のシルビアは紅魔族の人達とトリスターノ、ダクネスに相手をしてもらっていて、時間を稼いでもらっている。

 

「ええと、よくわかってないんだけど、あの貰った指輪の力を使った状態の武器で斬ればいいんだな」

 

「そうよ。今の指輪の力を見る限り、近付く必要もないわ。アレに向かってただ振り下ろしなさい。それで切り離した後は」

 

「私達の出番ですね!」

「我が爆裂魔法の力を見せる時です!」

 

 

 

 

 

「よし、全員準備はいいな!?」

 

 カズマが指揮を取り、全員が気合の入った返事をする。

 俺とヒナが一番前に出る。

 ヒナの指輪を嵌めた右手と俺の左手を恋人繋ぎのように俺の刀『彩友』を握り、後は通常通りお互い両手で握る。

 二人で一本の刀を上段に構える。

 ヒナの身長が低いせいで俺が少し不格好になるが、今はそんなこと言っている場合ではない。

 構えた瞬間、先程の様に指輪が光り輝き、その光が刀へと収束していく。

 光を纏った刀は切っ先が天にも届かんばかりに伸びている。

 

「全員退避ーーーー!!!」

 

 カズマが時間稼ぎしていた奴らへ指揮を飛ばす。

 その声に気付いたみんなはクモの子を散らしたように離れていく。

 

「よし!!ヒカル!ヒナギク!頼んだぞ!」

 

 カズマからやってよし、と指揮が来る。

 

「ヒカル、この技の名前どうする?」

 

「はあ?お前何言ってんの?」

 

 ヒナが唐突に技とか言い始めた。

 どうしたんだろう。お年頃になってしまったんだろうか。

 

「僕達、こんな協力して技を出すとか無かったでしょ?よくヒカルが投げたものをトリタンに打たせるのとはまた違うし」

 

「あのなあ、今更この作品でそんな技とか言われても周りが付いてきてくれないの。困惑するだけだから、とりあえず振って早めに終わらせておくんだよ馬鹿野郎」

 

「なにさ、本当はヒカルだって、名前付けたいけど、大人ぶってるだけなんでしょ?付けさせてあげるよ。何がいい?『彩友カリバー』?」

 

「いや、ダッサ!そんなん叫ぶくらいなら無言で振るわ!ああもう、名前なんていらねえんだよ!刀はなぁ腕や手で振るもんじゃねえ」

 

「じゃあ何で振るのさ」

 

「決まってんだろ。魂で振るのさ」

 

「……う、うん。そうだね」

 

「引いてんじゃねえよ!!技名叫ぶよりマシだっつーの!」

 

「お前ら早く振れよおおおおお!!!何の時間だこれ!?もうなんでもいいだろうが!!シルビア近付いてきてんぞ!!」

 

 カズマがブチ切れてくるのを無視して、ヒナに話しかける。

 

「だからアレだよ。技名よりも魂で振る。つまり気持ちこもってればいいんだよ」

 

「じゃあ、どうするの?」

 

「そんなん今まで変な理不尽に巻き込まれた今の気持ちを込めればいいんだよ」

 

「具体的には?」

 

「『ざけんな、この野郎』これだ」

 

「えぇ…」

 

 ヒナの困惑した表情と声。

 

「お前だって大した活躍も無ければ、魔法も止められて、相手がデカすぎてバカの一つ覚えのボクシングも出来なかっただろ?」

 

「喧嘩?喧嘩売ってる?」

 

「それに何話前だか分からない、読んでる人が忘れてるような指輪の話なんて出てきちまってよ。もう散々だろ」

 

「わかった。そんなに喧嘩したいんだ?わかったよ。そのバカの一つ覚えの力見せてあげるよ」

 

「よし、ムカついてきたな?せーので『ざけんな、この野郎』な」

 

「はあ…。まあ、今回ばかりは乗ってあげるよ。全力で叫んであげる」

 

 二人で前方を睨む。

 目標は異形の存在。

 二人で更に天よ貫けとばかりに上へと刀を構え、そして

 

「せーーーのっ!!」

 

「「ざけんなこの野郎おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」

 

 巨大な光を放つ刀は、異形の存在へと真っ直ぐ振り下ろされる。

 簡単には斬らせないと大剣で受け止めて来るが、

 

「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」

 

 刀を持つ手がどんどん下へと向かう。

 受け止めていた大剣に食い込むように、刀はその先に向かって進んでいく。

 

「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」

 

 

『ああああああああああああああああ!!!』

 

 

 光の刃はシルビアへと食い込み、そして両断する。

 断末魔のような声が響き、シルビアを光が包み、光が明けた後、そこにいるのは、異形の存在と、切り離された最初に会った時のような人型のシルビアがそこにいた。

 

「めぐみん!!ゆんゆん!!やっちまえ!!」

 

「ゆんゆん、ぶちかませ!!」

 

 カズマの指揮に俺も乗る。

 

 すでに魔力を練り上げている二人の周りの空気は通常のものではなく、火傷する程の熱い魔力と雷を纏った魔力が溢れ出していた。

 

「我が名はゆんゆん!!紅魔族随一にして最高の魔法使い!!」

「我が名はめぐみん!!紅魔族随一にして最強の魔法使い!!」

 

「はあああああああッッ!!!『ライト・オブ・セイバー』ーーーーッッッ!!!!」

 

 いつだったか見たものとは桁違いの上級魔法がゆんゆんの高く掲げた右手から出現する。

 その光の剣は、あの異形の存在を丸々飲み込む程の大きさで、空を突き抜け、雲を裂く。

 

「吹けよ嵐!!響けよ爆焔!!」

 

 めぐみんが魔法の詠唱を完成させると、優に十を超える魔法陣が空に形成されて、ゆんゆんの光の剣に負けない程の魔力の奔流があたりを巡る。

 

「『エクスプロージョン』ッッッ!!!!」

 

 めぐみんが杖を振るい、ゆんゆんが光の刃を振り下ろす。

 光の刃と爆焔の奔流がシルビアへと迫る。

 シルビアの表情はあまりの桁外れの魔法が迫ってきていることに、唖然としていた。

 しかし最後の抵抗か、切り離されたはずの巨体が前に出てシルビアを庇う。

 魔法抵抗力の高い身体が、その光の刃と爆焔を押し返す。

 あと一押し。何かが足りない。

 

「ヒナ、もう一回あの巨体を斬る」

 

「うん。次は何て言うの?」

 

「『邪魔すんなこの野郎』だ」

 

「了解!」

 

 二人で今度は横に構える。

 先程以上に不格好だが、空には二人の魔法で覆われている。

 

「いくよ!!」

 

 また俺達が握ると刀に光が纏う。

 

「「邪魔すんなこの野郎おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」

 

 横薙ぎに振るわれた光の刀は、抵抗を感じるものの、少しずつあの巨体を横へと斬り裂く。

 斬り裂いたと同時、二人の魔法を抵抗していたものが無くなり、シルビアへと直撃した。

 

 凄まじい爆発を引き起こし、土煙が晴れた後、そこには巨体などなかったかのように消えていて、シルビアと魔術師殺しが合体したラミアの姿がボロボロになっていた。

 





アニメこのすば第一期のop 『fantastic dreamer』の二番の歌詞が大好きで、ヒカル達の冒険はこの歌詞のイメージをちょっとだけ借りています。
『君は一人じゃない』とか『光』とかですね。
気になった方は調べてみて下さい。
あの曲の歌詞すごい素敵ですから。

あと『なんでもありでいい』とか。
だから、なんでもありにしました。
え?言い訳くさい?聞こえませーん。
良い後書き書いてる風味で誤魔化したりとかしてませんよマジで。

感想、評価、お気に入り、ありがとうございます。
感想が多いとマジで嬉しい。読んでもらってる実感がして。
貴方達の良感情、大変美味である。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回からこの作品に似合わないラブコメの波動を感じます大丈夫ですかこの野郎。
ここまで全てが深夜テンションでお見苦しかったかもしれませんが、ご容赦くださいませ。
お楽しみに。
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