今回はシロガネ君が頑張るお話し。
8話です。さあ、いってみよう。
宿も解決したし、やる事がない。ゆんゆんもやる事がないと頑張って何かを話そうとしたり、俺が何か話してくれるのを期待してきたりとアクションが激しいので、結局クエストに連れ出すことにした。
受けるクエストは先程と同じ平原地帯でのジャイアントトード五体の討伐。この巨大カエルは今繁殖期に入っていて数にも困らない上に近隣住民の助けにもなる。それに全く知らないモンスターを狩りにいくよりマシだろう。
ゆんゆんの実力は先程のクエストで分かったが、自分自身のことが全く分かってない。
ゆんゆんほどの実力者に同伴してもらえるなら何があってもだいたい何とかなるだろう。あの魔法ほどの威力は発揮出来なくても、きっと俺にも何かあるはず。
装備を確認しつつ準備を進める。といっても防具の類は一切無し。片手剣とサバイバルナイフだけだ。ダガーが欲しかったが、何かあった時用でしかない為妥協した。
悲観的になるのはまだ早い。
そう、俺の冒険はこれから始まるのだ。
俺は岩に隠れてあの巨大カエルの背後へと忍び寄っていた。
ゆんゆんには少し遠くで待機してもらっている。
ゆんゆんも張り切っていたが、俺もレベルを上げたいことや自分なりにやってみたいことを必死に頼み込んだら納得してくれた。
このカエルは頭が弱点だと聞いている。だいたいの生物が頭が弱点だろうけど、情報は多いに越した事は無い。
ステータスが低いともう知っているのだ。正面切って戦うなんてことはしない。安全に殺せるなら安全に殺すべきだ。
よし、ステルスキルをする前に一回確認。
岩の影で冒険者カードを取り出し、目を閉じて少し力んでみる。気持ち的にはスーパーサ◯ヤ人になる感じ。男の子なら憧れだろ?
………さて、何か変わったかな変わっててくれ、と祈りながら目を開けて冒険者カードを確認する。
どうやら俺はただの地球人だったらしい。
何も変化はない。変化といえば先程より虚しさが増しただけだ。
こうなるとサ◯ヤ人は無理でもクリ◯ンか天◯飯、ヤ◯チャあたりを目指すしかない。
カエルが倒せなかったら牛乳配達と亀と書かれた石を探す修行をするとしよう。それでボールを7つ集めて願い事を叶えてもらおう。
願い事はーーーー
剣を抜き取りカエルの背後へと走る。
勢いをつけて跳び、背中を蹴飛ばす勢いで走り、その隙だらけの頭上へと飛び掛かる。
「邪神を一発殴らせろおおおおおお!!!!」
全力の気合と全体重を込めた一撃はカエルの脳天へと深々と突き刺さる。
「この!!このぉ!!!」
今まで受けた理不尽をカエルの脳天へとぶつける。三度刺した頃にカエルは力尽き倒れた。頭上にいた俺はカエルが倒れた影響で身体が投げ出されたが、受け身をとって着地する。
ふぅ……なんとか倒せた。それにとてもスッキリした。
晴れ晴れとした気分だ。この平原を全裸で走り回りたいぐらい。
それはそれとして俺は亀◯流の修行をしなくてもいいらしい。是非ともあの願い事だけは叶えたいところだが。
他三体も問題無く同じ方法で討伐できた。
残り一体。次の一体はどこにいるかなと周りを見た時、まだ遠くにいるカエルと目が合った。
そのカエルは確実に俺を目指して、ぴょんぴょんと飛び跳ねて来る。
しまった、見つかった。
全力で走る。なんとか距離を取れば諦めてくれないだろうかと考えたが、そんな甘いことは無くぴょんぴょんついて来ている。
視界の端に待機しているゆんゆんが見える。もうすでに杖を構えて魔法を放つ準備をしている。出来れば五体の討伐をやりきりたかったが、どうするか。
せっかくならやり切りたい。
そして討伐報酬の半分をゆんゆんに渡すんだ。
返すだけだが、これでようやく世話になってばかりの状態から抜け出せる。
身を翻し、今度はカエルの方へと向かっていく。
奴の懐に入り左前脚を切り、そこから動きが鈍ったところを右回りに背後へと向かいトドメを刺しに行く。
集中しろ。
舌を伸ばして捕食してくるのを右へ飛んでギリギリで避ける。受け身を取りすぐさま走り懐に入る。
貰った!
居合のように剣を鞘から抜き取りつつ、一撃で左前脚を切り落とさんばかりに、バッティングの体勢で斬りかかる。ただ走って間合いに入ったため勢いが良すぎて胴体にも深々と剣が入っていて剣が抜けなくなった。
あ……。
やばいと思ったら視界が暗転した。
うわ!?くっっさ!!
身体が持ち上がり、頭から下に落ちようとしている。なんとかナイフに手を伸ばそうとしたところでくぐもった爆音が鳴り響いた。
いたっ!
身体が叩きつけられる。
身体は横になっていて抜け出せそうだ。
と思ったら思い切り足が引っ張られ、外の世界へこんにちは。
「だ、大丈夫ですか!?怪我はありませんか!?生きてますか!?」
ゆんゆんに助けられたらしい。
ああ、ありがとう…。
結局助けられた。五体倒したかったんだがなぁ…。
やっぱり牛乳配達と石探しの修行をするべきなのかもしれない。
上半身にドロリとしたカエルの体液がべっとりと付いている。それとめちゃくちゃ生臭い。
男のヌルヌル姿なんてどこに需要があるんだ、くそったれ。
それを見てか、臭いがキツいからか、ゆんゆんが少し距離をとった。
「あ、えっと、大丈夫ですか……?」
うん、まあ女の子だしね、しょうがないね。
街へと戻り、いの一番に大衆浴場へ向かった。粘液を落とすのはなかなかに大変だったが仕方ない。やらかしたのは俺だからな。助けてくれる存在が居てくれただけマシだろう。
外で待っていてくれたゆんゆんと合流。
「待たせたな、もう臭くないぞ」
「うっ……ご、ごめんなさい」
どうやら本気で捉えてしまったらしい。冗談だよ、と返してギルドへと向かった。
もう辺りは暗い。
せっかくだし、報酬を貰ったらそのまま夕飯はギルドで食べようと提案した。少し残念そうにしていたが賛成してくれた。
昨日みたいなお通夜ご飯は二度と御免だ。申し訳ないが、先手を打たせてもらった。多分まだ手帳には友達と一緒に行きたいお店があるんだろうな。
もしかしたらトリスターノならあの場面もなんとか出来るかもしれない。次はあいつも犠牲に、いや一緒に連れて行こう。
報酬を受け取り、半分をゆんゆんに渡そうとしたら止められた。
「あの、これは宿代にして明日からも同じ宿にしませんか……?」
多分この娘もわがままを言ってる事がわかってるからこう言ってるんだろう。
俺は彼女に恩があるから、ゆんゆんのその意見に納得出来ない。二人で受けたクエストなんだし、二人で分けるべきだろう。
平行線だ。多分面倒な問答をするだけだろう。昼間に報酬を俺も受け取ったし、とりあえずこの報酬は受け取ってくれと強引に渡した。
夕飯を食べていると、あのアークプリーストがギルドへと戻ってきた。
引っ張り凧にされたアークプリーストはいつまで経っても揉みくちゃが終わらない為日替わりで違うパーティーに参加していくことにしたらしい。
初めて正面から顔を見たが、中性的な顔をしてるせいで男か女か判断がつかない。黒髪に黒い瞳だし、もしかして日本から来たやつか?それなら子供でも転生特典でアークプリーストになっていてもおかしくない。
俺からしたら、元からある才能も転生でもらえる才能もどちらも羨ましいもんだ。
俺もあんな風に引っ張り凧にされてみたいね。
そんな事を考えながら遠目に観察をしていたら、アークプリーストと目が合った。
何か驚いたような表情をし、早歩きでこちらへと向かってくる。
やっぱり日本から来たやつかね。
もしこいつが転生して来たのなら、こいつは随分と若くして死んでしまったんだな。
「もしかしてニホンから来た人ですか?」
こちらへ来るなり、話を始めてくる。
にしても服が随分ぶかぶかだ。サイズが一回りか二回りは合ってない。足の裾も折ってるし。
「そうだよ、お前も転生して来たのか?」
「???テンセイってなんですか?」
「テンセイ??」
ゆんゆんもこいつも知らないってことは日本から来た人間の関係者じゃないのか。
「いや、何でもない。日本から来てないのに何で日本を知ってるんだ?」
「僕のお父さんがニホンから来たんです」
なるほど、血縁者だけど転生のことは知らないのか。
何か表情がキラキラしている、どうしたんだ?
「僕、ニホンに行ってみたいんです!」
え……。
「それで冒険者になったんです!」
俺も帰れるなら帰りたいんですけど。
「いろいろと教えていただけませんか!?」
このアークプリーストは日本に期待しすぎだろ。何を教えられたんだ、こいつは?
先に謝っておきます。次の回はかなりふざけてますので、もし苦手な方がいたらごめんなさい。
だってシロガネ君も男ですから。しょうがないんです(責任転嫁)
ある意味必要な回でもあるのです。ご理解の程よろしくお願いします。
そして前回さらっと登場した新キャラも添えてみました。
トリスターノもいて処理しきれてない感はありますが、それはそれ。
必要なキャラなのでもう出てきてもらいました。
話の関係上そろそろとある原作キャラも登場させる予定です(すぐに出るとは言っていない)
お楽しみに!