このすば ハード?モード   作:ひなたさん

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大変お待たせいたしました。
もう少し話を進めたかったのですが、投稿を優先しました。

75話です。さあ、いってみよう。



75話

 

 

「すまない、紹介が遅れた。余はベルゼルグ王国第一王子、ベルゼルグ・スタイリッシュ・ソード・ジャティスという」

 

 お、王族かよおおおおおおおお!?

 

 突然の第一王子発言に言葉を失う。

 周りの仲間も同じような反応だ。

 というか以前に王城に潜入、というよりは殴り込みしたせいで王族になんて一生会いたくなかったってのに、こんなところでエンカウントかよ。

 

 いや、待て。確かに見た目的には王族とか良いとこの貴族に見えなくもないが、何故こんなところにいるんだ。

 ヒノヤマを目指してまだ半日しか歩いてない。

 ヒノヤマ近くの戦場はかなり離れてる筈だぞ。

 

「い、いやいやいやいや。さ、さっきの説明を聞いて疑うのもアレなんだけど、お、おおおおお前が第一王子とかウソだろ!?」

 

「む?何故余が嘘をつく必要がある?それに何故動揺しているのだ?」

 

 自称第一王子が首を傾げる。

 周りも俺と同じ意見なのか、黙ったままだ。

 

「べ、別に動揺なんかしてねえし?変に疑うのやめてくんない?お前が第一王子だっていうなら何か証拠とかあるんですかこの野郎」

 

「証拠か…。何があったか……む、そうだ」

 

 自称第一王子がそう言って懐から取り出したのはペンダントだ。

 独特な紋章のようなデザインで、ヒナやダクネスが持っているエリス教徒の証であるペンダントにも似ている。

 

「「「っ!?」」」

 

 俺と自称第一王子以外の周りの奴らが息を呑む。

 反応を見るにマジっぽいな。

 そう思っていると、ヒナの肘鉄を鳩尾に食らい、体がくの字に折れたところを思い切り後頭部を掴まれて地面へと叩きつけられる。

 

「おごっ!?」

 

「すみませんすみませんすみません!!いつもこのバカな男には言葉遣いを直せと言っていたのですが、これがバカなせいで全然直すことが出来なかったんです!僕、じゃない私の責任です!どうかこのバカな男の無礼な言動をお許しください!」

 

「いででででで!!誰がバカだこのや、いででで!てめ、一回離せ!マジでめり込んでるから!地面とガチ恋距離だから!ディープな関係になっちゃうううううう!!!」

 

「も、申し訳ありませんでした!!ど、どうか命だけは!!」

 

 ゆんゆんの声が聞こえて、トリスターノも無言で頭を下げている姿が横目で見えた。

 

「安心してくれ。命の恩人であるそなたらにそんなことで罰を与えたりはしない。言葉遣いもそのままで構わない。頭を上げて、楽にしてくれ」

 

 それを聞いて、やっと俺の頭を押さえつけているヒナの力が緩んだ。

 緩んだだけでまだ頭を押さえつけられているが。

 

「ありがとうございます!!」

「ありがとうございます!」

 

 

 

 

「で、何でこんなところにいるんだ?」

 

「そうであった。その説明が途中であったな」

 

 ヒナ達は俺が何かやらかさないかとソワソワしているが、話を進めたい。

 先程の楽にしてくれ、とかのセリフを吐く前からヒナに熱い視線を送ってるのも少し気に入らないし、さっさと事情を聞いてサヨナラバイバイしたい。

 

 王子様の話を聞くと、円卓の騎士の一人にぶっ飛ばされて、戦場から遠く離れたここに来たらしい。

 トリスターノが言っていた円卓の騎士は『化け物』発言はどうやら合っていたみたいだ。

 歩いて数日の距離をぶっ飛ばすなんて、どんな化け物だ。

 戦場ですでに満身創痍だった上にここまで吹き飛ばされて、本気で死を覚悟したらしいのだが、運良く俺達と出会えて九死に一生を得たという。

 というかこんな目に合って生きてるこいつも化け物だ。

 

「なるほどね。これからはどうするんだ?」

 

「決まっている。戦場に戻る。父上や勇者候補が大勢いるとはいえ、劣勢に違いない。余が戻らねば…」

 

「それならここでお別れだな」

 

「そうなるな。大したお礼も出来ずに申し訳ないが」

 

 万が一、城で暴れたことがバレたりしたら大変だ。

 早いところ

 

「い、いやいやいや!ちょ、ちょっと待ってくださいね!?」

 

 ヒナがそう言い、俺の首の後ろを掴んで引っ張る。

 俺達の話が第一王子に聞こえないように背中を向けて、距離を取る。

 

「なにすんだこの野郎。地面に叩きつけたり、引っ張ったり好き勝手しやがって。いい加減怒るぞ」

 

「王様をこのまま置いてく気!?」

 

 ヒナが噛み付いてくる勢いで言ってくる。

 

「王子だろ?」

 

「そういう問題じゃないの!」

 

「置いていくのは私も賛同出来ません。国のトップになるかもしれない方ですよ」

 

 それは、確かに…。国のトップの近くにいたトリスターノは言うことの説得力が違う。気がする。

 

「王族の人達は強力な人達ばかりだけど、護衛も無しでそのまま放置は流石にまずいと思う」

 

 ゆんゆんにまで冷静な突っ込みを貰ってしまった。

 王族やら貴族やらの扱いがイマイチわからない俺だと対応がわからん。

 というかこの王子様も一人で行く気満々だった気がするから、余計に。

 

 上下関係に関しては武道で関わった人達に徹底的に仕込まれたが、この世界に来てから上下関係とか感じなくて、すっかりタメ口で話すようになってしまった。

 最近は神様にもタメ口で話すようになってしまったし。

 もしもヒナやダクネスにエリス様とタメ口で話してるのを見られたら袋叩きに合うに違いない。

 

「じゃああの王子様の護衛を買って出るのか?円卓の騎士が何人かいるらしいんだぞ。トリスターノは大丈夫なのか?」

 

「「あ…」」

 

 ゆんゆんとヒナはすっかりトリスターノの円卓の騎士という設定を忘れているらしい。

 トリスターノの方を見て確認する。

 トリスターノは少し迷ったような表情をしていたが、首を縦に振る。

 

「私の我儘に国を付き合わせるわけにはいきません。私達で」

 

 

「すまない」

 

 俺達が背を向けて話していたら、第一王子が俺達に話しかけてきた。

 

「そろそろ向かいたい。褒美は必ず後日に渡そう。別れる前にそなたらの名前を聞きたい」

 

 ヒナを真っ直ぐに見ながら、俺達の名前を聞いてくる。

 ヒナもその視線にどうしていいか、わからないみたいで顔を赤くしたり、目を逸らしたりしている。

 こいつ、王族だかなんだか知らんが、調子乗るなよ。

 

「シロガネヒカル」

 

「む?」

 

 ヒナから俺に視線を移し、第一王子が首を傾げている。

 

「俺の名前だよこの野郎。いつまでも女ばかり見てんじゃねえよ、このロリコン色ボケ王子が」

 

「ちょ、ちょっとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 ヒナの絶叫が森で木霊した。

 

 

 

 

 

 

「何でさっきせっかく許してもらえたのに変な口の利き方しちゃうの!?王子様相手になに言ってるの!?バカなの!?アホなの!?」

 

「うるせえんだよこの野郎!バカでもアホでもねえよ!お前みたいなお子ちゃまを美しいとか言ってるってことは明らかにトリスターノと同類だろうが!」

 

「お子ちゃま!?」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!?何で私の話になるんですか!?私はロリコンじゃありませんから!」

 

「さ、三人とも一回落ち着いてよ!深呼吸して冷静になって!それから謝ろう!?ヒカルの爆弾発言で王子様フリーズしちゃってるから!」

 

 ゆんゆんに言われて王子様の方を見ると、口を少し開けて固まっていた。

 

「フリーズとか知らねえんだよこの野郎!俺は事実を言ってやっただけだろうが!」

 

「事実かもしれないけど、謝らないと大変なことになるかもしれないでしょ!?みんな冷静に…」

 

「事実かもしれない!?ゆんゆんまで僕のことそう思ってたってこと!?」

 

「え…あ、いや、そうじゃなくてね!?これは王子様のことを言ってるだけであって…」

 

 ゆんゆんは目を泳がせて、なんとか誤魔化そうとしているが、それは普通にヒナのことをお子ちゃま扱いしてるのでは?

 

「ということは僕のこと子供だと思ってるってことだよね!?ゆんゆんとそんなに年齢は変わらないでしょ!?少し成長が早いからって調子に乗らないでよ!」

 

「べ、別に調子に乗ってるわけじゃ…あとそういうところが子供っぽいんじゃ…」

 

「へぇー!?ゆんゆんみたいに色ボケしてるよりマシだと思うけどね!?」

 

「は、はあ!?わ、私のどこが色ボケよ!?」

 

「毎夜毎夜、隣でゴソゴソうるさ」

 

「わ、わあああああああああああ!!!ちょ、ちょちょっと待って!?へ、変なこと言わないでよ!」

 

「事実でしょ!?」

 

 いつの間にか二人の喧嘩に成り果てたこの話し合いを何とかしようとトリスターノが割って入ろうとする。

 

「あ、あのお二人とも一回落ち着きましょう?無益な喧嘩は」

 

「「ロリコンは黙ってて!!」」

 

「ロリコンじゃありませんよ!リーダーが変な発言するのはいつものことですが、お二人にロリコン扱いされるのは流石に聞き捨てなりませんよ!」

 

 仲裁役のトリスターノまで喧嘩の輪に入っていき、どうしたものかと思っていたら、王子様がフリーズから戻り、三人の姿を見てオロオロしつつも喧嘩の輪に向かっていった。

 

「そ、そなたら同じパーティーに属しているのではなかったのか…!?喧嘩はやめぬか!」

 

「安心しろよ、ロリコン色ボケ王子様。ほっとけば、どうせすぐ解決するから」

 

「……ロリコンでも無ければ、色ボケもしていない。そなたはこのパーティーのリーダーだろう?何故止めんのだ?」

 

「いちいち起こる喧嘩なんか止めないし、やるならスッキリするまでやったらいいんじゃねえの」

 

「……冒険者のパーティーはここまで野蛮とは…」

 

 喧嘩なんかどこでも誰でもやるだろうが。

 野蛮扱いされるのは少し腹立つが、いちいち口には出さない。

 とはいえ、森の中でいつまでもギャーギャー騒いでるのもまずいし、このパーティーのリーダーであり、落ち着いた大人の男の俺が軽く止めるとするか。

 

「まあ、お前ら落ち着け。ロリコンでもお子ちゃまでもいいし、夜にゴソゴソしたっていいじゃねえか。みんな違って、みんな良いっていう言葉が」

 

「ロリコンじゃありません!」

「子供扱いしないで!」

「ご、ゴソゴソしてないから!そもそもヒカルのせいでこうなったんでしょ!?」

 

「そうだよ!ヒカルがバカな発言したからでしょ!」

 

「本当ですよ!」

 

 あれ、俺のせい?そんなことを思っていたら

 

「十二時方向、敵モンスター接近中です!!」

 

 トリスターノが叫ぶように警告を飛ばすと、即座に戦闘態勢へと入る。

 

「トリスターノは敵感知と援護、それに王子様の護衛。ゆんゆんは魔法で攻撃しつつ、トリスターノのサポート!」

 

「「了解!!」」

 

 俺とヒナが前に出て剣と拳を構える。

 二足歩行の人型、ではなく、あれは。

 

「なんだあれ、一撃熊か?」

 

 見えたのは二メートルを優に越える体格をした熊だった。

 一撃熊は通常の熊と同じような黒や茶色なのだが、俺達の前に出てきた熊は違った。

 黄色地のところどころに黒い模様のある、トラ柄に似たような毛色をしていて、一際目立つのが黒の立て髪だ。

 

「い、一撃瞬殺熊!?」

 

 ヒナが驚いたような声を上げると、トリスターノやゆんゆんも似たような反応をしていた。

 

「なんか更に物騒な名前になってるけど、何か違うのか?」

 

「一撃熊よりも強力な個体だよ。単純な力もそうだけど、一撃瞬殺熊の体は電気を纏っていて、もし攻撃を貰ったりガードしても感電して動けなくなるから…」

 

 そんなヤバイのがまだいたのか。

 戦えるならまだしも戦ったらアウトの敵の相手をする気はない。

 

「よし、撤退す」

 

「余が相手をしよう」

 

 いつの間にか俺の隣に立つ王子様がそう言った。

 

「おい、あんたもその剣があるってことは前衛だろ!?体に触れたら感電するって」

 

「余はこれ以上立ち止まるわけにはいかない。皆が余の帰りを待っているのだ」

 

 そう言って一撃瞬殺熊に手をかざすと、その手の前には幾重もの魔法陣が現れる。

 

「『セイクリッド・ライトニングブレア』ッッ!!!」

 

 第一王子が叫ぶと、魔法陣から白い稲妻がビーム光線のように打ち出されて、一撃瞬殺熊がその光に呑まれて見えなくなった。

 光が明けて見てみると、第一王子が手をかざした先にはパチパチと微かに残る電気以外は何も残っていなかった。

 

「え、何そのかめ◯め波みたいなのは!?」

 

「かめ?何を言ってるのだ?」

 

「もうこの際かめは◯波でもギャ◯ック砲でもなんでもいいわ!なんだ今の!?」

 

「か、かめ?ギャリ??そなたが言っていることはよくわからぬが、驚くのも無理はない。これは王家に代々伝わる魔法の一つだ。神聖な力を秘めた稲妻を放つという伝説の勇者が得意としていたとされるオリジナル魔法だ」

 

 王族は予想以上に化け物だったらしい。

 城で暴れた時によく無事に帰って来れたものだ。

 

「シロガネだったな?」

 

「え?あ、ああ」

 

「悪いが、余は先を急ぐ。一ヶ月後に王都に戻る予定だ。その時にでも王城に来てくれ」

 

「え、ちょ」

 

「では失礼する」

 

 余程急ぎたいのか、すぐに走って行こうとする。

 

「あんた、どこに向かう気だ!?」

 

「先程言っただろう。戦場に戻るのだ」

 

 そう言って、また走ろうとするが

 

「そっちは俺達が通ってきた道だぞ」

 

 そう、全くの違う方向に走って行こうとしていた。

 

「……む?」

 

「む?じゃねえよ。もしかしてどっちかわからないのか?」

 

「……………すまないが、教えてくれないか?」

 

 この王子様大丈夫か?

 





投稿期間が空いてしまい、申し訳ないです。
活動報告とTwitterで報告させていただきましたが、いろいろあったり、仕事が忙しかったり、他のやりたいことを優先したり、ちょっとスランプ気味だったりでなかなか書けないでいました。

自分が書きたいものを書いてますが、読んでくれる方に楽しんでもらえるようにしてこその作品だと思っていますので、それで試行錯誤した結果『これ読んでて面白いの?病』にかかってしまい、修正しまくったりしてました。
まあ、最終的にはいつも開き直るんですけどね。


言い訳タイム終わり!
さて、またpapurika193様からの支援絵をいただきました。
僕が霧の森で鬼ごっこするゲームばかりやってたせいで、そのゲームのキャラ衣装を着たゆんゆんの絵です。

【挿絵表示】

スタイル良すぎでは??
こうしてみると少し紅魔族の衣装っぽいですね。
papurika193様、本当にありがとうございます。


このファンでハロウィンゆんゆんとアイリス来ますね。
絶対にお迎えしてみせます。
このファンやってなくても、二人のキャラが好きなら必見レベルのイラストですよ。マジやばです(語彙力)


さて、75話ですが、アレですね。
話が全然進んでないですね、これ。
もう少し足そうかと思いましたが、投稿を優先しました。
次回あたりで話はかなり動く……はずです。
原作では名前しか出て来なかったジャティス王子がハード?モードの世界線でどんなことになってしまうのか…お楽しみに。

次回の投稿は……多分一週間は空くと思います。
僕のモチベ次第です。とりあえず一週間目安でお願いします。

投稿がかなり空いたので長々とした後書きになっちゃいました。
また次回に。
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