このすば ハード?モード   作:ひなたさん

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77話です。さあ、いってみよう。



77話

 

 

「じゃあなんだ?ジャティスちゃん?」

 

「ちゃん付けは絶対にやめろ。それだけは許さん」

 

「ヒカル、いくら何でも失礼だよ」

 

「もう失礼なことしまくってるから変わらないだろ」

 

「それは胸を張って言うことじゃないでしょ…」

 

 ゆんゆんが呆れたように言ってくるが、今更気にしたところでな。

 そういやこの王子様の名前は多分ジャスティス的なニュアンスでジャティスって名前が付けられてるんじゃないか?

 正義。

 普段なら「せいぎ」と読むが、人の名前の場合なら。

 

「よし、ジャティス君の名前が決まりました」

 

「待て。何故余が改名するみたいな流れになっているのだ?それにその喋り方はなんだ?」

 

「ジャティス君の名前を日本の文字に変えると」

 

「ニホンの文字に変える!?」

 

 ヒナが一瞬で食いついて来た。

 先程までゆんゆん達と同じく呆れた表情とかだったりしたはずなのに、今では目を輝かせている。

 

「正義という文字になります。この文字はなんと別の読み方もできるんですね。よってジャティス君は」

 

「そなた、変な名前を付けるなよ?余も怒る時は怒るのだ」

 

「『まさよし』となります」

 

「おおっ!」

 

「いや、おおっ!ではないが。余の名前の原型が無いだろう。影も形も」

 

「良いと思います!」

 

「ヒナギク!?」

 

 元気よく手をあげて賛成の声を上げるヒナに驚愕する第一王子。

 ゆんゆんとトリスターノは日本の名前が出た時からこの展開がわかっていたみたいで呆れた表情で俺を見てくる。

 俺は悪くない。嘘ついたりもしてないし。

 

「というわけで、よろしくな。まさよし君」

 

「誰がまさよしだ。余は絶対に認めん」

 

「格好良いと思います!」

 

「ヒ、ヒナギク!?よ、よせ、だめだ!そんな目をしても認めん!み、みとめ…ん、からな…」

 

 キラキラした目をしていたヒナだが、まさよし君に認められないとわかるとドンドン落ち込んでいく。

 そんな姿を見て、まさよし君も否定する勢いが弱くなっていった。

 

「まあ、待てよ。まさよし君」

 

「まさよしを定着させようとするな。そなた、いい加減にせよ」

 

「特別な呼び名ってのは結構良いもんだ。違う文字でここまで名前が変わるのも面白いだろ?」

 

「いや、面白いと思うが、誰が聞いても余とわからないぐらい変化してしまってるだろう!確かにあだ名やニックネームというものに憧れが無いわけではない!だが、まさよしに関しては原型が無さすぎて、最早別の名前だろう!普通に呼ばぬか!普通に!」

 

「まさよし君?」

 

「何故それが普通扱いなのだ!?ジャティスと呼べ!まさよしは禁止だ!」

 

 

 

 

 

「シロガネ。そなたの名前は変わっているが、なんとなく聞き覚えがある。何か心当たりはないか?」

 

「それを俺に聞くのか?」

 

「そうだ。聞いたことは絶対にあるはずなんだが…」

 

 結局全員が同じテーブルで飯を食うことになった。

 ゆんゆんはガチガチに緊張していて、喋る気配は無いし、食事の進みも遅い。

 ヒナも少し緊張した感じだが、どちらかと言うと俺がこれ以上何かやらかさないか心配みたいだ。

 トリスターノはいつも通りでよくわからん。

 

「知らねえよ。何か別の名前と勘違いしてるんじゃねえの?」

 

「そんなはずは…」

 

「ジャティス王子。彼ですがアクセルに現れた上級悪魔の討伐にデモゴーゴンの討伐、紅魔の里のシルビア討伐にも参加しています」

 

 ちょ、なんで言うんだこいつ!?

 

「やはりそうか!そなた、何故言わなかった!?偉大な功績だろう!?」

 

 心底不思議だと言わんばかりに聞いてくるジャティス王子。

 トリスターノを睨み付けてもどこ吹く風だ。

 ふと視線に気付くとヒナもゆんゆんも俺の方を見ていた。

 何も喋らないから何を思ってるかはわからない。

 

「その三つの討伐の話だが、単に運が良かっただけだ」

 

「運が良いだけで、その強敵を倒せれば苦労はしないな」

 

 ジャティス王子は俺達が相手にして来た奴等の実力を知っているのか、そう言って来た。

 

「マジで運が良かったんだよ。まずアクセルの上位悪魔だけど、レベル一桁の剣士の俺が戦えるぐらい弱ってたんだ。たまたまそこに居合わせたってだけの話だ。この戦いに一番貢献したのはそこの紅魔族のゆんゆんだ」

 

 ゆんゆんがいきなり呼ばれて狼狽えている。

 あの時ゆんゆんが立ち向かわなければ、今の俺もアクセルもどうなっていたか分からない。

 

「……」

 

 ジャティス王子はゆんゆんを見た後、俺に視線を戻して、目で続きを促してくる。

 

「次にナトリの街を襲ってたデモゴーゴンも同じく街中の人間を悪夢に堕としてデモゴーゴン自身に負荷が掛かって弱っていたところをたまたま街の調査に行った俺達が倒せただけだ。それに俺はデモゴーゴンにさっさと眠らされててたしな。その時に一番活躍したのはヒナだ。エリス教のアークプリーストの力があったから勝てたんだ」

 

「僕が倒したことは事実だけど、自分が囮になるって言ったのはヒカルでしょ?ヒカルが体を張ったから勝てたんだよ」

 

 ヒナが俺を見てそう言ってくる。

 

「そうだな。眠って操られた俺をお前が容赦なくボディーブローしたおかげでなんとかなったんだもんな」

 

「そうそう、ってええっ!?何で知ってるの!?」

 

「ゆんゆん達に聞いたに決まってんだろうが!目覚めていきなり鳩尾に立てないぐらいの鈍痛があるなんてどう考えてもおかしいだろ!」

 

「だ、だってあんなスキだらけな体勢でいるから…」

 

「お、お前この…。まあ、良い方向に行ったからいいけどよ」

 

「では魔王軍幹部のシルビアは?」

 

 話を早く聞きたいらしく、俺とヒナの会話が落ち着いた瞬間に聞いてきた。

 

「グロウキメラのシルビアは能力的には厄介だったけど戦闘能力に関しては理不尽に強いってわけでもなかったからな。それに割と部下思いみたいですぐに挑発に乗ってきた。俺は時間稼ぎぐらいしかしてねえよ」

 

「でも時間を稼ぐことが出来なければ倒すことは出来ませんでしたよ」

 

「それに一人で戦ったでしょ?」

 

 トリスターノとゆんゆんが口を挟んでくる。

 

「一人で戦った?どういうことだ?」

 

 当然あの場にいなかった王子は困惑気味だ。

 

「紅魔の里に『魔術師殺し』っていう兵器があって、それはその名の通り魔法を弾いたり無効化する能力を持った兵器だった。それを取り込んだシルビアと正面から戦えるのが俺だけだったんだ。それに一人で戦ってたわけじゃない。こいつらや紅魔族のサポートも貰ってたんだ。一人でなんか戦えねえよ」

 

「……ほう。それは立派な功績であろう?魔王軍幹部を相手に一人で前衛を果たしたのだから」

 

 確かにそう聞くだけなら大層なことをしたように感じるが、俺自身はそんな風に思っていない。

 俺はただ運が良かっただけだ。

 鬼畜やクズと名高い誰かさんみたいに機転をきかせて状況を良くしたわけでもなければ、どこぞの爆裂狂みたいに強敵に致命打を与えたわけでもなければ、ドM変態騎士のようにみんなを守る盾を務めたわけでもなく、駄女神のように仲間の傷を癒したわけでもない。

 俺がなんとかしてこれたのは、運が良かったのとこいつらがいたからだ。

 

「ぶっちゃけ俺自身は強くないんだ。一応パーティーのリーダーで俺の名前が目立つのかもしれないけど、シルビアとかそこら辺と戦えたのはこいつらがいたからだ。それなのに俺の功績みたいには言えねえよ」

 

「……そうか。そなたがどう思っているかはわかった。だがそなたのように同じくパーティーを組んでそなた達が倒した者達に挑み、破れ殺された人達がいることを忘れないでくれ。その者達の為にもその功績はこのパーティーとして誇るべきものだと余は思う」

 

 そう言われると何も言えない。

 

「街と民を守ってくれたこと、ベルゼルグ王国第一王子として礼を言う。そなたがどう思おうとこれだけは言わせてくれ」

 

 そう言って頭を下げて来た。

 俺達が何も言えずにいると、

 

「そなた達に興味が湧いた。皆食べ終わったみたいだが、もう少し会話に付き合ってくれないか?」

 

 そう続けて来た。

 ロリコン色ボケ王子だと思ってたせいで調子が狂う。

 俺がもちろんと答えると、ジャティス王子は微笑んできた。

 

 

 

 

 数時間雑談が続いた。

 ゆんゆんを見て紅魔族らしくないと言われたので、族長の娘だと言ってやると余程驚いたのか固まっていた。

 他には何故俺達があの場にいたのかを聞かれて、ヒナの里帰りでヒノヤマに向かっていると説明してやると、ヒノヤマにいるヒナの両親のことも知っているみたいで、顔を引きつらせていた。

 どうやら王子様も話題にするのは控えたい人物らしい。

 それからトリスターノの出身のことを聞かれて、なんとか誤魔化したりなんだりと時間は過ぎていった。

 雑談も終わり、皿を片付けたりしていると、ジャティス王子は俺に話しかけて来た。

 

「シロガネ、そなたとはもう少し話を続けたい。余の部屋に来てくれ」

 

 そう言われて断る理由も無いので了承した。

 三人が心配そうに見てくるのを手を振って返して、部屋に向かう王子の後ろに続いた。

 

 

 

 王子様の部屋は俺達が使ってる部屋より倍ぐらい広い。

 ベッドも無駄に大きく、十人は余裕で寝られそうだ。

 特に目立ったものはないが、椅子に座るように言われて、その通りにする。

 ジャティス王子はもう一つの少し離れた対面の椅子に座った。

 

「俺達のことを信用してくれるのは嬉しいけど、部屋に入れたりするのはいくら何でも不用心じゃねえか?」

 

「今は魔王軍との戦争が激化しているせいで余は戦場ばかりにいるが、それなりに多くの戦場を戦い抜いて来た。その中で多くの人間や敵を見てきた。余を殺したい連中ならわざわざ助ける必要もない。余を利用したい人間ならば先程の強敵と戦って来た話をもっとアピールしてきたり、もっと下手に出てくるはずだ」

 

「だから信用に値するって?」

 

「余は人を見る目は自信がある。だがそなた達は、いや、そなたは今までで見たことない人間だ。余のことを嫌いかと思えば、余に対して気遣う姿勢もある。褒美をやると言っても嬉しさを微塵にも出さず、功績の話もしなかった。それどころか功績の話を隠そうとした。そしていざ話したと思えば状況や自分の弱さを素直に話してくる」

 

 王族と関わりたくなんかなかった。

 こいつ絶対

 

「何より目が真っ直ぐだ。そなたという人間はわからないことだらけだ。故に興味がある。そなたがどんな人間か見定めたい」

 

 面倒くさいやつだ。

 

「これでもしそなた達の今までの言動が余を騙す為の演技なのだとしたら大したものだ。そうだった時は…その時考えるとしよう」

 

 ちゃんと考えてるのか、それとも脳筋なのか、どっちなんだ。

 

「本題に入ろう。先程から話を聞いていたが、そなた達はアクセルを拠点にしているのだったな?」

 

「ああ」

 

「そなた達はすでに上位職ばかりでレベルもそれなりに高いはずだ。拠点を移さない理由はわからないが、もし何も無いのであれば王都に来ないか?」

 

 トリスターノとヒナがペラペラ喋るせいで情報が筒抜けだ。

 ゆんゆんを少し見習ってくれ。

 

 それにしてもスカウトみたいなことをされるとはな。

 王子として首都の防衛を固めたいと言ったところか。

 だけど、俺個人としてはアクセルに居たい。

 なんだかんだあの街に愛着が湧いてしまった。

 それに多くの繋がりが出来てしまった。

 後は引っ越しとかも面倒くさいし、ついでに例の店もあるし。

 ゆんゆんに行くことを禁止されているが、緊急時にお世話になるかもしれないしな。

 

 店のこと以外は素直に言って断ることにした。

 ゆんゆんもやっと話せる人も増えてきて、ヒナも教会のシスター連中や孤児院の子供達となかなか会えないとなると寂しがるだろうし、トリスターノはハーレムがいるしな。

 きっとあいつらも俺と同じくアクセルを離れたがらないだろう。

 

「そうか…。ヒナギクが敬虔なエリス教徒なのはわかってはいたが、そなたもだったか」

 

「いや、俺は別にエリス教徒じゃないぞ?」

 

「む?それでは何故教会や孤児院の手伝いなどをやっているのだ?」

 

「ヒナが手伝えってうるさいから?」

 

「……やはりそなたはよくわからんな…。だが様子を見るに嫌々やってるわけではないのだろう?」

 

 もう行くのが習慣になってしまったからな。

 

「そなたのアクセルから離れたくない理由の一つなのだろう?聞くまでもなかったか」

 

 俺のことをわかってるみたいに先にそう言ってくる。

 でも特に間違ってないから何も言い返せない。

 孤児院のガキ共を見るのもなんだかんだで楽しい。

 毎回ストレッチの時間にいじり倒してやったせいで、小癪にも本当に体が柔らかくなっている。

 子供の成長とは恐ろしいものだ。

 武道を教えても吸収が早い。

 転んでも咄嗟に受け身を取れたりするぐらいには身についている。

 数年後、十年後に追い抜かれるかもしれない。

 ああいうのを見てると、本当に面白いと思ってしまう。

 そう考えると、理由の一つにもなる。

 

「あと王都に行っても役に立たないと思うぞ?俺はあまり強くないからな」

 

「先程も言っていたな。謙遜も過ぎれば…」

 

「謙遜なんかじゃなくてマジなんだよ。今は上位職になってはいるが、その前の剣士の時なんか酷いもんだったよ。病人の方がマシだって言われてな」

 

「……だが、そなたが弱いわけがないだろう。そなたの目と髪の色を見ればわかる。そなたとヒナギクも何か持っているのだろう?」

 

 チート持ちの日本人を見てるから知っているのだろう。

 それで俺も何かあるもんだと思っているのか。

 

「一応俺はあるけど、ヒナは無いぞ。俺が持ってる力はあるんだか無いんだかよくわかんねえようなもんだしな」

 

「聞きたいことは尽きないが、そなたの能力とやらは何だ?」

 

 俺は少し悩んだが、隠しても嘘をついても面倒になりそうな気がして素直に話すことにした。

 ムードメーカー。

 自身のステータスを犠牲に、信頼ある仲間のステータス等を上げる能力。

 アクアがこの能力を詳細に書かれた書類とやらを失くしたせいで俺も詳しくは知らない。

 俺の仲間は俺の能力が無くとも強いので、能力があるんだか無いんだか実感が湧かない

 それを聞いたジャティス王子は興味深そうに聞いていた。

 そして、ポツリと呟くように言った。

 

「まるで魔王だな」

 

「は?」

 

 いきなり魔王扱いされて、これ以外の反応が出来る奴はいるだろうか。

 俺が間抜けな声を出してるのを見てたジャティス王子は呆れたような表情になる。

 

「そなた、魔王の能力を知らないのか?」

 

「知らん」

 

 俺の即答にジャティス王子はため息をつく。

 

「詳細は分かっていないが、魔王の能力は近くにいる配下を強化するものだ。その強化は魔王軍幹部に匹敵するほどの力を得ると言われている。破格の能力ではあるが、そなたのように弱体化はない」

 

「お、俺の能力は魔王の劣化版かよ…」

 

 思わず呟いた。

 くそ、他のチートならともかく上位互換があるのは納得いかないぞ。

 もう少し頑張ってくれ、ムードメーカー。

 

「そなたの能力はあまり人に話さない方がいいかもしれないな。余計な誤解を生むかもしれない」

 

 過去にトリスターノに似たようなことを言われた。

 

「別に俺も言いふらしたりなんてしねえよ」

 

「それならいい。余もそなたの能力については黙っていよう。しかしそなたの能力を知って、ますます王都に来て欲しくなったが…」

 

「悪いけど、行かねえよ」

 

「そうか。もし意見が変わったらいつでも来てくれ。そなた達のような冒険者がいれば安心して余は前線に行ける」

 

「あんたの意見は立派だけど、王都に移り住んだりはしないと思うぞ。王都のクエストは危険なんだろ?俺はあまりあいつらを危険な目に合わせたくないからな」

 

「……」

 

 俺がそう言うと、ジャティス王子は黙ってしまった。

 

「そなた達は不思議だな。喧嘩をしていたと思えば、いつの間にか喧嘩なんか無かった様に接していたりと」

 

「別に不思議じゃないと思うけどな。俺達はいつもあんな感じだ。だいたい家族なんてそんなもんだろ?」

 

「家族?そなた達は血が繋がっていたのか?」

 

「何言ってんだこの野郎。誰も血なんて繋がってねえよ。血の繋がりなんか無くても家族になれるだろ」

 

「……そうなのか?」

 

 どうやらピンと来ないらしい。

 王族の感覚が俺にはわからないようなものか。

 

「これはなんていうか俺の個人的な考えだが、家族ってのは別に血の繋がりだけで決まるもんじゃねえと思う。何が何でも守りたい人とか一生一緒にいたい奴とかそういうのを指す言葉なんじゃねえかと思う」

 

「……そうか」

 

「あんまりわかんねえか?」

 

「……そなたの言いたいことはなんとなくわかった。そうか、そんな関係もあるのだな」

 

「家族の定義とか形なんて人それぞれさ。俺の個人的な考えだから、あまり考え込まれても困るんだが」

 

「いや、参考になった。余も家族がいる。そなたのように大事には出来ていないがな」

 

「別に大事にする仕方も人それぞれだろ。それにあんたは忙しいんだろ?出来る時にすりゃあいいんじゃねえの?」

 

「…そうだな。表現の仕方が難しいが、そなたの考え方は良いな」

 

「そうか?気に入ったならよかったよ」

 

「ああ。シロガネ一つ聞きたい」

 

「さっきから何個も聞いてるくせになんだよ?」

 

「余もそなた達みたいな関係になれるような人が見つかるだろうか?」

 

「……なんつうこと聞くんだよ」

 

「そなた達が少し羨ましく見えて、ついな。すまない、忘れてくれ」

 

 そう言って力なく笑った。

 やっぱり寂しそうに見えたのは間違いじゃなかったのか。

 俺が何かしてやれるかと言えば、正直わからない。

 こうして同じ空間にいて座って話してることすら身分が違いすぎて、間違いだらけに見える。

 何が正解で、何が間違ってるか、なんて今更かもしれないが、少しだけそんなことを考えてしまった。

 だけど、そんな一人ぼっちの姿を見て何とかしてやりたいと思ってしまった。

 

「俺には正直あんたがどんな人達と巡り会えるかなんてわからねえけどよ」

 

「その話はもういい」

 

「いいから聞けよ。なんていうか、アレだよ。俺がこんなことを言うのもどうかと思うし、間違ってるとも思う。あんたが求めてるものじゃないかもしれない」

 

「……」

 

 ジャティス王子は俺に言われた通り俺の言葉を真剣に聞いていた。

 その真面目な顔に、真剣な目に耐えられなくて、少しだけ照れてなかなか言い出せなくなった。

 

「だけど、なんだ。俺があんたの友達ぐらいにはなってやるよ」

 

 そう言うと、ジャティス王子は呆けた顔で固まると、顔を俯かせ、肩を震わせた。

 

「ふ、ふ、ふふ、ふふふ、そなたが余の?」

 

 笑いが耐えきれないような、そんな言い方。

 

「な、なんだよ?身分も違うし、お門違いなのはわかってるよ。気に入らないなら」

 

「いいや、気に入った。余の友達になってくれ。シロガネ」

 

 そう言って顔を上げたジャティス王子は表情は柔らかく、笑っていた。

 そして右手を出し、握手を求めてくる。

 

「まあ、よろしく?」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

 俺も右手を差し出すと、力強く握ってきた。

 

「友として身分の違いはあまり気にするな。これからはジャティスと呼んでくれ」

 

「……まさよしじゃなくていいのか?」

 

「まさよしだけは絶対に許さん」

 

 俺の手を握り潰さんばかりに力が込められて、メキメキと音を立てた後、部屋中に俺の悲鳴が響き渡った。

 





ジャティス王子との話は今後の展開に必要なので、やりとりが長くなってしまいました。


一週間後に投稿と言いましたが、モチベが上がったのと最近寒くて長風呂しながら続きを書くおかげで早めに仕上がりました。

皆様の評価と応援により、評価ゲージが伸びました。
本当にありがとうございます。
それにデイリーランキングにも載ったりと嬉しいことだらけです。
papurika193様から支援絵もよく頂いており、お話を書いてる者として幸せです。
これからも『このすば ハード?モード』をどうぞよろしくお願い致します。
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