ところどころ、原作とは少し違うところがでてきますし、今後もそういうのがいっぱいあります。
あの災害から、早くも10日が経っていた。
あの事件に巻き込まれたフィリスは、今自分が守護しているウォルロ村にきていた。
「はぁ……」
と、いうよりも、彼女は天界から落ちてこのウォルロ村に流れる滝に墜落したのだ。 墜落をした影響で大怪我を負ったものの、奇跡的に命は助かり、それから10日間ここに滞在していた。 最初は指一本まともに動かせなかったが、とある少女の助けによって、歩き回るくらいには回復したのである。
そんな彼女は今、この村にある自分の名前が刻まれた天使の石像を見つめて、ため息をついていた。
「翼も光輪もなくなって……あたし、どうしたらいいのかなぁ………」
そう、今のフィリスは天使ではなく、どこにでもいる普通の少女になっていたのだ。 だから人にも自分の姿がはっきりと見えている。 その原因はフィリスでも大体の察しがついている。 あの事故で吹っ飛ばされてしまい、墜落した影響によるものだろう。
これからどうすればいいのかがわからず、フィリスはただただ途方にくれていた。
「んん? 誰かと思えば……この前の大地震でドサクサに紛れてこの村に転がり込んできた、フィリスじゃねぇかよ」
「ん?」
そんなとき、背後から声がしたのでフィリスは目つきの悪いまま振り返る。 するとそこには金髪の青年が2人立っており、その顔をフィリスは知っている。 だから、嫌そうな顔つきにもなった。
「お前こんなところでなにをぼーっとしてやがんだ!?」
「………そんなの、あたしの勝手でしょ。 ほっといてくんない?」
素っ気ない態度でそう言われたので、青年もといニードはさらに不機嫌になる。
「な、オレはこの村の村長の息子だぞ!?」
「知ったこっちゃないよ」
また、冷たくそう言われたのでニードは嫌みたらしく笑いながら言う。
「はぁ~……リッカってばなんでこんな、得体の知れないヤツの面倒なんかみてんだよ。 変な格好だし…どこから来たのかもわかんない。 あからさまに怪しいぜ……」
「きっとあれっすよ、ニードさん。 こいつの名前が守護天使と同じだからそれで気に入ってるんじゃないですか?」
取り巻きの青年の言葉に対し、ニードはうさんくせぇなと返す。
「おおかた、売れない旅芸人が天使の名前をかたって、ただメシにありつこうって魂胆なんじゃねぇの?」
その言葉を聞いたフィリスはピクリ、と反応して口を開く。
「なに、あんた……そこまで言って、あたしと勝負したいの?」
「勝負だぁ?」
フィリスは頷くと、その編に落ちていた、そこそこ太めの枝を握りしめると、片手だけでそれをへし折った。
「フィリスはホントにあたしの名前だ、かたってなんかいねぇよ。
村長の息子だかニートだか知らないけど……今あたしに関わったら、この枝の二の舞になると思えよ」
「な、なんだよ!? 生意気な奴だな?」
「空気も人の心も知らずに、今のあたしに失礼な態度で話しかけてきた、あんたが悪い」
「なんだとっ!?」
そう話をしていると、一人の少女が姿を現した。 紫色の髪に青く大きな瞳、清潔なエプロンドレスに橙色のバンダナを身につけた、フィリスとは年の近そうな雰囲気の少女だ。
「リッカ!」
「あっ…」
フィリスがその少女の名前を口に出すとニードも振り返り、少女の顔を見て狼狽える。
「ちょっとニード、うちのフィリスに何の用なの!?」
「いやぁ、なーに……ちょっとこのニード様がこいつにこの村のルールってやつをだなぁ……」
「ふん、どうせこの村でヘンなことをしたら、オレ様が許さないんだからなーとか言ってるんでしょ。
もうみんな聞き飽きたわよ、結果なんもできてないし」
「うっ……」
リッカにそう言われたニードは怯みながらも、フィリスに警告するような感じで言葉を続ける。
「と、とにかく! オレがこの村にいる限り好きかってするのはゆるさねぇからな!」
それだけをフィリスに告げると、ニードは子分の青年をつれてその場を立ち去っていく。 その途中、子分の青年はニードに向かって言う。
「フィリスに声をかけたのは間違いだったんですねー。 ニードさんってば、最近リッカがあいつに構いきりだったのがおもしろくないからって、先走りしすぎなんですよ」
「う、うっせー! 余計なことを言うな!」
子分の言葉に対し、ニードは顔を赤くしながら反発する。
一方、その場に残されたリッカは呆れて呟く。
「ニードったら、昔は素直だったのに……最近何であんなに生意気になっちゃったのかなぁ?」
「そうだったのか?」
「うん、今はただただ威張ってばかりで……村長さんすら困らせるの。
働く気もなさそうだし、かといって勉強したり戦いの訓練もしないし、村長の跡を継ぐ気配もないの」
「おぉ……そうだったんだ……」
恐らくあのニードとリッカは、年も一緒なのだろう。 なのにここまでの差がでるとは…立場の関係なのか元々の人格の差なのか。
フィリスがそんなことを考えている間に、リッカは明るい笑顔を彼女に向けた。
「にしても、あれから10日が経過して……ようやく村の中を歩き回れるくらいに元気になったんだね」
「あはは、リッカのおかげだよ…ありがとう」
「この辺りであなたをみつけたとき、ホントにビックリしたわ……。 あの大地震に巻き込まれて滝から落ちたんだろうけど……今思い返してみても、あの時のあなたは……生きているのが不思議なレベルの重傷だったもの」
「……うん、あたし自身もこうして立っているのが、今は不思議だよ……」
そう、村の滝に墜落して重傷を負ったフィリスを助け、看護してくれたのが、ここにいるリッカなのである。 彼女はここ10日間、まともに動けずにいたフィリスを自宅で献身的に手当を行ってくれたのだ。
「みんな、あなたのことを素性を知らない人だと言ってて……怪しんでいるみたいだけど、わたしはあなたを信じるよ。
悪い人じゃないって、あなたを一目見たときから思っていたの…現にあなたは、この村でなにも悪いこともしていないし…。
なによりも、守護天使フィリス様と同じ名前だものね」
それを聞いて、フィリスはふっと顔を暗くした。 その守護天使は同じ名前どころか、紛れもなく自分のことなのだ。 だが、フィリスはその事実はなんとなく、口に出しづらいと感じたがため、そのことを言えずにいたのである。
「………ねぇ、あたしのこの名前……良い名前、と思ってくれてる?」
「もちろん! わたしはその名前が幸運に見えてステキだと思うよ!
それに…もしね、その守護天使様にお会いすることが出来たら………ずっと、恩返しをしたいなって思っていたの」
その気持ちに嘘がないのを感じたフィリスは、穏やかに笑う。
リッカが本心で話してくれたから、フィリスも自分の気持ちを本心から告げるために。
「きっと、その天使もリッカをみてるよ……」
「そうかな?」
「そうだよ」
フィリスの言葉を聞いて、リッカも笑うと、一緒に家へ帰ろうと言ってくれたのでついていく。 彼女の自宅では、彼女の祖父が待っていた。 夕食の準備をすると言い残してキッチンへ向かうリッカを見送った跡で、老人はフィリスに声をかける。
「お嬢さん、お体はいかがかね?」
「は、はい……おかげさまでよくなりました……」
「そうか……では、もうじきご飯の時間じゃし、いくとしようかの…」
そう言って立ち上がろうとした老人だったが、体がよたついて倒れそうになる。 それをとっさにフィリスは受け止める。
「大丈夫ですか?」
「おお……すまんのう。 わしが元気なら、お前さんにサービスをしてやれるのにのう………」
「いえ、ここを間借りしてもらってるだけで、あたしも大助かりですから……。 むしろあたしが、恩返しをしたいと思っています」
そう会話をしつつ、フィリスは老人を支えながら食卓へ向かい、老人をいすへ座らせた後で自分も席に着く。 その一連の流れをみた老人は、今のフィリスの姿を見て、印象をつげる。
「お前さんは、本当は優しい心根の持ち主なのじゃな……細かいところから伝わってくるぞ」
「……そうでしょうか」
「ちょっと男勝りみたいだけどね」
そう話をしつつ、リッカはテーブルに自分の作った昼食を並べていく。 その昼食を頂いている中、フィリスは村の人から聞いた話を思い出していた。
「それにしても、この前の大地震の被害は、この村でも大きいんだね」
「うん……村の人から聞いた話だと、この近辺の道が土砂崩れでふさがっちゃったみたいなのよね……。
それで、旅人の訪問も減っちゃって……宿も暇になっちゃったんだ」
「リッカ…」
リッカの宿屋が経営難になっていることを知ったフィリスは、心配そうな顔でリッカをみる。 そんなフィリスの表情をみたリッカは慌てながらも気丈に笑って見せた。
「で、でも! いつかはまたここにまたお客さんが来るよ! それに、フィリスの看護に専念できたし、ある意味ラッキーかもって感じだよ!」
「……そっか……リッカってすごいんだな」
「それくらいできないと、宿屋のお仕事は勤まらないもん!」
そう明るく前向きに言うリッカとともに昼食を終え、フィリスは彼女に貸してもらっている寝室に向かうと、ふっと思っていたことを呟く。
「リッカ、本当にいい子だなぁ………。 天使として守ってくれていた時もそうだった……とても信仰心が強くて、感謝の心を忘れなかった。 なにより……今もこうしてあたしを助けてくれている……。 そんなリッカの助けを、あたし……やってみたいな………」
今は掃除や後かたづけなどの手伝いくらいしかできないが、今後彼女、そしてこの村に何かがあったときには、助けたい。 フィリスは今そう強く思っていた。
「………」
そしてその傍らでフィリスは、別のことも考えていた。 その別のこととはほかでもない、自分のふるさととも言えるべき場所、天使界のことだ。
「………オムイ様、ラフェットさん………師匠………天使界は、どうなっているのかな…………」
自分にとって、最も親しい関係にあり、今最も心配をしている者の名前が一番に出てくる。 彼らのことは、今もフィリスの胸の中に、記憶としてとどまっている。
「師匠……今も、あたしのこと、探してくれているのかな……」
その中でもフィリスの心には、彼の姿が強く焼き付いている。
そうして、日が暮れかけ一日が終わろうとしたときのことだった。 リッカの家の扉をドンドンドンとたたく音が聞こえてきた。 リッカが扉を開けると、扉の前にはこのウォルロ村の村長が立っていた。
「どうしたんですか、村長さん?」
「リッカ、うちのニードに会わなかったかね!?」
「え、ニード? ニードがどうかしたんですか?」
「実は……ちょっと外の様子を見てくると突然言い出して、村の外に飛び出したっきり、姿を見せないそうなのだ!」
「えぇ!?」
「なんだって!?」
村長がニードがまだ帰っていないという話を聞いて、リッカもフィリスも驚きの声を上げた。 あの大地震以来、魔物は数を増しさらに凶暴になっているものもいるというのだ。 その中に一人で飛び込もうなど、無謀にもほどがある。 だがこの村には、戦う力を持つものなどいない。
「ったく、世話がやけるったらありゃしないなぁ!」
多少腹が立ち、好感を持てなくとも、魔物との戦いで傷ついていいわけではない。 命を落とすなど以ての外だ。
だがこのことは、自分でも力になることがあると気付いたフィリスは、村長の前にでて申し出る。
「あの、剣ってありますか?」
「えっ!?」
「あたしは剣術の心得があります! 剣さえあれば魔物と戦えますからあたしが彼を探しに行きます! だからどうか、あたしに剣をください!」
そう言っているフィリスを、リッカはちょっと待ってと言って彼女を止めようとする。
「あなた、最近までけがをしてて動けなかったんだよ!? いくら剣術の心得があっても」
「大丈夫だよリッカ、あたしは完全に回復している。 それに、このままだと、そのニードってやつも危ないでしょ? だからあたしは、いくよ」
「でも……」
「あいつは…イヤな奴かもしれない…。 だけど、それだけじゃ魔物の餌になっていい理由になんかならない」
「………」
そう真剣な表情で言ってくるフィリスに対し、リッカはなにもいえなくなった。 一方村長はといえば、護身用に持っていたのだがと言いながら彼女に銅の剣を差し出す。
「この銅の剣でよければ、使ってくれ!」
「ありがとうございます、村長さん!」
「あの発言から、ウォルロ村と他の地をつなぐ道……土砂崩れにより塞がった道に向かったと思われる。 ………どうか息子を頼む………」
「お任せください!」
村長から受け取った銅の剣を手に、ウォルロ村をでたフィリスだったが、そこで彼女の目の前に魔物が現れた。 この近辺で多くみられる魔物、スライムやズッキーニャだった。
「あぶないっ!」
「であぁぁっ!」
リッカが声をかけようとする前に、フィリスはスライムに切りかかり、一撃で一刀両断して倒した。 続けてズッキーニャが彼女に攻撃しようとしていたが、フィリスはそれに素早く反応し切り返す。 あっという間に数体の魔物を蹴散らした、フィリスの強さにリッカも村長も目を丸くする。
「つ、強い……!」
「なんたる剣さばきじゃ…!」
「ニードはあたしが探してきます、みんなは村で待っててください!」
「フィリス…」
そう皆に呼びかけて走っていくフィリスの後ろ姿みながら、リッカは祈る。
「どうか………守護天使様……フィリスをお守りください……あなたと同じ名前を持つ…彼女の力になってあげてください」
そうリッカが祈っている間に、フィリスは予め村長から聞いていた、土砂崩れで道がふさがっているであろうポイントに向かった。 その峠の道にさしかかったところで、フィリスは思いもしなかったものを目撃する。
「あれは!?」
普通の人が見れば、ただ木が倒れているだけのポッカリあいた空間でしかないのだが、今フィリスの目の前にあるのは、依然目の当たりにした、空をかける不思議な乗り物のようなものだった。
フィリスは、その乗り物をまじまじと見つめて近付く。
「天の箱船、だよね……これ………」
それは間違いなく、天の箱船だった。 あの大地震の際に地上から伸びてきた紫電の柱が命中したことによって、バラバラになって落ちていく瞬間を、フィリスはハッキリと覚えていた。 まさかここでその一部が見つかるなんて…と思いながらフィリスはそれを凝視し、どうなっているかを直にふれて確かめようとしたが、そのときだった。
「うぎゃぁぁあっ!!?」
「ニードの声かな!?」
少し離れたところから人の叫び声のようなものが聞こえてきたので、フィリスは天の箱船のことは一旦置いておくことにし、その叫び声の方へと向かう。 叫び声のしたポイントでは、やはりというべきか、折れたナイフを片手に、魔物に取り囲まれてふるえているニードの姿があった。
「ひぇ!」
「ハッ!」
今にもズッキーニャがニードに襲いかかろうとしたとき、フィリスが飛び込んできて力一杯に剣を振り回して、ズッキーニャを一刀両断する。 次に飛びかかってきたモーモンや、スライムも同じように倒していき、フィリスはそこにいた魔物をすべて倒した。
「……ッ!」
「……はぁ、やれやれ…大丈夫かよ?」
「な、なんだよお前…男顔負けじゃねぇか……ホントは性別を偽ってるんじゃ」
余計なことをいうな、と言いながらフィリスはニードにげんこつを食らわせる。
「失礼なことを言うんじゃない、あたしはれっきとした女だっての。 そんなことよりも、こんなところまできて、結果的に魔物におそわれて……あんたのお父さんが怒ってたぞ?」
「………っけ、今のは油断しただけだ」
「油断とおごりは実力不足の証拠だ」
そういいつつ、ニードが持っていた折れた剣を拾って見つめ、あきれるフィリス。 そこで彼女は、大きな土砂崩れに気がつく。
「……にしても、これはヒドいなぁ………」
「おーい!」
「ん?」
そのとき、土砂崩れの向こうから声が聞こえてきたので、二人はその声に耳を傾ける。
「そこに誰かいるのかー!」
「だ、誰でしょうかーー!」
「おお、人がいるようだな! 我々は、セントシュタイン城の兵士団! 王の命令により使いにまいった!」
「セントシュタイン?」
「しらねぇのか? この先にあるでっかい城と町のことだ」
初めて聞く地名にたいし首を傾げるフィリスに対しニードはそう説明をする。
「そちらにいるのは、ウォルロ村のものか!?」
「おう、オレはウォルロ村いちのイケメン、ニード様だ!!」
「どこがイケメンだ」
フィリスは冷たい目でニードを見つめている間にも、話は進む。
「我々は、王の命をうけこの土砂崩れを取り払うためにここへきたのだ! 我々は先発隊であり、本隊は後にくる! じきに土砂崩れは撤去されると、村のものに伝えてはくれぬか!」
「あ、はいっ! わかりましたーっ!」
今度はフィリスが返事をすると、兵士達は思い出したようにさらに大きな声で彼女たちに問いかけてくる。
「そうだ、もうひとつ! お前達、ルイーダという女性がそちらに向かわなかったか!?」
「あ、なんだーっ? そのルイーダって女がなんだってー!?」
「実は先日、ウォルロ村へいくといって出て行ったきり、行方がしれないのだ! もしかしたら遺跡の道を使ってそちらへ行ったかもしれんのだが……そちらでも捜索を頼む!」
「おう、そのねーちゃんのことも、このニード様が伝えておくぜー!」
そうセントシュタインの兵士達との会話を終え、ニードはフィリスに向かって言う。
「よし、土砂崩れがどれほどのものかもわかったし、セントシュタインからの伝言も預かった! これはしっかりと村に伝えなきゃいけねぇ! というわけでお前の剣の腕を認めて、オレ様の護衛に任命してやるぜ!」
「はいはい…」
そう言葉を交わしつつ、フィリスはニードをつれてウォルロ村に帰るのだった。 立ち去る前に、その場に残された天の箱船をチラリと見てから。
「なに…あの子……? もしかしてこの、天の箱船が見えていたっていうの……? ………だとしたら、マジありえないんですケド」
そして、そんなフィリスの姿を、何者かがみていたそうな。
こうして、セントシュタインの兵士達の伝言と、行方不明になりかけていたニードを連れて、フィリスはウォルロ村に帰ってきた。 どこかへ去ろうとするニードの首根っこをつかみ引きずっていきながら、フィリスはまずは村長の家へと向かう。
「まったく、フィリスが助けにきてくれなかったら、お前は今頃魔物の餌だぞっ!!」
「うう、でも俺が行かなきゃ、セントシュタイン国からの伝言もわからなかったままだぜ!」
「国王様が動いてくれて、土砂崩れがなくなるのであれば自ずとわかったことだろう!! その伝言の前にお前が死んだらどうするというのだ、ロクに戦えないくせをしてっ!!」
村長はニードを思い切り怒った後で、村長はフィリスを見る。
「フィリスよ、うちのバカ息子が世話になったのう。 あの戦い方も…流石、剣術の心得があると言っていただけのことはある」
「いえ、お役に立てたのならよかったです」
そうフィリスが笑って答えると、ニードは思い出したように口を開く。
「あ! そうそう、その兵士からもう少し伝言を頼まれてたんだよ! この村にルイーダって名前の女がきていないかって」
「ニード、それって本当なの!?」
「り、リッカ!?」
まさかここにリッカがきているとは思っていなかったニードは驚き、フィリスはそういえば彼女も村長と一緒に待ってたんだったと呟く。
「なんだリッカ、ルイーダって人、知り合いなの?」
「そういえば、リッカは幼い頃はセントシュタインに住んでおったんだったな」
「はい……確か、父の知り合いに、ルイーダという名前の女性がいたはずなんです。 もしかしたら、その人はお父さんに会おうとして…ここまできたのかも……」
「うーむ……だがこの村にはそのような女性はきておらんぞ、話も聞いてないしな……」
「それで、もしかしたら遺跡を通ってくるのかもっていってました。 あそこには通り道があるそうですし…」
遺跡、ときいて村長は苦い顔をする。
「それは、キサゴナ遺跡のことだな……」
「キサゴナ遺跡…」
「そこに通り道があるというのは、わしも話で聞いたことがあるのだが……魔物が多くいるし、天井や床、壁すらも崩れやすいから……確認を今までしたことがないのじゃ。 みなにも、あまり近づかない方がいいと伝えておる……」
「そんな………じゃあ………」
そこに人が迷い込んでしまったのなら助けねばならないが、遺跡に助けに迎えそうな戦士もこの村の人間の中にはいない。 しばらくは様子見だという話になり、解散した。
すべての話を聞いたフィリスは、リッカと少しの話をした後で一人、外にでていた。
「………いってみるっきゃないって感じかな…元になっちゃったとはいえ、この村の守護天使として」
そう言いつつ、フィリスはどうの剣を装備し直してから、村の外へ出て行った。
背後から、誰かに見られていることは知らないまま。
「…………」
次回、新たな仲間が現れる‥‥と、次回予告をこのあとがきにかくべきしょうか?
この小説を初めて公開したのは去年のことでしたね、このあたりの話は、ひとつの物語らしさを出そうと思っていました。
参考にしたのは、とある漫画ですね。
次回もお楽しみに。