天使界から落とされたフィリスは、村に住む少女・リッカに助けられる。
翼と輪を失いこの先どうすればいいのかわからなくなっているフィリスは、村に行く途中で行方不明になってしまったという女性・ルイーダの話を耳にする。
父の知人であるゆえに、彼女の安否を気にするリッカ。
フィリスは自分を助けてくれたリッカにおんがえしするため、その女性を助けるために行動を起こすのであった。
ルイーダという、リッカの父の知人を捜すため、キサゴナ遺跡にきたフィリス。 道中では魔物との戦いを何度も強いられていたものの、この辺の魔物はフィリスの敵ではない。
「伊達に守護天使時代に、あの村周辺の魔物をぶっとばしまくってないってばさ」
よく師匠と一対一で剣を打ち合ったりして鍛えたし、と付け足しつつ、フィリスは銅の剣を片手に歩き続けていた。 よく刀身を見ると刃こぼれが起きており、あと数回魔物と戦ったら折れてしまいそうだった。
「もし途中で折れちゃったら、村長さんに謝らなくちゃな……」
村長もそれは覚悟しているかもしれないが、一応これは借り物なのだ。 それを壊してしまったときのことを考えつつ、フィリスは遺跡を奥へと進んでいった。 途中で行き止まりにさしかかったものの、幽霊が像のそばにたっていたことが彼女にヒントを与えたことで、行き止まりにしていた壁の仕掛けを解除し、奥の部屋へ進むことができた。
「誰かいるの!?」
「えっ?」
「いるんだったらお願い、助けて! 瓦礫に足が引っかかって抜け出せないの!」
その部屋から、女性の声が聞こえてきたので、彼女はそこへ飛び込んでいく。 そこでは青い髪の女性が瓦礫に足を挟まれた状態で発見され、急いでフィリスは彼女を救出しようとする。 ある予感を巡らせて、彼女に直接問いかけながら。
「あなた…もしかして、ルイーダさん?」
「え、どうして…私の名前を!?」
その女性、ルイーダはフィリスが何故自分の名前を知っているのかを尋ねようとしたその時、大きな地響きがその遺跡全体に伝わってきた。
何事か、とフィリスが周囲を警戒していると、奥の方から堅い装甲を身につけているかのような4つ足の、大きな角を持った魔物だった。
「な、なんだこいつは!?」
「気をつけて、私こいつに追われていたの! ここを住処にしている魔物のようで……それから逃げている途中でこうなってしまったのよ!」
「倒さなきゃ、でられないってわけなんですね」
そう言いつつフィリスは目の前のこの魔物、ブルドーガーと戦うために剣を構える。 この剣が通るかはわからないが、戦わなければならない。
「…ッ!」
「おりゃぁぁあっ!」
そのとき、どこからか昆を片手に持った金髪碧眼の青年が飛び込んできて、ブルドーガーに強烈な一撃を食らわせた。
「え、なに!?」
「イアン!」
「イアン?」
目の前に現れた金髪の青年を、ルイーダはたしかにそう呼んだ。
「ルイーダさん、無事合流できてなによりです!」
「あなたも、無事だったのね」
「知り合いですか?」
フィリスの問いにたいし、金髪の青年は武器を構えなおしながら、事情を説明していた。
「ルイーダさんの護衛をしてたんだけど、はぐれちまったんだよ。 遅くなってすいやせん! そのかわり、オレがこの魔物を倒して見せますっ!」
イアンは軽い調子でそう言いつつ、ブルドーガーが立ち上がったのをみて昆を支えにしながら回し蹴りを決めてさらにブルドーガーに一撃を食らわせた。 さらにそのまま、相手の突進攻撃を回避する。 彼は武道家としての能力はかなり高いようだ。
「あ、あたしも…負けらんない!」
フィリスは我に返ると、剣を片手にブルドーガーに突っ込んでいった。
「はぁっ!」
まず一太刀を決め、そのダメージを受けたブルドーガーが反撃で角を突き上げてフィリスを攻撃しようとする。 だがそれをフィリスはブルドーガーの額を強く蹴って飛び上がり、回避したことでダメージは大きくはならず、そのまま追撃を食らわせる。
「とどめだっ!」
そして、立て続けに出されたフィリスの一撃が決まり、ブルドーガーは息絶えた。
「ヒュウ! かわいい顔してやるなぁ!」
「お見事ねっ」
ブルドーガーを倒し、ルイーダの救出に成功したフィリスは、護衛だったというイアンとともにキサゴナ遺跡を出た。 その途中でフィリスは、自分の名前を名乗り、ウォルロ村からきたことを彼女達に話して聞かせる。
「よし、また魔物がでないうちに、ウォルロ村へいきましょうぜ」
「ええ、じゃあ貴女、案内してくださる?」
「あ、はい、お任せください!」
そうして遺跡を無事に出たフィリスは二人をウォルロ村まで護衛し、彼女達を無事にウォルロ村まで連れてくることができた。
「さて、じゃあ宿屋を探してそちらへ向かいましょうか」
ルイーダはそう言って走り去っていった。 宿屋の場所を知るフィリスは案内するはずだったのだが、ルイーダはその話題に入る前に走り去っていってしまったので、案内ができなかった。
「すまねぇな、あの人せっかちなもんで」
「いえ、あたしもそそっかしいとよく言われるけど…取り敢えず、あたしも宿屋へいこうかな」
そうイアンと話をしてから、フィリスはリッカの宿屋へ向かった。 そこに到着したとき、ルイーダは既にリッカと話をしていたので、フィリスはただ耳を傾ける。
「あなたがルイーダさん、だったんですね! あなたが行方不明と聞いて、わたし心配していました」
「そう、ありがとう…あのとき貴女はまだ小さかったけど…覚えていてくれていたんだ」
そこでルイーダは、リッカにたいしここまできた理由を話すために、本題に入る。
「実はリベルトさんにお願いしたいことがあって、会いに来たんだけどお元気?」
「やっぱり、お父さんになにかご用があったのですね…だけど、ごめんなさい父は2年前になくなったんです」
「え……な、なんということなの!? そんな伝説の……あの人が…こんなことになってしまうなんて……」
「え?」
途中で伝説、という単語が聞こえてきたのが気になったが、リッカとフィリスは聞き取ることができなかった。 ルイーダはしばらく何かを考え込んでいるかのような動作や表情を見せていたが、やがてあることを閃いたかのように顔を上げる。
「ねぇ、ところでリベルトさんがいないってことは…今この宿屋はあなたが経営しているのよね?」
「は…はい、かつては父が経営していたのを、わたしが引き継いでいたんです」
「…なるほど……」
「?」
リッカの言葉を聞いたルイーダは、彼女の目をまっすぐと見つめ、彼女にある提案をする。
「リッカさん、貴女セントシュタイン城で宿屋を経営してみる気はない?」
「え…?」
リッカは最初、なにを言われているのかがわからずにきょとんとしていたが、やがてルイーダの言った言葉が頭の中でリピートされたかのように飲み込んでいき、その誘いに対して大きなリアクションを見せる。
「えぇぇぇ~~~!?」
「私には人の才能を見抜く力があるの! 貴女は伝説の宿王の血を確実に引いているわ! リベルトさんがいない今も、貴女が経営しているこの宿は隅々までお客様への心遣いに満ちているそれが、その証拠よ!」
「え、や、宿王って…なんじゃそらっ!?」
リッカのみならず、フィリスも驚いて戸惑う。 とりあえず詳しい話はここでやるのは気が引けると言うことで、彼女らは別室へ移動した。
「じゃあ、わたしのお父さんって…セントシュタインでは、宿王って言われていたんですか…?」
「ええ。 多くのライバルを押し退けて、セントシュタインにある宿を世界一の宿に仕立て上げたのよ。 そのハイスピードな出世ぶりと手際の良さ、隅々まで行き渡る心配りお客様への心遣い。 どれをとっても非の打ち所がなくて…まさに伝説の宿王って称号がふさわしい人だったわ」
「どんな人だよ」
当時を思い出しながら熱弁するルイーダにたいし、フィリスはそうツッコミを呟きながらいれる。
「そんなことが」
「信じられない、と言いたいのかもしれないけど事実よ。 その実績もあったから、リベルトさんにセントシュタインに帰ってきて、宿屋を建て直してほしいってお願いしようとしていたのよ」
「そういうことだったんですね」
ルイーダがここにきた理由が、ここで今ハッキリと判明した。
「だけどその伝説の宿王が亡くなっていただなんて……知らなかったとはいえ、ごめんなさいね」
「いえ…こちらこそ、せっかくきてもらったのに…すみません」
「いいのよ、代わりに貴女を連れていくから」
ルイーダがそういうと、リッカはそろそろ夕食の準備に入らなければならないといってはぐらかし、その場を立ち去った。
「わたし、セントシュタインには行きませんから!」
「リッカ……」
最後にそう言い残して、彼女はそこから立ち去っていった。 ルイーダは彼女の後ろ姿を黙って見送っており、一方のフィリスはリッカの後を追いかけようとして、宿屋をでる。
「あっ」
「よぉ」
そこにはルイーダを待っていたらしい、イアンが立っていた。 彼はここでさっきリッカの姿を見て、その顔がどこか考え込んでいる様子だというのが気になっていたそうだ。
「もしかして、あの子ルイーダさんにスカウトでもされた?」
「え、なんでわかったの?」
「ん、直感かな」
「直感って」
イアンの言葉にたいしフィリスがあきれていると、イアンはルイーダという女性の話にかわっていく。
「あの人、強引にでも誘うかもしれねぇぜ」
「え?」
「ルイーダさんって割と頑固で一本気で、一度決めたことは決して曲げない人なんだ。 人の才能を見抜くことが得意なのは事実なんだけどなここは、長期戦だぜ」
そう言いつつ、イアンもセントシュタインの宿のことを話す。
「オレもセントシュタインの宿屋は経営者がいなくて、このままじゃつぶれてしまうって聞いたからな。 後継者が見つかればいいなと思っている。 強要はできないけど…あの子が頷いてくれるキッカケがなにかあればいいな」
「キッカケ、かぁ…」
そう言ってイアンは、じっくり見守るとするかとだけ告げて、フィリスの前から立ち去っていった。
そんなとき、フィリスはリッカのことが心配になって彼女の元へ向かおうとしたが、その途中で気になるものを発見して立ち止まる。
「あれ?」
半透明で青い影が差している、壮年の男性だった。 これはフィリスも何度もみたことがあるし助けたことも何度もある。
「幽霊?」
幽霊がただそこに立ち尽くしていたのが気になったフィリスは、その幽霊に自分から声をかけにいく。
「あのっ…」
「うひゃう!」
「うひゃう!」
その幽霊はフィリスに声をかけられたことに驚き声をあげ、その声にフィリスもまたビックリした。
「ちょっと驚かさないでくださいよ!」
「こっちがビックリしたよっ!」
「って、あれ? あなた、私が見えるのですか?」
「………見えますが………」
幽霊の言葉を肯定してみると、まさか自分のことがわかる人がいたと思わなかったと呟きながらも、幽霊は自ら名乗る。
「私はリベルト…リッカの父でかつてこの村で宿屋をやっておりました。 この村でのんびりと宿屋を経営していたんですが、2年前にはやり病でポックリ逝ってしまって……」
「そうだったんですか……あなたが…。 あ、あたしはフィリスといいます」
「そうですかフィリスさん…ん!?」
その名前を聞いたとき、リベルトと名乗った男性の亡霊は驚く。
「も、もしかして貴女は、ウォルロ村の守護天使様…!?」
「ちょっとぉぉ~~! 今の聞き捨てならないんですけどぉ~!」
「へっ!?」
フィリスがリベルトの言葉を肯定しようとしたところに、甲高い声が響きわたってきた。 何事かと彼らがあわてていると、桃色の光がフィリスに衝突してきた。
「いったぁ~~~! ちょっと、うまくよけなさいよぉっ!」
「んなムチャな! つかキミだれっ!? よ…妖精なの?」
桃色の光から現れたのは、小麦色の肌に金色の髪、派手な衣装に身を包み、背中に桃色の薄い羽を持っている、小さな女の子のようなものだった。 その姿から妖精を連想したフィリスは、そう問いかける。
「ふふん、気になっちゃう? このアタシの正体を聞いちゃいます? ならば特別に教えてあげちゃおーぅ!
きぃーて、おどろけ! アタシこそが、あの天の箱船の運転手にして放浪する謎の乙女! その名もサンディよっ!」
妖精はサンディと名乗り決めポーズをとるが、その場には一瞬の静寂が訪れた。
「「は、はぁ…」」
フィリスとリベルトは、そう答えるしかなかった。 そんな2人に対してサンディはノリが悪い、と呟きつつ、びしっとリベルトを指さす。
「さてと、そこのおっさん! なんか変な勘違いを起こしてるっしょ!」
「えっ!?」
「この子が守護天使だというのが、アタシからしたら信じられないんだケド! 天使の証拠である輪っかと翼がないのって、変くね?」
「た、確かにないのですが……」
「はぁ………」
痛いところを容赦なくついてくるなぁ、とフィリスは内心思いながらも、簡単に今自分の身に起きてしまった状況をそのままサンディたちに教える。
「最近起きたあの大事故に巻き込まれて、輪っかも翼も無くしちゃったんだよ」
「へぇ……そういうワケなの……なんか信じられないんだケド。 翼も輪っかもないのに幽霊がみえるとか、なにそのハンパな状態?」
「言うな…あたしだって気にしてるってのに……一応人間には隠しているけど、あたしはこの村の守護天使だったのは、紛れもない事実だ」
そんなフィリスの話を聞いたサンディは、ある提案をする。
「だったら、そこにいるおっさんを成仏させて、天使だというのを証明しなさい! そのおっさんだって、どうせしょうもない未練をタラタラと抱えてるんでしょ! 死んだ人をあの世へ連れて行くのも天使の仕事のひとつっしょ!? それができたら、アタシもアンタを天使だと認めてあげる!」
「えぇ!?」
どうしてそうなった、とフィリスはつっこんだものの、サンディはこの件を解決させないと納得できないようだ。
「とんでもないことになってしまいましたね……まぁ…確かに私自身も、このままではいけないと思っていますが」
「ま、まぁ…取り敢えず、貴方のお話を聞かせてもらえないですかね?」
「は、はぁ…私の未練ですか…」
「なにか、心当たりとかあるんですか?」
フィリスがリベルトにそう問いかけると、リベルトは未練について少し考えた後で、彼女を滝の近くの高台へ連れて行った。
「ここを、掘ってみてください」
リベルトにいわれたポイントを、軽く掘ってみるとそこには金色の、トロフィーのようなものが掘り出された。
「なにこれ?」
「ああ、これは私がセントシュタイン王に頂いた、宿王の証のトロフィーなんですよ。 いやはや、懐かしいなぁ……」
「じゃあ、ルイーダさんの話ってホントだったんだ…」
あの話を疑っていたわけではないが、証拠が見つかった以上信じるしかないのだと感じるフィリス。
「こんなすごいものを貰っていながら、なんでこんなところに…」
「それは…私があの国への思いを断ち切るために、ここに隠したんです。 すべて、あの子のために…」
「………」
その言葉を聞き、フィリスはなにかに気付いて、リベルトの未練に感づいた。 そして、サンディの名前を呼びながら、彼女に向かって言う。
「サンディ」
「ん?」
「この人の未練をはらしたら、ちゃんとあたしが天使だったと認めてよ」
「きゅ、急にどうしたの?」
突然、条件を確認してきたフィリスに対し、流石にサンディも戸惑っているようだった。 そんなサンディを横目に、フィリスはトロフィーを持ってリッカの元へ向かった。
「あ、フィリス…」
「リッカ」
リッカは家にはいってきたフィリスを、いつもの笑顔で迎えた。 彼女の顔を見たらリッカはさっきのことを思い出したらしい、少しだけ眉を下げながら口を開く。
「なにも言わないで…ごめんね、なんだかわたし…お父さんが宿王ってすごい人なのが、今一つ実感わかなくて。 それを聞いたとき、お父さんが知らない人……とても遠い人に思えてきて」
「………」
フィリスは、そんなリッカの心を理解した上で、本題に入ろうとする。
「リッカ…キミがどうしようと、どう思っていようと…キミの好きにしたらいいとあたしは思うな。
だけどね…今は、あたしが見つけたこれを、みてほしいの」
「え?」
そう言ってフィリスは、先程見つけだした宿王のトロフィーを彼女に手渡す。
「これってもしかして、トロフィー?」
「うん、そこに書かれている文字読んでみて」
「リベルト殿、汝を宿王と認めこれを授与する……セントシュタイン王…!」
そのトロフィーに書かれている文章を読んだリッカは、驚き戸惑う。
「そんな…ルイーダさんの話は、ホントだったんだ!」
「信じてもらえた?」
「ホントだとわかっても……わたし、お父さんの考えていたことが、まだわからないよ。 そんな地位をもっていながら、なんで捨ててしまったの?」
「そのことは、わしからはなそう」
その言葉と同時に、リッカの祖父が扉を開けて、部屋にはいってきた。
「おじいちゃん…」
「リッカ自身も記憶にあるかもしれんが、おまえは昔、病気がちで体が弱かったんじゃ。 その体質は母親譲りのもの…。 実際におまえの母親も体が弱く、若くして亡くなっておるの」
「でも、わたしは元気になったよ? 病気だったことを忘れちゃうくらいに……」
確かに今のリッカは、病気とは縁がないくらいに元気もよく、しっかりしていて、明るい。 彼女がかつては体が弱かったと言っても、誰も信じないだろう。 そんな彼女に対し、老人は話を続ける。
「それは、この村の水を飲んで育ったからじゃろう。 昔からウォルロの名水には人を元気にする、健康にすると言われておる」
「じゃ、じゃあ…お父さんが…宿王の地位を捨てたのって……」
「そう、おまえを…リッカを救うためじゃ」
自分のために父がとった行動を、リッカは胸に受けた。
「そっか……じゃあ…わたしがお父さんの夢を奪ったんだ……」
「あいつも、おまえにそう思わせたくないから、隠していたんじゃな。 だが、いまのおまえなら、その真実を受け止められると信じているぞ」
「リッカ……キミのお父さんは、なによりもキミを大切に思っていた。 キミを心から愛していた。 だから、こういう行動にでた。
その愛情を、受け止めてあげてほしい」
「フィリス……」
そうフィリスがほほえみながらいうと、リッカは意を決した表情になり、顔を上げる。
「これを見つけてくれて、ありがとうフィリス。 あたしお父さんが別人に見えたから……現実から逃げていただけかもしれない。
だけど……お父さんのわたしへの思い…宿への思い…わたしは、引き継ぎたい。
お父さんはわたしのために夢を捨てたなら、今度はわたしがお父さんのために、捨てた夢を拾いたい。
だから今、決めた」
そして、自分の決断を口にする。
「わたし、ルイーダさんの誘いを受けて、セントシュタインにいくよ。 わたしにどこまで出来るのかは分からないけど……やれるだけやってみる!」
「そっか……リッカなら、できるよ」
そうして、峠の道が開かれ次第セントシュタインにいくという話を、ルイーダにするために、彼女は家を出ていった。 老人は彼女を温かい目で見つめており、部屋の外ではリベルトがリッカの姿を見つめて微笑んでいた。
「リッカ…私の夢を継いでくれるのか……」
「リベルトさん」
「あのこの成長を見ることが出来た…もう私に心残りはありません…」
そう言って、リベルトは光の粒子をこぼしながらその姿を徐々に透けさせていく。
「…フィリスさん、あなたはリッカと仲がいいようです。 娘のよき友となってください」
「……うん、元からそういうつもりだよ」
「ありがとう…そしてさようなら……私はもういきます」
そう言って、リベルトはそこから消えた。 やはり今の彼の未練は、娘のリッカのこともあったんだと思ったフィリスは、彼が成仏していく様子を見届け、笑みを浮かべた。 そんなとき、一連の流れをみていたサンディが彼女に声をかけてきた。
「やっるじゃぁ~ん! これはアンタを天使として認めざるを得ないってヤツじゃねっ!? ま、認めざるを得ないってところかな!」
「あったり前でしょ!」
「あ、ちょうどここに星のオーラが転がってるジャン! ついでだし、これ回収しとこっ」
「え、星のオーラがそこにあるの?」
そう言われてサンディが指し示す方向をみるが、そこにはなにがあるか、フィリスにはわからなかった。 その事実を聞いたサンディは目を丸くする。
「え……星のオーラが見えてないの? うぅん…なんか前言撤回したいんですケド……」
「おい」
「ちょ、そこでバチムカにならないでよっ! ヤクソクだから信じるってばさ!」
慌ててサンディは、フィリスを天使だと信じることを約束し、そしてフィリスの名前を確認する。
「そういえば、名前なんだっけ?」
「フィリスだよ」
「フィリス、ねぇ。 まぁ…このままじゃアタシも八方ふさがりだし…もう少し様子を見ることにしちゃいまっす!」
「………はいはい………」
そんなこんなで、やや特殊なコンビが誕生したのであった。
次回予告。
フィリスの次の目的地は、どうもセントシュタイン城らしい。
そこで自分と道を共にしてくれる仲間を探し、旅をすることを決めたフィリスだったが、今セントシュタインは非常に困ったことになっているようだ。
目の前のこの状況を打破すれば、自分の目的も果たせるかもしれない?
果たして、フィリスはどんな仲間と巡り合えるのか?
続く!