あそこでレベル上げをした人はどのくらいいるんだろう(笑)
ナザム村の人々を改心させるため、そしてドミールの里へいくため。 フィリス達は魔獣の洞窟を目指すことになり進んでいた。 扉を開くための鍵は手に入れた、あとはその鍵で洞窟へ入り、ドミールへ渡る道を手に入れるだけだ。
「うーん、地図で言うとここで間違いないんだよな?」
「うんっ」
「…後戻りはできないしな、いくっきゃない」
「…そうだネ」
実はフィリス達は、自分達の寝泊まりしていた小屋に一度戻ろうと思ったのだが、その小屋は焼き払われていた。 どうやら村の言い伝えにより、余所者もといフィリスをよくおもっていない村人達の仕業らしい。 装備品や旅に大事な道具をフィリスがずっと持っていたことだけが、不幸中の幸いといえる。 結果として立ち去らねばならないことを知った彼女は、足を早めることを決めたのであった。
「!?」
だがそのとき、近くの草むらがガサガサと音を立てていて、しかもその音が徐々に自分達に近づいてきていることに、フィリスは気付いた。
「誰かくる!」
「魔物? まさか…あの辛気くさい村の連中とか!?」
フィリスは警戒をして、剣に手をかけて構える。 村人なら威嚇をし、魔物なら切り捨てるために。
「あ」
「あ」
しかし、草むらから出てきたのは、緑色の髪と茶色の瞳の少年。 槍を片手に持っている彼と目があった瞬間、二人は同時に口を開いた。
「「いたぁーっ!?」」
二人は同じことを言って、互いに駆け寄ってその顔を見合わせる。
「セルフィス、セルフィスじゃないか!」
「フィリスさん、またこうしてお会いできて…うれしいです!」
その少年こそが、フィリスの離れ離れになってしまった仲間の一人である、セルフィスなのだ。 2人は再会と互いの無事を大きく喜ぶ。
「でも、どうしてここに……」
「やっぱり、フィリスさんのお友達だったね!」
「ティル!」
セルフィスの背後から少年・ティルが姿を現した。 ティルはフィリスとセルフィスが会えたことにたいし喜びつつ、ティルは自分がセルフィスとともにいた理由を語る。
「実は……ボクがこの近くで魔物におそわれたとき、道に迷っているこの人に助けられたんだ。 話を聞いてみると、はぐれた仲間を捜していた……って。 その探してる人の中に、フィリスさんの名前があったから……もしかして、って思ったんだ」
「ティルくんから、ナザムの村の話を聞きました………。 よその方を嫌うという、なんとも痛々しい事情を抱えているもよう………その中に貴女がいたとは………僕も苦しく思います」
「………セルフィス………」
セルフィスは、フィリスが受けたであろう心の傷を自分のことと思うかのようにそう告げた。 そして、少し祈るように頭を下げたかと思うと、顔を上げて凛とした表情をフィリスにみせる。
「けど、仲間とまた会えるのであれば……そして、信用を取り戻せるのであれば、僕もそれに賭けたいと思います。 これから貴女がなにをするつもりだったとしても………僕は貴女と共にいきます」
「ありがとう、セルフィス……」
フィリスはセルフィスの言葉を聞いて、再び彼と旅をすることを決めてそう言った。 そんな彼女の返事を聞いたセルフィスはしっかりと頷くと、ティルの方をみた。
「……さぁ、ティルくんは村に帰って、僕達を待っていてください」
「え?!」
「魔物と戦わなきゃいけない…そんなところにまだガキである、あんたをつれていけないよ」
それをきいて、ティルは自分には、魔物と戦う力がないことを思い出す。 先ほども、自分はおそってきた魔物に何もできず、セルフィスに助けてもらったことも。 それで、ティルはフィリス達とはともにいけない理由を受け入れる。
「ボク………足手まとい………ってこと………?」
「まぁ、厳しいが………そういうこった」
「大丈夫です、僕達はヤワじゃない。 だから待っていてください……」
それをきき、ティルは彼らの言葉を受け入れて頷く。
「………わかった………ボク、フィリスさん達を信じるよ! だから、必ず帰ってきてね!」
「ああ!」
そういって、ティルはナザム村へと帰っていった。 その後ろ姿をみて、フィリスもセルフィスも、彼のために生きて帰ることを決める。
ティルに見送られ、フィリスとセルフィスは魔獣の洞窟に向かった。
「ここだな」
「…の…ようですね」
そして、その入り口に当たる場所に到着することができた。 そこにはまがまがしいような、なにか特別な力で閉ざされているようなところであり、ふつうの魔法や呪文ではどうにもならないような気がした。 ここはどのようにして通ればいいのだろう、とセルフィスが首を傾げていると、そこに女性の霊が現れる。
「来たわね………あなたが行きたいのは、ここのことなのでしょう?」
「うん」
女性の霊もといラテーナが確認をとると、フィリスは迷いなくうなずく。 そして、セルフィスは彼女の姿を見て驚いている。
「あれ、貴女は………」
「彼女はラテーナ。 あたしらが旅先で見かけていた、あの幽霊さんだよ」
「そうだったのですね」
「約束通り、ここを通してあげるわ。 私は、ここをあける呪文を知っているから………」
そう告げた後、ラテーナはその洞窟の入り口に手をかざし、呪文を口にする。
「…………われはナザムに生まれし者……。 ドミールを目指す者に代わりて、光の道を求める。 われの祈りに答えよ………!」
ラテーナがそう言うと、魔獣の洞窟の入り口をふさぐ力が消えて、そこに洞窟の入り口が現れた。 おお、と感嘆の声を上げる2人にラテーナは、ここに入れば魔獣の洞窟の迷宮に入れると教える。
「私にできるのはここまで。 あとは、あなたに任せるわ……」
「うん、ここまでしてもらえば十分だ。 ありがとう」
でも、とフィリスはラテーナがどうなるのかが気になり、彼女に今後を尋ねる。
「ラテーナさんは、どうするんだ?」
「私は…………旅立たなくてはならないの………」
それだけを言って、ラテーナはそこを旅立っていった。 フィリスに見つけてもらった首飾りに手を添えて、自分の目的を口にしながら。
「あの人を…………エルギオスを…………見つけなければならないから…………」
「………!」
ラテーナが姿を消す直前に口にしたその名前に、フィリスは心当たりがあった。
「どうなさいましたか?」
「……いいや、なんでもない。 あの人も……なかなかにワケありみたいだな………」
「……そのようですね」
「だけど……それはあの人がやるべきことだろう。 あたしらがやるべきことは、この洞窟を突破すること。 というわけで、つっこむぞ」
「はい」
フィリスがなにかを気にしていることにセルフィスは気付いているが、今そのことを聞いても答えないだろうと思い、彼は彼女にそれ以上のことは聞かなかった。 なので、ここはフィリスにただついていくという選択をとる。
「ここが魔獣の洞窟かぁ……」
「………この奥に、ドミールへ空の英雄へつながるヒントが、あるのでしょうか」
「だろうな。 まぁ、意地でも引っ張り出してみせるさ」
「気をつけなさいよっ!」
「おうっ」
サンディとそう言葉を交わし、フィリスはセルフィスとともに魔獣の洞窟に足を踏み入れ先へ進む。 洞窟の中は長年、人の手にさらされていないのか荒れ果てており、魔物が多く生息しているようだった。
「バギクロスッ!」
その魔物は侵入者を野性的に拒むようであり、姿を現したかと思えば直後に2人に攻撃を仕掛けてきた。 その魔物の攻撃を回避したセルフィスは咄嗟に、風の技であるさみだれ突きを放って反撃をする。
「フィリスさんっ」
「ああ!」
その槍技に敵が困惑している隙をついて、フィリスが敵につっこみ切り裂き、倒すことに成功する。
「フィリスさん」
「ん?」
洞窟を魔物と戦いながら進む中、セルフィスはふと、ある空間に気づいた。 そこは、ぽっかりとあいた横穴のような場所であり、セルフィスはそこに何かがあることを感じ取っていたのだ。
「神聖な空気がここには漂っている………。 ここなら魔物も来ない場所です、少し休息をとりましょう」
「…そうだな。 無闇に先走っても、いいこともないだろうし」
セルフィスの言葉を聞いてフィリスも小休止を受け入れ、そこにあったがれきに腰掛ける。 セルフィスのいうとおり、ここは魔物も近づけない不思議な場所のようだ。
「……傷の具合、いかがですか?」
「うん、すっかり良くなったよ」
そこでセルフィスは回復魔法を使ってフィリスの傷を癒していた。 彼の回復魔法は敵から受けたダメージをみるみるうちに消し、魔法を与えた相手を元気にしていく。
「でも、セルフィスすっげぇ戦えるじゃん! あの落下から生き残ったのは、伊達じゃないってことだな!」
フィリスはからからと笑って、セルフィスの戦闘能力の高さをほめたたえるが、それを聞いたセルフィスはふっと表情を暗くさせる。
「…………」
「どうかしたのか、セルフィス?」
「…………あのあと、貴女が落ち込んでいたのではないかと………僕はずっと気になっていました…………」
「……ああ、あのことで……か……?」
「ええ、貴女は………その体の傷以上に、もっと深い傷を受けてしまった………心に………」
セルフィスも、あの現場に立ち会ったのだ。 フィリスが、己の師匠であるイザヤールに斬られるという、裏切りの現場に。 それだけでなく、彼女が迷い込んだ地は、余所者を嫌う心の狭い地。 その連鎖は、フィリスにたいし追い打ちをかけるかのようだった。
「……貴女は今も前に進もうとしている。 ………ですが……貴女のあの時の気持ちを、考えたら………もし、僕が同じ状況にたたされたのなら、もし、僕は立っていられる自信がないです…………」
そう語り、セルフィスは少しだけ目尻に涙を見せる。 その涙の意味を悟ったフィリスは彼の手にそっと自分の手を重ねて、彼につげる。
「それはない。 だって……あんたは強いもん」
「フィリス、さん……」
「そうやって自分のことだけでなく、他人のことまで気遣って……それでいて、共にいこうとしてくれる気持ち………。 それを持つことのできるあんたは、あたしよりずっと強い心を持っていると………あたしは思うな……」
「……………」
そう笑いかけるフィリスをみて、セルフィスは自分の目からこぼれかけていた涙をぬぐい取り、そしてフィリスの顔をまっすぐに見つめる。 彼女の言葉と表情で、生きる気力が湧いてきたかのように。
「…………フィリスさん。 ……必ず、イアンさんもクルーヤさんも、この世界のどこかにいるはずです。 こうして僕と貴女が再会できたのも、神が僕達を見て与えてくれた奇跡………。 今は再会を信じて、先へ進みましょう……」
「もち、あたしはそのつもりだった。 だから、手がかりをつかむために……この洞窟に足を踏み入れることにしたんだ」
この洞窟に入った目的も思いだし、フィリスはそう告げた。 そして、セルフィスはただ突破するだけじゃないこと、そして、その先にあるであろう真実の話もする。
「…………あの黒い竜と、その背に乗っていた奇妙な人物の謎も、解き明かしたいですね………」
「うん………そして、出来ればあの村の皆の、柵を解きたい………」
「ええ」
よそから来た者を受け入れないナザム村。 あの村をあのままにしてはおけない。 変えなくてもいい風習と、変えなければならない風習というのが存在する。 ナザム村の今のあり方は後者だ。 なにより、あのままではティルが浮かばれない。 彼がこれ以上寂しい思いを抱えないために、また村が前向きになれるように。 余所者である自分達が、村のすべてをかえられるように、力を注がねばならない。
「ティルくんとも、約束しましたものね。 必ず帰ってくると」
「わすれねぇよ、わすれるわけにもいかねぇよ」
そう語りながら、急速の場所を離れ歩き出したフィリスとセルフィスの前に、死霊の騎士やデビルアーマーなどの魔物が一斉に現れる。
「道をあけろ! あたし達は……あんたらの相手なんか、している場合じゃないんだ!」
そう言ってフィリスは剣を大きく振るい、魔物を退ける。 そうして魔物との戦闘をさらに繰り返しながら、さらに洞窟を奥へ進む2人。
洞窟を進み、やがて外にでる。 橋がかけられているその先にあったのはなにか魔物のような石像が一個存在する、広い部屋のある個室だった。
「………石像がぽつんとあるだけ?」
「ここに、ドミールへの道に関する手がかりがあるのでしょうか?」
「どれどれ……」
怪しいのは、その石像だ。 そう思いフィリスはその石像に近付き、台座部分をペタリとさわってみる。 そうすると、その石像から声が響きわたってきた。
「………われは光の道を守るもの…………ガドンゴ…………」
「!?」
「なんじが竜の門を開くことを望むのならば………なんじの勇気をわれに示せ!」
その声とともに地響きが発生し、その地響きでなにかを察したフィリスは咄嗟の判断で石像から離れる。 するとそのガドンゴと名乗った石像は見る見るうちに動き出し、体の色を変えながら大型でガッシリとした筋肉質の、一体の魔物と化した。
「石像が、うごいたぁ!!」
「おまけに魔物になった!」
ガドンゴはフィリスとセルフィスを見ると、手にしていた金棒を大きく振り回しはじめる。 その目つきは鋭く、それをみたフィリスとセルフィスは身構える。
「こいつを倒さなきゃ、目当てのものは手に入らないってか!」
「そのようです!」
「あいついかにも筋肉バカだけど……気をつけてねッ!」
サンディの言葉にたいしうなずき、フィリスはまずはやぶさ斬りを繰り出してガドンゴに攻撃をする。 だがガドンゴの身にまとう装甲は非常に堅く、剣がまともに通らない。
「クッ!」
フィリスはすぐに距離を置き、どこか攻められるポイントがないかを探る。 そこにセルフィスが自分とフィリスにスカラをかけてきて、さらにガドンゴにたいし槍の一撃を食らわせようとする。 しかし、その攻撃もガドンゴを貫くことはできない。
「かたいっ…」
「むぅん!」
「うわぁあ!」
ガドンゴは金棒を振り回し、セルフィスはその金棒にあっさりあしらわれてしまう。
「セルフィスッ」
「クッ……」
「う、うわっ!」
セルフィスの元に駆け寄ろうとしていたフィリスだったが、ガドンゴが金棒を振り回して妨害をしてきた。 その一撃は持っていた盾でなんとか防ぐものの、後方に軽く吹っ飛ばされてしまう。 そこにガドンゴが追撃を繰り出そうとしてきたが、それをセルフィスのバギクロスが妨げた。
「グォォッ!」
「うぁっ!?」
「わわっ……」
そこでガドンゴは地面を大きく揺さぶり、2人の動きを制限しながら衝撃でダメージを与えてくる。 すかさずセルフィスが回復魔法でフィリスのダメージを優先して回復させるが、その隙をつくかのようにガドンゴはセルフィスを攻撃してくる。 セルフィスは盾で防いだものの、自分を回復する隙がつくれない。
「ハァッ!」
「グッ!」
フィリスがはやぶさ斬りでガドンゴを攻撃し、すぐにセルフィスと合流する。 そして、ガドンゴが攻撃してくるのをフィリスは盾で防いで彼を守り、その隙にセルフィスは自分を回復させるが、この戦闘の苦しさを感じてつぶやく。
「いつもは4人で挑んでいたから、苦しいですね」
「……………」
セルフィスのその言葉を聞いて、フィリスは仲間の存在を思い出す。 ここにいるセルフィスのことも、ここにいないイアンやクルーヤのことも。 そんな仲間たちに対する思いを巡らせ、フィリスは立ち上がっていく。
「そうだな………あたしらは、4人で行動していた。 だから……どんな魔物とも戦えた………どんな難しい道も進めた」
「フィリスさん……?」
「……ここで、くたばったら…もう4人で、旅が出来なくなるんだ! だから………だから!」
そして、チャキリという音を立てて剣を構え、その切っ先をガドンゴに向ける。 目つきは強くするどい。
「こんな、ところで! 負けてたまるかぁーっ!!」
そう言ってフィリスは、ガドンゴにすてみの勢いでつっこんでいく。 そのさなかでガドンゴはフィリスに金棒を振りかざすが、フィリスはそれを間一髪のところで回避し、強烈な一撃をガドンゴにたたきつけた。
「グォォォ!?」
その一撃はガドンゴには会心の一撃だったようであり、それにより崩れかけた。 それをみてフィリスはやったか、と思ったが、ガドンゴの苦し紛れの一撃がフィリスに命中して、彼女を吹っ飛ばす。
「ぐっはぁ!」
「フィリスさん!」
「フィリス!」
急いでセルフィスとサンディはフィリスにかけより、彼女の安否を確認する。
「へっへへ……勝てたかな……?」
「なんと無茶を………」
フィリスの無茶すぎる行動に対しセルフィスは寿命が縮んだと小言みたいなことをいいながら、彼女のダメージを回復させる。 そんな2人の前で、フィリスの一撃をみたガドンゴは、自身の敗北を認めたかのように元の石像に戻っていった。
「その勇気、しかとみた。 光の道をなんじに示す。 空の英雄グレイナルをめざせ……」
そう言い残し、ガドンゴは本来の姿である石像に完全に戻る。 直後に奥への道が開き、そこには弓と矢が備えられている石の祭壇があった。 その弓矢の元へ向かうと、祭壇のそばにある石碑に文字が刻まれいることに気付く。
「光の道を矢に変え、ここにおさめる。 竜の門にてこれを放て。 さすれば竜の門は開かれん」
石碑に書かれていた文章を、セルフィスが読み上げる。 魔法をいくつか操ることが出来る上、義理の兄が考古学者であるため、古代文字を読むのが得意なのだ。
「光の弓と矢?」
「これを持って行けば、いいんじゃね」
「みたいだな」
そう会話をして、この光の弓矢を手にするフィリス。 これをもって竜の門と呼ばれる場所へいけば、なにかが変わるかもしれない。 彼らの中にわずかな希望とチャンスが芽生え、顔を合わせてうなずきあう。
「行ってみましょう、竜の門へ!」
「ああ!」
「じゃ、善は急げでレッツゴー!」
……実はこの小説の原型をかいていたとき
「DQ9の僧侶はバギ系の魔法を使えない」
ことを忘れていたのは内緒の話です。
これはすでに修正してます。
このように、仲間達も少しずつ集合していく予定です。