ドラゴンクエスト9 AngelsTale   作:彩波風衣

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今回はドミール編をお届けします。
ここからがこの物語の本番かもしれませんね。


32「伝承の竜の地」

 

 空の英雄であるグレイナルにあうため、ドミールの地を訪れたフィリスとセルフィスは、そこで仲間の一人である少女・クルーヤと再会を果たした。

 

「………そう、それでこの地を訪れたのね」

「そういうことだ」

 

 そこでフィリスはクルーヤにも、自分達がドミールを訪れた理由を語る。 黒いドラゴンを追いかけるために、空の英雄と伝えられるグレイナルに会いに来たことを。 話を聞いたクルーヤは、引き続き仲間としてフィリスに協力を申し出てきた。

 

「でも空の英雄様の話は伺ったけど、私は会ったこともないわね。 ここにいる人達の話では、まだ生きていて…火山の頂上で隠居生活を送っているらしいわ」

「へぇ………ん?」

 

 最初クルーヤがグレイナルに関する情報を提供してくれたものの、その話を聞いてフィリス達は首を傾げた。

 

「どゆこと? 空の英雄が戦ったのって大昔よね? それがまだ生きてるってどんだけご長寿なワケ?」

「そうですよね……僕も気になりました。 確かガナン帝国の戦いは300年も前のお話のはず………。 そのご本人がまだ生きているなど、不思議ですね」

「不思議どころじゃないだろ、これ……」

 

 300年以上生きている人間なんているわけあないし、いたとしたらそれは人を超越したなにかだ。 フィリスはそう言いたげに苦笑した。 フィリスのように天使でもない限り、難しい話である。

 

「とりあえず、お世話になったお礼とかしたいし…………里長さんのところへ一緒にいかない? 詳しいお話を伺えるかもしれないわ」

「だな。 あたしらもクルーヤのことでお礼も言いたいよ。 じゃあ早速いこーぜ」

「はい」

 

 クルーヤのすすめもあり、また自分達も挨拶はしたいと思っていたのもあって、クルーヤの案内の元フィリスとセルフィスはこの里の長の家へ向かう。 里長である男性は、クルーヤが訪ねてきたと知ると、よろこんで迎え入れてくれた。

 

「おや、あなたはクルーヤさん。 体の具合はどうですかな?」

「ええ、宿屋の店主さんや皆さんのおかげですっかり。 それに、私と一緒に旅をしていた仲間とも、こうして再会できました」

「ほう、あなた達が……」

「初めまして。 このたびはクルーヤがお世話になりました」

「彼女はあたし達の大事な仲間です、助けてくれたことに…感謝しています」

 

 そうクルーヤのことでお礼を言った後で、フィリス達は早速本題に入る。 空の英雄のことをたずねてみると、里長はその問いにこたえてくれた。

 

「我々ドミールの里のものは、長年グレイナル様を崇めて、慕っているものの集まりなのです。 そしてそのグレイナル様のお世話を代々つとめているのが、里長である私達の役目なのです」

「へぇ…」

「して、あなた達がそのグレイナル様のことを聞くとは……何か理由がおありなので………?」

「ええ、実は…………」

 

 フィリス達は、ドミールの里を訪れた理由や、仲間と離ればなれになってしまった理由をすべて里長にはなした。 話の中に黒い竜、という単語を聞いたとき、里長は驚く。

 

「黒い竜………? それはもしや、ガナンの闇竜…バルボロスのことですか!?」

「ええ」

「そんなバカな………闇竜バルボロスは300年前の戦いで、グレイナル様に滅ぼされたのですぞ………!?」

 

 やはり、そう簡単には信じることはできないようだ。 それもそのはず、バルボロスというのは既に亡き者となっているのだから。 しかし、里長はフィリス達をみて、事情をくんで考える。

 

「しかし、そのようなウソをつく理由も思い当たらないし、そのためにここまで来るなど考えられない…………」

「里長さん……」

「わかりました、グレイナル様にお会いし、お話を伺ってみるとよいでしょう」

「よろしいのですか?」

「ええ、とはいえ………粗相のないようにお願いいたしますよ……」

「わかってますよ。 許可をくれてありがとうございます」

 

 

 そうして里長から許可をもらい、グレイナルに会いに行くことになった一行。 グレイナルはドミールの里よりもっと高いところ…ドミール火山の頂上に隠居しているとのことなので、そこへ続く道の番人に、話をして道をあけてもらったのである。

 

「………ここを抜けた先って………火山の中だけあって、すっごく暑いわね」

 

 しかしその道中はまさに灼熱地獄。 おまけに魔物まで出てきて、そうそう楽に通れるものではない。 クルーヤは先ほど出現したようがんまじんをヒャダルコで一掃したあとで、額の汗をぬぐいとり周囲をみる。 場所によっては溶岩が流れているところもあり、あれに近づいたらひとたまりもなさそうだと呟く。

 

「………ホント、この先にいるというグレイナル様ってどんな人なんだろうな?」

「あーあぁ……さっさと用件済ませてかえって、オフロはいりたーい…!」

 

 フィリスはグレイナルの存在が気になっている横で、サンディは汗だくなのが許せないのかグチをこぼす。 その一方でセルフィスは、ドミールの里の人達に聞いた、ガナン帝国についての話をする。

 

「………ついでと言ってはなんですが……。 僕は里の皆様にガナン帝国のお話を伺いました。 本当に力と数で圧倒する、やりたい放題の悪の帝国だと…………」

「それってただの暴力団じゃねーか」

「しかし………この伝承多き地であれど、ガナンの悪行は多く残っているものの、ガナンが滅んだ理由まではわからなかったそうです……。 かの帝国は、なんの前触れもなく突然として滅んだというのです」

「そうなんだ」

「この話………義兄上にしたら、なにか真相にたどり着けるのでしょうか………」

 

 歴史に詳しい義兄のことを思い出しながら歩いていると、セルフィスは真上から光が射しているのに気づく。 その光は炎のものではなく太陽のもの……外からの光だと気づき、フィリス達はもうすぐに外にでられるとよろこぶ。

 

「もう少しで頂上だよ!」

「あぁ、もうすぐなんだなぁ。 ……めっちゃ暑かった………」

 

 ここにでれば、グレイナルに会えるかもしれない。 そう思った3人は足を早めてすぐに外にでる。 外にでてからも上への道が存在していたものの、洞窟の中に比べればどうということはない。 そうして3人はやがて、祭壇のようななにか、広い場所にたどり着いた。

 

「広い場所ですね」

「ここに、グレイナルさんがいるのかな……ん?」

 

 その奥に、洞窟があることに気付いたフィリスは、そこにグレイナルが住んでいるのかと思い、思い切って声をかける。

 

「洞窟? まさかこの奥に……すみませーん!」

「………誰じゃ?」

 

 そんなフィリスの声に返事をする声がして、ズシンズシンという重々しい音を立てながら、その存在は姿を現した。 白い鱗におおわれた細長い体に、するどい目、するどい爪のある腕には翼がついており、長い髭をたくわえた、その存在がフィリスの前に現れる。

 

「へっ!?」

「ど………」

「ドラゴンッ!?」

 

 そこでフィリスも、セルフィスも、クルーヤも、驚愕する。 そこにいたのは白い竜であり、話の通りであればこの竜こそが空の英雄の正体なのだ。

 

「ふむ……里のものでは、ないようじゃな…」

「…………あなたが、グレイナル様ですか?」

「いかにも…わしがグレイナル。 空の英雄グレイナルじゃ」

 

 やはり、この竜が空の英雄グレイナルらしい。 グレイナルはじろじろとフィリス達をみながら、何のようだと問いかけていたが、やがて何かに気付く。

 

「このにおいは……!」

「!?」

「忘れもせぬ………魔帝国ガナンの者共にまとわりつく………あの不快なにおい!」

 

 グレイナルは訝しげに3人…とくにフィリスをにらみつける。

 

「貴様…………さてはガナンの手先だな! 性懲りもなくわしの命をねらってきおったか…!?」

「ええ、ちょ、ちがっ……」

「よかろう! いにしえの竜族の力、思い知らせてくれるわ!!」

 

 そう言ってグレイナルは真っ先に爪を振り下ろしてきた。 それにたいしフィリスは盾で受け止め、剣で攻撃を試みる。 しかしグレイナルの爪はそれを妨げた。

 

「そこだ!」

 

 そのときセルフィスが槍を振るい、グレイナルを止める。 そしてクルーヤがヒャダルコを放って相手の動きを封じようとする。

 

「おのれ、こざかしい!」

 

 そうグレイナルはさけび、邪魔だと思ったセルフィスとクルーヤにたいし攻撃を仕掛けてきた。 それに気付いたセルフィスとクルーヤは咄嗟に防御の姿勢をとる。

 

「グッ……!」

「フィリス!」

「フィリスさんっ!」

 

 だが、彼らに攻撃は届くことはなかった。 フィリスが2人の前にでて、その攻撃から2人を守ったからだ。 そのせいか、フィリスの肩が血で染まっている。 彼女の行動に対し、セルフィスとクルーヤのみならず、グレイナルも目を丸くさせた。

 

「自ら、ここに身を投げ出すとは……」

「当たり前だ、それくらいしてやる!」

 

 そう言いながら、フィリスは傷を押さえつつ立ち上がり、剣をグレイナルに向ける。

 

「………あたしだけが気に入らないなら、あたしだけをねらえ! 他の仲間には、手をだすなっ! 空の英雄でもドラゴンでも、それだけは絶対に許さない!」

「…………」

 

 そんなフィリスにたいし、グレイナルは容赦なく爪を振り下ろそうとした、その時だった。

 

「まちなされ!」

 

 

 突然声がしたかと思えば、そこには里長の母である老婆が駆け寄ってきていた。

 

「おばあさん?」

「気になって来てみれば………これは、どういうことなのですか? 貴女方は確か……黒い竜を追うために…グレイナル様に、助けを求めにこられたのではないのですか!?」

「そ、そのはずだったんですが………」

 

 自分達もそのつもりだったし、戦うつもりもなかった。 だがグレイナルに何故か誤解をされて戦う羽目になってしまったのである。 その内容を語った直後、グレイナルは黒い竜という単語に反応を示した。

 

「黒い竜……じゃと? ………それは、バルボロスのことか? ヤツならわしが300年も前に倒したはずではないか……」

「そう、僕達も聞いています! しかし、その黒い竜が再び我々の前に現れたのです! だから……貴方に助けを求めに来たんです!」

「ふむ………わしにもう一度バルボロスと戦え…と言うことじゃな?」

 

 グレイナルの言葉に対し、老婆は戸惑いつつ答える。

 

「……あ、いや…そこまでは…………。 ただ、助言がほしいという意味かと………」

「空も飛べぬモウロウとしたわしでは、バルボロスとは戦えんか?」

「えっと………」

「………どちらにしろ、お断りじゃ。 帝国の手先と同じにおいをまとった者など、信用できぬ…。 バルボロスの復活も、デタラメじゃ!」

「そ、そんな……!」

「そうですか、それなら仕方がないですな………」

 

 グレイナルの言葉を聞いた老婆はあきらめたように首を横に振り、申し訳なさそうな顔をしてフィリス達の方を向いた。

 

「お聞きになったとおりじゃ。 グレイナル様がこう仰る以上……わしにはどうすることも出来ぬ。 お客人には申し訳ないが、今日は立ち去ってもらえんかね………?」

「それがいいわい、とっとと立ち去ってしまえ! もはやお前達が帝国の手先かどうかなど、どうでもよいわ!」

「……………」

 

 とりあえずガナンの手先ではないという誤解は解けたのかもしれないが、これでは助けを請うどころか、話すらろくにできないだろう。

 

「とりあえず、傷を回復しますね」

「……」

 

 ガナンの手先、それと同じにおい。 それらの単語を聞いたフィリスは思い詰めたような顔になる。 とりあえずセルフィスは彼女がけがをしていたことを思い出したようであり、回復魔法で彼女の傷をいやす。

 

「手先………」

「フィリス……?」

「…………違う…………そんなはずは………そんなことは………」

「フィリスさん」

 

 思い詰めているフィリスに対し、セルフィスが声を上げる。 それで我に返ったフィリスは、自分の傷が癒えていることに気付きつつも、自分で考え込んでいて彼らのことを忘れていたことを謝罪した。

 

「あ、ごめん、あたし……」

「……………」

 

 クルーヤもセルフィスも、フィリスが戸惑っている理由に何となくの察しがついていた。 グレイナルはフィリスを強く拒絶したその理由にも。 だが、二人ともその深い部分はなにも言わなかった。

 

「でも……ビックリしたよネッ! まさか空の英雄グレイナルの正体がドラゴンだったなんて、聞いてないんですけど! まぁでも、どーりでガナン帝国との戦いから300年経ってるのに、生きているワケだ………」

「ああ、納得しちゃうな」

「でもすっかりおいぼれちゃって、空の英雄なんて呼ばれていたのは大昔の話ってカンジ。 こっちの話もロクに聞いてくんないし、ありゃ使い物にならないって!」

 

 グレイナルに関する感想を思ったまま口にしたサンディは、フィリスにもう帰るようにうながす。

 

「もういいから、帰っちゃおうよ」

「うん………仕方ないよね………」

「でも……これでまた、振り出しですね…………」

「うーん………。 これからどうする?」

「そりゃ、まずはイアンを探すことから始めるっきゃない…………」

 

 3人でこれからのことを話し合っていた、その時だった。

 

「きゃぁああーーーっ!!」

「うわ、うわぁ!」

 

 洞窟の出口付近で、人の叫び声が聞こえてきた。 その声はおそらく、ドミールの人々のものだろう。

 

「なにかあったのかな!?」

「行ってみましょ!」

 

 そう思った3人は走って、里へ向かった。

 

 

 

 ドミールの里では、人々が魔物から逃げまとっていた。 その中で一人の青年が、デビルアーマーにおそわれそうになっていた。

 

「うわぁ!」

「であぁっ!」

 

 そこにセルフィスが割って入り、槍で相手を貫く。 それによりデビルアーマーは倒れ、セルフィスは槍を構えたまま、助けた青年の無事を確認する。

 

「大丈夫ですか! なにがあったのですか!?」

「突然、怪しい連中が里に入り込んできて、暴れ回り始めたんです! 奴ら、魔物を引き連れていて…………」

「あれは……あの赤い鎧は……魔帝国ガナンの………!? ま、まさかそんなはずは…………」

「なに!?」

 

 フィリスも死霊の騎士を、クルーヤもしにがみ兵を倒しつつ、里の人々になにがあったのかを問いかけ、この地でなにが起きているのかを確かめる。 どうやら突如として魔物連れの連中が攻撃しにきたらしい。 別の方向では子どもが魔物に殺されそうになったが、そこにハオチュンが駆けつけて魔物を倒し子どもを救出していた。

 

「ハオチュンさん!」

「私は里の者を避難させる、本陣はこの先にいるはずだ…そちらはお前達に任せるぞ!」

「…わかった、ここの人達をお願いするよ!」

 

 里の人々をハオチュンにたくし、フィリス達は謎の敵のいる広場へと向かう。 そこでは、厳つい赤い鎧をまとった兵士が何人もいた。

 

「このドミールはかつて、我が帝国に逆らった者達の巣窟………地上に残す価値のない場所だ! 空の英雄グレイナル共々、この地にいる者は……一人残さず葬り去ってくれようっ!」

 

 そう言った後で兵士は部下にやれ、と指示を出す。 すると指示をうけた兵士が建物を次々に壊していった。 家の破片が飛び散り、そこから人々が逃げていく。 そんな人々に対しても、兵士は容赦なく武器を向け、彼らを殺そうとしていた。

 

「イオラッ!」

 

 だがそれを、爆裂の魔法が妨げる。 何事かと驚いている間に、フィリスが魔物を切り倒しながら立ちはだかる。

 

「お前達、暴挙は許さないぞっ!」

「グヘヘ…………ネズミはネズミらしく、ビクビクしてオレ達におとなしく殺されていればいいものを……」

「刃向かうというのなら、お前達からぶっ殺してやろう!」

 

 そう言って兵士はその鎧の間から、腐った肌をみせながら、フィリスに襲いかかる。 それをフィリスは剣で受け止めて逆に切り返す。

 

「その言葉、そっくりそのままお返しするぜ!」

 

 フィリスははやぶさ斬りで敵の兵を倒し、さらにそこにセルフィスが入ってきて、さみだれ突きで敵を倒す。

 

「不届きものは、成敗いたします」

「フッ」

 

 セルフィスの言葉に対しフィリスが笑みを浮かべると、そこにあの赤い兵士が本性である魔物の姿を露わにしながら、フィリスに攻撃を仕掛けてきた。 だがそこにクルーヤがメラミを打ち込み、セルフィスが槍でつき、弱ったところでフィリスが剣を大きくふるい切り裂くことで、その兵士は致命傷を受ける。

 

「よくもやってくれたな………このこと将軍に報告せねば………」

 

 そう言って兵士は体を引きずりながら、どこかへ立ち去ろうとしていた。 だがそこに、冷徹な声が響きわたる。

 

「ホーホッホッホ………もう知っていますよ………」

「えっ!?」

 

 その声とともに姿をあらわしたのは、鳥のような頭部を持ちローブを身にまとった謎の魔物。 その魔物の姿を見たセルフィスとクルーヤは目を丸くする。

 

「ゲルニック将軍!」

「やれやれ………偉大なる帝国の兵士ともあろう者が、人間ごときにおくれをとるとは………全く嘆かわしい限り…………」

 

 ゲルニック将軍、と呼ばれたその魔物は、その手に魔力をためるとそれを兵士に向かって投げつけてきた。

 

「なにを……!?」

「あなたには、どうやらお仕置きが必要なようですねッ………」

「ぐぎゃぁあーーーっ!!」

 

 その魔力に飲まれ、兵士は消滅する。 そんな冷酷非情な姿を見たセルフィスはなんとむごい…とつぶやいた。 そのときゲルニック将軍はフィリスの存在に気づく。

 

「おや……どこかで見たと思ったら、あなたはイザヤールさんの………」

「なにっ!?」

「生きていたとは…………敵はグレイナルだけではないということですね。 まぁいいでしょう…………まもなくこの地はすべて、我々ガナン帝国によって、消えてしまうのですからね」

 

 それだけを言い残し、ゲルニック将軍は真上に飛んでいってしまった。

 

「まてっ」

 

 フィリスはイザヤールに関する手がかりを手に入れようとして、ゲルニック将軍を捕まえようとしたのだが、その手は届くことなく敵は姿を消してしまった。 そのことにたいしフィリスは、悔しげに舌打ちをする。

 

「クソッ!」

「…………」

 

 そのとき、セルフィスとクルーヤの顔色がどこか優れないことに気づいたフィリスは、二人の名前を呼ぶ。

 

「セルフィス、クルーヤ?」

「先ほどの…将軍と呼ばれた魔物………あれが、バルボロスの背に乗っていた魔物です………」

「!」

 

 あの天の箱船から落とされたときに、そこにいた存在。 それがあのゲルニック将軍であると知ったフィリスは、師匠のことを思い出す。

 

「さっき師匠の名前を口にしたように、なにか関係があるんだな………」

「そうなのでしょうね………でも………」

 

 関係はあるのかもしれないが、真実を知るにはあのバルボロスを追わねばならない。 しかし手がかりが途絶えてしまっている。 それはフィリスも百も承知のようであり、だからこそ決意を新たにする。

 

「いいさ! どこまでも追いかけて、ぶっ飛ばして、とっつかまえて! あいつの口から師匠のことを聞き出してやるっ!」

 

 フィリスは、あの将軍や黒いドラゴンと戦う意志を、改めてかたくしたのであった。

 

 




次回は光と闇の衝突!
その結末を刮目せよ!?

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