配信クエストの後だと、色々矛盾を感じますね。
天使界に帰還したフィリスは、自分が集めた女神の果実がここにあったのを知り、言い伝えの通りに女神の果実を神の国に送り届けることになった。 そして、そのためには天の箱船に乗る必要がある。
「…………なるほど…神の国に女神の果実をねぇ…。 じゃ、ちょっと待ってろよ……」
フィリスから今後の目的についての話を聞いたアギロは、なにかに納得したかのように、操縦席でなにかを操作しはじめる。
「神の国にいくなら、おみやげ持って行ったほうがいいかなー?」
「神様へのおみやげってなに?」
サンディの脳天気な言葉に対してフィリスがツッコミを入れていると、自分も神の国へいくと言っていたオムイも乗り込んできた。
「ほっほう! 天の箱船の内部はこのようになっておるのかぁ。 どれどれ、失礼いたしまずぞ……」
「あ、長老様」
「おぉ………女神の果実と同じ黄金の光に包まれておる! さすが、神の創りたもうた舟じゃ……」
そしてオムイは、すぐにサンディの存在に気付いて彼女に勢いよく駆け寄り声をかけてきた。
「おお! あなたは天の箱船のキャンペーンガールの方ですな!?」
「ひょえ?!」
「きゃんぺーんがーる?」
「わしは、天使界の長老オムイ。 お見知りおきくだされ! そして……ええっと、そちらは?」
オムイはアギロの存在にも気付くと、アギロの方が名乗りを上げる。
「天の箱船の運転士、アギロともうします。 ここにいるフィリス達とは戦友でしてね………」
「ほほう、これはご丁寧に」
礼儀正しく挨拶をしてきたアギロにたいし、オムイも軽く礼をして挨拶をする。 そして、自分はこれからどうしたいのかを、アギロに伝える。
「さて、運転士どの。 貴方にお願いがあります。 フィリスの活躍により、女神の果実は天使界に戻りました。 言い伝えに従い、我らをこの天の箱船で神の国へと、連れて行ってくだされ」
オムイの願いを聞いたアギロは、なにかを噛みしめるかのように口を開いた。
「……………かつて、神はこのように命じました。 女神の果実が実ったならば……この天の箱船に天使をのせ、神の国までつれてこい……と。 つまり、今こそ神の国へと向かうべき時なのでしょう……」
「いけるの?」
「ああ! ようし! じゃあ神の国まで、ひとっ走りまいりましょうぜ!」
「おぉー!」
そうアギロが操縦席で捜査を開始し、機動レバーを動かすと、天の箱船が機能を開始させ、動きだした。 そして、天の箱船は空高く飛び上がっていく。
「そういえば……イアンたちは?」
「天使界に残してる。 そばにはラフェットさん達がいるから、大丈夫だよ」
サンディに仲間達のことを伝えているフィリスの横では、はじめてみる景色に興奮するオムイの姿があった。
「信じられん、もう天使界が豆粒のように見える…………。 天の箱船とは、まさしく神の奇跡じゃな…………」
そこでオムイはアギロに問いかける。
「運転士アギロどの。 貴方はこの天の箱船に乗られて長いのですかな?」
「ええ………神が天の箱船をお作りになったその日から、運転士として乗り込んでおります」
「っていうか……そんな昔から天の箱船に乗ってるって、テンチョーってすげーオッサンじゃん………」
「それ、オッサンってレベルじゃないだろ…」
フィリスがこっそりツッコミを入れる横で、アギロはサンディのテンチョー呼びに不満の声を上げている。 そのやりとりを一度見ているフィリスはそれをみて、またやってるよと呟いた。
「………フィリスよ……改めて確認したい………」
「はい?」
そんな中、オムイは神妙な顔つきになって、フィリスに問いかける。 確認のために。
「イザヤールがお前を襲い、女神の果実を奪ったというのは……間違いない事実なのか?」
「……………」
オムイ自身も、フィリスがこの問いに対して答えづらいことは重々承知している。 だが、黙っていたままでもなにも解決はしない。 だから、確認をしたかったのだ。 フィリスは一度黙ったが、真剣な面もちになってオムイの問いに答える。
「……はい………あの時彼はあたしを切り裂き………バルボロスや敵の将軍とともに、女神の果実を持ち去っていきました。 幸いにもあたしは人に助けられ一命を取り留め、ここまで戻ってくることはできたんですが………でも…………」
「……………」
そう語り、フィリスは自分の胸に手を添えた。 そこには、イザヤールの剣による大きな切り傷が存在している。 そこに傷があることも、そしてフィリスが受けた心の傷はそれ以上のものだと悟ったオムイは言葉を続ける。
「………イザヤールが何故そのようなことをしたのかは、わしにはわからぬが………あやつは確かに、天使界へ女神の果実を届けた。 魔帝国の僕であるはずがない……」
「………………」
「いずれにせよ、わしはイザヤールを信じておる。 どちらの話を真実にするにしても…な。 もちろん、フィリスのこともじゃ」
「長老様……ありがとうございます……」
自分の言葉に対し、フィリスが安堵の表情を浮かべながら頷いたのをみた長老は、箱船の窓から外を見る。
「もうすぐ…この天の箱船も神の国に到着するじゃろう。 そこへいき、神にお願いをしよう。 天使界と人間界を救ってくれ……と………」
「はい……そうすれば、師匠も戻ってきますよね」
「うむ……きっと、な……」
フィリスとオムイがそんな会話をしていると、その瞬間はすぐに訪れた。
「ついに、神の国に到着しましたぜ!」
「ホント?」
アギロに言われて外を見ると、そこには不思議な宮殿と空に浮かぶいくつもの島が見えた。 島にはいくつか虹の橋がかかっており、建物は真っ白の大理石のようなものでできており、その空は透明のような色をしていた。
「ここが、神の国………!?」
その景色にたいし、フィリスは身が引き締まるような感覚におそわれながら、そう呟いた。 そして天の箱船は浮島のひとつ、停留所のような場所に停まり、その中からフィリスとオムイ、サンディとアギロがおりてくる。
「おお………ここが、神の国………! まさに……神聖なる空気に満ちあふれておる………!」
「………」
この地に感動を覚えているオムイとは対に、フィリスはどこか落ち着かない様子だった。 とりあえず、神様に会わねば話ははじまらない。 どこかにいないのかとフィリスはアギロに問いかける。
「この階段をまっすぐあがっていったところに、神様がいるはずだぜ」
「じゃ、行こうか」
そうサンディにも言われ、フィリスは階段を上がっていく。 その途中ではふわふわと浮かぶ小さな島に、ほこらのようなものがあるものの、どこからも気配は感じない。
「こんなにきれいなのに………誰もいないなんて、なんか寂しい世界だな………」
「あの宮殿の中なら、誰かいるんじゃね?」
「そだな」
道中では、世界創造の話が刻まれた石版があり、人間の善悪や創られたものの順番などが記されていた。 それを視界にいれつつ、フィリス達は最上層にある宮殿に足を踏み入れる。
「我々天使の、数千年に及ぶ悲願が…………神にお会いするときがとうとう…………!?」
期待を胸にオムイは扉を開けたものの、そこには想像を絶する光景が広がっていた。 床は大きく裂け瓦礫がつもっており、美しい装飾は砕かれ高貴な絨毯は焦げ付いている。 想像していなかった景色に、その場にいた全員が呆然としていた。
「なんだ、こりゃ………」
「こ…………これは………! 一体何があったのじゃ?! まさか、天使界を襲ったあの邪悪な光は………神の国をも…………!?」
「うそ、ここまで届いたとか………マジ?!」
「どうなっておるのだ、我らが神はいずこに? 神よ、お答えくだされ!! いったいどちらにいらっしゃるのですか…………!?」
オムイは神に必死に祈るかのように声を上げるが、それに返事をするものはいない。 オムイの叫びは、ただこの宮殿に谺するだけだった。
「……………神よ…………なぜ、お答えくださらないのですか? なにがあったのじゃ…………」
「長老様……」
オムイの信仰心を知るフィリスは、愕然とするオムイにたいしかける言葉が思いつかなかった。 そんなフィリスに、アギロはこの中を探索する必要があると告げる。
「とにかく、この宮殿の中を探し回ってみようぜ。 なにか、神様の姿か……あるいは、手がかりが見つかるかもしれねぇ」
「わかった」
そうフィリスは答え、2階への階段を発見しそこを駆け上がっていく。 その部屋は、下の様子とは打って変わって美しく、大きな窓から神々しい光が注がれていた。 そこには祭壇のようなものもある。
「ここは………?」
「…………これは、なんと神々しい光が注がれておるのじゃ………」
「長老様、もしかして…ここに?」
「うむ、女神の果実を捧げるのじゃろうな。 フィリスよ」
「はいっ」
オムイの言うとおり、フィリスはその場所に、オムイから授かった女神の果実を高く掲げる。 すると7つの女神の果実は宙に浮かび、やがて光を放つ。
「……………!」
「うわっ」
光と女神の果実が消え、一度は沈黙していたものの、やがてフィリス達の脳裏に、不思議な声が響きわたってきた。
「…………守護天使フィリス………そして……長老オムイ。 私の声が聞こえますか………」
「この声は…! あのときの…」
「その声は!? あ、あなたが神なのですか……!」
オムイが問いかけると、声は返事をした。
「…………いいえ………。 私はあなた方天使が神と呼ぶ者ではありません…………。 人間の清き心から生まれた星のオーラは、世界樹に女神の果実を実らせ、天の箱船を神の国へと導きました…………」
「………………」
「そうして………フィリス。 あなたがたが神の国へと女神の果実を届けてくれたおかげで……………私は、何千年もの永き眠りから目覚めることができたのです……………」
「眠り……?」
眠りとはなにか、とフィリスが疑問を抱いていると、声は再び彼女らに告げる。
「……………天使達よ………私の元へと、お帰りなさい…………」
その言葉とともに、フィリスたちはある場所にとばされた。
「え、えぇ!?」
「ここって、天使界……!?」
不思議な声によりフィリスたちが導かれたのは、天使界だった。 しかも、ただ戻ってきたわけではない。 彼らの目の前には、あの世界樹がたっていたのだ。
「フィリス!」
「イアン、セルフィス、クルーヤ!」
そこにはなんと、天使界に残していたフィリスの仲間達の姿があった。 天使達でもなかなか立ち入ることができない場所に、彼らがいることに、フィリスは驚く。
「どうしてここに!」
「なんか……みんなとお前を待っていたら、このでけぇ樹が光ったから、急いでここにきてみたんだよ! そしたらお前達が現れるから………ビックリしたぜ」
「確かに、光ってる………これはいったい…………?」
イアンの言葉で、フィリスも世界樹が光を放っていることに気付く。 これは、星のオーラを捧げたときや女神の果実が実ったときとは、また違う輝きだ。
「…………おかえりなさい………天使達よ…………」
「またあの声!」
「……なにがあったの?」
どうやらあの声は、フィリスの仲間達には聞こえていないようだ。 そんな彼らにフィリスは声が聞こえてくるんだと説明をすると、世界樹の上の方にぼんやりと、女性の姿が浮かび上がった。 金色の長い髪に陶器のような肌、すんだ青空のような瞳を持つ、美しい女性だった。
「だ、誰………なの……?」
フィリスの仲間達にも、この姿は見えているらしい。
「私は、あなた達が世界樹と呼んでいたもの……………創造神・グランゼニスの娘…………女神セレシア………」
「なんと………?」
女性は女神セレシアを名乗ると、フィリス達は驚く。 すると、側にいたイアン達も彼女の声が聞こえるようになったらしい、セレシアの存在に対し驚いている。
「これが、女神様………」
「なんという、ことなのでしょうか………!」
「あなた達天使が………長い間人間界を守り…………星のオーラを捧げてくれたおかげで……私はこうして目覚めることができました。 ありがとう。 ………………そして、フィリス……………」
「えっ?」
「一度は失われた女神の果実を、取り戻してくれたこと心から感謝しています。 そのお仲間である人間にも………同じくらいに…………」
そうセレシアに告げられると、イアンは思わず背筋をのばし、クルーヤは胸に手を当て、セルフィスは頭を下げる。 そんな彼らの反応にフィリスは苦笑している一方、オムイはセレシアに問いかける。
「女神セレシア様…………とお呼びすれば、よろしいのでしょうか? 貴女様は何故、世界樹に………?」
それは、そもそもの疑問だった。 世界樹の正体が女神であるとしても、何故その姿になって眠っていたのか。 その理由に見当がつかない。 そんなオムイ達に、セレシアは目を細めながら理由を説明する。
「人間界を……守るためです………」
「人間界を? なにから……」
「父からです」
父、ということは創造神のことだ。 セレシアの口からでた事実に、フィリス達は呆然とする。
「父なる神、グランゼニスはかつて人間は失敗作だと言って人間達を滅ぼそうとしました」
「!?」
戸惑うフィリス達に、セレシアは自らの力を使い、自分が世界樹になったいきさつをそこにいた者達にみせる。
神の国の大きな宮殿の中には、女神セレシアともう一つの存在があった。 髭を生やし神聖なトーガを身にまとった、厳しい性格が全面にでている顔つきの老人だった。
「人間は失敗作だ………………人間達はこの世界にはふさわしくない。 私は人間を滅ぼすことにした………」
この老人のような存在こそ、創造神グランゼニスなのだろう。 グランゼニスは、人間を滅ぼすという冷酷な判断をとると、そのために力を解き放った。 その力が地上に届きそうになったとき、彼が放ったのとはまた別の力がそれを妨げる。
「お待ちください!」
その力を放ったのは、セレシアだった。 娘に自分の行動を止められたこと、そして彼女が人を助けるという判断をしたことを理解できないグランゼニスは、セレシアに怒鳴る。
「なぜ止めるのだ、セレシア! 人間達など……庇う価値がないではないか!」
「………いいえ、私は人間達を信じます。 人間を滅ぼしてはいけません! どうか………!」
「ええい、じゃまをするな!」
グランゼニスはもう一度、力を放とうとしたが、そんな彼の目の前で異変が起こる。 セレシアはその体から、光を放ち始めたのだ。
「何のつもりだ、セレシア!?」
その光はセレシアの体を包み込み、やがて彼女の体から木が生えてきた。 その木は徐々に大きくなっていき、根がはい枝が伸び葉がつく。 みるみるうちに、セレシアの体は一本の樹木となったのであった。
「お父様がどうしても人間を滅ぼすというのなら、私は世界樹になりましょう…………。 世界樹となったこの身を元の姿に戻すのは、人間の清き心だけ……………人間はまだ、清き心を失ってはいないはず………。 私は………この身をもって…………その、ことを……………」
証明する、という前にセレシアは完全に世界樹となってしまった。 娘のとった行動に対し、グランゼニスは呆然とする。
「なんと、なんという愚かなことを…………! セレシア、お前にはわからぬのか? もし人間の心が邪悪であれば、世界樹となったお前は永遠に…………」
その声は、既にセレシアには届いてはいなかった。 彼女の意識は完全に眠りについたのだ。 ここにあるのは世界樹であり、もうセレシアはいないという現実を知ったグランゼニスは絶望の声を上げる。
「おお…………なんということをしてしまったのだ、セレシアよ…………!」
しばらく、彼女のことで絶望していたグランゼニスだったが、やがて顔を上げるとあることを決める。
「いいだろう、セレシアよ………。 お前のその愚かさに免じて、人間を滅ぼすのは………しばしまとう。 そして、世界樹となったお前の手足となる者を創り…………その者達に、人間を見守り清き心の証を集める役目を与えよう…………」
そうすることで、グランゼニスはセレシアと、彼女が守ろうとしていた人間達を試そうとしているのだ。 壮大な態度でそう言った後、グランゼニスは寂しげに世界樹を見つめて、つぶやいた。
「…………わが娘……セレシアよ。 お前が女神として……目覚める日は来るのであろうか………………」
そこで、セレシアの回想は終わった。 その映像はフィリス達にも見えていたようであり、その内容にたいし呆然としていた。
「清き心の証とは、あなた方が星のオーラと呼ぶものです。 父なる神グランゼニスに、人間は邪悪ではないと信じてもらうため………私は自ら世界樹となりました…………」
「なんと………!」
「……………人間の清き心から生まれた星のオーラを、世界樹に捧げれば……いつの日か女神の果実が実る……。 女神の果実が神の国へ届けられし日、私は女神として目覚めるのです…。 そして人間達を見守り……星のオーラを捧げるため、実った女神の果実の力で渡しをよみがえらせるために………父なる神グランゼニスが創りだし、生み出したのが……………あなた方天使と、天使界なのです……」
自分達の役目や存在の理由を知ったフィリスは、目を丸くしていた。 それは、側にいたオムイも同じらしい。
「それが、あたし達……天使の生まれた……意味だったのか………」
「……………」
「我ら天使に、そのような役目があったとは………!」
まだ現実を理解するのには時間がかかる。 そんな中でオムイは気がかりだったことを直接、セレシアに問いかける。
「な、ならば……グランゼニス様はいずこにおられるのですか…………!? よもや……あの神の宮殿を破壊した邪悪な光によって……神はすでに……?」
「そ、そうなのか………!?」
オムイのその問いに対しセレシアはふと己の力を使い、グランゼニスを探し始める。 そして、やがて答えを出す。
「…………父グランゼニスが滅びたのなら、私もこの世界も、とうに消え去っているはず…………」
「ま、まぁ……確かに……」
「私にはわかります。 神の国にはいませんが…………父なる神は確かにおられます…………」
とりあえず創造神は生きているらしい、全員はほっと胸をなで下ろす。 そして、セレシアは皆に告げてくる。
「天使達よ。 あなた方に伝えたいことがあります…………。 神の国をおそった邪悪な光…………。 その源たる邪悪な光は、この世界を滅ぼそうとしています……………」
「邪悪な光………」
「時に忘れ去られたガナンの地…………蘇りしガナン帝国城に、邪悪な気配を感じます…………」
「やっぱり、そこか!」
ガナン帝国がすべてのカギを握っていると悟ったフィリスは、拳を強く握る。 そんな彼女に、セレシアは語りかけてくる。
「フィリス、そして彼女が決めた人間達よ………」
「はい!」
「魔帝国ガナンへ向かい、どうか邪悪な力から………人間達を守ってください。 邪悪な力が消え去りしとき……世界は、救われ…………どうか、フィリス……人間界を…………」
そういい残し、やがて世界樹から光は収まっていく。 同時に、セレシアの姿も見えなくなり、声も聞こえなくなっていた。
「セレシア様………?」
「きっとまた、眠ったのね………」
「おそらくは、まだ本調子じゃないんだろう………無理もねぇ、女神の果実が実ったと思ったらあんなことになっちまったし……世界もそれどころじゃないしな……」
アギロが冷静に、セレシアはまだ完全に復活できないことを説明している横では、オムイが女神に会えたことにたいする気持ちを口にしていた。
「身を挺して人々を守ってくれるとは…………。 女神セレシア様は、なんと心優しきお方じゃ………長年仕えていてよかった……………」
まさに感無量、となっているオムイのそばでは、フィリスが自分に受けられた使命について考えていた。
「………にしても、ガナン帝国か………」
フィリスがそうつぶやくと、彼女の肩を誰かがたたいた。 振り返ってみるとそこにはイアンがその口元に笑みを浮かべていた。
「いこうぜ、その邪悪なヤツをぶっとばしにさ」
「い、イアン」
「そうよ………ここまできたんだもの。 途中でおろされるなんてまねしたら、私は許さないからね」
「神の言葉、そしてあなたの決意を僕は信じて…………どこまでもついて行きます。 この命がつきるまで」
「クルーヤ、セルフィス」
イアンからはじまり、続けてクルーヤ、セルフィスと、彼女とともにいく決意を口にした。 そして、イアンは彼女の気持ちを確かめるように、彼女に告げる。
「どっちにしろ、お前の気持ちは決まってるんだろ?」
「………うん!」
その言葉を聞いて、フィリスは迷いなくうなずいたのだった。 なにもおそれることはないから。
次回はガナン帝国へ乗り込む…前に、仲間達の会話をお届けします。