絶望と憎悪の魔宮に突入したフィリス達は、そこでガナン帝国の将軍であるゴレオン将軍やゲルニック将軍と遭遇、戦闘をしたのであった。
「ゴレオン将軍だけでなく、ゲルニック将軍まで復活するなんて………」
「予想していたとはいえ、あの二人を相手にするのは………少し大変でしたね………勝てたのが幸いしましたが………」
そういいつつ、セルフィスはバッグからまほうのせいすいを出して自分の魔力を回復させる。 隣にいるクルーヤも同じことをしており、イアンとフィリスは特やくそうを使って。
「ということは………あいつもいるのか?」
「だろうね」
彼等が語るのは、帝国三将軍最後の一人のことだった。 しばしの休息を終えた四人はさらに先へ進む。 するとその先に真上に向かって吹いている風が吹き荒れているフロアにたどり着き、そのフロアに足を踏み入れた瞬間に真上に吹き飛ばされ、上の階層にたどり着いた。 どんなギミックなんだよ、とフィリス達が眉間にしわを寄せていると、聞いたことにある声が聞こえてきた。
「やはり、ここまできたか」
その声を知っているフィリス達が顔を上げてみると、そこにはギュメイ将軍の姿があった。
「お前は………ギュメイ将軍!」
「噂をすれば、なんとやら…ね!」
彼もやはり、エルギオスの力によってよみがえっていたのだ。 ゲルニック将軍はともかくとして、ゴレオン将軍はあっさりガナサダイ皇帝からエルギオスに乗り換えていたことを思い出したフィリスは、ギュメイ将軍にたいし口を開く。
「まさか……お前も………?」
「我が主君は……ガナサダイ皇帝陛下ただ一人。 二君に仕えるつもりはない」
そう言ってギュメイ将軍は剣を抜き、その切っ先をフィリス達に向ける。
「故に、陛下亡き今。 今の我の目的………喜びは……強敵との死闘のみ! さぁ………フィリスよ。 今一度、我が剣力と、お前の力……いずれが上か、競い合おうぞ!」
「………望む、ところだ!」
「おっと、オレ達も忘れるんじゃねーぜ!」
ギュメイ将軍の言葉に応えるようにしてフィリスが剣を構えると、同時にイアン達も前にでた。 そんな彼らに対してもギュメイ将軍は動じないどころか、上等だと答えた。
「フッ!」
「グッ!」
素早くギュメイ将軍は切りかかり、フィリスはそれを盾で受け止める。 だが相手の方が技が早く、すぐにギュメイ将軍は攻撃の方法を切り替えて、フィリスを斬る。 それによりフィリスの肩から血が流れたが、フィリスはうろたえることなくギュメイ将軍に反撃し、今度はギュメイ将軍の血がとんだ。
「バイキルトッ!」
クルーヤはフィリスにバイキルトをかけると、彼女は再び敵に切りかかる。 その一撃をギュメイ将軍は自分の剣で受け止め、唾競り合いに発展する。 双方は弾き飛ばされ、続けてイアンがギュメイ将軍に飛びかかり、拳をたたき込む。 その拳が腹部に命中したため、ギュメイ将軍は苦しげな声を上げた。
「ぐほぉ……!」
「どうだ!」
「……なかなかの力だ……だが! それで私は倒れはせぬっ!!」
そう言ってギュメイ将軍はすぐに立ち上がり、イアンを切り裂く。 彼はガードをして防ごうとしたが、体のあちこちに切り傷ができてしまう。
「イアンさんっ」
「………あったりめーだ………てめぇをこの程度で破れるなんざ、オレも思っちゃいねーって……!」
セルフィスがすぐにイアンにベホイミをかけて、彼の体の傷を消す。 それにより傷が癒えたところで、イアンは今度はフィリスと同時に攻撃を仕掛ける。
「フッ!」
ギュメイ将軍は、クルーヤの連続の攻撃魔法に足止めを食らっていた。 それこそ攻撃のチャンスだとにらんだフィリスとイアンは顔を見合わせ頷きあい、まずはイアンがギュメイ将軍につっこみ、氷結らんげきを繰り出す。 ギュメイ将軍はそれをさみだれ剣でむかえうつ。
「クッ!」
「むぅ…!」
ギュメイ将軍は打撃と冷気、イアンは無数の斬撃を受けて、互いにダメージを受けていく。 その直後、ギュメイ将軍の一撃を天地のかまえではじいたイアンの背後からフィリスが現れてギュメイ将軍につっこんでいき、はやぶさ斬りを繰り出した。
「はぁっ!」
「ぐぁぁぁっ!」
そのフィリスの技がとどめとなり、ギュメイ将軍は崩れ落ちた。
「…………やはり、見事だッ………」
その一言のみを残して、ギュメイ将軍も消え去ったのであった。
「っけ、悪人らしくない敵だったぜ………」
イアンは自分の頬に出来た傷から流れる血を払いながら、そう呟いた。
「みなさん、お疲れさまです」
「セルフィスが開始早々に、スクルトをかけてくれてたからだよ」
こうして4人は、帝国三将軍を打ち破ったのであった。
「あそこにいるのって………」
玉座に腰掛けている存在に対し、クルーヤは身を震わせる。 人でも天使でも、最悪魔物とも言い難いその存在に対し、恐怖を感じているようだ。 そして、フィリスはその存在が何者かを口にした。
「…………あれが………エルギオス………だよ」
「………もう、天使の面影はありませんね………姿だけでなく、力も……………」
「……………」
それを改めて感じ、フィリスは顔を一瞬うつむかせる。 だが、エルギオスのつぶやきが聞こえて、顔を上げて向かい合う。
「………………罪…………存在そのものが罪なのだ…………人間だけではない…………神のつくりしこの世界は、ありとあらゆる罪にまみれている……………」
「またブツブツと……わけわかんないことをつぶやいてやがる」
「……………すべての罪に……裁きをくださんとするならば、もはや世界を滅ぼすしかない……………」
「………………」
エルギオスは、血の色をした目を鋭く光らせ、フィリスを見つめながら問いかけてくる。
「……翼なき天使よ。 お前は我が目的を阻むために…ここまできたのか?」
「あったりまえだ! テメェの好き放題のために存在するほど、この世界も、その玉座も! ちぃっともやすくないんだよっ!!」
「…………愚かなことだ………私に牙をむき、守る価値なきものを守ろうとするなど………実に、愚か………」
エルギオスは不気味な笑い声をあげながら、玉座からゆっくりと立ち上がった。
「………だが………! 天使の理に縛られている以上………お前は我が敵になりえぬ! 身の程を知るがいい!!」
そう言ってエルギオスはフィリスにつっこんできたが、イアンがエルギオスより早く動き、エルギオスに一撃を与えた。
「てめぇの敵は、フィリスだけじゃねぇぜ?」
「……邪魔な人間は失せろ!」
そう言ってエルギオスはイアンの胸ぐらをつかんで投げ飛ばし、彼を壁にたたきつける。 イアンの体は壁にめり込み、そこにエルギオスはつっこんでいき、イアンの顔を強く殴った。
「ドルクマッ!」
「イオナズン!」
そのエルギオスを阻止せんと、セルフィスの闇の魔法とクルーヤの爆裂の魔法がエルギオスにヒットする。 だがその攻撃でエルギオスが倒れることはなく、エルギオスは二人に向かってしんくうはを放ち吹っ飛ばし、フィリスに一気に接近する。
「しねぇ!」
「ハァッ!」
エルギオスは鋭い爪でフィリスを切り裂こうとしたが、フィリスはそれを剣で受け止めて弾き飛ばす。
「なにっ!」
「はやぶさ斬り!!」
そこからフィリスは一気に踏み込んで、はやぶさ斬りを繰り出す。 不意打ちのごとく繰り出されたその剣技はエルギオスに大きなダメージをおわせ、フィリスはチャンスだとにらみ連続で切り裂く。
「ぐっ!」
「これで決めてやる!」
「グアァァァッ!!」
その剣を受けて、エルギオスはその身を大きく切り裂かれひざをついた。 だが今エルギオスは、自分が斬られたことよりも、フィリスが自分に攻撃できたことの事実と衝撃が大きいらしい、困惑している。
「………………な、何故だ………!? 何故………天使であるお前が、この私と戦うことができる………!?」
「お前と戦うためなら、あたしは手段を選ばない」
その言葉を聞き、フィリスの能力を探ったエルギオスは、彼女の選んだ道の真実を知る。
「…………そうか。 貴様………天使のチカラを捨てて、人間になり果てたな!」
「………」
「くっくっくっく…………愉快。 実に愉快だ………。 人間への憎悪によって堕天使となった私の前に立ちはだかるのが、天使を捨てて人間になった者とはな…………」
そう語るエルギオスに対し、フィリスは口を開く。 人は悪いものばかりでないと、伝えようとして。
「エルギオス、人間は……」
「黙れ!! きれいごとに満ちた説教など、ききたくもないわっ!!」
「やっぱり………ただ言葉の説得で解決するほど、生やさしい問題じゃないか………」
彼には説得はきかない、と判断したフィリスは首を横に振る。 この場合、自分の力を持ってして彼を止めるしかないと自覚したようだ。 そのとき、エルギオスの翼にわずかに残っていた、白い天使の羽が完全に抜け落ちる。 その下から、悪魔のような翼を見せながら。
「……………羽が…………」
「貴様が天使を捨て……人間となったのならば! 私も天使の姿を捨てて……完全なる破壊の化身と化するまでだ!」
「まて!」
「我があとを追いかけるがよい、人に堕ちし天使よ! 決着をつけようぞ!!」
そうフィリスに宣戦布告をし、エルギオスはとび去っていった。 そこで、イアン達がフィリスに合流してくる。
「エルギオスを探しましょう!」
「うん!」
4人はすぐに玉座の間をでて、エルギオスの姿を探す。 その時魔宮全体が大きく揺れたので全員体勢を崩してしまい、そのまま目の前にあいていた大きな穴に落下してしまう。
「「「「うわぁぁあぁっ!!?」」」」
4人ともその穴の中に落ちていき、やがてどこの空間かわからないところに落ちた。 自分達が落ちた先には幸いにも、柔らかい肉塊があったのでけがはないが、おちた先が肉塊と言うことが素直に喜べなかった。
「こ、ここどこ?」
「………強い闇の力を感じます……。 ここはおそらく、魔宮の中心……もっとも力が多く集まる場所………なのでしょう………」
セルフィスはこの空間から感じる気配を察知し、その場所の正体を予測して告げる。 目の前には、特に強い力を感じる謎の球体がある。
「………きたれ、闇竜バルボロスよっ……!」
その球体に全員の目がいった瞬間、エルギオスのものらしき声が響きわたった。 そして、その言葉に応えるかのようにどこからともなく、黒い竜が現れて、フィリス達の前に立ちふさがる。 その姿には、皆が見覚えがあった。
「バルボロスッ!?」
「こいつ、オレ達の邪魔をしようとしているみてぇだな……」
そこでセルフィスとクルーヤは、バルボロスの攻撃の前にグレイナルが亡くなったあの瞬間を思い出した。
「フィリスさん…」
セルフィスがフィリスの方をむくと、フィリスは地面を強く踏んで、剣を抜いた。
「上等だ! お前もいつかは……懲らしめてやらなきゃって思ってたところだしな!」
「グォォォオォウッ!」
「きやがれっ! ドス黒ドラゴンがっ!」
「グォォオオゥ!」
バルボロスは体をくねらせながら、黒い炎を吐き出してフィリス達を攻撃する。 それに全員耐え抜き、力をためた後でクルーヤからバイキルトを受けたイアンがバルボロスに飛びかかり、氷結らんげきを繰り出す。
「イオナズン!」
その直後、魔力覚醒を行ったクルーヤがイオナズンを放ちバルボロスを攻撃する。 セルフィスも、矢を放ちバルボロスを攻撃するが、直後にドルモーアを受けてしまう。 直前でマジックバリアを唱えたおかげで軽減はできたものの、セルフィスもかなりのダメージを受けてしまった。
「ドラゴン斬り!」
そこでフィリスはドラゴン斬りを繰り出してバルボロスを攻撃した。 その一撃はその身体に効いたらしい、バルボロスは悲鳴のような鳴き声をあげた。 やった、とフィリスが思ったのもつかの間、すぐにバルボロスは怒りの矛先をフィリスに向け、フィリスを爪で切り裂きその手につかみ、地面にたたきつける。 さらにそれだけではなく、フィリスに向かってドルモーアを放ってきた。
「うわぁぁぁ!」
「フィリス!」
「フィリスさん!」
その一撃を受けてフィリスの体力は一気に持ってかれる。 そのダメージに耐えて、なんとか立ち上がろうとしたフィリスの前にバルボロスは追撃を与えるため、あの黒い炎を放とうとしてくる。
「まずいっ……」
今すぐ反撃できない、と思ったフィリスだったが、そこにイアンが飛び込んで彼女をかばった。 それによりイアンは全身にダメージを受けて、ひざをついてしまう。
「グッ……」
「イアン!」
「オレにかまうなフィリス! お前があいつをぶった斬ってやれっ!! そのことだけを今は考えろ!!」
そう自分を心配してくるフィリスを叱責するイアン。 その直後、激しい爆発音が響きわたる。 クルーヤが再びイオナズンで、バルボロスを攻撃したのだ。
「グォォォオ!」
「なんのっ!」
バルボロスがクルーヤに向かって黒い炎を放ってきたが、クルーヤは勝ち気な笑顔を見せるとメラミで防いでみせる。
「私達だって、怒ってるんだからねっ! 好き放題に私達を振り回していっぱいいろんな人を傷つけておいて………簡単に許されるなんて思わないでってカンジだし!」
そう言って、クルーヤはマヒャドを放ってバルボロスを攻撃していく。 そして、4人を癒しの光が包み込んだ。 セルフィスがベホマラーを使ったのだ。
「僕も………ここで倒れるわけにはいきません。 まだ、ここに………この先にも………救うべきものがいる限り!」
セルフィスは全員の体力を回復させた後、再び弓矢を構えてさみだれうちを放った。 その矢はすべてバルボロスの眼球に刺さり、その痛みにバルボロスが苦しみ出す。
「………」
皆がバルボロスを相手に戦っている姿をみて、フィリスは深く呼吸をした。 今の自分はあのダメージなどなんてこともない、彼らを失うこと以上に苦しいことなどない、と気持ちを整えて。
「うぉぉおぉおおっ!!」
そして、雄叫びのような声を上げて、フィリスは剣に力を込めて飛び上がる。 それに気付いたバルボロスがフィリスに攻撃を仕掛けようとしていたが、それを立ち上がったイアンのばくれつ拳とクルーヤのメラミ、セルフィスのイオラが妨げる。
「グレイナル様の、カタキーッ!」
そう叫び、フィリスはドラゴン斬りをバルボロスに向かって放つ。 その一撃はバルボロスの身体を大きく切り裂き、バルボロスは激しい断末魔をあげた。
「ギアァァアァァッ!!」
そして、バルボロスは自分の中からあふれ出る闇の炎に飲まれていき、灰となって風に吹かれ、この世から消滅した。 地面に着地したフィリスは、荒い呼吸を繰り返す。
「はぁ………はぁ………はぁ………はぁ………!」
「カタキ、討てたね」
「うん!」
そこでクルーヤが駆け寄ってきて、グレイナルのカタキ討ちに成功したことを喜び合おうとする。 それに答えてフィリスもクルーヤに笑顔で答えたが、直後に自分の身にまた異変が起きる。
「もう少し、もう少しで………あたしは……………」
「………フィリス…………」
やはりその異変は、自分が天使の力を少し保持できているタイムリミットを示すものだ。 それを知ったフィリスは首を横に振り、皆に告げる。
「ノンストップでいくよ、みんな!」
「おうよっ!」
「ちょっとまったー!」
このままエルギオスに戦いを挑もうとしていた時、サンディが突然飛び出してフィリス達に制止をかけた。
「ちょ、なんだよサンディ? せっかくバルボロスを倒して士気もあがったというのに………水を差さないでくれよ」
「冷静になりなよ、さっきの黒いドラゴンとの戦いで疲れてるってのに連チャンでいどもーなんて、オバカじゃないの!? ちゃんと体力を回復させなさいヨっ!」
「………え………」
サンディはフィリス達の体力や魔力がほぼ切れかかっていることに気付いていたのだ。 だからこそ彼女達を呼び止めたのだ。 きょとんとしている4人にサンディは笑みを見せるとどこからともなくビンを取り出した。
「だ・か・ら……このとっておきをつかったげるっ! えーい!」
そういってサンディはビンの蓋を開けて4人の真上を飛び回ると、その中身を4人に振りかけた。 それを浴びた4人は、自分達から疲れや傷がみるみるうちに消えていくのを感じた。
「サンディ、これって?」
「疲労回復にも効いて、どんな病気も治せちゃう! チョースッゴイ薬だよっ! ここにくる途中でこっそり作ってたんダヨ!!」
「お前そんな技術持ってたのかよ!?」
「なんてこと……ここにきてまさかの新事実だわ……」
「なにがおこるのか、本当にわからないものですね……世の中……」
そうサンディの意外な力に対し驚いている仲間達。 そしてサンディは自分がこの薬を作った理由を語る。
「テンチョーも言ってたでしょ……死体を天の箱船に乗せるのはゴメンだって…………アタシだって、あの箱船を霊柩車にするつもりなんてないし………」
そう語るサンディの声には寂しさが混じっていた。 それはきっと、彼女なりにこれから起きることに対する覚悟のあらわれだったのかもしれない。
「………どうせ、見えなくなっちゃうんだったら………アタシ………最後までアンタの戦いをみる………絶対に目をそらさないで見続ける………だから………負けちゃダメだよ! 全員で生きて勝つのよ!」
「………サンディ………」
「………さて、これで戦いの傷は治ったことだし、この元気パワーでエルキモスをぶっとばそうよ!」
「………うん!」
最後は明るいサンディの援助も受け取り、フィリス達の士気はますます高まる。 そして、目の前にある謎の球体の中にいるであろうエルギオスと向かい合う。
「堕天使エルギオス……ここであたしは、お前を倒す! 出てこい!!」
そのフィリスの声に答えるようにして、球体の中から声がしてきた。
「…………人に堕ちたる者よ………そして、それに組みする人間よ………!」
そして、球体はどくんどくんと脈を打ち、徐々に大きく膨れ上がっていった。
「…………貴様等…人間への…………憎悪と絶望こそが、このエルギオスの力の源となるのだ…………」
やがて球体は弾け飛び、その中から一体の、人型の魔物が現れる。 肌は金色の文様が描かれた毒々しい深緑色、身体は筋肉でできており、手足の先には深い闇のような鋭い爪が伸びている。 頭からは爪と同じ色の角が2本生えており、背中の巨大な翼にはまがまがしい文様が描かれる。
「その憎悪の激しさを………絶望の深さを………今こそ思い知らせてくれるわっ!!」
そして、真っ赤に染まった鋭い目を開かせ、口から鋭い牙を見せて、4人の前にその姿をみせる。 そこにはもう、天使の面影など少しも存在していない。
「上等だ! お前にとって人間への憎しみが力なら………あたしは、その真逆! 人間を信じる気持ちで……迎え撃つだけだ!」
だがフィリスはそれに怯むことなく、そう宣言をする。
「さぁはじめようぞ………世界の滅亡をっ!」
そうエルギオスが叫ぶと、フィリスは仲間達をみる。
「みんな!」
「準備はできてるぜ」
「いつでもどうぞ」
「覚悟は決めています」
戦う気満々なイアン、クルーヤ、セルフィスをみたフィリスはコクリと力強く頷いた。
「守護天使フィリスの、最後の戦い………絶対に勝つぞっ!」
最後の戦いの火蓋が、切って落とされた。
次回はいよいよラスボス戦。
あの激しさをかけてたらいいな、と思います。