私なりに描いたDQ9の物語はいかがだったでしょうか?
では、結末をあなたの目でじかに、見届けてください。
堕天使となったエルギオスと戦い、その激しい戦いに勝利したフィリスたち。 それでもなおエルギオスは世界を滅ぼそうとしていたが、そこにラテーナが駆けつけ彼の心を解放することができた。 彼女の想いの強さがエルギオスを元の天使に戻し、解放されたエルギオスはラテーナと共に昇天し、星となった。
「………時は……満ちました………」
その空間の中で、星となったエルギオスとラテーナを見つめていたフィリス達に、澄んだ声が響きわたった。 次の瞬間、4人の体は光に包まれ、気が付いたときには別の場所にいた。
「ここは………」
「なんだか………神々しい気に満ちあふれています…………」
「………ここは………神の国だ………!」
自分達がいる場所、それは神の国だった。 エルギオスの力により絶望と憎悪の魔宮に変えられていたその国は、美しい真の姿を取り戻したのだ。
「ここは、元通りになったということなのね………」
「ああ………」
そう声を掛け合うフィリス達。 その時天使界では、世界樹が目映い光を放ちさらに高い天空へとのびていき、神の国にその光を届かせる。
「…………!」
「あなたは………女神セレシア様…………?」
そうしてフィリス達の前に現れたのは、純白の衣に金色の輝く長い髪、透明な青い瞳を持つ美しい女性…女神セレシアだった。 この戦いが終わり、世界から脅威が去ったことで、彼女は真に目覚め、世界樹から真の姿を取り戻したのだ。
「…………悲しき魂を救い、世界を守ったのは、あなたです…………フィリス。 …………人でもあり、天使でもあるあなたの良き心、良き行いが………人間達の世界を救いました…………」
セレシアはまずはフィリス、そしてイアン、セルフィス、クルーヤにも同じように、敬意とお礼の言葉をつげる。
「………そして、その仲間の方々もフィリスと共に歩み、そして共に世界を救ってくれましたね…………あなた達にも、同じように感謝しています………」
セレシアの言葉に対し、フィリスはもちろんのこと、イアンもセルフィスもクルーヤも静かに笑って返した。 セレシアは彼らの顔を見ると、これから自分が行うべき役目を口にする。
「…………そして…………私が目覚め、世界が救われた今。 ………長きにわたる天使達の役目も………終わろうとしています………」
「………永遠の………救済………」
その言葉を聞き、フィリスは長年天使界に伝わる言い伝えを思い出した。 長老や師匠がたびたびく口にしていた、あの言い伝えを。
「永遠の救済?」
「女神の果実が実るとき、天使は永遠の救済を得る………そう伝わっていたんだ。 そのためにあたし達は人々を守り助け続けていた………。 その感謝の心をあつめ、女神の果実を実らせるために…………」
フィリスは、その言い伝えの意味をずっと気にしていた。 それにはなんの意味があるのだろうか、その時がきたらなにが起こるのだろうか…と。
「ずっと、気になっていたんだ………その救済の意味。 今、わかるんだな………」
そうつぶやいた次の瞬間、フィリス達は再び光に包まれ、場所を移動された。
彼女達が転送された場所。 それは、天使界の一番上……かつて世界樹があった場所だった。
「ここは、天使界………!?」
突然天使界に連れて行かれたフィリス達は、驚き戸惑う。 自分達の目の前にはセレシアがおり、彼女がその手に光をともすと、天使達にもある異変が起きる。
「みんなが………光になっていく…………!?」
フィリスは目を丸くした。 彼女の目の前で、天使界にいた天使達が一人ずつ、光の粒となって舞い上がっていっているのだ。 その光は、さらに増えていく。
「天使達は星となり…………星となった天使達は永遠に、星空の守り人として……輝き続けるでしょう…………」
「え、ま、ちょ………」
役目を終えた天使達は星となる、と伝えられている。 天使達は人々を守り助け続けることが役目………そのために、幾多もの天使が星になっていったのだと伝えられている。 星となることは、その役目から解放されると考えるものもいる。
「それが、永遠の救いの真実………?! そ、それって…………」
「…………」
その言葉を聞いたクルーヤ達はある予感がして、口元に手を当てる。 側にいたイアンとセルフィスは顔をうつむかせ黙り込み、フィリスは淡々と呟く。
「……………もう…………あたしは、本当に皆を感じたり………その目でみたりすることが、出来なくなっちゃうんだな…………。 ………そこには誰もいないから………………」
「フィリス………」
「みんな、星になって…………すべて…………」
もう帰れないのなら、姿が見えないのならどちらにせよ意味はないのかもしれない。 だが、天使も天使界もすべて無くなってしまうとなれば、複雑な気持ちになり戸惑ってしまうだろう。 気持ちの整理ができないフィリスに、セレシアは声をかける。
「…………フィリス…………」
名前を呼ばれ、フィリスは我に返り彼女をみる。
「あなたには……別の役目があります…………」
「別の、役目………」
セレシアは、フィリスの目をまっすぐに見つめて、彼女にある役目を与える。
「……………フィリス、あなたは人間として…………人間達の世界の守り人になってください…………彼らは星空の守り人として………あなたは、世界の守り人として…………ともに、この世界を………光で包んでください」
「………」
フィリスはセレシアの言葉を黙って聞いていた。 そのとき、セレシアは金色の光を呼び寄せて、そこにとまらせる。 その金色の光は、天の箱船だった。
「………天の箱船が……迎えにきたのね」
「だな……」
そこからアギロが姿を見せ、セレシアと目を合わせると、黙ってうなずく。 天使界も、今自分達がいる世界樹のエリアのみとなっていた。
「天使界は消え、神の国も、私も…………じきにあなたの目には……見えなくなるでしょう……………」
「…………セレシア様…………」
「……………さぁ………お行きなさいフィリス。 あなたの、人間の世界へと……………」
そのセレシアの言葉を聞いてフィリスはうつむいたが、やがてコクリと頷くとセレシアの前でひざまづき、胸に手を当ててつげる。
「あたしは……守護天使フィリス」
そして、顔を上げてセレシアの顔をまっすぐに見つめ、言葉を続ける。
「人間の世界に生きることになろうとも、そこを守る運命を知ったとしても……それは決して変わりません。 同族の天使の皆が星になったのであれば、その星の美しさを守ることもまた………あたしの運命。 人間と天使の双方を守るもので居続けること……………ここに、誓います」
フィリスの一切の迷いのない、誓いの言葉。 それを聞いたセレシアは微笑み、彼女に礼を告げる。
「……………ありがとう…………」
そして、星となった天使達が一斉に空にあがっていき、流星群のように夜空を流れていき、一つ一つが夜空の星となっていった。
フィリス達を乗せた天の箱船が天使界を離れた直後のこと。 天使界は完全に光の粒となってその天空からその存在を消した。 そして光の粒となった天使界もまた、他の天使達と同じように夜空へ舞い上がっていく。
「みんな…………」
星が次々に昇っていく様子を、フィリス達は箱船の扉からずっと見ていた。 仲間達も、箱船の窓からその様子を見ている。
「そろそろ、閉じるぜ……」
「……………うん」
そろそろ閉じなければならない、ここから一気に地上に降りるのだから。 アギロはそう言ってフィリスに箱船の中に戻るように言う。
「…………」
そしてフィリスは、自分が今装備している剣を見つめた。 改めて剣を抜き、その刀身を見つめる。 その刀身は変わらず、星空のような美しさを保ち続けていた。 そこに、夜空とそこに宿る星々が宿っているかのように。
「ほしくずの剣…………まだ………あたしの手の中にある…………美しいままで…………」
ほしくずの剣を見つめているフィリスに気付いたイアンが、彼女に声をかけてきた。
「その剣、お前もそのつもりでいるだろうが………大事にとっておけよ。 そいつは、色んな思いを受け継いだ、世界にたった一つの………お前の大事な人の形見。 お前の宝物なんだからよ」
「わかってる」
イアンの言葉に対しフィリスは頷き、剣を鞘に収めて抱きしめる。
「この剣は、ラフェット様に渡された………イザヤール様と………エルギオス様の心が生み出した剣。 なにがあっても………絶対に手放すもんか…………」
そう語るフィリスを見て、イアンはその口元に笑みを浮かべると、彼女の頭に手を置いてぐしゃりとなでる。
「わっ!?」
「お前がその剣を手放すようなこと………オレ達がさせねぇから安心しろよ」
「ちょっとイアン、抜け駆けはナシよっ! 私だって同じ気持ちだもん!」
「クルーヤこそ、そんなにムキになるなよ。 オレはオレ達、て言ったんだからさ」
なぜかムキになっているクルーヤにたいし、イアンは笑ってみせる。 そんな二人をみまもっていたセルフィスは笑みを浮かべつつ窓の外を見て、仲間達に呼びかける。
「みなさん、見てください………地上の様子が見えますよ」
「え、ホントか?」
もうそんなに近づいてきていたのか、とフィリス達はセルフィスと同じように、箱船の窓から下の様子を見る。 そこには、地上の様子が見える。
「………この世界のいろんな場所が見えるぜ………」
「ひとつひとつが、今となっては懐かしいわね………」
ウォルロ村、セントシュタイン城、ベクセリア、カラコタ橋、ビタリ山、サンマロウ、グビアナ城、カルバドの集落、エルシオン学園、ナザム村、ドミールの里……そしてガナン帝国城の真上を通過していく。
「ベクセリア………懐かしいですね………」
「エルシオン学園、大丈夫かな?」
「グビアナのみんなは今日も元気ね」
皆、ここにいる仲間達で通ってきた道だ。 この世界のこの道を、戦い続けることで守ってきたのだと、4人は感じ取る。
「………………」
そして、口々に故郷のことを口にする仲間達をみて、フィリスはその口元に笑みを浮かべていった。 自分の故郷はもうないが、そのかわりに彼らにもう一度故郷を見せてあげられるだけでも、世界を救った甲斐があると思ったのだ。 そのとき自分の体に触れ、徐々に地上が近付くのを感じ取りながら、タイムリミットを感じていく。
「…………もうすぐ、か………」
そして天の箱船は、ツォの浜を越えてダーマ神殿に近付いていく。
「もうすぐ、あの青い木にたどり着くぜ。 そこについたらお前達を降ろす」
「その時が、本当のお別れですね」
その言葉を聞き、本当にこの旅が終わるんだと悟ったフィリス達は沈黙する。
「…………」
サンディも、顔をうつむかせていた。
そうして、ダーマ神殿のそばの青い木。 そこに天の箱船はとまり、4人は天の箱船から降りた。
「うぐ………グスッ………」
「………サンディ………」
フィリス達が天の箱船から降りた直後、サンディとアギロの体が半透明になっていった。 それは、彼女達からみてアギロやサンディがじきに見えなくなることを証明している。
「なによぉ~……これでお別れなんて、そんなの寂しいよぉ~」
「しょうがねぇだろ。 フィリスは人間になっちまったんだ………もう住む世界が違うんだよ」
フィリスがじきに自分の姿が見えなくなるのを感じ取ったサンディは、ぼろぼろに泣き崩れていた。 アギロは、自分達の姿が見えなくなっているのはフィリスだけでないことを告げる。
「おまけに、お前達の口にした世界樹の朝露も、その世界樹がなくなったことで………効果が消えかかっている。 そこにフィリスがいたから、お前達は世界樹の加護を受けていられた………」
「では僕達も………じきに………あなた達が見えなくなるのですね」
「ああ」
イアンもセルフィスもクルーヤも、今までは世界樹の朝露の効果…そして、その効果をもたらす条件として近くに天使がいることにより、フィリスと同じように幽霊や天使が見えたり、天使界に足を踏み入れたりなどができていたのだ。 だが、世界樹がすでにないこと、そしてフィリスが天使でなくなっていることから、今まで出来ていたことができなくなってきている。
「住む世界とかどうとか! そんなの、カンケーないじゃん!! テンチョーのバカッ!!!」
サンディはアギロに向かってそう怒鳴ると、天の箱船の中にはいっていってしまった。
「しょうがねぇな、サンディの奴は………」
アギロはそんなサンディをみてあきれ、フィリス達にかわって謝罪をする。
「わりぃなぁ、あいつまだガキだからよ……許してやってくれや」
「………いいよ、むしろあたしは………サンディがそこまであたしのことを思っていてくれたことが、今はとってもうれしいから!」
フィリスの笑顔をみて、アギロも笑みを浮かべた。 彼女の純粋な気持ちは、サンディにも伝わっているはずだと感じたのだ。 そのときイアンが前にでて、カデスの牢獄で閉じこめられていたときのことを思い出しそのことで礼をいう。
「旦那、オレはあんたにも世話になったな………ありがとよ!」
「おうよ!」
アギロはイアンにそう笑っていうと、彼らに対し別れを告げる。
「じゃあな、フィリス! そしてイアン、セルフィス、クルーヤ! お前達の幸運を祈っているぜ!」
「ああ! アギロさんも………元気で!」
そうしてフィリス達に別れを告げたアギロは天の箱船に乗る。 すると天の箱船は汽笛を高く鳴らし、天高くのぼっていくために走り出す。
「フィリスー!」
「サンディ?」
そのとき、サンディは天の箱船からひょっこりと顔を出し、フィリスに向かって大声で叫ぶ。
「これまで一緒に旅してきて………すっごくおもしろかったよ!! 人間になってもアタシとあんたは友達だからねーっ!! よーく覚えておきなさいよーっ!!」
「ああ! もちろんだっ!!」
フィリスも負け時と大声で、サンディにそう返事をする。 そのあとサンディが自分に向かって何かを言っていた気がするが、すでに距離が遠いせいか、はたまたサンディの声が聞こえなくなってきているせいか、なにを言っているのかフィリスにはよくわからなかった。
「…………見えなくなっちゃった…………」
「フィリス………」
やがて天の箱船は、誰の視界にうつらなくなっていた。 それで、すべてが終わったんだと確信したフィリスは、ポツリとそうつぶやいた。
「…………さてと。 あたしは帰る場所もなければ、これといっていくあてもない。 しばらくは自由に、世界を放浪の旅をするしかねーさ」
自分を心配そうに見つめる仲間達に対し、そうちゃかすようにいってみせる。 だがその直後で、真剣な表情になって仲間達に言う。
「でも、これからも………みんなはあたしと一緒にいてくれるんだろ?」
そう尋ねてくるフィリスにたいし、イアンとセルフィスとクルーヤは黙って笑って、頷いた。 それが彼らの最高の返事だと確信したフィリスも笑みを浮かべて頷くと、彼らに呼びかける。。
「さぁ、行こう」
イアン、セルフィス、クルーヤは、フィリスについていった。
「ねぇ、だれかいるの?」
「いるのだったら、姿を見せてよ」
「何かいってよ」
そんな人々の声が聞こえる。
いったいいつのころから、この世界を見守ってきたのだろう。
ボクたちは、天使と呼ばれていた。
そして、星は今日も、光を放っている。
DRAGON QUEST 9
Angels Tale
…………END
はい、というわけでDQ9の小説はここでおしまいです。
私の目線や、過去に色んなファンサイトを巡っていた時の記憶をたどりながらかいてました本作。
このゲームが好きな人の心に、届くといいな。
というわけで、皆さんお読みくださり、ありがとうございました!
私の次回作に、ご期待ください!
では!
……あれ、おかしいな?
まだなにか、ありそうだぞ?