この辺はDQ9のなかでも、特に思い入れの強いエピソードですね。
新たなる町・ベクセリアに足を踏み入れたフィリス達は、町の人々が暗い顔をして中には苦しそうにせき込んでいる人もいる。 その最中、実は仲間の一人である僧侶の少年・セルフィスが実は、この町の町長の息子であるという事実を知った。 その衝撃の事実に対し呆然としているフィリスたちにたいしセルフィスは、彼女達を連れて奥にある大きな屋敷に向かった。
「ここがまさか、セルフィスの実家か?」
「はい、町長の家、です」
セルフィスはそう言って扉をノックすると、ゆっくりとその扉は開く。 扉を開けたのはこの家に仕えるメイドであり、セルフィスの顔を見ると驚き、すぐにあがるように伝える。 そして、彼女の案内の元に4人は応接間へ向かい、そこでしばらく待っていると町長夫妻が入ってきた。
「まさか……?」
「父上、母上…お久しぶりです」
「セルフィス、セルフィスではないか!」
まさか息子がいるとは思っていなかったらしい、町長夫妻はセルフィスの顔をみて驚く。 セルフィスも笑みを浮かべており、両親との再会を喜んでいるようだった。
「ああ…セルフィス、懐かしいわ……貴方が僧侶となり旅にでてから、すでに半年が経過していたけど……この時にまた、貴方の顔が見られるなんて………」
「何故、ここに……そしてそちらの者達は?」
セルフィスは、フィリス達の方をみてから再び口を開く。
「今はこの人達と、人助けのための旅をすることになって……その途中でこの町に立ち寄ったのです。 そうしたらこの町の異変が気になって……。 一体…なにがあったのですか?」
「そうだな…お前にも、知っておいてもらった方がいいのかもしれない……」
町長は、今この町で起きている異変をすべてはなすことを決め、口を開いた。
「この町では今…疫病にあふれているのだ」
「疫病?」
「うむ………この病は今回が初めてではなく、100年前にも同じことがあったものと同じものなのだ。 資料を調べればわかるはずなのだが……恥ずかしながら私では、その記録が載っている古文書の解読は不可能……そこで」
「……まさか、その解読を…義兄上に…?」
「……その通りだ」
あにうえ、という単語がでた瞬間に、その場の空気が重くなった。
「なんか、空気重くなったな?」
そうつぶやくフィリスにたいし、セルフィスは苦笑しながら事情を説明する。
「実は、姉上の夫にあたる人物……。 義兄上であるルーフィン殿は、考古学者で…この屋敷にも僕も知らないし解読できないほどの古文書がいっぱいあるんです。 それを見せてもらうために義兄上はここにきて、ここに通っているうちに姉上とお近づきになり、次第に仲良くなって結婚したのです」
「あぁ…そっかぁ」
「義兄上は頭はいいのですが、それ故に他人に無関心で僕もあまり話をしたことがありません…。 僕が僧として修行の旅にでることになっても、そんなのどうでもいいという様子でした」
「うわぁ……」
どうも一癖ある人物らしい。 なんとなくながらもこの町長とルーフィンなる人物は仲がよくない理由も察しがついた。
「だが、今の頼りは…悔しさがあるがルーフィンなのだ。 セルフィスと、そしてそなた達に頼みがある。 古文書の解読がどこまで進んでいるのかを確かめてくれ。 そしてもし仮に解読が済んでいるのならば、その解明に協力してほしいのだ…」
「みなさん…僕は、このベクセリアの力になりたいです、助力をお願いします」
そう言ってセルフィスはペコリと、フィリス達に頭を下げてお願いしてきた。 そんな彼の頼み方をみて、フィリスは一筋縄ではいかないと思いながらも、彼の頼みを聞くことを決める。
「しゃーないよね、仲間だもん」
「ありがとうございます、では、参りましょう」
セルフィスはフィリス達にそう告げると、ルーフィンとその妻であるセルフィスの姉の家に向かう。 その家の場所はセルフィスもよく知っているようであり、彼の案内のおかげもあって家には迷うことなく到着できた。
「はーい」
その家の扉をノックすると、家の中から明るい女性の声が聞こえてきて、ゆっくりと扉が開いた。 ピンクと白のフリフリのエプロンドレスを身につけた、緑色の髪と瞳を持った若い女性だった。
「…………!」
「お久しぶりです、姉上……セルフィスです」
その女性が、どうやらセルフィスの姉であるエリザらしい。 彼女はセルフィスの顔を見て目を丸くさせていたが、やがて嬉しそうに声を上げて笑いながら彼に抱きついた。
「きゃー! セルくん!? セルくんよねぇ! なっつかしー!」
「あ、姉上…」
強く抱きしめられ、セルフィスは戸惑ってしまっている。 フィリス達は、そんな姉弟の姿を苦笑いしながら見ていた。
「な、なんかこの町の今の状況に合わない人だな」
「あ、ああ」
「あなた達が、セルくんのお友達なのですねっ」
あのあと、セルフィスはエリザに解放してもらった後、家に上げてもらいながらフィリス達のことを紹介した。
「改めて、わたしはエリザっていいます」
「こちらこそ。 それで実はあたし達、ルーフィンっていう人にご用があってきたのです」
「ルーくんに……あ、ルーくんっていうのはうちの主人のルーフィンのことねっ! きゃ、主人ですって、てれるぅ~~!」
「姉上…」
「あ、ごめんなさい、ついはしゃいじゃった」
どうやらこのエリザという女性は自分の夫であるルーフィンに相当ホレこんでいるらしい。 一度はテンションがあがったエリザをセルフィスがたしなめながら、彼を尋ねてきた理由を説明する。 その理由に納得したエリザは、ルーフィンが最近こもりっきりになっているという研究室に彼らを連れていく。
「もー、パパったら………いくら会うのが気まずいからって…セルくん達に頼まなくたって……ケホケホッ!」
「大丈夫ですか、姉上」
「あはは、大丈夫よセルくん。 相変わらず優しいわねっ。 お姉ちゃんうれしいなぁ」
せき込んだ自分を心配するセルフィスにたいしエリザは笑顔を向けると、少し変わったノックをした。 すると、扉の奥から男性の声が聞こえてきた。
「エリザかい? こんな時間に珍しいな」
「お疲れさま、ルーくんにお客様がきているんだよ。 パパのお使いの人が、古文書の解読が進んでるか聞きたいんだってー」
「………はいってもらってくれ」
そういわれたので、エリザが扉を開けてそれに続いてフィリス達も足を踏み入れる。 頭をポリポリとかきながら、ゆっくりとイスから立ち上がるのは、ボサボサの髪に古ぼけためがねをかけた一人の男性だった。
「今忙しいんだけどなぁ………。 でもお義父さんの使いじゃ、ムシもできないか…………」
「お久しぶりです、義兄上。 僕のことを覚えていますか?」
「あーそういえば、義理とはいえ…弟が出来たんだった」
「うわぁ……」
ルーフィンらしき男性のセルフィスにたいする態度をみて、思わずそう声を漏らしてしまうフィリス。 その横でエリザはルーフィンに自己紹介をするようにうながす。
「自己紹介しなくちゃ、ルーくん」
「ん~…それって意味あるのかい、メンドくさいなぁ……ぼくはルーフィン。 考古学をやっています」
とりあえず、フィリス達も同じように名乗るが、すぐに忘れるかもしれない、と言うルーフィン。 そんな彼にたいしキゲンを悪くしつつも、セルフィスに押さえられ、セルフィスはそのまま、彼を尋ねてきた用件を伝える。 すると、ルーフィンは古文書を解読できたといってその内容を彼らに教える。
「事の起こりは100年ほど前、ベクセリアの西に遺跡が発見されたことにさかのぼります。 そしてそれに興味を持ったベクセリアの民はうっかり遺跡の扉を開けてしまったところ、その中からは病魔という名の災いが出てきた。 その災いは病気…というより呪いの一種といえるもの……そして、はやり病の元凶。 当時の人々はその病魔をなんとかして封印し、遺跡の入り口をほこらで塞いだことで、なんとか難は逃れたそうです」
「ってことは…今……この町にはやり病が復活したのは…?」
「ほこらの封印に何かの異変が生じた……そして原因は多分、この前の大地震のようだね…」
「じゃあ…ほこらに行って、病魔ってのを封印し直せばいいってこと?」
「その通りさ。 まぁシロウトには難しいだろうけどこの町でできるのは、ぼくだけだろうね」
それを聞いてフィリスは微妙な顔になるが、エリザは心配そうにルーフィンの顔を見て問いかける。
「じゃあ、じゃあルーくんがこの町のために…ほこらの封印をなおしに行くの?」
「うーん……確かにうまくいけば、お義父さんだってぼくのことを認めてくれるかもしれないが………」
「すぐにはいけないのですか?」
「魔物が多くいますしねぇ……それに、遺跡に続くほこらには、カギがかかっているのです。 そしてそのカギは………」
「さしずめ、町長が管理しているってことか」
イアンの言葉に対しルーフィンはうなずく。 事情をはなせば鍵を貸してくれるかもしれないが、二人の関係がよくないから難しいのかとイアンがそう考えたそのときだった。
「義兄上!」
セルフィスが突然声を上げた。 彼の目は今、ルーフィンの顔をじっと見つめながら彼に告げる。
「僕が父上に頼みます、だから遺跡に手がかりがあるのであれば……僕が護衛しますから、いってくれませんか!」
「セルくん………!」
すぐに父のところへ向かおうとするセルフィスとともに、フィリス達も動いた。
「みなさん…!」
「あたしも力になるよ」
「オレもだ!」
「私もやるわ」
「……ありがとうございます!」
そう声を掛け合いながら、4人は事態の解決のため、町長のところへ向かった。 研究室にはルーフィンとエリザの二人が残った。
「随分人がいいものだなぁ」
「セルくん、本当にいいお友達ができたのね…よかったっ……」
エリザは今の弟の姿を見て喜んでいたが、そこでまた咳をした。
「こほんっ」
「どうしたんだ?」
「あ、だ、大丈夫!」
セルフィスの説得と、町の状況を知った町長は、少し渋る様子を見せながらも鍵を渡してくれた。 その鍵をあの夫婦に見せたら、二人とも最初は驚いていたものの、病魔の封印のためにほこらに向かうことになった。 もちろん、道中の魔物の相手は、フィリス達が引き受けるのだ。
「セルくん……そしてみなさん、ルーくんをお願いします……」
「ご安心ください、姉上。 必ず義兄上とともに吉報を持ち帰って見せます」
「では、いってくるよ」
こうしてフィリス達はルーフィンの護衛という形で、疫病の原因が眠っているであろうほこらに向かった。 道中ではもみじこぞうやらがいこつやらが出てきたが、依頼通りにその魔物を撃退していく。 彼らもここまでの道のりのおかげで息はピッタリであり、戦いも連続で勝利していく。 そのおかげもあって、そのほこらに無事に到着した。
「ここが、その病魔を封印したほこら?」
「セルフィスは知ってたの?」
「はい、小さい頃から存在は知っていたけれど………なんだか怖くて、ずっと近づかなかったのです………」
ですが、とセルフィスは槍を強く握りしめる。
「この地の謎を解明し、町を疫病から救えるか否かで、僕が僧として修行していた成果が試されるのだと……僕は思っています」
「セルフィス……ああ、必ず、ベクセリアを助けような!」
「はい」
そう決意をかたくしたところで、鍵を使い扉を開け、4人はルーフィンをつれてそのほこらの中に入った。 もし病魔が封印されているポイントがあるとすれば、おそらくはこのほこらの最深部だろうとふんだ彼らは、その中を進む。 ほこらの中はおきまりのごとく、魔物の住処となっているようであり、侵入者と見なしたフィリス達に容赦なく襲いかかってくる。
「これは……」
やがて彼らがたどり着いたのは、大きな扉だった。 その扉にはなにかの仕掛けが施されていたものの、赤と青の光をそれぞれ対応した色の扉に当てるだけでよかったので、悩む必要はなかった。
「扉が開いた!」
「奥に階段があるわ!」
「降りてみましょうか」
仕掛けを解いたことで扉の奥にいけるようになり、その奥には下へ降りる階段が存在していた。4人は周囲を警戒しつつ階段を下り、やがて大きな広い部屋にでた。 そこには何か、祭壇のようなものが存在しており、その中心にはなにか壊れているものがあった。
「つ、ツボか?」
その壊れているものは、壊れてはいるもののかろうじて壷であることがわかった。 その壷に、ルーフィンは反応する。
「おおっ…古文書でみたとおりです。 あそこに転がっているのは、病魔を封じていた封印の壷です」
「じゃあやっぱり、あの大地震のせいで?」
「そうだろう」
やはりここにも、あの地震の影響はでていたのだ。 ルーフィンは壷をまじまじと調べ、落ちていた破片を拾い上げる。
「よし、封印の紋章が描かれた部分は壊れていないな…これなら楽勝だ。 一流の考古学者なら、これくらいのワレモノを直すのなんて、朝飯前ですよ」
「さいですか」
自慢げなルーフィンの言葉をフィリスは適当にうけながす。 直せるのならそれは願ったりかなったりだ。 さっそく破片を集め、特製の接着剤を取り出し、壷の修復を始める。
「義兄上! あぶない!」
そのとき、セルフィスは何かに気付きルーフィンの前に出て、対処に向かってバギの魔法を放つ。 その魔法が命中したことで姿を現したのは、どろどろとしたピンク色の体に目玉と舌をつけた、不気味な魔物だった。
「オろかナるしんにゅうしゃよ。 ワれヲふたタビ封印せンとやッテキたか」
「なんだぁ、こいつ?」
「ソうハさせヌさせヌぞぉぉぉぉお!! なんジに病魔のワザワイあレ!」
そう叫ぶ魔物。 ルーフィンはこいつがはやり病の原因である、病魔パンデルムだと言い、それを知ったセルフィスは槍を構える。
「……!」
「くっそ、まだ封印のツボが直ってねぇのに!」
「ほらほら! あなた達の仕事でしょ!? 戦っている間にぼくがこのツボを直しちゃいますから、時間を稼いでくださいよ!」
「わかってますって!」
そう言ってフィリス達はその病魔パンデルムと戦う体制に入る。 とくに、セルフィスが強く叫ぶ。
「ベクセリアを陥れた病魔め、成敗してくれる!」
その声にあわせて、セルフィスは槍の技であるしっぷう突きを放つ。 そこから続けて、フィリスとイアンが同時に飛び出して攻撃を繰り出す。
「はぁっ!」
「エイヤッ!」
その攻撃はパンデルムにヒットしたが、直後にパンデルムは何かの魔法を発動させる。 すると、フィリス達の体は何かのオーラに包まれた。
「こんなものっ…!?」
なんてことない、と言いたかったフィリスだったが、自分の体が少しだけ動きが鈍くなったのに直後に気付く。 そのせいで相手の物理攻撃を受けて吹っ飛ばされてしまう。
「フィリスッ」
「スカラッ!」
そこでセルフィスはスカラを仲間達に一人ずつかけていき、防御力を高め、すぐにフィリスにもベホイミを使ってダメージを回復させる。 だが、身軽なイアンでも素早さが下げられた影響が大きいのか、素早い一撃をたたき込めない。
「スピードが下がったら上げ直すだけよ! ピオリムッ!」
そこでクルーヤが、素早さをあげる魔法、ピオリムを唱えて全員のすばやさを元の状態に戻し、さらに同じ魔法をかけてみんなのスピードを上げる。
「サンキュな!」
「そのままガンガンいっちゃおう!」
「おうよっ!」
そう声を掛け合い、イアンは力をためてから棍で強く敵をついた。
「ぐギュウウウあああアァアァ!!」
病魔パンデルムは途中でもうどくのきりを放ち、フィリス達を退く状態にして苦しめようとしたが、そこでセルフィスはキアリーの魔法でそれを癒し、さらに回復魔法をかけて全員の傷を回復させる。
「このまま決めちゃうわよっ!」
そう言ったのはクルーヤであり、まずはメラを放って相手の不意をつく。
「こノッ!」
「おっと、真横いただきっ!」
そう言ってフィリスは剣を豪快に振り回し、切りつける。 パンデルムは反撃でフィリスを攻撃するがフィリスはそれを盾で受け止め、直後にイアンがせいけん突きを放って吹っ飛ばし、パンデルムを壁に強くたたきつけた。
「よしっ!」
「フウガァァ………なめルなぁぁっ!」
「!!」
一度は倒した、と思ったパンデルムだったが、すぐに起きあがってフィリスに襲いかかろうとしていた。
「ハァー!」
だがそこで、セルフィスが割って入り、槍で強くパンデルムを貫き、その体を壁に強くたたきつける。 そのたたきつけた反動でセルフィスは後方に吹っ飛ばされてしまうものの、槍はパンデルムに深く刺さっていて、パンデルムはまともに動けなくなっていた。
「はぁ……はぁ……!」
「セルフィス!」
「だ、大丈夫です…!」
自分のことを心配して駆け寄ってきた仲間達にたいし、セルフィスはそう笑い返した。 ちょうどそのとき、背後からルーフィンの声が聞こえてきた。
「やっと直りましたよ!」
「おーう、ナイスタイミングー!」
そう言うとルーフィンはその病魔を封印しようと、その壷に向かって叫ぶ。
「さぁ封印のツボよ、悪しき魔を封印せよ!」
ルーフィンのその声にあわせるように、壷からは竜巻が起こり、その竜巻がパンデルムに襲いかかった。
「ぎゅバババババ………!」
するとパンデルムの体はあっという間に竜巻に飲み込まれ、やがてその竜巻は壷の中に戻っていき、パンデルムは吸い込まれるようにしてその壷の中に入っていった。 そうしてパンデルムの体がすべて壷に入ったところで、ルーフィンは蓋をして接着剤でその蓋を閉じた。
「やったぁ!」
病魔の封印に成功したことに対し、4人は喜ぶ。 ルーフィンも自慢げに笑っており、セルフィスの方を向く。
「みていたか、セルフィス? 見事病魔の奴を封印したよ…このぼくが!」
「は、はい……」
「フッフッフ……これでお義父さんも、ぼくのことを認めざるを得ないだろうね」
「あ………はは………」
相変わらずな義兄の様子に、セルフィスは苦笑しつつ、あのときパンデルムを貫いた槍のところへ向かうが、その槍は見事におれてしまっていた。
「あー……折れてしまったようです……」
「そりゃ、あれだけ強くやっちまえばなぁ……」
「でも、あの行動がなければあたし達がやばかったかもだし……ケガの巧妙ってやるじゃね?」
「それ、意味違うとおもうんですケド」
そう会話をしつつ、セルフィスが持っていたあの槍はもう使い物にならないから買い直さないといけないと言う話にもなり、帰ることにした。
「あ、帰らなくてもいーんですかぁ?」
「んー…せっかくここまでこれたから、このほこらをもう少し調べてみたいんですよ。 先に帰っていて大丈夫ですよ、もうせいすいもきくと思いますし、あとはなんとか自分で帰りますから」
それでいいのかよ、とフィリスは思ったが、そこでセルフィスが言葉をつないだ。
「うーん……義兄上はああなってしまったら、てこでも動かないからなぁ。 仕方ない……帰って父上と姉上にだけでも、告げましょう。 特に姉上は、義兄上のご活躍を喜んでくださるだろうし」
「そうね」
「戻ろっか」
そう言って、彼らはベクセリアの町で皆が喜ぶ顔を見たくなって、足を早めたのであった。
「………姉上も町も、皆……笑ってくれるだろうな………」
次はベクセリア編・後半をお届けします。
彼らがどうするのか、お目通しをお願いします。